平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(1057)新幹線と特急を楽しむ旅。広島~呉~松山。(2)

4月22日(木曜日)。
「松山・広島割引きっぷ」というお得な切符を使って、呉に来ている。
呉と言えば、軍艦と潜水艦を見たくなる。
海上自衛隊の呉基地があるからね。
以前に横須賀の軍艦のクルーズみたいなのに行ったことがあるのですが、あれはあれで、アメリカの空母とか見られて楽しかったのですが、ちょっと遠くから見るという感じなんですよね。
でも、ここ呉のクルーズは、もう間近に見られるのである。
迫力が違うという訳だ。
ちょうど11時からのクルーズに間に合う。
今回行ってみると、クルーズ専用のチケット売り場も出来て、またその後ろにお土産コーナーまであって、そこで地酒の飲み比べなども出来るようになっていた。
スタッフも、増えたようだ。
さて、さらに今回と前回の違いはと言うと。
船だ。
以前乗った船は、船の中で、窓から見るスタイルだった。
しかも、その窓ガラスが、少し曇っていたりする部分もあって、迫力はあるのだけれど、仕切られた場所から傍観しているという感じだった。
でも、今回は、1階の室内もあるのだけれど、2階がオープンになっていて、これは遮るものが何も無いから、見やすいし、臨場感もさらにアップしていた。
スタッフも、今日は天気も良いので、2階へと誘導されていたので全員がオープンデッキに集まる。
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そして、出発した船は、呉の港を進んでいくのだけれど、もう出た瞬間から、軍艦が見えるんだもんね。
近くに寄ると、さらに迫力がある。
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グレー色の船体に搭載された大砲やミサイル発射装置は、相手を攻撃する武器なのだけれど、詰まり、誰かを傷つける機械だけど、カッコイイと思わず呟いてしまいそうだ。
軍艦を見上げると、そこで作業をしている自衛隊員が手を振ってくれた。
またしても、カッコイイ。
そういえば、みゆきさんの歌旅のDVDのメイキングのシーンで、松山から広島へ高速船で移動するシーンがあって、みんなで高速船の窓から潜水艦を見るという場面が映されている。
その時の音声に、誰が言ったのか分からないけれど、「カッコイイ。」という声が入っている。
やっぱり、みんな思うよね。
そんなことを思い出しながら、そして、みゆきさんを思い出しながら、軍艦を見ていた。
すると、凡の近くにいた70才過ぎぐらいのオッチャンが、「頑張れよ。頑張って、守れよ。」みたいな言葉を、意外と小さな声で、叫んだというか、呟いた。
見た目、ちょっと派手な感じで、どちらかというと、あまり話をしたくないなというか、個性強めだなという、そんな男性だ。
なので、その小さな声が、ちょっと可笑しかった。
1人で来ているのかと思ったが、あとで、お土産物屋で見かけたら、奥さんと一緒に来ていて、どうも、この男性は、このクルーズに何度も来ているようである。
奥さんが、「もう、何べんも来てるのよ。あの人が、行くっていうから。」と、スタッフに愚痴のように話していた。
クルーズの最中は、奥さんは、どこに居たのだろうか。
船には乗ってなかったのかな。
とはいうものの、この男性の気持ちも解るよね。
頑張ってくれという気持ち。
何しろ、自衛官というのは、入隊した時に服務の宣誓をしてるからね。
それだけ、腹をくくっている人たちなんだもん。
「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。」
「危険を顧みず」だ。
宣誓は、公務員なら誰もするものだけれど、同じく生命の危険にさらされることもある任務である警察官や消防士には、この「危険を顧みず」の文言はない。
詰まりは、戦いで死んでも、文句は言うなよということだ。
ただ、自衛隊というと国民を守ってくれるものだと、そんなイメージを持っている人がいるかもしれないけれど、これは違う、、、のではないだろうか。
