平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(814)上海で中華料理の夕食を食べない旅(11)。

6月12日(月曜日)。
蘇州の拙政園を見学して、周辺でも散策してみようかなと思って歩いていたら、平江路という路地のような道があった。
面白そうだなと思って進んでいったら、急に道幅も広くなって、カフェなどのお店が続くレトロでオシャレなエリアというか道になった。
横には水路が流れ、観光用の小舟が通って行く。
何とも言えない香りの良い風が凡を吹き抜けていく。
街路樹の小さな花から発している香だろう。
このあたりなら、美味しいお店もあるに違いない。
そして、オシャレなエリアだから、オシャレな女の子もいるに違いない。
平江路も、かなり歩いたところに、小さな橋が架かっていて、その向こうにガラス張りのお店があった。
何となくオープンな感じも街に溶け込んいて、オシャレな感じだ。
橋を渡ってみると、店の横にうさぎさんがいた。
お店にはカップルの先客が1組いて、食事をしている。
それとなく、店の外から、その食事のおかずを除いて見てみた。
豪華という訳ではなく、特別に美味しそうというのでもなく、至って普通。
手ごろな料理という感じだ。
とはいうものの、凡は昨夜もその前の夜も中華風のものを食べていない。
なので、ここは中華のお店なので入ってみようと思った。

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(お店の横のうさぎさん)

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(外観)
「媽媽菜館」さん。
席に座ってメニューを貰うが、まったく解らない。
その様子を見て、お姉さんが英語のメニューを出してくれる。
メニューの写真を見て、これは美味しそうだなと思うものは、何となく日本でも食べられそうな料理だ。
鶏肉をピリ辛に炒めたようなものでも注文しようかなと思いながら、でも、折角だからと、お姉さんにオススメは何ですかと聞いてみる。
すると、奥から50歳ぐらいだろうか、男性が出てきた。
なので、男性にオススメを聞いたら、松鼠桂魚と名前の書かれた写真を指差した。
そういえば、蘇州に着いてから飲食店の前を通ったら、かなりの確率で、この松鼠桂魚の写真が店頭に貼られている。
蘇州の名物には違いないようだ。
値段を聞くと148元だという。2500円ぐらいかな。
凡が1人で食べるには、ちょっと高いかと思ったが、オススメを聞いて値段を確認して違う料理を注文するのも貧乏人だと思われるだろう。
貧乏人には違いないのだけれど。
それに、一昨日から、何となく不本意なということでもないのだけれど、これだという料理を食べていない。
蘇州へ来て、ケチっても仕方がない。
ということで、松鼠桂魚を注文。

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お昼なので迷ったが、何となく良い気分だったので、ビールを注文。
蘇州のお昼に飲むビールは、格別の味だ。
横のテーブルに、スズメがきて遊んでいる。
ガラスを透かして目の前に水路があって、時おり地元の人なのかな、橋を渡って行き来している。
何とも、蘇州を満喫しているなあと思った。

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(横のテーブルで雀が遊んでいる)

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(あらかじめお皿とコップはテーブルにセッティングされていた)
松鼠桂魚は、桂魚という魚を、松かさの様に切り目を入れて揚げたものに、甘酢の餡を掛けてあるものだ。
松鼠とは、リスのことらしい。
見た目の松かさのような切り目が、リスに見えるのかな。

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そんでもって、お味の方は、魚に切り目をいれて小麦粉か何かをまぶして油で揚げているのですが、その衣が結構分厚くて、もそもそした食感になってしまっている。
魚の味自体も、衣が勝っているから、魚の味が、あまり分からなかった。
とはいうものの、凡は餡かけが好きなので、まあまあ美味しく頂きました。
ただ、後で追加した白ご飯は、驚くほどポソポソしていてた。
松鼠桂魚に関しては、蘇州には有名店があるそうで、そっちも1度食べてみたいな。
そうだと思って、アイフォンを取り出して、翻訳アプリで、さっき水路の横の道を歩いていた時に感じていた香りのよい空気の塊の、その香りを発している元の樹の名前を、お兄さんに訊いてみた。

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(たぶん、この樹の花の香だと思うのだけれど。)
お兄さんは、天井を向いて何かを思い出そうとするけれども、思い出せないようで、スマートフォンを取り出して、凡のいう香りのよい樹を調べてくれた。
そして、「香樟」だと教えてくれた。
シャンチョンとシャンチョンの間ぐらいの言葉で、カタカナでは書けない発音だった。
凡が、お兄さんの発音を真似て発音したら、そうだとお兄さんが大きくうなずく。
料理も美味しく頂いて、会計をしたら、170元だった。
さて、お店を出たら、また平江路を進む。
何とも趣のある風景だ。
車の勢いよく走る道路に突き当たったら、平江路も終点のようだ。
これから予定していた留園に行こうと思ったが、水郷の楽しさを知ってしまった凡は、それより先に山塘街へ行ってみようと思う。
山塘街は、明清時代の街並みを再現したエリアで、水郷の街を見ることが出来る。
それに、留園は、18時までやっているから、山塘街を見てからでも間に合うだろう。

