平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(1107)ミステリーツアーに身を委ねて。(4)

みゆきさんの妄想

1月13日(木曜日)。
ミステリーツアーの初日。

1カ所目の観光、明治座の観光をして、その後、舞台峠観光センターで、昼食を頂いたあとは、またバスは下呂を通過して、北上(だと思うんだけど)してゆく。

添乗員さんの説明を聞きながら、走るバスから飛騨の街並みを眺める。
かなりの雪が積もっているのが印象的だ。
結構走ってたどり着いたのは、高山だ。

ホテルの場所が予想では高山だったので、まあ、そっちへ行くんだろうなというのは解ってはいたけれどもね。
大きなお寺の駐車場にバスを停めて、高山市内観光となる。
途中まで、添乗員さんの誘導で歩いて行って、そこから自由散策だ。

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(駐車場の近くの道)

高山市内は、ミニボンと昨年に行ったことがあるし、凡ひとりでも行ったことがある。
なので、街を歩きながら、ああ、こんなだったねと話しながら散策を楽しむ。

ただ、目の前の風景は、まったく違う世界だ。
一面の雪の世界。
ミニボンは、小樽でもそうだったけれど、雪が嬉しいようである。

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閉まっている店も多くて、とはいうものの、何かを買いたいという訳でもないので、ただ、街をブラブラと歩きまわる。

凡にとっても、雪に彩られた高山の街は、どうにも素敵に見えたのであります。
なので、気が付いたら、アイフォンで写真と撮りまくっていた。

ここでの滞在は、1時間半ぐらいだったかな。
凡とミニボンは行ったことがある場所なので、この時間でも十分だったけれど、始めての高山市内散策という人には、ちょっと時間が足りないと感じるかもしれない。

さて、これで午後の1カ所の観光も終了した。
予想の高山市内散策は、これは当たりましたね。

ということで、この後はホテルに向かう。
今日のお宿は、ホテルアソシア高山リゾートさんだ。
これも、予想が当たったよ。

坂道を上って行って、ホテルに到着。
この施設は、アルプスウイング、パークウイング、スパウイングという3つの建物から構成されていて、凡の部屋は、パークウイングの8階だった。

凡は、ちょっと気取って、鍵を受け取る。
何しろ、これから泊まるこのホテルは、旅行会社の評価がSランクで、なをかつ、5つ星のホテルである。
そんじょそこらのホテルとは訳が違うのだ。

普段、凡が泊るようなホテルじゃない。
言わば、みゆきさんが泊まるようなホテルに違いないはずだ。

まあ、みゆきさんが、どんなホテルに泊まっているのかは、知らないけれどね。

一時、東京へ行った時は、渋谷の東急ホテルに泊まったりしていた。
そこが、若い時のみゆきさんの東京での定宿だと聞いたからだ。
その真偽は分からなかったけれども、いても立ってもいられずに、泊まったのだ。

そして、無暗にロビーのソファに座って、ここで、みゆきさんは、お迎えのスタッフを待っていたのではないかと想像したり。

或いは、ひょっとして、この部屋に泊って、このトイレの便座に座ったのじゃないだろうかと、便座に頬ずりしそうになったり。

しそうになったりというのは、みゆきさんの後に、何百人もの汚いオッサンのお尻が乗っかったと思うと、さすがに、頬ずりは出来なかった。
踏みとどまった訳だ。

ひょっとしたら、前日の客は、お尻に毛の生えた、いぼ痔の、下痢の、1週間風呂も入っていないオッサンだったかもしれない。
いくら妄想癖のある凡でも、そこは理性が働いて冷静に判断してしまうだろう。

それにしても、みゆきさんだって、今も旅はするだろうと思う。
プライベートの旅もあるだろうし、ツアーでホテルに泊まることもあるだろう。
そんな時は、やっぱり高級なホテルに泊まるのじゃないだろうか。
凡のような、1泊3000円台のビジネスなんかには、泊まりはしないだろう。

