平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(602)凡凡列車。(2)

凡凡列車の1日目。
何とはなしに窓の外を流れる風景を見ている。
それも絶景という訳じゃない。
なのであるけれど見ている。
その風景に人は歩いてはいない。
あの家の中にいるのかと思う。
あの家の中で、テレビでも見ているのだろうか。
そんなことを思いながら電車に揺られていた。
12時15分、浜松着。
14分の待ち時間があるので改札あたりを歩いて見ると、立ち食いそば屋があった。
ただ、自動販売機に人が並んでいたので、時間が足りないと思って止めた。
12時29分、浜松発、島田行き。
13時14分、島田着。
13時25分、島田発、熱海行き。
15時08分、熱海着。
凡は熱海と言う駅には降りたことがない。
なので、ここで1時間ほど途中下車をしてみようと思う。
駅を出ると、観光地とは知っていたが、想像以上に人であふれかえっている。
改札の目の前には足湯があった。
そして、ホテルの送迎バスの列、その先に商店街の筋が2本見える。
しかも、この商店街の混雑ぶりが、どうにも熱海と言う観光地に来た気分になって楽しい。
何か立ち食いでもしてみようかと思ったが、まんじゅうなどは要らないし。
などと思っていると、商店街の端まで来てしまって、その道路の渡った先を見たら、「五月みどりさんのお店」があった。

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せっかくだから何か買おうか。
とはいうものの、これといって欲しい商品はない。
五月みどりさんのお店と言っても普通の雑貨や洋服が少し置いてあるだけで、五月みどりさんの関連商品は少ない。
先に入っていた年配のご婦人も手ぶらのまま店を出てきた。
店内には、五月みどりさんはいない。
それはそうなのだけれど、何となく残念のような気がする。
これが本人がいたのなら、絶対に何かは買っていただろうな。
駅まで戻ってきたので、凡も、足湯に足をつけてみる。

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細長い長方形の足湯には、隙間がないぐらい人がいたが、何とか凡1人は、その足湯の板に座ることができた。
湯につけた足を見つめる。
普段より白く見える凡の足の左の人差し指の爪が内出血のような変色をしているのが気になる。
なかなか治らない。
足湯をしているのは総じて若い人である。
凡の右斜め前に高校生ぐらいの女の子が4人で、足をパシャパシャ動かしている。
楽しそうである。
そのパシャパシャのお湯の波紋が凡の方に伝わってきて凡の足に当たった。
ドキリとする。
このドキリは何なんだ。
同じ湯船に足をつけてパシャパシャ。
そして、その波にドキリ。
同じ湯船。
、、、、まるで混浴じゃないか。
詰まりは、今この瞬間に凡は女子高生と混浴をしてると解釈しても、それは正常範囲内の解釈だ。
「きゃ、今、お湯かかったよ。」
女子高生が言った。
「えい、お返しーっ。」と続ける。
女子高生が凡にお湯を仕返しにかけたのだ。
「やめろよー。こら、えい、これでどうだ。パシャパシャ。」
「いやだーあ。今の方が多いいーっ。」
「きゃぴ、きゃぴ。」
「きゃぴ、きゃぴ。」
「あははは。」
「あははは。」
「あはははははは、、、、。」
「あはははははは、、、、。」
妄想であっても楽しい。
これが温泉地というものである。
横からパシャパシャの波が来る。
「あはははははは、、、、。」
見ると毛の濃い男の子だ。
毛の濃い男の子のパシャパシャに笑う必要なない。
女子高生と混浴の妄想が消えてしまった。
サヨウナラ、一瞬の淡い恋のキラメキ。
仕方なく、毛の濃い男の子にパシャパシャされた足を拭いて、駅に戻ることにした。
駅のホームに立ち食いそばがあった。
食べてみよう。

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メニューは至って普通である。
ただ、大阪では見ないそばがあった。
肉そばである。
大阪にも肉そばはあるけれども牛肉を使う。
この熱海の肉そばは豚肉だ。
これにしよう。
商売っ気のないというか、元気のない店員から受け取った肉そばは、あまい汁で、豚肉がややキシキシした感じで面白くなく、凡的には大阪の牛肉の方が好みである。
しかし、駅そばというものは、こんなものである。
駅そばは、美味くてはいけない。
さて、また電車に揺られて東京へ向かうことにしよう。
熱海16時07分発の快速に乗る。
何となく夕暮れを感じさせる空具合を見ながら揺られて、上野駅17時50分ごろに到着したときは、すっかり日も暮れていた。
お昼のいつ頃だったか、電車の中でアイフォンの楽天トラベルのアプリでホテルを予約していた。
明日は、さらに北へ向かうのでホテルは上野にしたのだ。
上野駅に着いたら、やっぱり何とも切ない構内でゆっくり歩き回ってみたかったのですが、荷物もあるので改札を出た。
上野駅から歩いて10分ぐらいだろうか。
今日の宿は、「Hotel Guest 1」さんである。

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6時20分ごろ、チェックイン。
1泊2日、朝食付きで、税込み5900円。
建物はモダンな感じで、宿泊階のエレベータを出ると寒い。
どうしてだろうと思って見渡すと、真ん中が吹き抜けになっていて、更に通路の突き当りが壁ではなくて、外とツウツウになっているのである。
詰まり、外気がそのまま宿泊する階の通路に吹き込んできて寒いのである。
とはいうものの、考え方によったら新鮮な空気が吸えるとも考えられるので、凡は嫌じゃない。

