平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(1106)ミステリーツアーに身を委ねて。(3)

みゆきさんの妄想

1月13日(木曜日)。
ミステリーツアーは、下呂の駅で下車して、団体旅行のバスに乗り込んだ。
まずは、添乗員さんの説明が始まる。

ここで、これは良いなと思ったのは、椅子のリクライニングについての説明だ。
「リクライニング使用は、控えてください。」と言ってくれたのです。

これ重要ですよね。

凡なんか、ほら、脚が長いでしょ。
かなり長い。
だから、倒されるとね、脚がつかえちゃって。

ん?、、、、まあ、それは置いておいて、猫背だからね。
リクライニングを倒されると、目の前に前の人の背もたれがきたりしてね。

これが新幹線ののぞみとかだと、前のスペースが広いからね、気にならない。
でも、バスは、もともと狭いでしょ。

たまに温泉地に行く時にセットになっている安いバスなんかに乗った時に、「リクライニングは、後の人に気を遣ってご使用ください。」みたいな案内をする人が、人というかバス会社があるけれども、あれは、イケナイ。

あれは、バス会社の責任逃れなんだよね。
判断は座っている人まかせ。

それに、そんな案内をしても、必ず、2組ぐらいは、背もたれを倒して使っている人がいるんだよね。

自分がされたんじゃなくても、他の人がされていても、そのされている人を見ると可哀想にと思っちゃう。
前の人は、後の人の事を、どう考えているんだろうと、いつも不思議で仕方がない。

そこで、問題なのが、「リクライニング少し倒して良いですか。」と聞いてくる人だ。

この人にしてみれば、聞くことが、即ち、後の人に気を遣っているということになるのだろう。
そう聞かれたら、凡だって、「どうぞ、良いですよ。」と答えるしかないよね。
というか、誰だって、そう答えるに違いない。

でもね、こういう人に限って、自分は善人だと思っているに違いない。

一応、了承を得たから、私は、良い人なんだと、社会のルールを守る常識人なのだと。

この人が何故、リクライニングを倒すのかって言うと、自分が楽したいからだろう。
その行為で、後の人に窮屈な思いをさせることになる。
たとえ、後の人が窮屈でも、自分の楽を優先させているということに気が付かないのだろうか。

自分の楽と、後の窮屈を、天秤棒にかけて、どっちに傾くかは、無視なんだよね。

なんて、添乗員さんの一言で、色々、書いてしまいましたが、今回の乗客は、誰も、倒す人もなく、添乗員さんの言うと通りに大人しく座っていたのであります。

それにしても、今回、担当して下さった添乗員さんは、気配りも出来る人で、この人のお陰で楽しい旅をすることができたなと思う。

何より、下調べも十分されて、下手なバスガイドより分かりやすい説明をされるし、というか、ずっと喋りっぱなしなんですよね。
まあ、それで、移動の車内、退屈せずにすみました。

今回のツアーには、バスガイドさんは、同行しない。
男性の添乗員さんだけだ。

バスガイドというと、修学旅行とか、みんなバスガイドさんが、好きになっちゃんですよね。
バスガイドさんが、年配の方であっても、ちょっとした恋心を抱いてしまう。
あれは、どうしてなのだろうね。

制服というのもあるのかもしれない。
警察官や、CAさん、看護婦さん、どんな職業であっても、制服を着ただけで、憧れてしまうところがあるのだろう。

それに、まあ2泊3日だったら、その3日間、ずっと、その人の声を聞いている訳だからね、親しみを感じてしまうのかもしれないですね。

そこで、凡はひらめいた。
ということを考えると、これは、異性を落とすテクニックとしても使えるかもしれないぞと。
ナイスアイデア!

