平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(1115)青春18きっぷの旅なのに、私鉄がメインの旅なのね。(1)

みゆきさんの妄想

3月からまた、青春18きっぷの期間が始まる。
3日(木曜日)、4日(金曜日)と連休があったので、そこで、何処かへ行くことにした。

とはいうものの、どこへ行くか、これまた迷ってしまうのが、青春18きっぷな訳でありまして、1泊で行けるところとなると、ある程度、地域が限定されてきて、行ったことがある場所ということになってしまう。
今回も、当日の京阪電車に乗っている間さえも、どこへ行こうかと悩んでいた。

あれは何だったのだろうか、テレビなのか、駅のチラシなのかで見たことのある言葉が浮かんできた。
「小京都」という言葉だ。

全国各地に、小京都という言葉の付く地域がいくつもある。
そうだ、小京都に行く旅というのも良いかもしれないなと思った。

しかしながら、冷静に考えて見ると、凡は、小京都という言葉に、あまり惹かれるものを感じない。
何故なら、近くに本物の京都があるからだ。
何も別に、わざわざ、遠くにある似非京都を見に行く理由もないではないかと思ってしまうのだ。

それにしても、どうして日本人は、小京都が好きなんだろうかね。
というようなことを言う凡も、地方に行って、夜の街で、「〇〇銀座」なんて看板を見つけると嬉しくなってしまうのではありますが。

とはいうものの、日本人が好きな小京都なら、全国から観光客も来ているはずだから、ひょっとしたら楽しいのかもしれない。

と思って、小京都を調べたら、かなりの数が存在することを知ったが、どこもこれから行くには中途半端な距離だったりするのだけれど、ちょっと惹かれたのが、山陰の倉吉市だ。
まだ、行ったことが、たぶん無いし、山陰本線に乗るのも楽しそうである。

小京都と言うからには、古い町並みが、まだ残っているのだろう。
んでもって、小京都だから、舞子さんに似た「小舞子」さんなんているのかもしれない。

「あーら、凡ちゃん。大阪から来てくれはったんどすか~。」なんて話が弾んでね。
「うち、今日、お休みやよって、倉吉の街、案内してさしあげますえ。」なんてね。
そんな展開もあるかもだ。

んでもって、小舞子さんと凡は、手を繋いで倉吉の街をデートするね。
そして、ふたりの愛は急速に深まっていく。

「うち、凡ちゃんを大阪に帰えしとうあらしまへん。」
「ごめん、みゆきさん(突然だが、小舞子さんの名前だ)、凡は、やっぱり大阪へ帰らなきゃいけない。」

明日は別れることを知りつつ、悲しい倉吉のあだなさけ。
次の日、凡とみゆきさんは、倉吉のホームにいた。

「ねえ、凡ちゃん、寒くない?」
「いや、別に。」

「嘘や、そんなん、絶対に寒いに決まってるわ。うち、温かいコーヒー、こさえてん。そやから、飲んで。」
と、赤いチェックのポットから、コーヒーを注いで、凡の口に持って来た。

「どうしたん、唐突に、コーヒーなんて。別に、今、コーヒーは、いらんけどなあ。」
「いややん。折角、あたしが淹れてんもん、飲んで行ってよ。うちのラブ入ってるから。」

「まあ、別に要らんけど、なんやよう分からんけど、まあ、もろとくわ。」
と、凡は、意味も分からず、みゆきさんのコーヒーを、ひと口飲んだ。
「うっ、喉が熱い。ああ、息が苦しいよ。どうしたんだろう。」

「ごめん、うち、凡ちゃんを大阪に帰したくなかったから、コーヒーに毒入れてん。」
「どうして、そんなことを。」

「そやから、ここで、凡ちゃんと無理心中しようと思ってん。心配せんといて、うちも後から追いかけるから、凡ちゃん、涅槃で待っててね。うち、毒入れて、ごめんね。」
涅槃で待つって、昔むかし、どっかで聞いた言葉だなあ。

「毒、、、、。」
「そう、毒。解る? ♪♪ SWEET POISON SWEET POISON 夢を見せてあげる~~ ♪♪(中島みゆきさん 女という商売)」

「いや、みゆきさん、今は、そんな歌は、どうでもいい。それに、腰振って踊らなくてもええ。それより、凡、死ぬんだね。」
「ええ、死ぬわ。」

と、そこへ、みゆきさんの携帯が鳴った。
「あ、タクミ?うん、うん、新しいスイーツのお店?うん、行く、行く。ちょっと待っててね~。うん、すんごーい、楽しみ。」

「ち、ちょっと、みゆきさん。凡はどうなるの?」
「あ、ごめん、ちょっと、急な仕事が入っちゃって。え?涅槃?うん、また、行けたら行くわ。ほな、凡ちゃん、元気でね。」

