平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(960)「結果オーライ」ラストツアー・金沢編。(3)

1月20日(月曜日)。
凡は、今、金沢の本多の森ホールに、みゆきさんのラストツアー「結果オーライ」に来ているのであります。
IMG_0632.JPG
なかなか、このホールは良いですね。
席数は、1707席。
それが、全部1階席で、2階、3階の部分が無い。
なので、高所恐怖症の凡も、どこの席になっても安心して見ることが出来る。
それにさ、同じ垂直のラインの席に座っても、1階と2階じゃ大違いなのである。
1階は、同じ空間にいるという一体感があるけれども、2階は、それを第3者的に見下ろしている感じなんだ。
だから、この会場は、全体で一体感がある気がする。
しかも、2階だと、高さの分だけ、同じ垂直の距離でも、遠くなるしね。
前後の席の高低差もあり、前の人の頭と重なりにくくなっているのも良い。
みゆきさんのコンサートに使うには、申し分ない施設だ。
ただ、難点が1つ。
座席の横幅が狭い。
凡のようなお腹の出た人なら、胴の部分だけで、座席の幅いっぱいになってしまうので、両肩をすぼめて座らなきゃ、隣の席にはみ出しちゃう。
2時間、両肩をすぼめていたら、背中が痛くなってくるんだよね。
ということで、ホールについては、まあ、申し分ない。
そのホールに肩をすぼめて座る。
今日の席は、J列なので、前から10列目。
なかなか良い席ではありませんか。
しかも、右のブロックの通路の横なので、横幅に関しても楽だ。
双眼鏡の「みゆきさん拝見1号」を取り出して調整をしながら待つ。
ブザーが鳴って、会場が静まる。
さあ、いよいよだ。
ということで、ここからは、セットリストなど、ネタバレ部分があるので、スクロールした、その下から、続きを書きたいと思います。
まだまだ、是非是非、お付き合いくださいませ。
ということで、スクロールしてね。



















