平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(964)「結果オーライ」ラストツアー・金沢編。(7)

1月21日(火曜日)。
凡は、中島みゆきさんのラストツアー「結果オーライ」のために、金沢に来ている。
昨夜は、みゆきさんのコンサートを見て、その後、一睡も出来ずに、今はホテルの部屋で、まだベッドに横になっている。
これから、どうするかと思う。
今日もまた、みゆきさんのコンサートを見る予定だ。
ああ、何という幸せ。
2日続けて見ることが出来るなんて。
なので、このまま部屋で、コンサートまで寝ているか。
夕方までベッドに横になっていたら、少しは眠ることが出来るかもしれない。
とはいうものの、折角の金沢だ。
少しぐらいは、金沢の風に吹かれて歩くのも気分転換になるかもしれない。
まあ、とりあえずは、朝食だ。
昨日、チェックインの時に、今日の朝食だけ予約しておいた。
今日だけにしたのは、値段が2000円と、なかなかの値段だったからだ。
6時30分からやっているので、シャワーをして、7時過ぎに朝食会場へ行った。
会場は、ロビーと同じ階の16階にある。
案内のスタッフに、窓際の長いカウンターテーブルの席を勧められた。
凡は、一瞬、躊躇したが、その時は、何となく頭が働かずに、ぼんやりしていたのと、他の席は4人掛けだったので遠慮の気持ちもあり、勧められた席に座った。
長いカウンターのようなテーブルがあり、その前が、ガラスだ。
ガラス1枚向こうは、もう何もない、スッカラカンの16階の空間なのである。
しかし、不思議だ。
普通は、極端な高所恐怖症の凡なら、そのテーブルに近づくことすら出来ない筈だ。
でも、凡は、今、何事もなかったように座っている。
ついに、高所恐怖症を克服したのか!
そう思った。
まずは、バイキングなので、朝食の内容を見て回る。
郷土料理の治部煮もあり、シチューのようなものもあり、卵料理もあり、楽しいメニューだが、2000円という金額が頭をよぎると、まあ、こんなものかと思う。
むしろ、品数が少ないとも感じるが、冷菜もスモークサーモンとか、ちょっと高級感を感じる品もある。
中に、自分で作る海鮮丼というのがあって、自分でご飯をよそって、そこに刺身を盛り付ける方式で、これは楽しかった。
ご飯を少なめに、具を多めに盛り付けた。
IMG_0646.JPG
IMG_0648.JPG
んでもって、席に座って食べ始めた。
美味しい。
そう思って、ふと目の前のガラスを見た。
ガラスの厚みは何ミリぐらいあるのだろうか。
そのガラスの、薄いガラスの向こう側は、もう何もないスッカラカンの空間で、しかも、ガラスから、垂直に地面に伸びるビルの壁を想像したら、急に、怖くなった。
「あかん。」
そう思った瞬間、凡は、16階の切り立った崖の上のギリギリの部分に座っているイメージが、もう脳の90パーセントを独占したのである。
脳内イメージ.jpg(凡の脳内イメージ)
もう怖くて、座っていられない。
頭や身体の足や手から力が抜けていく。
とはいうものの、今から席を変えてというのも、言いづらい。
仕方なく、今テーブルの上に取って来た料理だけ食べて出ようと思った。
でも、怖い。
もう凡は、テーブルから1.5メートルぐらい、椅子を離して、所謂、へっぴり腰で食べ始めた。
少し腰を上げて、身体を床と平行にして、両手を、めいっぱい前に伸ばしたら、何とかテーブルに届くぐらいの距離だ。
カウンターのテーブルに、遠いところにある椅子から、前かがみになって、腰をちょっと浮かし、両手を伸ばして、料理を取っては、慌てて椅子に戻って、取り分けた料理を食べる。
食べている場所は、テーブルから1.5メートル離れたところにある椅子だ。
他の人が見たら、非常に奇妙で、滑稽な風景だろう。
いや、多分、スタッフや、近くの人は、凡の行動を見ているに違いない。
しかし、仕方がない。
さっきの平気だった時の凡の思考回路と、今の怖いと思う思考回路の違いは何なんだろう。
まあ、とりあえず、普通ならお替りをするのだけれど、そうそうにレストランを退出した。
今日だけの予約にして良かったと思った。
さて、折角だから金沢市内を観光しよう。
そう決めた。
とはいうものの、金沢は、何回か来たことがあるので、ここに行きたいというところが思いつかない。
なので、前も行ったが、鈴木大拙館に行こうと思う。
鈴木大拙は、仏教学者であり、哲学者でもある人で、何となく新しい言葉との出会いもあるかもしれないと思ったのだ。
みゆきさんのコンサートに来て、そこで新しい言葉を発見する。
何となく、そこに面白さを感じた。
ホテルを出ると、小雨が降っている。
香林坊の方に向かって歩き出して、金沢21世紀美術館を通り過ぎ、鈴木大拙館までたどり着いた。
駅で貰ったガイドのチラシで休館日を調べて行ったのだが、果たして、臨時休業だった。
またしても、こんなことがあるんですね。
IMG_0653.JPG
仕方がなく、次はどこへ行こうかと思った時に、泉鏡花記念館に行ってみようと考えた。
まだ行ったことがないからだ。
今来た道を引き返せば、広い道だから間違わなかったのだけれど、ちょっと横道を行ってみようと思って歩き出したら、金沢迷子。
気が付いたら、かなり道を外れていた。
なので、アイフォンの地図アプリを頼りに歩く。
