平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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そうだ、ソウルへ行こう!(109)

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空港行きのリムジンバスに乗り込んだ凡は、睡眠不足でぼんやりとなりながらも、信号などでバスのスピードが速くなったり遅くなったりする度に、一喜一憂しておりました。
心配性も大変です。
そんな心配も不要で、時間通りにリムジンは関西国際空港に到着したのでありました。
ふう、もう既に気合が入りすぎて疲れ気味です。
さて、早速アシアナのカウンターでチェックインをしないといけません。
時間には余裕を持って出かけましたが、予約を入れた時点で席が隣になるかどうか分からなかったので、早めにチェックインしたほうが良さそうです。
カウンターに行くと、まだカウンター自体開いていませんでした。
チェックインの順番を待つことにしよう。
凡の前には10人弱ぐらいの人が既に並んでいます。
カウンターを見るとエコノミーと書かれたカウンターがずらっと並ぶその右端に「ビジネス」の輝く文字が見えます。
よしこのカウンターだな。
しばらくするとカウンターに係員が座って、さあチェックイン開始であります。
前に並んでいる人たちは皆さんエコノミーと書かれたカウンターに歩いていきました。
しかし、凡はビジネス。
凡だけビジネスと書かれたカウンターにゆっくりと歩いていきました。
えっへん。おっほん。
勝利を掴んだライオンのように威風堂々と歩いて行ったのであります。
そしたら、何と、隣のエコノミーのカウンターのお姉さんが呼ぶではありませんか。
「あ、お客様こちらへどうぞ。」
「え、私はビジ、ビジ、ビジネス、、、あ、はい。」
仕方なく促されるままにエコノミーと書かれたカウンターに方向転換させられたのであります。
そんなあ。折角のビジネスやのに、エコノミーのカウンターやなんて。
もう、今の凡は向日葵の種を取り上げられたハムスターであります。
カウンターの前でちょこんと立っておりました。
ちゃんと、ビジネスって判るんやろうか。
心配でなりません。
凡はカウンターの中を覗き込んでその様子を伺っておりました。
しかし、凡のそんな心配は無用だったようです。
ビジネスクラスと書かれたタグを荷物に貼ってもらいました。

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良かったこれで一安心だ。
安心してカウンターを見ると、係りの女性はかなりの美人だ。
しまった。
凡として恥ずかしい。
こんな綺麗な女性が目の前にいるのにビジネスが心配で気がつかなかったとは。
カウンターの女性は綺麗な上に高貴な気品を備えている。
そんな彼女にはワルツが似合う。
「お嬢さん、お手をどうぞ。」
「え、うちワルツなんか踊れません。」大阪弁だ。
ズンタッタ、ズンタッタ。
「ご心配なく、この私がエスコートしますよ。」
ズンタッタ、ズンタッタ。
「素敵。こんな優しくて頼りがいのある人は始めて。さすがビジネスクラスのお客様。」
ズンタッタ、ズンタッタ。
「お嬢さん、お上手ですよ。」
ズンタッタ、ズンタッタ。
「ありがとう、うち、お兄ちゃんって呼んでいい?」
ズンタッタ、ズンタッタ。
恋人のつもりでいたが、お兄ちゃんも悪くない。
「妹よ、好きな人が出来たら真っ先にお兄ちゃんに報告するんだぞ。」
「お兄ちゃんの馬鹿、そんなんいてへん。」
「ああ、妹よ。」
「ああ、お兄ちゃん。」
ズンタッタ、ズンタッタ。
、、、、、、、、。
「お客様、お待たせいたしました。」
しまったまた妄想に耽ってしまったようだ。
こんなことをしてはいられない、何しろ初めてのビジネスクラス。
乗り遅れたら大変だ。
それじゃ、今からソウルへ行ってきます。
ありがとう、妹よ。

コメント

  1. とっちゃん より:

    これから羨望の的、デラックスに搭乗する嬉しさが非常に良く伝わってきますね~
    なんだか乗らない自分までドキドキしてきますね~

  2. 凡蔵。 より:

    とっちゃんさん。
    ありがとうございます。
    私にとってデラックスに乗ることは一大イベントなんですよ。それでなくても嬉しいのに、デラックスだから尚更であります。

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