平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(1062)青森あたりから始める旅。(3)

6月5日(土曜日)。
青森に着いた2日目である。
ネットの情報では、このホテルJALシティ青森では、朝食が美味しいらしい。
1階のレストランに行くと、既に、サラリーマンなどで賑わっている。
さらっと料理を見渡してみると、それほど料理のカウンターは広くはないが、青森を感じさせる料理が目立つ。
こういうのが旅行に来ている身としては嬉しいんですよね。
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十和田のバラ焼き、いがめんち、縄文すいとんのグラタンなど。
この縄文すいとんのグラタンは、りんごを使用しているのだけれど、そのりんごのシャクシャクとした食感も活かされていて、なかなか工夫のある料理だった。
刺身丼のお造りなんて、欲張って2皿も取っちゃったもんね。
実に楽しいバイキングの朝食だ。
それに、既製品を使った料理であっても、たとえば、既製品の玉子焼きでも、それをベビーホタテの餡かけにして食べさせるなど、嬉しくなる仕掛けがされている。
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デザートのケーキも、そのベースとなる生地は、ビジネスホテル用の安物の既製品だろうけれど、そこにりんごの小さな欠片を乗っけて、さらに「青森県 りんご」と書かれたプレートが添えられている。
この小さな1枚の紙のプレートで、小さなケーキが青森に来たことを感じさせるオリジナルに大変身するんだな。
それに、カトラリーの洗い方も、ちゃんとしたホテルを感じるのである。
ちゃんと、洗ってある。
こう書くと、それは当然じゃないかと思われるかもしれないが、案外と、そうでないケースが多い。
ホテルであったり、最近の街中にあるオシャレなバイキングのランチ会場であったり、そんなところに置いてあるナイフやフォーク、スプーンなどで、ちゃんと洗えてないカトラリーを置いてあるお店が、存外に多い。
特に、スプーンなどに、その特徴が顕著なのだが、籐のバスケットに格子柄のナプキンなどを敷いて、そこにスプーンなどが、重ねて置いてあることがある。
見ると、洗ってあるようだけれど、その凹面に、洗剤の跡が心霊写真の模様のように、まだらに残っていることが、しばしばある。
そういう場合は、1本だけじゃなくて、その置かれているスプーンの大半に洗剤の跡が残っているのだ。
たぶんだけれど、食洗機で洗ったそのままを、そこに置いてあるのだろう。
洗って、残った水分を、布巾で拭いていない。
ちゃんとしたお店なら、街中の喫茶店などでも、或いは、パブのようなお店でも、スプーンは、洗ったあとに、10本ほどを、大きめの布巾を使って、両手で包み込むようにして、その水分を拭きとっている。
そんな光景を、何度も見かけた。
だから、そんな風に拭き上げられたスプーンを見ると、ピカピカに光っている。
あれは、気持ちがいいよね。
これはスプーンじゃないけれど、バーなどに行くと、グラスを布巾で拭き上げてピカピカにしているお店も多い。
こういう作業をしているお店は、その他に関しても、プロフェッショナルなサービスを提供されるお店が多い。
大概、古くからあるお店で、先輩からの教育を受けている証拠でもあるだろう。
このホテルJALシティ青森さんのカトラリーも綺麗に洗われていました。
たまたま、凡の行った時だけなのかもしれないが、気持ちが良いと思ったことは事実である。
そんなこんなで、朝食を楽しんでいたら、45分ぐらい朝食を、がっついていた。
食べ過ぎになるほど、楽しかったです。
部屋に戻ると、改めて、ホテルの快適さを感じてしまう。
さて、今日は、どうしようか。
何気なくテレビを点けて見ると、WOWOWが入っているじゃない。
何やら、洋画が映っている。
アブナイ男に、女の人が、DVを受けている。
だ、だ、大丈夫なのか。
と、思っていると、そこに主人公の男が現れて、アブナイ男を撃退したと思ったら、なんと、そのアブナイ男の車を奪って走り出したじゃない。