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(通路の端っこが外とツウツウだ。)
部屋に入ると、室内もモダンな感じで、バストイレは普通のビジネスホテルという感じだ。
ベッドも十分広く、全体的に機能的である。
朝食もついて税込み5800円なら、ここが東京であることを考えたら大正解だと言える。

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ただ、チェックインの時に、「アップグレードしておきました。」と言ってくれたのですが、どこがアップグレードなのか、もし本来の部屋ならどうだったのかと考えてしまう。
たまにビジネスホテルで、この「アップグレードしておきました。」を言わることがあるのですが、ほとんどの場合どういう風にアップグレードしてくれたのかを言われることがない。
ただアップグレードだって言われても、それはそこのホテルの中での基準であって、そのアップグレードされたものが、お隣のホテルと比較したらダウングレードの部屋だったなんてこともあるわけで。
出来ることなら、どんなアップグレードなのかを教えてほしいと考えるのは、社交辞令の「お綺麗ですね。」という言葉に対して、「どこが?どいう風に綺麗なの?」と聞いているようなものなのだろうか。
例えば、ベッドの幅が30センチほど広いものにアップグレードしておきましたとか、部屋が4平米ほど広い部屋にアップグレードしておきましたとか言ってもらえれば嬉しいだけれどなあ。
凡が夕食を食べにいこうとロビーに出た時に、その時にチェックインしていたビジネスマンも、フロントのお姉さんに「アップグレードしておきました。」と言われていたのですけれど、でもまあ良かったですよね、アップグレードなんだから。
7時15分ぐらいに夕食のためにホテルを出た。
とりあえずはホテルの周りを1周してみる。
この辺りはいい。
本場の方がやっておられる焼き肉のお店などが多くて、上野の裏という寂れた雰囲気も漂っていて、凡はこんな雰囲気は大好きだ。
それから、アメ横の方にもブラブラと歩いて行って、夜の東京を楽しむ。
やっぱり東京はいい。
好きだ。
東京と十把ひとからげに言ってしまっては、元も子もないのでありますが、兎に角、凡は東京が好きなんです。
どの店がいいのか分からないが、今日は沢山飲むという気分じゃない。
というか、気分はあるのだけれど、明日の出発を考えたら早めに切り上げたいのである。
賑やかなあたりの小さな焼き鳥屋「やきとん酒場・とら八」さんに入ってみることにした。
狭いカウンターに座っていると常連の客も入ってきて、それにどっかからの流れのお客さんも4人組ぐらいが入ってきたり、席は8割がた埋まった。

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名物という「にこみ豆腐」は、鍋でずっと煮続けているはずなのに、アツアツではなかった。
たぶん器が分厚いので冷めたんじゃないのかな。
とはいうものの、焼き鳥は焦げ目も香りが良く、美味しかったです。
ビール2杯と緑茶割り1杯で店を出る。
3605円だったかな。
それから、まだ何かご飯系が欲しいので探したのですが、どうにも中途半端で、結局は店じまい前のケバブ屋さんのベンチで辛いのを食べてホテルに戻ったのであります。

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9時45分ごろホテルへ帰る。
シャワーをして、12時過ぎにベッドに入ったのですが寝付けず、仕方なく明日の予定を考えていたら4時を回ってしまった。
もう目がさえて寝ることができない。
アイフォンを取り出して、みゆきさんを聴く。
結局、朝まで一睡もできなかった。
次の日の朝、シャワーをして出発の用意をする。
今日は上野発6時49分の電車に乗る予定である。
着替えをして荷物を持って降りて先にチェックアウト。
6時30分から1階で朝食が提供されるのですが、待っている凡を見て4分ほど早く開けてくれた。
ホテルのスタッフも、朝食担当の人も、すごく気さくで嬉しくなった。
急いでプレートにパンとおかずを乗っけて食べる。
さあ、急ごう!と思ったのだけれど、このクロワッサンが焼きたてでサクサクで、どうにも美味しかったので、時間はないのだけれど、クロワッサンだけもう1つ取ってきて食べた。
あのクロワッサンは、また食べたいなあ。
ホテルのスタッフに朝食のお礼を言って急いで上野駅に向かった。
小雨が降っている。

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sansanpopo@tairabonzou.jp
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コメント

  1. ゆけむり より:

    凡蔵さん、こんな風な旅に憧れます
    一昨年だったかな?
    1人で福岡に行き、そこから高速船で釜山に行くつもりでした
    でも船が欠航になり、門司&下関に行った時なんだか妙に興奮した事を思い出しました
    寝られなくなる気持ち分かります
    嬉しくて目が冴えちゃう、明日への期待と不安でね・・・

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    プサンへ船で行くというのは、私もあこがれます。
    考えてみたら福岡と韓国のプサンって近いんですよね。
    大阪にいると、気が付かないんですけれど。
    でも、行けるときに行かなくちゃとも思うんですが、なかなか。
    日韓共同きっぷでソウルなんてことも夢見てたのですが、今はもう発売が終了してしまいました。
    そんな時に、思いっきりが足りないなと思ってしまいます。
    それに比べて、ゆけむりさんの思いっきりの良さには、いつも憧れます。

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