自衛隊が守るのは、日本国民じゃなくて、日本国だ。
自衛隊が守るのは、あくまでも「日本の平和と独立を守り」であり、国民じゃない。
言い方を変えれば、日本国を守るためには、日本国民は、犠牲にしても構わないということである。
と、考えるのは、凡はヒネクレているのだろうか。
まあ、そのあたりは、ちょっと置いておいて、単純に、目の前にいる自衛官と軍艦と潜水艦を、カッコイイと見ていたのであります。
すると、また近くのオッチャンが叫んだ。
「頑張って、日本を守れよ。俺も頑張るからな。」
叫んだけれど、やっぱり、かなり小さな声だ。
自分でも、大声で叫ぶのは、恥ずかしいのかもしれない。
それを聞いて、凡は、このオッチャンに対して、些か、優しい気持ちになった。
なんだかんだ言っても、このオッチャンは、自衛官を応援しているんだ。
そして、自分も頑張ると言っているのだ。
頑張るって言っても、日本を守るのを頑張るのか、何を頑張るのか、謎の部分はあるが、兎に角、頑張ると言っている。
まあ、悪いオッチャンじゃないだろう。
そんな個性強めのオッチャンの小さな叫びを聞きながら、そして、クルーズの説明をしてくれているスタッフの細かい説明を聞きながら、楽しい艦船めぐりは終了した。
これからどうしようかと思って、観光案内所に寄ってみる。
ヤマトミュージアムや、てつのくじら館などは、既に行ったことがあるので、他の観光地などを聞いてみる。
そして、これからランチをしたいけれど、やっぱりカレーかなとか聞いてみると、冷麺も有名だという。
呉冷麺。
そして、ラーメンのオススメも1軒聞いておいた。
薦めて頂いた冷麺も美味しそうだけれど、やっぱりカレーにしよう。
今、呉では、「呉海自カレー」というガイドブックも出していて、カレー推しなのだ。
色んなお店で、軍艦や潜水艦で食べられているカレーのレシピを再現して販売している。
ガイドブックを見て、どこにしようかと迷う。
そこで、ガイドブックには載っていないが、ネットで、ふと市役所の食堂にもレストランがあることを知った。
しかも、そこで海自カレーが提供されているという。
これだ。
市役所のカレーなら、自衛隊のカレーとも通じるものがある。
いくらレシピを再現していると言ってもね、高級なホテルなどで食べても雰囲気が出ない。
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IMG_6745.PNG(ネットの情報を見て、期待が膨らむ)
ということで、市役所に向かって歩き出した。
およそ、25分ぐらいか。
市役所の高いビルの入口を入り、エレベーターの前に立ったら、「食堂閉店しました」というプレートが立てられていた。
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こんなことがあるだろうか。
入口の案内所で聞いたら、3月19日に閉店したという。
つい、先日じゃない。
仕方が無いので、もうカレーは諦めよう。
そう言えば、観光案内所のお姉さんが教えてくれた冷麺の店にも、ここからなら歩けそうだ。
観光案内所のお姉さんに教えて貰った呉冷麺のお店「珍来軒」さん。
横断歩道の向こうに見えたと思ったら、何やらシャッターが半分閉まっている。
信号が変わるのを待って行ってみると、貼り紙がされていた。
コロナの為に、自粛。
またしても、凡らしい出来事が起きてしまった。
まあ、仕方がない。
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そうだ、この近くに、これまた観光案内所で聞いたラーメン屋がある。
行ってみると、今度は、どうも営業しているようだ。
「モリス」さん。
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入るとメニューは、中華そばの大中小と、いなり寿司、ゆで玉子しかない。
凡は、普通のサイズを注文。
そして、いなり寿司とゆで玉子をセルフで取る。
さて、中華そばは、透明なあっさりとしたスープが特徴で、一見、味が薄そうに見えるが、啜ってみると、しっかりとした味に仕上げている。