あれ?どうなってるの。
どうも、この男は訳アリなのか、色々、ハラハラとさせられる展開が起きる。
途中から見だした映画なのだけれど、少しずつストーリーも解ってくる。
気が付くと、最後まで見てしまった。
青森まで来て、ホテルのテレビで、途中からの映画を最後まで見てしまう。
何をやっているのだろうか。
とはいうものの、朝食を食べに行ったのが、6時30分だから、まだ時間に余裕はある。
さて、今日をどうするか、というか、今日からの3日間をどうするか。
とりあえずの計画としては、東北を南下するというものだった。
ということは、今日の宿泊地は、ちょっと南下するべきだろうな。
ということで、考えたのが八戸である。
以前に行ったピザ屋さんのマスターに、もう1度会ってみたい。
今回は、青春18きっぷの旅でもないので、青森、八戸間は、新幹線を利用しよう。
と計画すると、昼間に、ちょっとした時間が生まれる。
東北にいるのだから、アラハバキの神様にゆかりの神社などを回って見るのも面白いかもしれない。
ただ、調べてみると、どうも車がなけりゃ、なかなか難しい。
そこで、そうだと思いついたのが、亀ヶ岡遺跡だ。
まだ、行ったことが無い。
とはいうものの、亀ヶ岡遺跡には、その場所までは行けないかもしれない。
前に調べたら、やっぱり車が必要だ。
それに、亀ヶ岡遺跡は、私有地で、基本的に見学など受け付けていないので、行ったとしても、ただ、畑なのか野原なのかを見るだけだ。
それでも、亀ヶ岡遺跡のある駅で降りてみたい気がするのである。
有名な駅だからね。
それに、簡単な資料館も近くにあるらしいので、そこを訪れてもいい。
ということで、青森駅に向かう。
青森から奥羽本線で、川部まで移動して、そこから五能線で木造まで移動した。
この木造駅は、建物が、遮光器土偶になっていて、それが有名な駅だ。
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駅の観光案内所というかお土産売り場のようなところで、亀ヶ岡遺跡の事を聞いたら、遺跡に行くのも、その近くの資料館に行くのも、車が無いと無理だと言う。
それならと、駅から歩いて行くことのできる「縄文住居展示資料館カルコ」という施設に行ってみることにした。
ただ、それだけなら、かなり時間も余るのだけれど、まずは行ってみるべし。
そして時刻表をチェック。
というのも、五能線の上りの電車は、この日は、2時間に1本程度だから、帰路の時間は確認しておかなきゃ、エライコトになる。
駅からカルコに向かって歩いていると、駅前は、住人不在の家や、やっていない店も多く、でもそれが却って寂れた感じで街の雰囲気を印象付けている。
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カルコは、開けた何も無い土地に、急に表れて、中に入ると、いきなり 縄文時代の住居の再現したものが、ドンとお出迎えをしてくれる。
それが、かなり大きい。
他の縄文の竪穴式の住居と比べても、かなり大きいなと思う。
岩木山麓にある大森勝山遺跡で出土された住居跡を再現したものだ。
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その住居の再現したものに入ると、男女のペアの人形が、座って作業をしているのを、これまた再現している。
その横に、古代語というのを再現して、音声が流れる仕組みがあった。
またもや、これは、どうしたものかと思う。
三内丸山遺跡に行った時も、思ったことなのだが、こういう再現された竪穴式住居や、或いは、高床式の住居、また古代語など、兎に角、縄文時代のもので再現されたものがあるが、こういうことは、果たして、子供の正しい知識を、そして、これからの古代史の常識を、捻じ曲げてしまう危険性があるのではと、凡は思うのである。
何故かと言うと、これらの住居の復元したものや、今回は、古代語の音声もあったけれども、これらは、実際に、見て来たものや、聞いてきたものじゃないからだ。
三内丸山遺跡に行った時に、疑問に感じてボランティアの方に聞いたところ、あそこに、さもこういう住居に住んでましたと展示されている復元模型は、そのモデルとなるもの、つまり、どこにも実物が残っている訳じゃないし、そればかりか、絵などの資料すらないのである。