さてと、再開です。
幕が開いて、みゆきさんが登場した。
目の前に、みゆきさんがいる。
距離にして、どうだろう、30メートルぐらいか。
凡は、まさに、みゆきさんが、そこにいるという感覚に、集中しようと思った。
凡と、みゆきさんと、凡の視覚に入る空間が、1つの時間と空間と、そして或いは、見ている人の心を共有している場として存在していることは間違いがなかった。
そこに、みゆきさんがいる。
そして、凡もいる。
いや、しかし、その間に、何十人もの人間もいるのではある。
否応なしに視覚に入る。
でも、それは敢えて凡の脳から追放しようと思う。
そこんところは、悔しいけれど、凡は、みゆきさんのコンサートを見させてもらう人間で、ステージのみゆきさんは、凡以外の無数の人たちに見せる人間な訳で、この世に存在している意味からして、根本的に違うのであるから。
そんなことは、置いておいても、凡には悲しいことがあった。
確かに、みゆきさんとの距離は近い。
とはいうものの、みゆきさんの顔がぼやけて、やや判然としないのである。
凡は、何が好きかって、みゆきさんの顔が好きなんだ。
その好きな顔を見られないなんて、これは悲しい。
なので、そっと、双眼鏡「みゆきさん拝見1号」を取り出して、みゆきさんを覗き見た。
そのグラスの向こうに、それは美しいみゆきさんの姿が現れたのである。
その笑顔を見た瞬間、もう凡は、こころを奪われてしまった。
美しい。
もう、この美しさを知ったなら、世界中の美術館の全ての絵画を焼き払っても悔いはないと思った。
みゆきさんの美があったら、他に美は要らない。
というか、他の物は、美に似た物でしかないだろう。
ダビンチのモナリザや、ルノワール、ドガ、そんな巨匠の描いた絵さえ、美を極めていない無意味かつ無価値なオブジェでしかない。
世界中の子供たちに、あれが美だと潜在的に刷り込ませる弊害を与えてはイケナイのである。
ルノワールや、ドガの絵画が美しいと教えては、子供の無垢な審美眼が濁ってしまう。
即刻、燃やしてしまうべきだろう。
そして、美術の教科書には、モナリザの代わりに、みゆきさんの写真を載せればいい。
美を学ぶには、みゆきさんの写真だけで、必要十分なのだから。
深夜、全身黒のピッチピチの服に、サングラスをして、ルーブル美術館に忍び込む。
予め、モナリザの位置は確認してあるのだ。
でもって、モナリザの絵の前に立って凡は言うね。
「ダビンチよ。あなたの描いたモナリザの微笑みは、ミステリアスだと人は言うかもしれないが、美しくは無い。本当の美しさを知らないなんて、ダビンチよ、君は、不幸ものだね。みゆきさんと同じ時代に生まれていたなら、絶対的な美を知ることが出来たのにね。ミステリアスなんて、そんな曖昧なものじゃなく、ただ素直に美しいと見とれてしまう美しい女性がいることを。」
と、やや饒舌に語ろうとして、何度も噛んでしまう。
凡は、ビックリするぐらい滑舌が悪い。
んでもって、何度も言い直すだろう。
「ダ、ダ、ダビンチよ。あ、あ、あ、穴、穴、穴、、、、。」
って、三遊亭圓歌さんかって。
しかし、モナリザの前で、長々話すのも格好悪い。
なので凡は、マッチをするね。
そして、モナリザの下に持ってくる。
1本、2本、3本。
中々、モナリザに火が点かない。
ライターにすれば良かったと後悔した。
そうしている間に、警備員に見つかって連行される凡。
何故、凡がモナリザを燃やそうとしたかを暗示するみゆきさんの「結果オーライ」のパンフレットを落としていく。
ふ、ふ、ふ、ふっ。
さて、この意味が解るかなと笑いながら、連れ去られていく。
いや、そんなトボケタ妄想をしている場合ではない。
目の前に、みゆきさんがいるんだ。
これを時間の無駄というのである。
集中だ。
みゆきさんに集中。
最初の曲は、「一期一会」だ。
まず、ステージに立ったときの立ち姿が美しい。
みゆきさんの身長は知らないが、いつもより、スッと背が高い感じに見える。
そのスラリとしたみゆきさんが着ているのは、アオザイ風の衣装で、下は淡いピンクのサテンのロングパンツ。
そして、上は、淡いピンクとグリーンと白の刺繍が施されている。
腕のところが、オーガンジーで腕が透けて見えるのがセクシーで、かつ美しい。
その透け感が、凡の双眼鏡を虜にした。
凡だけでなく、男性なら、この衣装の腕の透けているところに目がいってしまうのは、これは致し方ない。
んでもって、手首のところにまた、上着と同じような刺繍の袖が付いている。
髪は上のところで半円形に纏める感じで編み込んであって、ロングの髪は後ろに流している。
肩のところからヒラヒラのリボンような布が伸びているのがアクセントだ。
その衣装を見た瞬間、ウットリとため息が出てしまう。
美しい。
そして、フェミニンだ。
みゆきさんの柔らかで、優しい部分が、この衣装で引き立てられている。
そういえば、顔も、どこかしら、ふっくらとしているように見える。
まゆ毛も、やや太く濃く描いてるのじゃないかな。
どうも、チークも、広げてあるから判りづらいけれど、ピンク系だろう。
そのせいで、すごく若く見える。
もう、可愛いのである。
凡の好きなまつ毛も、凡の好きなタレ目風に貼ってくれている。
これで笑顔になると、目尻が下がって、どうにも、こうにもさ、可愛いんだな。
そして、瞼の上の押さえたシルバー系のハイライト。
ルージュは、今回は、凡の好きな、少し唇からはみ出して引くやりかたじゃなくて、控えめな感じで引いてある。
それがまた、スターみゆきさんというよりも、優しい女性みゆきさん、という雰囲気で、ウットリとしてしまう。
ああ、素敵だ。
みゆきさんの、柔らかく、優しく、温かなものが、衣装と化粧に現れていて、ひょっとしたら、今までで1番可愛いかもしれないと思う。
そして、一期一会が終わった。
MCになると、みゆきさんが、間違ったね、みたいなことを言ったが、凡には、まったく分からなかった。
だって、みゆきさんを見るのに精いっぱいだったもの。
それに、凡は、みゆきさんの歌の歌詞は、いつも聞き流しているので、よっぽどの間違いじゃないと気が付かないのではある。
こんな美しいみゆきさんを前にして、凡は、双眼鏡を目から外して、みゆきさんが、そこにいるという実感を噛みしめ、また、双眼鏡で、みゆきさんの顔を見つつ、んでもって、みゆきさんの腕のシースルーを見つつ、最高のスタートを切ったのであります。
んでもって、少しトークがあって、次は「アザミ嬢のララバイ」。
そして、「悪女」と続く。
悪女なんて、コンサートで歌うことがあるんだねと、あまり歌に詳しくない凡でも、そう思うぐらいだから、歌が好きなみゆきさんのファンは、ビックリしただろうね。
しかし、この悪女の時も、「ああ、みゆきさん、可愛いな。」と思う部分があった。
♪♪悪女になるなら、月夜はおよしよ、素直になりすぎる、隠しておいた言葉がほろり、こぼれてしまう、『行かないで』♪♪
この「行かないで」の部分だ。
その手前までみゆきさんが歌のだけれど、その「行かないで」の部分だけ、バックコーラスが歌う。
その時だ。
みゆきさんは、コーラスの方を見て、声に出てるのか出てないのか、凡には出てないと見えたのだけれど、兎に角、横顔で「行かないで」と歌うんだ。
声に出さない「行かないで。」
その口の開け方が、どうにも、こうにも可愛いんだな。
コーラスの歌い方も、なかなか良いんだけれど、みゆきさんの横顔の表情が、もう、あーた。
可愛いやら、切ないやら、美しいやら。
死ぬまで1度で良いから、みゆきさんに「行かないで。」なんて言われてみたいものであります。
しかし、みゆきさんに「行かないで。」と言われるためには、凡が、兎に角、ウソでも、みゆきさんから離れようとしなきゃいけない、という理屈になる訳で。
それは、想像できないな。
もし、凡が別れようなんて口にしたら、「オッケー。」なんて、明るく返事が返ってきそうだ。
そしたら、凡が「行かないで。」と言わなきゃいけなくなる。
凡は、大阪弁だから、みゆきさんに別れを告げられて、大泣きで、目や、鼻や、口から、得体のしれない液体を流しながら、「み、みゆきしゃーん。行かんといてーな。お、お願いや。そんな殺生な事せんといてーな。堪忍や。こんとおりや。」って、土下座して、合掌して、みゆきさんにお願いしなきゃいけなくなるだろう。
って、凡は何をしているんだ。
勝手な妄想をしている場合ではない。
今は、兎に角、コンサートに集中だ。
目の前に、みゆきさんがいるんだよ。
気を取り直して、ステージに集中すると、次の曲が掛かった。
「浅い眠り」だ。
この曲の時に、凡は、みゆきさんを見て、またビックリしたのだけれど、長くなってきたので、次のブログにて。
ここまで、読んでいただいて、ありがとうございます。

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