みゆきさんは、高級ホテルに泊まったなら、どんな感じで過ごすのだろうか。

高級ホテルの広い部屋に入って、シャワーを浴びる。

ジャスミンの香でもしそうな清らかなお湯が、キラキラと輝いてみゆきさんの滑らかな肌を滑っていく。
細い体にそって流れるほんの数秒の間に、みゆきさんのオーラで、さらにキラキラが増して、ダイヤモンドの輝きを持った甘露の液体となって、やがて、バスタブに落ちる。

ああ、その液体の何と愛おしいことか。
凡は、その液体を掬って、頭の上から注ぐだろう。

みゆきさんの体を流れた液体が、凡の頭から流れ落ちいていく。
ほんのりと温かく、そして、みゆきさんの良い香りに包まれる凡のたるんだ体。

ああ、みゆきさん。
すると、凡の頭のてっぺんで音がした。

「ポン。」

なんだろうと、バスタブの横の鏡を見ると、凡の頭のてっぺんに、何かの芽が出ている。
びっくりして見ていると、みるみる芽は育って行って、10センチぐらい伸びたところで、白い小さな花を咲かせた。

「いやいやいや、これどうなっているの。ええーっ。頭から何か生えて白い花咲かせたんだけど。」

まさか、みゆきさんのシャワーの水が原因で花が咲いたのか。
いや、そんな筈はない
理屈や理論では説明できないじゃないか。

それを見て、みゆきさんは、「わあ。可愛い。」なんて、目を細くして、小さな拍手をしながら、凡の頭の花に見とれている。

「みゆきさん、これどういうことだろう。」

この時点で、まだ、みゆきさんは、シャワーを浴びてすぐなので、スッポンポンだ。
でも、それより、凡は頭の花が気になる。

「どういうことだろうね。きっと何かのご褒美なんだよ。」

なんて、呑気な事を言う訳だけれど、みゆきさんが好きな凡は、みゆきさんが喜んでくれるなら、それで良いかと思ってしまう。
そして、その夜、凡とみゆきさんは、ベッドに入って寝た。

一応、公式の発表では、ここは、ファンの人に気を遣って、ツインだったということにしておこう。
そして、翌朝、凡が目を覚ます。

優しい日差しが差し込むレースのカーテンを見たら、窓のところに、昨日の夜、みゆきさんと飲んだワンカップのガラスのコップが置かれていて、そこに、花が活けられていた。

「あーっ。凡の頭の花だ。」思わず、叫んでしまった。
「えーっ。みゆきさん、凡の頭の白い花、切っちゃったの。」

「うん。窓のところに置いたら可愛いかなって思って。ほら、白いカーテンに似合ってっるでしょ。」

「いやいや、この花って、凡の体の一部かもしれないんだよ。だって、凡の頭から生えてたんだし。もし、花を切って、凡が死んじゃったりしたら、どうするのよ。」

「だって、死んでないじゃん。」
「うん、まあ、それはそうだけど。」

「でも、よく人の頭の花を切れたもんだね。本人の許可も得ないでさ。怖いよ、みゆきさん。」
そういうと、みゆきさんは、ケラケラと笑った。

だって、頭から生えた花なんて、不思議じゃない。
昨日の夜だって、花が折れないように、結構、気を遣って寝たんだよ。
枕の角度変えたりしてさ。
それなのに、その花切っちゃうなんて。

窓に置かれた花を見たら、ポカリと、何が起こったんだろうと言うような表情で、凡を見つめているように見えた。
ああ、可哀想な白い花。

「ねえ、そろそろ、チェックアウトしようか。」とみゆきさんが、バッグを持ってドアを開ける。
「みゆきさん、あの花、どうするの。」

そう凡が聞いたら、ちょっと振り返って、「もう、要らない。」と言った。
怖い女だ。

そう思って、みゆきさんを見たら、その怖さが、また好きに変わってしまった。
って、いうか何の話だっけ。

そうそう、今日、凡が泊ろうとしているホテルアソシア高山リゾートさんは、Sランクのホテルで、かつ、5つ星のホテルであると言う事だ。

さて、ホテルの部屋に入る。
成る程、広さも十分にあって、これなら、リラックスして、旅の疲れも癒すことができるだろう。
カーテンを開けると、もう日の暮れて何も見えない空間に、敷地の駐車場に積もった雪が、ほんのりと街頭に照らされて光っていた。