詰まりは、まるっきりの想像でしかないというのだ。
たぶん、こうじゃないかなという想像。
それなのに、如何にも、これが正しいのだと言わんばかりの堂々とした模型。
あれの功罪を考えると、遥かに罪の方が大きいと凡は思う。
このカルコの模型もそうなんだよね。
見終わって帰る時に、古代語の話をスタッフの人としたら、アイヌ語をもとに復元したという。
北海道などでは、縄文時代から、続縄文時代へと移行して、それから、アイヌ文化に移行していったという考え方もあるので、あながち、全否定する理由もないけれど、難しいところではあります。
それに、この施設のスタッフの方も、親切な方だったので、あまり批判的なことは、申し訳なくて言うつもりはないのであります。
色々と教えて頂いて、楽しく見学させて頂きました。
そうだ、この親切なスタッフの方には、面白い解釈を教えて頂いた。
凡は、かねがね、竪穴住居に疑問を持っていた。
何故、竪穴式なのか。
雨などが降ってきたら、その竪穴に水が流れ込むだろう。
そしたら、濡れて困るじゃない。
普通に考えるなら、むしろ、土を盛り上げて、そこに住居を造ると言うのが自然な考えになるのじゃないかと、凡は思うのだ。
それなら、雨になっても濡れないし、土を盛り上げたことでメリットばかりが考えられる。
そんなことを、スタッフの人に話したら、当時の人には、大地との繋がりが重要だったのではないかという。
面白い考え方だよね。
大地のエネルギーを直接感じて生活をする。
その時、凡は、大地という母に抱かれているイメージが浮かんだ。
何故か、そのスタッフの人の説明に納得をしたのであります。
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資料は、2階に展示されていて、亀ヶ岡遺跡や、田小屋野貝塚、またその他の青森に関係するものがあった。
なかなか、面白かったです。
さて、これからどうしようかと思うに、カルコに来た時に、その近くに「しゃこちゃん温泉」という施設があるのを見ていた。
面白そうじゃない。
この「しゃこちゃん」というのは、亀ヶ岡遺跡で出土した遮光器土偶から取ったのだろう。
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中に入ると、意外と広く、寛ぎスペースと、軽食コーナーがあって、受付をすませる。
キャリーバッグは、その辺に、勝手に置かせてもらうようにお願いをした。
泉質は、詳しくは知らないが、見た目が茶色で、入ると肌がツルツルになるお湯だ。
入口のジャグジーは、空で停止中だったが、まずは広めの温泉施設ではないかと思う。
打たせ湯、サウナ、半分露天のような岩風呂もあって、古い感じの浴室なども、良い感じで寂れ感というか、田舎の温泉施設の雰囲気を出している。
客は、5、6人だろうか。
年配の人が多い。
ゆっくりと浸かって、ロビーに出ると、軽食を食べさせるコーナーがあるので、せっかくだから、ラーメンを頂こうと思う。
茹で玉子を追加したら、チラシで手作りした玉子の殻入れをくれた。
お姉さんのおもてなしも嬉しい。
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窓の外には、遥か向こうに岩木山が見える。
旅情を感じる瞬間である。
凡が、普段に家などで、ラーメンなどの麺類を食べていると、ミニボンが、決まって「あ、歯でかんだ。」と指摘する。
麺は、箸で摘まんで口に入れたら、その端で摘まんだ麺の一塊は、全部を啜り込まなきゃいけないというのだ。
途中でかみ切って、残った麺をスープに戻してはいけないという。
それをチェックするために、いつも、ジッと凡を見ている。
んでもって、凡が麺を噛んで、残った麺をスープに戻すと、それを厳しく指摘するのだ。
しかし、考えてみたら、このラーメンは、最後まで凡が食べる訳だから、別に麺をスープに戻しても良いじゃないかと思うのだ。
1杯のラーメンを回し食べするわけじゃないものね。
