平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
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散散歩歩(942)。青春18きっぷで、剣山ユダヤの秘宝旅(3)

8月4日(日曜日)。
青春18きっぷを使って四国の剣山へ行こうという、その道中1日目である。
徳島まで来て、晩御飯を頂いている。
1軒目は、ツイッターの方に教えて頂いたカレー屋「だいきちカレー」さん。
2軒目は、吉田類も番組で訪れた大衆割烹「安兵衛」さん。
ここまで、ちょっとずつセーブをしながらお店に入った。
だから、まだ余力がある。
もう1軒と思って、駅まで行くと、駅ビルの屋上でビアガーデンをやっている。
今年はまだ、ビアガーデンに行っていない。
案内板を見ると、ワンコインステーキとクラフトビール飲み放題で1200円とある。
これは、なかなか良いプランじゃないか。
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ビアガーデンなら、若い女の子も行くだろう。
ビアガーデンに行く女は、開放的な女だと、以前、何かの雑誌で読んだことがある。
よし、今日は、凡も開放的な男を演じてみるか。
胸のボタンを3つばかし外して、凡の厚い胸板を見せるね。
情熱的な胸毛は生えていないから、そこはボールペンで描いてみる。
「オーレ!」
いきなり女の子の前で踊りだすというのは、どうだ。
腰を、クネクネクネ~。
いや、凡は、ダンスは苦手だ。
しかし、ボタンを3つ外した男が、ダンスもせずに、女の子の横で、じっと立っているというのも、これは不自然だ。
ボタンは、やっぱり外すのは無理だな。
それに、開放的な女ほど、落としにくいということを、いつだったか、男性週刊誌で読んだことがある。
そういえば、暗くて狭いバーなんかのほうが、口説きやすいというのも、想像だが納得できる話だ。
となると、旅人を演じるか。
寂しがり屋の女は、旅に弱いと、誰かに聞いた記憶がある。
明日は、どこかへ行ってしまう、危険な香りのするハンサムボーイ。
一応だけど、補足しておくと、この「危険な香りのするハンサムボーイ」というのは、凡の事だ。
可愛い女の子の横のテーブルで、静かに生ビールを飲んでいる。
当然、隣の女の子と目が合うね。
こういうシチュエーションは、恋愛の苦手な凡にとって緊張しまくりである。
興奮してしまった凡は、「徳島の~、ビアガーデンの、あだなさけ~。」なんて、素っ頓狂な声を出して、とっさに俳句を詠んでしまうだろう。
旅→松尾芭蕉→俳句、という凡の中では繋がってはいるけれども、若い女の子には、まったく意味の解らない連想である。
シマッタと思っても、後の祭りだ。
女の子は、「何か気持ち悪いー。危険な俳句ボーイには、近づかんとこ。」と、もう凡と目を合わすこともないだろう。
これもまた、ダメか。
まあ、作戦は、その時にアドリブで考えるとして、兎に角だ、ビアガーデン行ったとしたらだよ。
んでもって、兎に角だ、女の子がいるとしようよ。
夏の夜だから、ちょっと派手目の花柄のミニのワンピースにサンダルというところか。
首筋に薄っすらと汗をかいて、それを道端で配られた安物の団扇でもって、パタパタと扇いでるね。
久しぶりに学生時代の友人と、たわいない近況を報告するというか、お喋りしている。
25歳ぐらいの女性3人組という可能性が考えられるだろう。
凡の希望としては、そうあって欲しいところだ。
もう、少し前から飲み始めているから、そろそろ解散しようかと、みんな考えている。
ショートカットの女の子の1人が、テーブルの上に残っているポテトフライを、赤いマニキュアを塗った折れそうな細い指で摘まみ上げて、半分だけ口にくわえるよ。
んでもって、相手の話に、声を出さずに頷いている。
隣のテーブルに座った凡に気が付いて、恥ずかしそうに会釈をするね。
凡も、少し笑ったような表情で頭を下げるさ。
そんな時、どうだ。
みゆきさんの曲が、ビアガーデンの安物のスピーカーから聞こえてくる。
「あ、みゆきさんか、いいなあ。」なんて、凡は口に出てしまう。
すると、偶然とはこういうものか、そのポテトフライの女の子も、みゆきさんのファンだったりする訳だ。
「あたしも、みゆきさん、好きなんです。」なんてことになる。
「ウヒ、ウヒ、ウヒ、、、、。」気が付いたら、ビアガーデンのあるエレベーターの前で、イヤラシク笑っている凡がいた。
よし、ビアガーデンに突撃するか。
とはいうものの、22時閉場だ。
あと、30分もない。
2基のエレベーターの1基で、イヤラシイ笑いを浮かべた凡が上昇していく。