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ここで、普通なら、温泉に入って、浴衣に着替えて、んでもって、美味しい食事という段取りになるだろう。

でも、流石、Sランクで5つ星のホテルである、レストランは、浴衣もスリッパも不可だという。
温泉に入って、また服に着替えて、レストランに行くと言うのも面倒くさい。
それに、ミニボンも、スッピンで食べに行くのも嫌だという。
なので、温泉は、食事の後に行くことにした。

5時半ごろホテルに入って、食事は6時半からだ。

部屋で、高級なホテルの高級な空間を楽しんだり、高級なお土産物屋を冷やかしたりして、高級な夕食を待った。
さて、いよいよ、Sランクホテルかつ、5つ星の宿の夕食である。
会場は、2階の「華雲」という和食レストランだ。

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高級そうな入口からテーブル席に案内される。
目の前には、既に料理が並べられていた。

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豪華だ。
これが、高級ホテルの夕食というものであるのか。
もう、ドキドキである。

まずは、アルコールを注文するのだけれど、成る程、高級ホテル価格だ。
正確には覚えてないが、ビールなどは、中瓶で950円ぐらいだったか。

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んでもって、改めて、横にあったお品書きと料理を照らし合わせる。
そこで気が付いたのだけれど、料理は、今、目の前に置かれているものが、すべてだ。

この後に、天ぷらが運ばれたり、ちょっとした洋風の料理があったりと、そういうことは無いようである。

と、思って見ると、量が少ない。

それが高級ホテルの料理だと言われれば、それまでだけど、育ち盛りの凡にとっては、やや量が、物足りないと感じてしまうのだ。

お造りも、3切れぐらいだっただろうか。
前菜は、小さな小さな小鉢に、ひと口で食べてしまいそうな、これと言って特徴のないおかず。
それに、熱々じゃない茶わん蒸しと、小さな椀に入った蕎麦。

そして、メインの鍋物と焼き物だ。
この2つは、固形燃料で、自分で調理するタイプの料理なのだけれど、ちょっと中途半端な感じもしないではない。

自分で、焼いたり煮たりするのは、楽しい。
凡も、大好きだ。

ホテルにしてみれば、エンターテインメント性を持たせて、お客様に喜んでもらおうという気持ちなのかもしれない。

とはいうものの、そういう料理は、ほぼ、どこでも量が少ない。
それだけで、満足感を得ようとさせても、限界があるのである。

悪いように解釈するなら、何か焼かせておけば、何も考えずに喜んで食べるだろうと言うふうにも感じるのである。

そう思うのは、今回の焼き物の飛騨の地鶏の陶板焼きもそうだ。
陶板の上に乗っているのは、予め火を通した鶏なのである。
詰まりは、形だけの「焼き」ということになる。

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そして、もう1つの鍋物は、飛騨牛のすき煮鍋だ。
これは、生から調理するのだけれど、やっぱり量が少ないと思う。

勿論、飛騨牛だからね。
元値が高いのだろう。
これなども、飛騨牛にこだわる必要は、あるのだろうかと思う。

一体に於いて、飛騨牛に限らず、ブランド牛というのは、地元の人が食べている牛肉という意味じゃない。
あれは、地元以外の場所の高級レストランに売るための牛肉ということじゃないだろうかと思う。

神戸牛や、松坂牛も、そうだ。
神戸や松坂の一般家庭で、常時食べられている肉ではなくて、高級レストラン、多くは、東京とか大阪とか、そんな都会的な場所に売るための牛肉に違いない。

となると、わざわざ、飛騨に来て、飛騨牛じゃなくても良い気がするのだ。

詰まりは、神戸牛も松坂牛も飛騨牛も、東京や大阪で食べてこそ、その本領が発揮できると言えるのである。
飛騨の人が、ふだん食べているオージービーフとかね、そういうのを、この鍋に使っても良いと思う。
そんでもって、肉の枚数は、もっと増やしてね。

因みに、今回の食事は、ミニボンは、ほとんど食べれなかった。

牛すき鍋には、キノコが入っているし、お造りは食べないし、鶏だけは食べたか。
とはいうものの、それはミニボンの好き嫌いの激しいのが原因であるので、問題は無し。

ということで、何か、料理のことを書いたら、滅茶苦茶、けなしているように見えますが、凡の気持ちは、その反対なのであります。
詰まりはね、こんな料理は、団体ツアーでなきゃ食べれないと言う事だ。

