平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(965)「結果オーライ」ラストツアー・金沢編。(8)

1月21日(火曜日)。
いよいよ、2日目の中島みゆきさんのラストツアー「結果オーライ」が始まる。
みゆきさんの登場だ。
もう、一瞬にして、またもや、メロメロ。
そして、もっとメロメロになろうとして、双眼鏡を取り出して目に当てる。
或いは、凡の鼻の穴から、赤い液体が、2筋、凡とみゆきさんの赤い糸を連想させるかのように、流れ落ちていたかもしれない。
どこまでいっても平行で、結ばれることのない赤い糸。
ただ、今回の凡も少し変で、昨夜見たコンサートのみゆきさんを、その後、思いだそうとしても、思いだせないでいた。
いつもそうなんだけれど、脳内で、みゆきさんの可愛い顔を再生できないのだ。
なので、今回も、必死になって、みゆきさんを見て、記憶しようと試みる。
ああ、どうなってるんだ、凡の脳みそは。
曲名や衣装などは、1日目のブログに書いたとおりだ。
1部、 ギターを持って歌ったタイミングを間違えていたので、追記で訂正しております。
ごめんなさい、ペコリ。
そうだ、書き残しておくことと言ったら、みゆきさんが、あたいの夏休みの時に、歌の出だしを間違えたことだ。
歌い終わって、みゆきさんが、間違えたねみたいなことを言ったけれども、凡は、まったく気が付かなかった。
それでもって、お便りコーナーで、ツイッターをやってる富山の人のメッセージが読まれたことだ。
良かったねと、凡も嬉しくなった。
んでもって、今日感じたこと。
今日と言うか、今回は、どうも、みゆきさんの体調が良くないのではと心配になった部分もあった。
何となくではあるが、風邪を引いているのかなというか、声が出しにくそうに感じた。
特に、後半で、声が出ないから、無理に力強く歌おうとしたような部分もあった気がした。
やや、乱暴にというか、そんな風に、最後の部分を歌った曲もあったように感じる。
ただ、これは凡が感じたというだけで、本当は、ちがうかもしれません。
とはいうものの、これがまた、凡は、そんな声や歌い方が、好きだから、もう、どうしようもないのであります。
みゆきさんが、心配だと思いつつ、その無理に歌う声が聴きたいと思う。
もし、みゆきさんが、本当に風邪だったのだったら、本人が苦戦している声が聴きたいと言ってる訳でありまして、みゆきさん、ごめんなさい。
しかし、みゆきさんは、色んな声を出すことが出来るんですよね。
そのどれもが、可愛い。
無理に出した声が好きだと書いたけれども、可愛く発した声も好きだし、アンニュイな感じの声も好きだ。
ということは、みゆきさんの声が全部好きだと言う事か。
んでもって、前の夜会とかでも見かけたのだけれど、みゆきさんが、左右の目の大きさが違う時がある。
今回のコンサートでも、何度か、そんなシーンを見た。
やっぱり疲れているのかなと心配になる。
とはいうものの、あの左右の目の大きさが違うと言うのは、ある意味、女性としての武器にもなるんだよね。
そこに、少しばかりの不幸を見てしまうのだ。
見ていて、どうにか力になりたいと思ってしまう。
とはいうものの、すべての要素に於いて、みゆきさんの方が、凡なんかより、遥かにパワーを持っている。
そして、優れている。
どこに凡が力になれる余地があると言うのだろうか。
ナッシング。
ああ、悲しい。
いや、今は、そんなことを考えている暇はない。
目の前に、みゆきさんがいるのだ。
しかし、孤独だ。
人を愛するということは、孤独な戦いだ。
愛すれば、愛するほど、相手の全部を得られないことに気が付く。
凡なんか、全部どころか、認識さえしてもらえてない。
しかし、愛している。
本多の森ホールのシートに座って、頭からタオルを掛けて、うつむく凡。
両手を組んで、膝に身体を預ける。
額から、流れ落ちる汗。
魂を研ぎ澄ませて試合に臨む瞬間を待っている。
凡は、愛という試合に出る前の、ボクサーだった。
あしたのジョーで言うなら、凡は、力石徹である。
心の中は、そんな状態だったが、肉体的には、凡は、双眼鏡を目に当てて、みゆきさんをジッとみて、ヨダレを流していたのだった。
でも、孤独だったんだ。
みゆきさんに認識もしてもらえない凡が、必死になってみゆきさんを見ている。
それを客観的に見たなら、滑稽じゃないか。
情けないじゃないか。
しかし、こうも思う。
たとえ、僕とみゆきさんが付き合っていたとしてだ。
まずは、そんなこと、ありないのだが、もしもの話だ。
それでも、孤独だと思う。
凡の目の前に、みゆきさんがいる。
そして、僕は、みゆきさんを愛している。
そして、みゆきさんも、凡を愛している。
2人は、そうだな、木目調の落ち着いた喫茶店のテーブルを挟んで、見つめ合うだろう。
2人は、間違いなく愛し合っているんだ。
でも、凡は、みゆきさんの頭蓋骨のてっぺん辺りを、のこぎりで横に切って、カパッと蓋を取るように開けてみるんだ。
想像でね。
人間の意識が、脳にあるのか、脳じゃない何かにあるのか、それは置いておいてだ。
凡は、脳じゃないと考えているんだけれど、それは置いておいてさ。
みゆきさんの脳みそを覗き見るね。
脳みその、どれだけの部分が、凡に対して愛を感じているのかを。
まあ、みゆきさんも仕事をしなきゃいけないから、それに多忙だものね、或いは、50パーセントぐらい、仕事のことに使ってるね。
次に発表する歌を考えているだろう。
あとは、食べたり飲んだりしなきゃいけないから、10パーセントぐらいは、そんな生活の事に使ってるか。
掃除や、部屋の整理とかね。