詰まりは、女性だったら、制服を着て、ずっと男性の隣に座って、話し続ける。

バスガイドの事例を参考にすると、3日間ずっと喋り続けたら、きっと、その男性は落とせるね。
制服を着た女性が、凡の隣に来て、、、、

しまった。
凡の場合、その制服だけで落とされてしまうに違いない。

いや、女性が、隣に座るだけで落ちている可能性が大だ。
見かけによらず、この凡ときたら、ウブなのである。

これは、逆も然りなのじゃないだろうか。
制服を着た男性が、3日間、横で語り続ける。

どうだろう、世の女性諸君に問いたい。
この方法で、果たして、あなたは落ちるのでしょうかと。
ねえ、ねえ、どうなの。
教えて欲しいよー。

どうして、こんなに気になるのかというと、いつか、もし、みゆきんさんと出会うことがあったなら、そのテクニックで落とせるんじゃないかということを知りたいのだ。

みゆきさんをね、そのテクニックで。

凡が、みゆきさんの隣に座る。
制服を着てね。

そうだなあ、パイロットの制服なんて、どうだ。
いや、すぐばれちゃうか。
しかし、カッコイイ制服が良いよね。

そうなると、やっぱりNASAだな。
凡は、NASAの研究員という設定だ。
んでもって、横で語るね。

女性を落とすには、恋愛論だろう。

とはいうものの、凡は、恋愛論を語るぐらい女性には詳しくない。
すぐに、ネタはつきてしまう。

まあ、そうなったら、仕方がない。
凡の好きなネタでも語るしかないか。

「あのさ、ディープステートがね、、、んでもって、9.11の黒幕がさ、、、。」

なんて、みゆきさんが聞いてくれるか、ちょっと心配だけど、語り続けるだろう。
とはいうものの、そのネタも尽きてしまう。

もう、どうしようもなくなった凡は、念仏でも唱えるしかない。
困った時の神頼みじゃない、困った時の阿弥陀さん頼みだ。

「ねえ、みゆきさん。南無阿弥陀仏、なまんだぶ、なまんだぶ、、、、。」

まあ、3日間も念仏を聞かされたら、そこまで一緒にいてくれたら、みゆきさんも落とせるのかもしれない。

「あーん。凡ちゃん。凡ちゃんのこと、なまんだぶ、なまんだぶ、好き、なまんだぶ、なまんだぶ。好きなのよー。南無阿弥陀仏。」

と、ちょっと変な精神状態になってはいるけれども、みゆきさんと恋仲になっているだろう。

みゆきさんを見ると、3日3晩、寝ずに念仏を聞かされてるので、変な興奮状態で、顔なんか、脂ぎってテカテカだ。

「みゆきさん、凡も、みゆきさんの事が好きです。」

すると、みゆきさんが、優しい笑顔で言った。
「ほへ?」(鼻から息がもれもれの、アホの声で)

いやいや、みゆきさん。
どうしたの急に、アホの声だして。

というか、1話目のアホの女さん、みゆきさんに憑依しないでくれる?

「ほへ?あたし、み・ゆ・・・あれ?うち、誰かわからへん。うち、アホなってもうた。ほへ?」

そう言いながら、みゆきさんは、人差し指で鼻くそをほじくって、それを口にくわえて食べた。
いやだから、もうアホの女のマネはしなくていいんだよ、みゆきさん。
それに、みゆきさん、鼻くそ食べたら汚いから、やめようね。

いいこと?みゆきさん。
あれは、凡の妄想の中のアホの女なの。
もう終わったの。
というか、実際にはいないの。

と、何故か、みゆきさんがアホの女になってしまいましたが、ひょっとしたら、アホの女であっても、みゆきさんなら、間違いなく可愛いに違いない。

「ほへ?」
だからもういいってばさ。
(と、何故か、しつこく、みゆきさんをアホの女にしたい凡なのでありました。ごめんなさい、みゆきさん。)

まあ、そんなことは、置いておいて、このツアーには、バスガイドさんはいなくて、男性の添乗員さんだけなのだけれど、このツアーに参加した女性陣は、果たして、添乗員さんに恋心を抱いたのだろうか。

窓の外を見ると、雪が深々と降り続いている。
こんな雪は、珍しいと言う。

さて、まずは、午前に1カ所行くと言う観光地だ。
下呂駅から、だいたい30分ぐらいバスに乗って着いた場所。

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加子母(かしも)という場所にある明治座という芝居小屋だった。
これは、予想していなかった場所だ。
またまた、予想を外しましたね。

120年まえに地元の人によって建てられた芝居小屋で、岐阜県重要有形民族文化財に指定されているそうだ。
昔から、この辺りには、農民による地歌舞伎というのが盛んだったようで、この明治座もその1つということらしい。

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入ると、時代劇で見るような畳敷きの客席が広がり、奥に舞台がある。
説明のおじさんは、久しぶりの客のようで、その説明に熱が入る。
亡くなった中村勘三郎さんは、ここで襲名披露をされたそうです。

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また、加子母のヒノキの話など、話は続く。
それが終わると、舞台裏も見せてくれる。