大体、全部を啜ろうと思ったら、口に入るだけの麺を箸で摘まむ時に、その量を少なめに取らなきゃいけないだろう。
あの麺と言うものは、結構に長い食材だからね。
となると、最初に、麺を口に入れる時の満足感が減ってしまうのだ。
ラーメンなんて食べ物は、庶民的な食べ物である訳で、勢いよく食べるのが美味しいはずだ。
最初に、ザクリとスープに入っている麺を箸で掬いあげて、それを口に入れる時の満足感が良いのだ。
となると、当然、その箸で掬った麺を全部すすり切ることはできなくなるのは、仕方のないことであって、当然、残りをスープに戻すことになる。
というか、凡は、麺を啜るという行為が苦手なのだ。
スープの液体が気管に入って、エライコトになることが怖いからだ。
そんなことを思い出しながら、ラーメンを食べている。
優しいスープが、湯上りの身体に沁み込んでいくようだ。
そういえば、みゆきさんも麺類が好きだと言う。
みゆきさんは、ラーメンを食べる時に、その箸で摘まんだ麺を、啜りきってしまうのだろうか、それとも、歯で噛んで残りをスープに戻すのだろうか。
イメージでは、麺を3本ぐらい摘まみ上げて、ちゅるちゅると最後まで麺を啜り込んで食べるような気がするな。
可愛だろうなあ。
凡と、みゆきさんが、一緒にラーメンを食べたらどうなるのだろう。
凡は、麺を途中で嚙み切って、残りの麺をスープに戻すよ。
「あ、麺を噛んで、スープに戻した。」
みゆきさんが、凡に指摘するよ。
同じ指摘でも、ミニボンにされる指摘と、みゆきさんにされる指摘は違うんだよね。
みゆきさんに、指摘されたら、何故か満面の笑みになってしまうだろう。
「だって、麺が啜れないんだもん。」なんて、甘えてみゆきさんに言うね。
「もう、仕方ないなあ。じゃ、今から練習するよ。はい、麺を箸で摘まんで。で、ちゅるちゅる。はい、ちゅるちゅるですよー。」
なんて、みゆきさんの特訓が始まる訳だ。
でも、もともと、凡は、麺を啜るのが苦手なので、そんなに簡単には、麺をすすれない。
「あー、ダメだ。また麺を噛み切っちゃった。」なんて、弱音を吐くね。
「もう、仕方ないわねえ。麺を摘まむ量が多いのよ。練習だから、はい、1本だけ麺を摘まんでみて。それを、口にくわえて、はい、ちゅるちゅる。」
でも、凡は、上手く麺を啜れないでいる。
すると、みゆきさんは、凡の啜っている麺の反対側を箸で摘まんで、みゆきさんの口にくわえるよ。
んでもって、みゆきさんは、凡の反対側から、麺をちゅるちゅるしてみせる。
「ほら、こうやって、麺をちゅるちゅるするのよ。」
そうなると、どうなる。
1本の麺を、片方は凡が、ちゅるちゅると啜るよ。
んでもって、その反対側から、みゆきさんが、ちゅるちゅるするんだ。
ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、、、、。
最後には、凡とみゆきさんが、唇を重ねて、「チュッ。」なんてことになっちゃう訳なのだ。
詰まりは、1本のポッキーの端を男と女が、両端からお互いに食べ始めて、最後にキスをするという、恋人同士がやるゲームのようなことになるわけなのである。
「ほら、できたじゃない。」
「本当だ。でも、まだ美味く啜れないなあ。」
「じゃ、もう1回練習よ。はい、凡ちゃん、こっちから、ちゅるちゅるして。あたしは、反対からちゅるちゅるするから。」
またもって、1本の麺を、お互いに反対側から、ちゅるちゅるする。
ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、、、、チュッ。
「あー、まだ、出来ないよ。」
「もう、仕方がないなあ。じゃ、もう1回。」
ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、、、、チュッ。
ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、、、、チュッ。
ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、ちゅるちゅる、、、、チュッ。
1杯のラーメンには、麺は、何十本もあるから、もう、凡とみゆきさんはね、そりゃ、もう、あんた、チュッチュ、チュッチュよ。
解る?