個人で行ったなら、単品を追加したりもするかもしれないが、今回は、団体ツアーなので、それはしない。

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なので、少ないねと話をしながら、それを楽しんでいた。
楽しくて仕方がなかったのであります。

料理の内容をツマミにして、地酒の飲み比べなんかを追加して、楽しく料理を頂きました。
大満足の夕食であります。

ただ、満腹ではないのではありますが。

とはいうものの、その満腹じゃないのが幸いして、その後、温泉に行くことが出来たのであります。
これが、食べ過ぎ飲み過ぎという状態なら、もう面倒くさくなっていたかもしれません。

適度に食べて、アルコールの値段の高さから、注文も控えて、それだから、まだまだ元気なのだ。
さて、Sランクホテル、5つ星の宿の温泉は、如何に。

温泉の施設のあるスパウイングに移動。
温泉は、なかなか良かったです。

内湯と、露天風呂があって、その露天風呂も、湯船が3つぐらいあったか。
その他にツボ湯などもある。

露天風呂に浸かって、もうすっかり日の落ちた暗闇に目を移すと、雪がゆっくりと舞い降りてくる。
ああ、実に気持ちの良い風呂である。

今日は、客も少ないのか、風呂に入っている人数も少ない。
3、4人ぐらいかな。

温泉については、さすがにSランクのホテルだけあって、良かったです。
お風呂に入ったら、凡は、ミニボンと、スパウイングにある「遊食楽」という軽食の食べれるスペースで待ち合わせていた。

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お風呂上がりに生ビールを1杯という算段だ。
それに、ミニボンにしたって、あまり食べてないしね。

それにしても、こんなレストランというか施設は良いよね。
大きなホテルとかに泊まって、そこにメインのレストランの他に、ラーメン屋とか、そんなのがあるホテルがあるけれども、利用はしなくても、あるだけで、楽しくなっちゃうし、安心感もある。

凡は、生ビールとコロッケ、ミニボンは、高山ラーメンを食べる。
レストラン内は、他に2組ほど客がいて、壁のテレビを見ながら飲んでいる。
なんとも、この時間が、気に入ってしまったのであります。

風呂上がりの一杯に大満足して、部屋に戻る。

次の日は、集合が9時だ。
その前に、温泉に入って、朝食も頂かねばならないので、使用期限の過ぎたデパスを飲んで早めに寝た。
部屋の電気を消しても、窓の下のパーキングの雪明りで、ほんのり明るかった。

コメント

  1. yukemuri より:

    雪の高山はメチャクチャ良い感じですね
    それからホテルですが、さすがに高級ホテルだけあって部屋は広いしシックでモダンな感じですね
    ただ、凡蔵さんも言われたように食事の量がやや少なく感じますね
    きっと年配の参加者が多いからなんでしょうね
    もし量が少ないのなら別注で何か注文できるシステムだと嬉しいんですけどね
    しかしながら風呂上りに寄れる居酒屋的なお店があるのがナイスですね
    ビール飲んでも良いし、ラーメン食べても良いですしね!

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    ホテルは、良かったですよ。
    部屋も広いし、ゆっくりと出来ました。
    夕食は、少ないですよね。
    器とか、そんなのを取っ払ったら、実質の料理の量は、ほんのちょっとですよ。
    でも、ツアーの人を見ると、それはそれで、楽しんでらっしゃいました。
    追加料理があったのか、無かったのか、聞かなかったのですが、まあ、メニューも無かったし、
    ツアーの人で、単品を追加していた人もいなかったし。
    団体ツアーの醍醐味を味わうためにも、定食だけで、一旦、済ませました。
    それに、スパウイングには、別に軽食処がありましたから、これは楽しかったです。
    お風呂に入って、ちょっと一杯ができましたから。
    これがあるのと、無いのとでは、大違いですよ。
    服を着て、食事して、ハイ、終わりというのじゃなくて、
    温泉に入って、その後、ちょっと、というのがあるのがいいんですよね。

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