と、みゆきさんは、スキップをしながら、駅を出て行った。
「そんなあ、毒、飲まされて、元気な訳ないやん。」
、、、、ガクリ。

凡蔵、倉吉の駅のホームで死す。

っていうか、小舞子の名前だけがみゆきさんの妄想であっても、最後には、失恋してしまうのね。
まあ、駅で死ねるなら、そして、名前だけでもみゆきさんに殺されるなら、本望なのかもしれない。

というか、小京都の旅を考えている途中だった、そして、山陰の倉吉という街を候補に考えていた。
そこで、アイフォンで、時間的なものを検討したら、ちょっと難しいという結論に達した。

それなら、高知はどうだ、いや、山口はどうだとか、考えてみるも、今はまだ、マンボウの時期なので、ビールを飲む時間帯にホテルに着こうと考えたら、候補に挙げたところは、どこも無理だ。

と、そんなことを考えているのだけれど、7時過ぎに家を出た凡は、既に、京阪電車で京橋に移動して、そこで、青春18きっぷに入鋏してもらい、大阪駅に着こうとしていた。
もう仕方が無いので、静岡辺りに向かって移動しようと決めた。
理由は無い。
大阪駅で立ち止まっていることも出来ないからだ。

大阪駅から新快速で、米原まで移動。
米原 → 大垣 → 豊橋と、乗り継いできた。

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ちょうど、時分時なので、ランチでもしようかと思う。
豊橋と言えば、カレーうどんなのだけれど、駅前を、グルグルと歩き回ったら、前に入ろうとして入れなかったお店を思い出した。

店の前まで来たら、ショウウインドウのシャッターが半分閉まっている。
休みなのかと思ったら、営業中の看板が掛かっていたので、入店。
平和食堂さん。

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ここは、普通の定食屋で、客は、年配の男性ばかり。
地域的には、豚汁が有名だけど、魚のフライの定食を注文した。

まずは、お姉さんが、お茶を、シュウ酸のやかんから、注いでくれた。
ひと口飲んだら、ぬるくて、ほとんど、味も匂いもしない、ただ、軽い渋みが感じられるだけの、黄色いお湯のようなお茶だ。
詰まり、安い粉茶に、何度もお湯を注ぎ足した出がらしのお茶である。

「うん、うまい。」
そう思った。

いや、定食屋のお茶は、こうあってしかるべきものなのだ。
これが、旨味や渋みのバランスのとれた、一般的に美味しいとされるお茶が出来て来たなら、これから食べる定食が、重たくなってしまう。

あくまでも、ここでは、定食がメインで、お茶は、お冷やより、若干、おもてなしのこころの籠った飲み物という位置付けであるべきなんだ。
だから、美味すぎちゃいけない。

いやなに、これは、お茶の知識が無くて言っている訳じゃない。
一応、凡も、日本茶インストラクターを持っているので、お茶の知識は持っているつもりだ。

というか、この日本茶インストラクターの教えるお茶は、美味いお茶を淹れるということを前提にしているので、凡は、あまり好きじゃない。

大切なのは、どういうお茶が好きで、そのお茶は、どうやったら、そう言う風に淹れられるのかということを知っているということだ。

ということで、美味しいお茶で、ホッとしたところで、魚フライ定食が来た。
魚が2枚に、味噌汁とご飯。
そのご飯の量が、結構、多い。
普通のお店で大盛りを注文したよりも、或いは、しっかり量があるかもしれない。
なので、魚のフライを、1口齧って食べる間に、ご飯は、3口か4口ぐらい食べなきゃ、追いつかない。

もともと、定食とは、こういうものだったねと、懐かしく感じた。
米粒がメインで、おかずはサブ。

それにしても、最近の大阪のシャレタ食堂などで出される定食のご飯の量は、少なすぎはしないだろうか。

先日も、難波で映画を見ようと思って、そのまえに腹ごしらえと、オシャレな鯖のお店に入って、塩サバの定食を食べた。

すると、塩サバというご飯の進むおかずに、お茶碗に半分ぐらいしかご飯が装われていない。
可愛い女の子のスタッフさんは、ご飯は、お替わり自由ですよとは言ってくれたけれども、そうそうお替りをするわけにもいかない。

だって、可愛い女の子のスタッフだものね。
恥ずかしいじゃない。

あれは、女子だけを対象にしたお店だったのだろうか。

いや、それ以外のお店でも、梅田や難波などの繁華街の定食のご飯の量は、少なすぎる気がする。

そんな中で、たまに、女の子が、大盛りのご飯を、パクパクと食べているのを見かけると、何とも、良いなあと思ってしまう。
女の子のご飯の大盛りは、可愛いよね。

そういえば、昔、仕事で、1ヶ月ほど、ある工場に通わなきゃいけなくなった時に、お昼ごはんに出して頂いた弁当は、こんなだった。
というか、お弁当箱に、ご飯がびっちり入れられていて、その上に串カツが1本乗っけられただけのものだった。
あれ?おかず、入れ忘れたの?みたいな。
でも、田舎のお弁当は、そんなだった。
米粒を食べるもの。
でも、それを夢中になって食べたのを思い出した。