んでもって、別の1基で、可愛い女の子が、下降していく。
途中で、すれ違う、凡と可愛い女の子。
でも、それを凡は知らない。
なんてことを、想像したら、急に無意味な期待を抱いていたことに気が付いて、それに30分で飲み放題もないだろうと考え直して、ビアガーデンは諦めた。
駅ビルの地下には、飲食店もあって、ここで1杯と思ったが、時間が分からなかったので、これもまた諦める。
今日は、楽しい。
でも、あまり飲み過ぎて、二日酔いにでもなったら、1番の目的の剣山に、気持ちよく行けない。
締めのラーメンでも食べて、ホテルに戻ろう。
ホテルで教えて貰った駅前のお店は、チケットを買おうとしていたら、まだ待っている人がいるという。
その近くのラーメン屋は、ガラガラだ。
どっちが良いかと言うと、これは決められない。
たまたまのタイミングで、1つが行列で、1つがガラガラで、ということもある。
迷うのも、これまた面倒なので、別のラーメン屋にしようと歩き出す。
賑やかな通りから、ちょっと入ったところに中華そばのお店があった。
23時閉店で、今は、その15分前だ。
お店に迷惑かなと思いながらも、声を掛けてみると、大丈夫だと言っていただいたので、入る。
「萬里」さん。
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瓶ビールと、徳島ラーメンとライス。
徳島もそうだけれど、地方へ旅に行くと、何故か、その土地のラーメンが食べたくなる。
徳島ラーメンは、甘く煮た肉が乗っかってるのが特徴だ。
それに、ビールとライスのチョイスも、楽しい。
シマッタ。
徳島ラーメンとビールとライスで、ご満悦であったが、当然ながら、閉店前のラーメン屋は、凡以外誰もいない。
詰まり、女の子がいない。
詰まり、出会いがない。
さっきの、混んでるラーメン屋で、待ってでも店には行ったなら、隣に、サラサラロングヘア―の白のニットのワンピースのエクボの可愛い女の子が、隣に座ったかもしれなかったのだ。
とはいうものの、今日のところは、仕方がない。
今回の旅の目的は、剣山に登ることだ。
今日は、これで帰って体調を整えよう。
確か、女性向けの情報誌で、「山ガール」と呼ばれる女の子がいて、それが結構、若い女の子で、最近増えているという記事を読んだことがある。
よし、明日は、山ガールとの出会いを期待しようではないか。
もしもだったら、20歳より若くても、凡は大丈夫だ。
恋愛に年の差なんて、ナンセンスではないか。
途中のリフトで一緒になった女子高生と、息を切らせながら山を登るんだ。
凡が言ったジョークに、女子高生が、「ウケルー。」なんて言ってくれたなら、最高じゃないか。
いや、20歳以下は、やっぱり、凡には、シンドイか。
先日、女子高生が読むという「セブンティーン」という雑誌を読んでみたが、あれは本当に、17歳の女の子が読む雑誌なのだろうか。
ほぼ、ファッション雑誌じゃないか。
実にクダラン。
あのクダラナイ内容を見て喜んでいる女の子を笑わせるジョークは、凡には思いつかない。
考えうる案としては、村上ショージさんの「ドゥーン。」ぐらいか。
それも危険な賭けだろう。
そう考えると、20歳後半から30歳前半というところか。
そうだ、明日は、剣山で、30歳の山ガールとの出会いに期待しよう。
♪♪ つっ、つっ、つるぎさん~で、出会っちゃう~ ♪♪
と、凡の作詞作曲のワンフレーズソングを繰り返し歌いながら、ホテルに戻った。

コメント

  1. yukemuri より:

    おっ、混んでるラーメン屋と暇そうなラーメン屋が出てきたので、暇そうな店に突撃するかと思いきや、別の店に行きましたか!
    う~ん、予想が外れましたよ
    でも次の店も結局は誰も客はいなかったようですし、サラサラヘアーの美女も残念ながらいなかったようですね(笑)
    本場の徳島ラーメンも一度食べてみたいと思っていますが、なかなか徳島へは行くチャンスが無いんですよね・・・

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    後から考えると、暇そうな店に入っても良かったかなと。
    そんな、不味いラーメンだったら、駅前で、ずっと営業してられないですもんね。たまたま、暇だったということだと思うんですよね。
    でも、その時は、何となく、他の店も歩いて探してみたかったので。
    徳島ラーメンは、徳島以外では、あまり見かけないですよね。

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