平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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そうだ、ソウルへ行こう!(188)台湾慕情。高雄の啓明堂。

「どーん。」
大阪人は擬態語や擬音語が好きである。
「玉ねぎをトントントーンって切ってな、フライパンに油をジャーって入れて、肉と玉ねぎをバーンて放り込むんですわ。ほんでチャーって炒めたら、醤油をジューって、周りからやで、フライパンの周りからジューってやるんですわ。」
大阪人だけが見る料理番組があったら、こんな感じになるだろう。
更に、年配の大阪人になると「バーンて放り込む」の「放り込む」さえも省略してしまう。
「肉と玉ねぎをバーンてな。」というような具合だ。
大阪人の凡が、「啓明堂」を見た瞬間の感想。
「どーん。」
中華風の宮殿建築の、その建物は、巨大な塊となって、どっしりと微動だにしない存在感を発していた。

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正面には全面階段になっていて、その中央部は、故宮や伝統的な建築物にあるような彫刻が施してある。
その左の部分を上がっていくと受付があり、その奥は祭壇になっていて、神様の像が祭られている。
台湾のお寺は、仏教と道教の仏様と神様が一緒に祭られているものも多い。
ここも正面は、たぶん三国志に登場する関羽ではないかと推測。
凡が神様の像などを見ていたら、ミニボンが線香を持って戻ってきた。
折角だから、お参りをしようというのである。
線香に火を点けようと、火の付いた蝋燭を探しても、日本のように蝋燭を差しているところがない。
ウロウロしながら、受付で聞くと受付の近くに線香に火を点ける為だけの装置があった。

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壺のような形をした装置にガスコンロのようなコックが付いていて、これを捻るとガスの火が点く。
お参りの仕方は、受付近くの柱に書いてあった。
それを見ようとしたら、さっきの受付のお姉さんが出てきて。
こっちだと案内してくれた。
日本だったら、線香に火を点けたら、直接神様のところに行ってお参りをするだろう。
でも、台湾では先に天の神様にお祈りをする。
正面の神様のところではなく、階段を上ったところにある香炉の前で、外側を向いて立った。
するとお姉さんが凡に向かって中国語で何か言っている。
たぶん自分の名前と住所を神様に言えということだろうと推測。
この辺のところは、本で読んだことがあったので、名前と住所を心の中で言って、線香を持って三度お辞儀をした。
するとお姉さんは、何やら静かな声で天の神様に向かってお祈りをしだしたのであります。
「あれもムニャムニャ、これもムニャムニャ、ポンポンピー。」
何と、お参りの仕方を知らない凡に代わってお参りをしてくれているのだ。
それも、一所懸命お祈りをしてくれている。
お祈りが終わると線香を1本香炉に差した。
そして、次は中の神様の前に連れて行かれる。
台湾のお寺などには、神様に向かってお祈りをするときに、ひざまずく台が置いてある。
神様の前に連れてこられると、お姉さんが、「さあ。」という感じで何かを凡に促すのであります。
「えっ、どうしたらいいの。」
解らないまま、線香を額まで持ち上げて三度お辞儀をして、その台に膝をつけてひざまずいた。
そうすると、またお姉さんが神様に向かって、またお祈りを始めた。
「あれもムニャムニャ、これもムニャムニャ、ポンポンビー。」
そのお祈りを聞いていると、これはお経ではないようだ。
そして、真言や呪文のようでもない。
何か、神様に語りかけているような口調なのであります。
「えー、神様神様。ここにいる者は、台湾語が話せないので、私が代わって申し上げます。
えー、どうかこの二人が健康ありますように。
そして、金運もよろしくお願いいたします。
いやいや、そんな大金でなくてもいいんです。見たところ、そんなお金を持っているようには見えへんし、ちょっとだけでも、喜びますよって。週末にちょっと美味しいもんを食べられるぐらい、ちょっと、ほんのちょっとでいいんで、金運も上手い事やったってくださいまし。」
なんて感じだろうか、神様にじっくりと語りかけているという様子なのです。
「ありがとう。」
お祈りをしている間も、そんな気持ちが湧き上がってくる。
神様にお願いしていることよりも、お姉さんが知らない凡のために、真剣にお祈りをしてくれていることが嬉しかった。
お祈りが終わると、また三度お辞儀をした。
「お姉さん、ありがとう。」と言おうとしたら、右の方に促された。
なるほど、右にも神様がいらっしゃる。
また、三度お辞儀をして、ひざまずいて、お祈りをして、三度お辞儀をした。
すると、また左の神様に促される。
またまた、三度お辞儀をして、ひざまずいて、お祈り押して、三度お辞儀をした。
台湾で、本格的にお参りをしたぞ。
長かったが、何か得をした気分になった。
それにしても、このお姉さんが一所懸命お祈りをしてくれたことに、感謝したい。
「ありがとう。謝謝!」
お礼を言って、帰ろうとしたら、凡とミニボンにバッグをこちらに渡せというジェスチャーをした。
というか、ジェスチャーと同時に凡とミニボンのバッグと傘を取り上げた。
そして、受付の入り口の近くにポンと置いたのであります。
「え?どういうこと。」
今、お祈りが終わったのに、どういうことだろう。
しかも、バッグには財布も入っている。
どうしたものかと思っていると、お姉さんが階段を下りるように促した。

コメント

  1. とっちゃん より:

    台湾のお姉ちゃんは親切だなぁ~
    なんて思って読んでいましたが、財布の入ったバッグはこの後どうなったんでしょうか???
    ところで少しは金運アップしましたか?
    きっとアップしたんでしょうね~

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、とっちゃん。
    本当に親切で、バッグを預かってくれたようです。
    ちゃんと帰りに返してくれましたよ。
    金運がアップしたかなと思って、帰国してからロト6を買いましたが、ハズレました。
    やっぱり、ほんのちょっとだけ金運がアップしたのかな。

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