平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(910)みゆきさんに似ている人のいる街へ(3)

1月5日(土曜日)。
今日のホテルは、ヴィアイン広島銀山町だ。
今回もまた、道中に、アイフォンで予約を入れた。
ちょうど、タイムセールというのか、サンキューセールというのか、1泊2日、朝食付きで、税込み3900円だった。
安いのを見つけられて、嬉しい。
部屋は、ロビーの上のエレベーターの前で、窓のカーテンを開けても、見えるのは、向かいのビルの非常階段だけだ。
とはいうものの、3900円なら、それでも十分お釣りがくるぐらいだろう。
部屋も、ホテルも、もう申し分なし。

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さて、これから、何か食べに行ってみよう。
広島は、都会なので、飲食店には困らない。
ただ、何度か行ったけれども、ちょうど凡に良いというお店を見つけるのは、やっぱり、他の地方都市と同じで、こればかりは縁なのであります。
フロントで、オススメのお店を聞いたら、コピーを呉れて、あるお店がオススメだと、赤いボールペンで丸印を付けてくれる。
こういうのは、ありがたい。
極めて優柔不断な凡でも、もうこれしかないのだから、悩む必要はないのである。
コピーの説明にも、「旬の味覚を値ごろに堪能」とあるではないか。
それなら、大いに堪能させていただこうじゃありませんか。

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ということで、時間も遅めであることもあって、素直に、オススメのお店に向かった。
魚菜家(さかなや)さん。

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入口には、メニューなども壁にあって、見ると居酒屋ぐらいの値段設定に感じる。
入ると、カウンターと座敷があったけれど、ほぼ満席状態だ。
ただ、入口近くに2席の空があったので、そこを案内される。
凡の右隣は、サラリーマンらしき50歳ぐらいの男性2人。
そして、左隣は、1つ席を空けて、20代の女の子の2人組。
それを確認したら、自然と目尻が下がる。
しかも、可愛い。
さて、まずは生ビールを注文して、メニューに目を通す。
ビールと一緒に運ばれてきたお通しには、野菜の炊いたんに、金箔が乗っかっていた。
なかなか、オシャレじゃないか。
普通の居酒屋よりは、高級なのかもしれない。

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目の前には、木の板があって、今日のオススメが書かれていた。
その1番上に、活渡りガニ塩ゆでとある。
そして、その横にグラム18円と書かれていた。
ワタリガニは、好きだ。
美味しいものね。
とはいうものの、ワタリガニの量り売りというのは、どうなのだと考える。
これが、ステーキなら量り売りも解るのである。
誰がどう切り分けたって、グラム数に変わりはない。
焼く前と、焼いた後でのグラム数の変化は、あるのかないのか、それは置いておいてね。
でも、ワタリガニは、その甲羅はどうするのよ。
ワタリガニの、身と甲羅の比率を考えたなら、ひょっとしての想像だけれども、背中の甲羅や、手足の殻、そんな身以外の方が、或いは、重いのじゃないだろうか。
まさか、身だけの量り売りではないだろう。
いくら量り売りだと言っても1杯は注文しなきゃいけない筈である。
出て来た料理を見て、「あっ、その甲羅は外しておいてね。」なんてことは、言える道理ではない。
一体、あのワタリガニは、1杯、何グラムぐらいなんだろうと、頭の中で想像する。
まあ、100g以上はするだろうなと思った時、注文するのを諦めた。
さて、まずはお造りの盛り合わせを頼む。
これは、最初に頼むには、無難か。

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そして、2杯目のビールに行くころに、料理を追加する。
かき天ぷらみぞれ煮。1180円。
牡蠣と言うと、普段はカキフライか、或いは、焼くか、酢牡蠣にするか、そんなものしか調理法としては思いつかない。
でも、牡蠣を天ぷらにして、みぞれ煮にしてあるというのは、凡は食べたことが無い。
けれども、これは間違いなく美味しいと想像できるではないか。
ということで、それを注文。
そして、もみじ豚の味噌漬焼。1180円。
肉料理も食べたいと思ったからだ。
と、ここまで注文して様子を見る。
入口のメニューの看板を見た時は、もっと庶民的なのかと思ったけれども、今メニューを検討すると、やや高めの設定であるからだ。
これは、注意を要するなと思っていると、料理が運ばれてくる。
かきの天ぷらのみぞれ煮は、これは、出汁の風味と、大根おろしにトロミを付けた食感、それに牡蠣の旨味が、絶妙にマッチして、美味しい。
同じ食材でも、調理する仕方によって、こんなにも味わいが違ってくるのかと感心した。