チュッチュ、チュッチュ、チュッチュ、、、、、。
あはははは、チュッチュなんだからね。
っていうか、こんな妄想、以前のブログでもしたかな、まあ、それは置いておいて、気持ちの悪い妄想でニヤニヤする凡なのであります。
でも、みゆきさんだからね。
こんなところで終わらないかもだよ。
何でも、とことん追求するタイプじゃないのだろうか、みゆきさんてね。
10本、20本と、1本の麺を、両端から、ちゅるちゅると啜って行って、最後にチュッなんて唇を重ねる。
気が付くと、みゆきさんの口の周りにラーメンの汁がベットリとついてるじゃない。
それを、みゆきさんは、凡の口許をギロリと睨みながら、手の甲で拭う。
戦闘モードに入った。
「凡ちゃん、まだまだ、もっと練習しなきゃ。はい、行くよ。」
そういって、ラーメンの端を凡に咥えさせる。
ちゅるちゅる、、、ガツン。
「み、みゆきさん、勢い余って、歯と歯がぶつかったよ。大丈夫?」
「まだまだ。」
「いや、何が、まだまだなの。みゆきさん、唇から、ぶつかった衝撃で唇が切れて血が出てるよ。」
「はい、次行くよ。」
また、みゆきさんが、凡にラーメンの端を咥えさせる。
ちゅるちゅる、ガツン。
「ほら、だから、みゆきさん、血が出てるってさ。口から血が滴ってるよ。ほら、シャツが真っ赤に染まったじゃない。」
「甘ったれるんじゃない。まだまだ。」
「いや、甘ったれてなんかいないけどさ。」
、、、、、ゴーン。
「いやいや、今度に至っては、麺を咥えてないし。それに、今の頭突きだよ。麺を啜る練習じゃなくて、ただの頭突きになっちゃってるけど。」
「凡蔵!弱音を吐くな!行くぞ。」
「いやいや、行くぞって言われても、頭突きって、最初の目的から、かなりズレているよ。麺を啜る練習じゃなかった?」
、、、ゴーン。
「だから、それ頭突きだって言うの。ん?どうしたの、みゆきさん。目を大きく見開いて、唇を前に突き出して、ブルブル音をさせながら息を吐いたりして、、、えっ?それって、ひょっとしてだけど、ブッチャーのマネしてるの?あのアブドーラ・ザ・ブッチャーのマネ?って、みゆきさん、プロレス好きだったの?」
「ブルブルブル。(唇を震わせる音)凡ちゃん、まだまだ。」
「だから、まだまだって。」
ゴーン。
「え?無抵抗で、ただ、痛がってるフリをしろって?え?どういうこと?解ったよ、解った、すればいいのね。」
凡は、床に座って、ただ耳から血を流すフリをして、みゆきさんに凶器で攻撃をされている。
「ねえ、みゆきさん、これって、まさか、ドリー・ファンク・ジュニアとテリー・ファンクのマネじゃないよね。え?そうなの?みゆきさんて、相当なプロレス好きだったの、ねえ。」
「なになに、今度は立てって?」
みゆきさんは、凡の左側に来て、凡の肩に右手を回したと思ったら、凡の左脚に、みゆきさんは、足を引っかけて、後に勢いよく倒れた。
「、、、って、『河津落とし』じゃない。ジャイアント馬場の技じゃん。しかも、かなりマイナーな技だよ。」
すると、みゆきさんは、満足な笑みを浮かべて、凡の上に乗っかるよ。
んでもって、自分でカウントを数える。
「ワン、ツー、スリー。」
みゆきさんが、勝利者だ。
でも、凡は、上に乗っかった、みゆきさんの体の柔らかさと、温かさが凡をウットリと感じている。
ああ、みゆきさん。
その余韻に浸っていると、みゆきさんは、立ち上がって、両腕を後ろに引きながら言った。
「ハッスル、ハッスル。」
って、そこは、「ダーッ。」じゃないんだ。
アントニオ猪木さんじゃなくて、小川 直也さんなんや。
まあ、それはいい。
ただ、みゆきさんのチュッであれ、ガツンであれ、ゴーンであれ、みゆきさんに触れられる幸せに浸っていた。
と、若い人には、全く理解できないプロレスの妄想に発展してしまいましたね。
というか、みゆきさんを変人にしちゃったよ。
ごめんね、みゆきさん。
それにしても、最初の、ちゅるちゅる、ちゅっで、止めときゃよかったね。
ああ、みゆきさんの唇は、柔らかくて、温かい血を皮膚の奥に感じるところの、この世のものとは思えない感触なんだろうなあ。
その唇に触れることも能わず、凡は死んでいくのだろうか。
南無阿弥陀仏、チーン。
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ラーメンを頂いたら、マッサージ機で、身体をほぐす。
それにしても、津軽で温泉なんて、すごい贅沢な話だよね。
さて、そろそろ汽車の時間が迫ってきたので、駅に向かって戻ろう。
駅前に食堂があって、結構に流行っている。
美味しいお店なのかなと思う。
ホームに出て、風に吹かれていた。
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