2月9日の中島みゆきさんのコンサート一会が終わった。
一会は明日もあるのですが、凡にとっては今日で最後の一会だ。
寂しくて、そして寂しくて。
そんな気持ちで、最後の出待ちの場所に行く。
その途中に、有楽町の駅の高架下に、以前から気になる立ち喰いの店があった。
そばやうどん、ラーメンもあっただろうか。
凡は、その中でカレーライスがあるのを覚えていて、1度食べてみたいと思っていたのである。
今から、出待ちだけれど、まだ20分は余裕がある。
これは食べてみよう。
今回は、何かを悩んでいる間に機を逸してしまうということも多かった。
それで少々ツイテナイということになっていた訳だ。
ということで、今回は躊躇わずに入って、カレーライスを注文。
思ったよりカレーのルーも量が掛かっていて、味も昔風。
想像通りのカレーだった。
多少、急いで食べたので今となってはハッキリとは味は覚えてないが、満足したことだけは覚えている。
さて、これからだ。
これから、最後のみゆきさんに会えるのである。
というか、出待ちをするのである。
今回も、またみんなが徐々に集まって来る。
そして、待つ。
そんでもって、待つ。
更に、待つ。
なのだけれど、中々みゆきさんは出てこない。
今回の一会では、凡が参加した回は、早くて10時、遅くて10時30分ぐらいだった。
今、時計を見ると、その時間は過ぎている。
待っている間に時計を気にしていた女の子は、遂に諦めて帰って行った。
終電に間に合わないのだろう。
それでも、みんな不満を言う訳でもなく、待っている。
凡の横にミラーがあって、それを挟んで隣にいた女性は無言で動くことなく待っている。
これはある意味修行なのか、或いは自分探しの巡礼の旅なのか。
みゆきさんへの愛を、いつまでも無言で待つという行為で証明しようとしているようにも見えるのである。
その他の人も、小声で喋る人はいるけれども、一体に静かである。
そして、待つ。
また、待つ。
それにしても、今回は遅いですね。
凡はホテルを予約しているので、それはいい。
そこで、凡はふとあることを想像した。
コンサートの最後の「ジョークにしないか」だ。
ずっと上手く行っていて、最後の最後に歌うタイミングがズレた。
あれのせいじゃないだろうか。
詰まりは、みゆきさんは、それが許せなかったんだ。
昨日と今日は、ビデオカメラが入っていた。
しかも、昨日より今日の方が、素人の凡が見ても出来はいい。
その出来の良い今日の最後に間違ってしまった。
凡がもしDVDの製作者だったら、敢えてその間違ったやつを使うね。
みゆきさんのファンもそれを期待する人もいるのではないだろうか。
その失敗が可愛いのである。
愛おしいのである。
でも、みゆきさんは、凡が想像するに完璧主義者だろう。
そんな気がする。
だったら、コンサートが終わって、そこの最後の部分だけ、観客なしで撮り直しをすると考えるのは、みゆきさんらしいのかも知れない。
今までのDVDは、トークなどはカットされていて、しかも2日間撮って良いとこ取りをしているし、歌と歌の間は、暗転させて1曲1曲独立させている。
そんな編集の仕方なら、撮り直しもおかしくない。
そう想像すると、今、この待っている時間も納得できるのである。
もし、そうなら、みゆきさん、どうぞ、みゆきさんの納得のいくまでやってください。
凡も、そして、ここにいるみんなも待っています。
そんなことを考えながら、待っていたら、22時57分ぐらいに出口から、みゆきさんのタクシーが出てきたのである。
みんなが待っているのを見て、笑顔で手を振った。
一瞬だけれど、とてつもなく美しかった。
そして、左折して車道に入る時に、揺れたのか、みゆきさんが半分開いた窓に手をかけていた。
窓のガラスを持つみゆきさんの白い指。
その指だけが、凡の心にいつまでも白く優しく残映として残っていた。
帰り際に、中年の女性が、指だけが見えたと言っていた。
見ると寒さで鼻の頭が赤くなっている。
どうにも、こんな女性にもみゆきさんは感動を分け与えているのだと思うと、みゆきさんの素晴らしさを再確認すると同時に、また凡の力なさを感じてしまう。
でも、兎に角だ。
兎に角は、凡はみゆきさんに恋をしている訳で、これは劣等感なんて置いておいて、大らかにみゆきさんに愛を叫ばなければいけないのであります。
さて、もうこの時点で11時である。
なので、そのまま渋谷まで移動した。
そして、今夜こそは東京的なお店でご飯を食べようと思って歩き出した。
歩き出したが、どうも良い店がない。
無いというよりは、見つけられないのと、あってもしっくりこない。
ワインのお店を見つけて、さて入ろうかと思ったら、入り口から音楽がガンガン流れてきた。
凡は、みゆきさんのコンサートを見た後は、他の人の音楽を聴きたくない。
なので、入り口まで来たけれど引き返して、ホテルの方へ向かって歩いていたら、なんのこっちゃない、昨日と同じ状態で、ホテルに一旦荷物をおいて、なんのこっちゃない昨日の同じバーミヤンに入って食べることにした。
ただ、昨夜はいささか飲みすぎたので、紹興酒のデキャンタは止めて、ビールと紹興酒のグラスにした。
それにしても、今回バーミヤンを馬鹿にしていたけれども、中々良い店であることを発見して、それはそれで、面白かったのではある。
25時16分ごろホテルに戻る。
ああ、もう終わってしまったんだな。
そして、凡の我儘はまだまだであることを感じたのと、その我儘を許してくれているミニボンに改めて、ありがとうなのであります。
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