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素材のもっている味を楽しむには、出来るだけシンプルな調理法が良いと思って来たけれど、今回は、また違った考え方に気づかせてもらえた。
例えば、牡蠣なら、そのままレモンを絞って食べるとか、或いは、そのまま焼いて食べるとかね。
そういう食べ方が、素材を楽しむには良いのだと思っていた。
でも、調理法を工夫することで、また新しい美味しさが加わるということを、この牡蠣の天ぷらのみぞれ煮で教えて貰った気がした。
これこそが、料理は、文化だと言える理由なのかもしれない。
そして、豚の味噌漬焼は、これは味噌を使っているので、味も濃くて、凡好みで、美味しく頂いた。

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さて、ここらあたりで、日本酒に切り替えたいと思うのだけれど、メニューを見て、やや高めの設定だなと思う。
どれもグラスで1000円オーバーだ。
どれぐらいの量かは分からないけれど、お店の感じからは、1合もないだろう。
元値を考えると、というか、こんな場所で元値を計算しても仕方のないことだけれども、ちょっと乗っけ過ぎじゃないかと思う。
なので、普通の熱燗を頂く。

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とはいうものの、なかなか雰囲気も良いし、料理も美味しいし、お酒も種類が多い。
お店としては、正解だと思う。
ただ、あまり居座ってしまうと、会計が心配だ。
でも、あと、何か食べて店を出たいと思ったので、生うにの天ぷらを注文。
1480円。
これもまた、勇気のいる注文ではある。
生うには、何と言っても生が美味い。
あの磯の香りと、ねっとりとした旨味が、ウニの本分だろう。
それに火を通したなら、風味は消えてしまうし、ねっとりした旨味も消えてしまう。
しかし、どうも気になる。
やや時間を待って運ばれてきたものは、ウニを海苔で巻いて、天ぷらにしたもので、口に入れると、これもまた、ちょうど良い火の通し加減で、ウニの香もしーの、旨味もしーの、しかも、温かくて、てんぷらの要素の美味しさも加わって、美味しいのである。