やっとたどり着いた泉鏡花記念館は、小さいながらもゆっくりとできる施設で、資料の展示以外にも、ちょっとした映像を見せる部屋などもある。
IMG_0656.JPG
泉鏡花も、久しく、その文章を読むことをしていなかったが、やっぱり素晴らしいということを再発見させて頂きました。
展示物を見ながら進んで行くと、ある展示物に目が留まった。
1度は通り過ぎて、また気になって、引き返して見直す。
そこに1枚の小さなメモがあった。
(このメモが、実物であったのか、レプリカであったのかは、覚えていないが、そこは凡の感動した部分とは関係ないのであります。)
そのメモを読むと、凡は泉鏡花と言う人物をもう一度よく知りたいと思ったのです。
そのメモには、こう書かれていた。
「いろはの徳は むりやうなり。つかふときは、たいせつに。」
いろはの徳は.bmp(これは、ネットから無断拝借した写真)
蛇足だけれども、「むりやう」は、無量です。
亡くなられた後、机の引き出しから見つかったメモです。
小さなメモで、気が付かなかったら、その展示物の前を素通りしてしまいそうなものだけれど、後で、ネットで調べてみたら、みんなこの言葉に感動を覚えるようだ。
泉鏡花と言う人は、ことばを非常に大切にされる人であったそうです。
素晴らしいですね。
私も、ずっとこのメモに見入ってました。
みゆきさんのコンサートに来て、このメモの言葉に出会うというのも、言葉を大切にされているみゆきさんとの縁も感じて、その場から動けなくなっていた。
言葉と言うものは、不思議なものだなあと、つくづく思うことがある。
言葉は、時代とともに変わっていく。
泉鏡花が大切にしている言葉も、500年ぐらいたった時に、その大切さが変わってはいないだろうかと思う。
或いは、その時には、ローマ字で文章を書いているかもしれない。
もし、泉鏡花さんが、今生きていたなら、言語学者の田中克彦さんと対談して欲しいと思う。
どんな話になるだろうね。
田中克彦さんは、日本語から漢字を無すべきだとか、ローマ字みたいな独自の文字を作るべきだとか、そんな過激なことを言っている学者だから。
とはいうものの、そんな田中克彦さんも、その本を読むと、漢字を沢山使ってるんですけどね。
そこが楽しいんですが。
この記念館を訪れてから、アマゾンで、キンドル版の泉鏡花全集をダウンロードした。
全集の188作品全部で、200円。
安過ぎるよね。
因みに、みゆきさんの本のキンドル版もあるんですよね。
全巻、キンドル化して欲しいな。
ということで、想像以上に楽しかったのであります。
んでもって、これから何処かへ行こうかと思った時に、歩いて行けるひがし茶屋街にある徳田秋聲記念館へ行ってみようと思った。
ここも小さいながらも綺麗な記念館で、2階からの小雨の浅野川の眺めは、情緒のあるものだった。
内容的には、凡の興味をひくものはなかったか。
さて、そろそろお昼ごろになったので、ご飯でも食べようかと思う。
それと、これからどうしようかと思った時に、そうだ、入り待ちをしようと思ったのです。
別に、これといってしたいこともないし。
IMG_0660.JPG
ということで、取り敢えず、ホテルに戻ることにした。
んでもって、サプリを飲んで、双眼鏡を用意して、ホテルを出た。
そして、金沢カレーとハントンライスを迷った末に、ホテルの目の前にある近江市場の地下のカレーのチャンピオンに行くことにした。
そこで、おすすめと書かれていたカツカレーを注文。
IMG_0664 (2).JPG
IMG_0662.JPG(美味しかったです。ご馳走様。)
今まで金沢カレーと言ったら、ゴーゴーカレーと、名前は忘れたカレー屋さんぐらいしか行ったことが無くて、あのドロッとしたルーが、凡の好みではないかなと思っていたが、このカレーのチャンピオンのカレーは、美味しかったです。
ただ、ルーを追加すれば良かった。
食べたら、また徒歩で香林坊を経て、石浦神社の横の坂道を、息を切らしながら歩いて、本多の森ホールの通用口に繋がる入口にたどり着いた。
すでに数人の人が待っていた。
凡は、見やすい場所を確保して立つ。
スタッフの一挙手一投足が気になって、あっちへ行くと「そろそろか。」と思い、こっちにくると「今か。」と思う。
んで待っていると、14時45分頃、スモークの掛かったバンが通り過ぎて、その後部座席を見ると、スモークガラスの後ろに、うっすらと、笑顔で手を振るみゆきさんが見えた。
昨日のバンもスモークがかかっていて見えなさそうだったから、見たいなとは思うものの、まさか表情まで見えるとは思わなかったので、見えたとたん、もう、メロメロになってしまった。
振り返ると、沢山の人がいて、東京から来られたファンの方もいて、みんな好きなんだなあと、改めて、みゆきさんの魅力のスゴサを感じたのであります。
後は、することが無い。
近くに赤レンガのミュージアムみたいなものがあるけれど、見る気は起きなかった。
なので、本多の森ホールの待合みたいなところで、座っていた。
何をするということもなく、ただ座っていた。
そして、座っていた。
さあ、そろそろ列に並ぼうかというときに、景気づけにリポビタンDとカフェインの飴をなめる。
さて、中島みゆきさんのラストコンサートの金沢の2日目だ。
会場に入って席に荷物を置いた。

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