舞台には、回り舞台があって、その下の奈落に行ったら、天井が低いので、頭を打ってコケタ。
んでもって、すっぽんと呼ばれる穴から花道に出て、説明は終わった。

最後に、将来の改装に向けて、屋根の板の寄付(1000円)をして小屋を出る。
それにしても、ミステリーツアーの最初の観光地が、地歌舞伎の舞台とは、予想もできなかったよ。

しかし、マニアックだよね。
大阪から出てきて、有名な観光名所を差し置いて、まずは、明治座とは。

とはいうものの、こういうのがミステリーツアーなのかもしれないね。
誰も行ったことのない場所。

しかも、車を運転しない凡にして見れば、こんな場所は、凡だけじゃ来れないものね。
まずは、楽しく見学をさせていただきました。
ありがとうございました。

ということで、またバスに乗り込みまして、いよいよお楽しみの昼食であります。
何しろ、広告のコピーによると、「昼食は地元の名産にこだわったご夫婦膳に舌鼓」ということだからね。
期待していいよね。

ということで、バスが付いたのは、「舞台峠観光センター」さんという団体旅行客専用のお土産屋さん兼レストランだ。

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2階のレストランに上がると、広い会場の端っこに、ツアーの昼食が用意されていた。
凡のツアー以外の席は、誰もいない。

テーブルには、夫婦は斜めに向かい合って座るように料理がセッティングされている。
夫婦膳なので、お互いに違う種類の固形燃料で焼く鉄板料理が、それぞれ1個ずつ、2人で2種類、楽しめるようになっている。
それぞれの料理をシェアしあって食べろと言う事だろう。

1つは、鶏(けい)ちゃん焼き、そして、もう1つは、牛肉の朴葉みそ焼きだ。
どちらも、飛騨の名物料理である。
成る程、地元の名産にこだわっている。

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それにしても、この団体チックなレストランで、団体チックな料理。
楽しいじゃないか。
こういう料理は、団体ツアーに参加しないと食べれるものじゃない。

それに、ご飯も釜で炊いたものだし、鉄板料理以外にも、小鉢的な、ちょっとしたおかずもある。
まあ、牛肉の朴葉焼きには、きのこが乗っているので、ミニボンは、鶏ちゃん焼きの半分を食べただけだけどね。
とはいうものの、楽しい料理を頂きました。
ごちそうさまでした。

さて、バスに戻ったら、午後に行く、もう1カ所の観光だ。
また、さっきバスに乗り込んだ下呂駅まで引き返して、そのまま北上していった。
さて、どこに行くのだろうか。

コメント

  1. yukemuri より:

    そうなんですよね、添乗員さんがキチンとリクライニングは倒さないでって言わないとダメなんですよね
    たまに後ろの人の事を気遣って使用して下さいとか言う人いるけど、一番前の人は良いけど2番目以降は前の人にシートを倒されたら圧迫感が凄いですからね
    旅の楽しさが半減しますもんね
    それから制服に男は弱いってのも頷けますね
    自分もイチコロです(笑)
    一発目の観光が芝居小屋とは渋いですね
    自分じゃなかなかチョイスしない場所でしょうからね
    雪景色も素敵ですね
    外の雪景色を見ながらバスに揺られるだけでも旅の気分が上がりますよね
    鶏ちゃん焼きに牛の朴葉味噌やきですか
    どちらもビールに合いそうですね
    ビールだけじゃなくてご飯も進みそうだからなかなか良いランチと言えそうですね
    夜はきっと雪見の露天風呂かな?

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    今回の添乗員さんは、なかなか、気配りの出来る人で、リクライニングの事もそうだし、
    昼食の時に、食事処の人が食事の説明をしたんですが、夫婦膳ということで、ふたり別々の内容をシェアする感じの鍋だったんですが、
    食事処の人が、それを言わなかったんですね。
    そしたら、添乗員さんが、別々の鍋だと言うことが気が付かない人がいるから、それを伝えてくれとアドバイスしたり、お陰で安心して身を任せ得ていられましたよ。
    観光場所の芝居小屋は、きっと、誰に話をしても知らない場所でしょうね。
    ビックリしましたよ。
    んでもって、昼食は、団体ツアーの昼食を満喫しましたよ。
    でも、本音のところで、行く前は、もっと豪華な昼食を期待していたんですよね。
    何しろ、ちょっとお高めのツアーだったし、Sランクのホテルに泊まるツアーだったし、地元の名産にこだわったなんてコピーもあったし。
    でも、まあ、これもまた、団体ツアーの昼食は、ツアーでしか食べれないものだから、楽しかったですよ。

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