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こんな料理を食べさせられたなら、何か、寂しくなる。
この料理を作るには、経験やら、技術やら、知識やら、そういうものを駆使しなきゃいけない訳で、それには、それなりの努力が必要だったはずなのである。
なのに、それを今食べている凡と来たら、日々の仕事や、日々の生活に、何の経験もある訳じゃないし、技術がある訳でもないし、努力だって、毎日やっているかというと、その辺は、いい加減にやっている部分もあるのである。
そんな凡自身と、この料理を作った人を比較してみて、凡の存在が寂しくなるのである。
なんかさ、もっとちゃんとした人間にならなきゃいけない焦りを感じてしまった。
そんな料理を楽しみながら、ツイッターに料理の写真を投稿したら、岡山に、みゆきさんに似たママがやっている居酒屋があるというコメントを頂いた。
これは、素通りできない問題だ。
みゆきさんに似ている。
しかも、すぐ近くにいるとは、これは、いくら似ている人で、本人じゃないと言っても、ドキドキするじゃない。
更に、アップされた写真を拝見すると、ちょっと微妙ではあるけれども、似ていると言われれば似ている。
それに、その微妙さが、かえってその存在をリアルにして、みゆきさん本人よりも、艶めかしく感じさせるのが不思議だ。
たとえ、似ている人でも、近くで会ったなら、或いは、好きになってしまうのじゃないだろうかと、急に逢いたくなったのであります。
更に、聞いてみると倉敷だという。
カウンターで、料理への気もそぞろに、アイフォンで、今から倉敷へ行けるのかを調べてみると、今日中には帰って来れないということが解ったので、今から行くことは諦めた。
でも、行ってみたいよね。
さて、会計も心配なので、左隣の可愛いい女の子は気になったが、店を出ることにしようかな。
合計、8180円。
こんなものかとも思えるのだけれど、ホテルで貰ったコピーに書かれてあった、「値ごろで堪能」という文言は、当たっているのか、間違っているのか。
店を出て、凡はすぐに、件の居酒屋に電話を入れてみた。
そして、明日はやっていますかと尋ねる。
すると、日曜日なので定休日だという。
残念だ。
残念であることを告げると、また岡山に来たら寄ってくださいという。
仕方がない。
と電話を切る。
しかし、ここで、ある疑問が頭をもたげた。
ツイッターの情報で、この店だろうということで、電話を入れたけれども、果たして、あのみゆきさんに似た人がいるお店だったのだろうかと。
これは、確認しておく必要がある。
ということで、また電話を入れる。
「あのう、さっき電話したものですが、中島みゆきさんに似た人がいると聞いて、行ってみたいと思っているのですが、ママは、みゆきさんに似ている人ですか。」
随分、失礼でストレートな質問だ。
すると、「どこで聞いたの?」と返って来たので、ツイッターで聞いたと言ったら、「そういう風に言う人もいる。」とまんざら似ていない訳でもなさそうだ。
それなら、余計に会ってみたい。
でも、時間的に行けないのであるから、諦めるしかないか。
さて、お腹も落ち着いたし、夜の広島を歩いてみよう。
と、歩き回りはしたものの、色っぽい街並みを歩いてみても、意外にも呼び込みが近寄ってこない。
呼び込みの男の人や、スナックの女の子らしき人は、道に沢山立っているのだけれど、声を掛けてこないのだ。
或いは、凡が貧乏人だと見えたのか。
しかし、昔なら、貧乏人に見えても、そこからまた、むしり取ってやろうと声を掛けてきたものだけれどね。
とはいうものの、そういうお店に行きたいと思っている訳じゃありませんよ。
ただ、人は多いけれども、静かな印象だったということであります。

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んでもって、最後にラーメンとか、何かそんな類を食べて戻ろうかと思うのだけれど、巡り合わない。
どうも、広島では、お店は沢山あるのだろうけれど、飲食店との縁が薄いようであります。
仕方がないので、ホテルにやや近いラーメン店に入る。
普通なら、ラーメンだけで片付ければ良いものを、そこは凡なのでありますから、ビールと餃子を注文してしまう。
気に入ったのが、ビールは、小瓶だ。
凡は、ビールは、小瓶が1番好きだ。
あれを、何本もテーブルに並べて行くのがいい。
それに、見た目も可愛いしね。
でも、今は1本でやめる。

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んでもって、ラーメンとチャーハンで締めた。
やや、食べ過ぎなのかもしれない。
そして、ホテルに戻ってシャワーをしたら、すぐに眠ることができたのであります。
みゆきさんに似た人の夢を見ることもなかった。

 中島みゆきさんの「リトル・トーキョー」を見に行く前に

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コメント

  1. ゆけむり より:

    このホテルはお得ですね!
    なかなかこの値段では泊まれないですよね
    しかも繁華街のほぼど真ん中で、飲み食いするには申し分ないですよね
    ウニの天ぷらは美味しそうですが、お酒などは高いですね
    ちょっと高過ぎで、アレコレ注文しずらいですね
    グラスで1000円は厳しいなぁ・・・

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    今回のホテルは大正解でした。
    普段なら、倍ぐらいするのですが、当日探すと、こんなタイムセールみたいなのに当たることがあるんですよね。
    綺麗だし、リッチも飲んで歩いて帰れるし。
    お店は、なかなか良かったですが、何しろ、価格がちょっと高めですよね。お酒も、写真では、広島の地酒だから、グラス1000円ぐらいですが、それでも高いですけど、他の有名なお酒になると、グラス1500円とか1700円とかしてました。
    このお店は、お金の持ってる人か、隣の女の子のように、注文しないで、ペチャクチャとお話をして過ごすのがせいかいなのかもしれません。

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