家族の事も大切だろう。
家の事にも、10パーセントは使うね。
お母さんの手伝いや、心配もするだろうしさ。
みゆきさんにだって、趣味はあるだろう。
何が趣味かは知らないけれど、案外、のめり込みそうだから、20パーセントぐらい使うかな。
本を読んだりさ、そういうことも結構時間を使うだろうね。
あ、ショッピングなんかするのかな。
女性だからファッションにも気を遣うだろうし。
そうだな、10パーセントぐらい使うのかも。
それと、これは考えたくないが、みゆきさんも、他の男性の事を考えるかもしれない。
凡を目の前に座らせておいてさ、「あ、あの男の子カッコイイ」とかさ、ひょっとしたら、そのカッコイイ男の子とデートしている妄想をしているかもしれない。
そんなことに10パーセントぐらい使うのかもね。
なんてことになると、合計したら、100パーセントを越えちゃったじゃない。
となると、凡の事に使う余地は残っていないじゃないか。
1人になって、部屋で、凡の事を考えて、胸が締め付けられるような思いになる脳みそは残っているのだろうか。
今すぐにでも会いたいって思って、クローゼットの前まで来て、コートに片腕を通して、ああ、「何やってんだろ、あたし。明日、また凡ちゃんに会う約束してるのに。もう、こんな夜更けだよ。」なんて、涙が頬をつたう、そんな脳みそは残っているのだろうか。
或いは、明日あったら、何を話そうかなとか、こんどのデートあそこに行きたいなとか、凡の事を考えてワクワクする脳みそは残っているのか。
愛し合って、見つめ合っている、目の前のみゆきさんの脳みそに、凡はいない。
あっても、1パーセントなのか、2パーセントなのか。
それで、愛していると言えるのか。
それは、何も、凡とみゆきさんに限ったことではないのかもしれない。
街中に溢れかえっているカップルの、脳みそを見たなら、その中身には、愛し合ってるはずの相手が、本当に存在するのだろうか。
しないような気がする。
しかし、それが愛し合っているということだ。
こんな時は、いつも岡本太郎さんの言葉を思い出す。
岡本太郎さんの絵は、凡は興味がないが、言葉は、こころに響く。
恋愛に関しては、凡は、太郎さんの事を師匠だと思っているのだ。
そんな太郎さんの恋愛に関する言葉がある。
あいてより自分が低いと感じて引っ込んでしまうことを、太郎さんは卑怯だと言った。
「どんなにすごい美人にでも、無視されてもいいから、彼女のそばで、気持ちをひらけばいいんだ。愛情を素直に彼女に示すんだ。その結果、彼女から答えが得られようが得られなかろうが、お返しを期待せず自分の心をひらくことで、自分自身が救われるはずだ。」
「自分がその人を好きだと言う、その気持ちに殉じればいい。」
(「自分の中に毒を持て」岡本太郎著 青春文庫)
そうである。
いくら、みゆきさんより凡が劣っていても。
いくら、みゆきさんの脳みそに凡が存在しなくても。
凡は、みゆきさんへの愛に殉じるのである。
そうありたいと願う。
いや、しかし、それは孤独な戦いに違いない。
でも、仕方がないと開き直って、「みゆきさん愛してます。」と叫ぼう。
ということで、2日目のコンサートは、孤独を感じながら、ヨダレを垂れ流し、無事終了したのであります。
勿論、終わってすぐに、出待ち場所に向かう。
昨夜は、早く出て来たのに、今日はなかなか出てこない。
何時だったか、10時回ってたかな、みゆきさんが、バンで通過。
今度は、スモークの奥のみゆきさんを見ることが出来た。
やっぱり、超絶に可愛い。
さて、今日は、ホテルに戻らずに、ビールでも飲みにいこう。
坂道を下って、片町あたりに戻って来た。
昨夜、歩き回って見つけた、満席だったおでん屋に行く。
菊一さんじゃなくて、「赤玉」さんというお店だ。
ドアを開けると、カウンター1席ならあるという。
すぐに熱燗を注文。
出待ちで身体が冷えてしまった。
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んでもって、お姉さんに、金沢おでんらしいネタを選んで貰う。
大根も、出汁が沁み込んで美味かった。
それに車麩は、大好きな一品だ。
熱燗に会うヌタなども追加して、お酒も追加。
しばらくしたら、入口も締め出したので、お会計をして出た。
取り敢えずは、金沢に来て名物も食べたという楽しみもやったので、ホテルに帰ることにした。
ただ、食べ足らずに、ホテルのコンビニで、ちょっと夜食を買って戻る。
部屋に戻って、「ああ、終わってしまった。」と呟いた。
さて、オマケの明日は、どうするかな。
近くを観光して帰ろう。

コメント

  1. yukemuri より:

    おっ、金沢おでんの有名店に行かれたんですね
    自分も一度食べてみたいと思っていましたが結局食べずじまいでしたよ
    車麩と大根が実に美味しそうですね
    こんなおでんで熱燗をやったら最高でしょうね!

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    取り敢えずは、おでん食べましたよ。
    他に、名物が思い浮かばなかったというのと、何しろ寒かったので。
    次の日も、駅のビルの中で、金沢おでん食べたんです。黒百合という店でした。そこも美味しかったです。
    今回は、コンサートが目的だったので、食べ始めるのが遅くて、そんなに店を選んでる時間がなかったんですよね。
    でも、両方美味しかったので、結果オーライでした。

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