ストレートな麺も、このスープには合っているだろう。
これは、なかなか良いお店を教えて頂いたと思いながら、またスープを啜る。
これは大阪の一部の人にしか解らない喩えだけれど、「揚子江」のラーメンにスープが似ていると思った。
とはいうものの、揚子江のラーメンを食べたのは、10年以上前になるのだけれど。
目の前を見ると、酢が置かれている。
これはどうするのだろう。
お姉さんに聞いた見たら、好みで入れると味が変わって面白いという。
ただ、初めの半分は、そのまま食べてくれという。
そして、酢を入れすぎないようにと。
その説明を、凡の右の肩越しに説明してくれたのだが、凡が座っていて、彼女が立っているという位置関係もあるのだが、彼女の口と凡の耳、そして、彼女の胸と凡の肩の距離が、あまりにも近くて、年齢はそうだなあ、凡と同じぐらいだろうか、そのお姉さんの距離に、ドキリとしてしまった。
距離が近いというのは、何か魔法のようなものだなと、鼻の下を伸ばしたのである。
ということなので、酢を入れてみようと思うのだが、ただ、この澄んだスープのオリジナルの方が、たぶん美味しいだろうという凡の勘も働いて、3分の2ぐらいは、そのまま頂いて、残りの1になったときに、酢を入れてみる。
どのぐらい入れたら良いのだろうかと思いつつ、ただ、ほんの少し入れるということなら、この酢の容器の大きさは、あまりにも不釣り合いだ。
なので、ある程度の量は入れるに違いない。
凡は、酢の容器を持って、ぐるりとラーメンに回しかけた。
そして、スープを啜った。
「うん、これは入れすぎたな。」
かなり酸っぱくなってしまって、ラーメンというか、なんというか。
でも、健康には良さそうではある。
お会計をして、店を出ようと思ったら、さっきのお姉さんが、「酢、入れたのね。」と、細い廊下ですれ違いざまに、笑顔で凡に言ったので、またちょっと、ドキリとしたのであります。
さて、この辺りは、呉でも賑やかとされる場所なので、ブラブラと店などを見ながら、駅までもどる。
さて、これから、折角だから、もう少し潜水艦を見よう。
駅からバスに乗って、「アレイからすこじま」へ行った。
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ここは、ただの岸壁なのだけれど、すぐそこに潜水艦や軍艦が停泊しているのを見ることができるのだ。
凡のように潜水艦を見ようと来ている人も5、6人ブラブラ歩いていて、写真などを撮っている。
岸壁からコンクリートの桟橋が伸びていて、その先に潜水艦や軍艦があるのだけれど、その鉄の格子扉を開けて、自衛官が入っていった。
やっぱり呉なんだなと実感。
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さて、岸壁の近くに喫茶店がある。
「港町珈琲店」さん。
コンビニの2階にある喫茶店を見ると、テラスのようなところでお茶を飲むことができるようだ。
それに、海自カレーも提供しているようなので、入ってみることにした。
席は、潜水艦が見えるテラスにした。
そして、カレーのセットを注文。
これは、カレーにピザの食べ放題とドリンクがセットになっている。
ピザの食べ放題と言ったって、自由にホットサーバーのようなところから取るのではなくて、1切れずつ、何となくと言った感じで持って来てくれる。
凡の場合、干からびたようなのを2回持って来てくれた。
まあ、気は心である。
折角のテラスなので、ビールも注文。
ビールは、ちょっと古いのか、或いは、機械の洗浄が足りない気がした。
酸っぱくて変な匂いだから。
とはいうものの、冷たさには注意しているようで、喉に流し込む刺激は十分で、休日の旅を感じていた。
目の前に見える潜水艦。
カレーは、潜水艦「くろしお」のレシピを参考にしているという。
香辛料というよりカレー粉の味がしっかりとしていて、粘度もある。
潜水艦の食堂のカレーなので、艦が傾いてもカレーがこぼれないように粘度を高めにしてあるのだろうか。
説明によると、牛スジを使い中華風をベースにした味付けして“くろしお”独自の隠し味に、「広島の風味の材料」で仕上げたと書かれている。
広島の風味の材料?