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さて、魚のフライは、どうかというと、非常に美味しい。
とはいうものの、なんて、凡はバカなのだろうかと悲しくなってくる。
この魚は、一体、何なのだろうかと、考えても分からなかったからだ。
形的には、アジのフライだ。
それにしか見えない。

でも、青魚特有の香りもしないし、脂も感じない。
身は、至って白く軽い。
それなら、キスなのかとも思う。
とはいうものの、こんな大きなキスはいるのだろうか。

それに、シッポの部分が、アジのように見えるし、キスのシッポは、もっと儚げであるのではなかったか。
とはいうものの、魚のフライ自体は、兎に角、美味しくて、ご飯が進む。

ここで、普通なら、お姉さんに聞くところだけれど、質問があまりにも、簡単すぎるというか、幼稚すぎるので、聞くのを躊躇ってしまう。
なので、結局、聞かずに食べてしまった。
それにしても、無知な凡にガッカリだ。

「ねえ、今日のお昼に、何食べたの?」
なんて、みゆきさんに聞かれても、「うん、魚のフライ。」としか答えられない。

「ねえ、何の魚だったの?」なんて聞かれても、「うん、魚。」としか答えられないじゃない。
子供の会話だよね。

とはいうものの、魚のフライ定食は、どうにも、美味しい料理でございました。
550円。
たぶん、アジだったんだろうなあ。

お会計をするときに、なんで、シャッター閉まっているのと聞いたら、故障してると言った。
「なんだ、ワザと、シャッター閉めてるのかと思った。」と言ったら、「ワザとだったら、面白いね。」とお姉さんが返してくれた。

定食屋の看板お姉さんは、やっぱり、こんな気さくな人が良いですね。
どうも、ごちそうさまでした。

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さて、豊橋で、ランチに1時間ぐらいと思っていたのですが、駅の近くに、精文館書店という本屋があったので入ってみたら、なかなか、個性のある品揃えで、通路も広く、ついつい、書架の本の背表紙を順番に見てしまっている。

休日に、ゆっくりと本を探すのには、最高の本屋のような気がするな。

でも、目的もアテも無い旅だけど、何しろ、どこかしらない街に5時ぐらいには着かないとね。
あとのビールが飲めなくなってしまう。

なので、そろそろ移動しようと思って、精文館書店を出たら、向かいにブックオフがあったので、またもや、入ってみたが、やっぱり先に進もうと、すぐに店を出て、駅に向かった。

そこで、あるお店を思い出した。
今まで、何度かお店の前まで来たことがあるが、その時に開いていることが無かったお店。
まだ、ラーメンぐらいなら胃に入るだろう。
本屋は、すぐに出たのに、ラーメン屋に寄るなんて、矛盾しているが、仕方がない。

ということで、そのラーメン屋さんに行ってみたら、果たして、今回は、マンボウで、6日までだったかな、閉まっていた。
残念。

ラーメン、中華のお店のようだけど、どんなお店なんだろう。
中華のみゆきさん。
1度入ってみたいですね。

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(入ってみたい理由は、やっぱり名前なのね。)

さて、豊橋駅に戻って、更に、東に向かって進む。
そして、楽天トラベルで、今日のホテルを予約した。
今日は、静岡に泊まろう。
静岡パークホテル。
1泊2日、税込み、3300円。

そして、4時過ぎに、静岡駅に着。
静岡は、随分前に、みゆきさんの東京の公演に参加するのに、途中下車した駅だから、どうにも懐かしい。
さて、今日は、素敵な出会いはあるのでしょうか。

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コメント

  1. yukemuri より:

    倉吉に行ったのかと思いきや、よく読んだら豊橋方面に行かれたんですね
    と思ったら更に静岡に突撃されましたね
    青春18きっぷなのに、JRでなく私鉄が多かったんですか?
    それもまた凡蔵さんらしいですね
    それからお店のシャッターの件ですが、こんな風に返してくれるお姉さんって良いですよね
    ただ「壊れているから」だけじゃつまらないし、ちょっとした会話が旅ならではで凄く楽しいんですよね
    旅先で出会った人との会話は、旅のエッセンスだと思っていますから、それが短い会話でも楽しいと旅自体が更に楽しくなりますよね
    あ~、自分もどこかに行きたいですよ~~~

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    倉吉は、ちょっと時間的に無理かなと思って諦めました。
    静岡は、適度にお店もあって、旅をした気分になれるんですよね。
    ここまでは、JRなのですが、次の日は、私鉄の大井川鉄道に乗って来ました。
    意外と、楽しかったです。
    お店は、美味しいとか、そんなことより、やっぱり、スタッフの対応に、最後は行きつきますよね。
    愛想の良いスタッフなら、お店に入って良かったと思うんですよね。

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