何とも、曖昧で、解ったような、解らない言い方だ。
広島の材料なら解るよ。
例えば、牡蠣とかさ、お好み焼きのおたふくソースとかさ。
でも、広島の風味の材料だものね。
風味ってさ。
広島産じゃない場合もあるよね。
ただ、牡蠣とかソースとかの香りだけする、大阪で作くられたインスタントラーメンに付いてくる合成のスープの粉みたいなものとか。
まあ、そんな詮索をするより、この風景を楽しもう。
とはいうもものの、目の前の風景に、特に変化がある訳でもないので、バスの時間に合わせて、店を出た。
バスで駅に戻って、ホテルにチェックイン。
今日のホテルは、「ビジネスホテルクレ」さん。
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このホテルは、随分と前に、1度泊まったことがある。
その時に比べると、壁紙などの内装が、綺麗になっているように思う。
1泊2日で、税込み5200円。
ウォシュレットではないが、便座も小さくはないので、普通に座れるし、バスも結構に狭いが、身体を横にして身を縮めて洗うのも楽しく、凡には十分だ。
値段と、便利さを考えたら、また泊まりたいホテルである。
さて、晩御飯には、まだ1時間ちょっとは時間がある。
どうしようかと思った時に、呉の駅の近くに温泉施設があることを知った。
まだ明るいうちに温泉に入って、それでビールを飲んだら、美味いに違いない。
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天然温泉「大和温泉」さん。
昨年末ごろにリニュアルしてプレオープンして、今年になってから、本格的に営業をされているという。
ネットの写真を見たら、リゾート感を演出していて、ちょっと良い雰囲気じゃない。
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呉温泉.jpg(ネットの写真は、こんな感じだったが、、、。)
ビルの中にある温泉施設で、屋上に露天風呂が付いている。
呉の街で露天風呂なんて、良いじゃない。
受付で、タオルなどを貸してもらって入場。
ロビーは、落ち着いた雰囲気に仕上げてあって、高級感もある。
大浴場に向かう途中に、休憩室などもあって、今流行のスタイルだ。
大浴場に行くと、お客は少ない。
たぶん、3、4人ぐらいだったか。
普通の湯船に、ジェットバスなどもあって、最近のスーパー銭湯でよく見る感じだ。
しかし、どうも、寂れている感が、半端ない。
つい最近、リニュアルしてオープンしたばかりだよねと、少し首をかしげる。
そして湯に浸かると、スコブル、ヌルイ。
まあ、温泉だから、もともとヌルイ温度の源泉なのかもしれなくて、その特徴を活かしているのかもしれない。
床がヌルっとしていて、滑りやすいというのも、気にはなったが、こんなものかと思っていた。
しかし、この温泉の売りは、屋上の露天風呂だろう。
そう思って、階段を上って露天風呂に行くと、さらに寂れてる感が半端ないのだ。
床も、かなりの年季を感じるし、大体、その前に、ネットで見た写真とは全く別というか、あのリゾート感のある施設は、どこなんだと探してしまった。
或いは、女風呂の方に、その写真の演出があったのかもしれないが。
そんな、寂れた露天風呂の奥に行ってみると、そこに干からびた老人が、生きているのかと思うぐらいに、力無く寝ていた。
そのシュールさに、思わず楽しくなってくる。
露天風呂からは、ビルに遮られてはいるけれども、呉の海が見える。
その露天風呂に、茶色く変色した木のデッキチェアが置かれている。
あのデッキチェアには、寝たい人はいるのか。
というか、その辺りの壁の根元には、たぶん、1年以上は掃除していないだろうというゴミというか、砂のようなカビのような、かたまりが散らばっている。
最近、リニュアルしたばかりなのだけれど。
後で、ネットの口コミを見たら、今年になってから、直近の口コミは、すべて悪評ばかりだ。
しかも、かなりの悪評。
とはいうものの、呉の街で温泉にも入れたし、汗も流せた。
何より、シュールな世界を見せていただいたのは、貴重な体験だ。
まずは、満足してホテルに戻る。
さて、これから晩御飯というか、ちょっとビールでも飲みに出かけましょう。

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