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車の通る道を左に歩いて行くと地下鉄の相門駅がある。
結構歩いて、橋を渡って、さらに進んで行ったけれども、相門駅に着かない。
少し賑やかな交差点まで来て、警備のオッチャンに聞いたら、凡が来た反対の方向だという。

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(途中で橋を渡ったのだけれど、ひょっとしたら、この橋のところに駅があったのかもしれない。この時は、気づかずに写真を撮って、通りすぎて歩いていった。)
それなら、駅を見落としていたんだと思って引き返そうと歩き始めたが、どうもオッチャンの言ったことが信じられないというか、もう1人別の人に聞いてみようと、銀行に入って受付の女性に聞いてみた。
すると、やっぱり警備員のオッチャンの言った方だというのだけれど、地下鉄の駅に行きたいというと、話が分かったようで、何かを凡に伝えようとしている。
なのだけれど、何を言っているのか分からないで困っていると、女性は付いて来いと銀行を出て急ぎ足で、さっきの交差点に向かった。
凡も急ぎ足で追いかける。
交差点には、さっきの警備員がいて、女性に何かを言った。
「駅はあっちやって、この兄ちゃんに言うたで。」てなことだろう。
女性も警備員に何かを言った。
「この男前のお兄さんは、地下鉄の駅に行きたいんや。別に相門駅やなくてもいいんや。この男前のお兄さんは、この駅でもええんや。」なんてことを答えたに違いない。
そして、お姉さんが指さしたところに、まさにこの交差点の場所に、凡が通り過ぎてしまった駅の次の駅の東環路駅があった。
地下鉄の東環路駅から、山塘街駅まで移動。
地上に出ると、さて方向が解らない。
何となく人の多そうな方に向かって歩くと、川があって、その横にレトロな街並みの商店街があった。
ここは有名なエリアなのか、観光客も多くって、賑やかな雰囲気が楽しい。
路地の両脇にはお店も多いけれど、これといって欲しいものを売ってはいない。

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(ガイドブックに載っている山塘街の商店街)

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商店街を通り抜けると、その先には庶民的な街もあり、また広い水路というのだろうか池のようなところもあり、観光客の多い商店街よりも、そっちのエリアの方に凡は惹かれるものがあった。
蘇州へ来て思うことは、街のいたるところに美しいエリアがあるということだ。
今日は日帰りで来たけれども、次回は泊って、ゆっくりしたいなあ。

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(商店街を抜けたところ)

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(商店街を抜けたところにも、広い水郷が広がっていた)
さて、雰囲気が気に入ったからといって、どんどん先に進んでしまうと、帰ってこれなくなってしまうだろう。
なので、途中で引き返す。
結構歩き続けて、少しばかり疲れもしたし、喉も乾いた。
若者向けのドリンクのお店があって、如何にも飲んだらスッキリするだろうなという感じのソーダがあったのでお店に入る。
テイクアウトのお店だけれど、奥に小さなイートインスペースがあった。
入口のソーダの写真は若者風だけれど、奥は意外と庶民的だった。
レモンソーダ、15元。

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(レモンソーダのお店)
んでもって、山塘街の商店街に入った場所にもどって、そこから、車の通る道路を越えて反対側にも行ってみる。
こっちのエリアは、急に庶民的になって、お店も観光客相手じゃなくて、地元の人のお店が並ぶ。
フルーツなどは値段も安くて、買ってみたかったが、量が多いし、持って帰れないのであきらめる。
どっちかというと、凡はさっきの観光客の多い商店街よりも、こっちの方が、なんとも心なごむ雰囲気で気に入ったのであります。

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(反対側の庶民的な商店街)

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さて、そろそろ留園に向かおう。
ここから歩いて行ける距離なのだけれど、方向がイマイチ解らない。
駅の近くでバイクに乗ろうとしていたお兄ちゃんに聞いたら、スマートフォンで調べて、あっちだと教えてくれた。
途中で、まだ着かないので、道でタバコを吸っていた美容院のお兄ちゃんに聞いたら、どうも分からないようだったが、横にいたおばちゃんが、あっちだと教えてくれる。
すると、小学校の正門にたどり着く。
ちょうど下校時間なのか、子供を迎えに来た親のバイクがひしめき合っている。
凡の前には、おじいちゃんがバイクに乗って、後ろにいる授業の終わった孫にお菓子をやろうしている。
子どもが、詰まらなそうに、そのお菓子を断った。
どこにでもありそうな風景だけれど、おじいちゃんも子供が可愛いんだろうなと、バンバン車が通っていく道路で、しみじみとした気持ちになる。
この小学校は、どうも教育熱心な校風なのかもしれない。

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(小学校)

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(小学校に子供を迎えにいく人が多い)

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(小学校を通り過ぎて行くと、ガイドブックに載ってないけれど、こんな素敵な風景があった)
そんな交差点を、まだ進んで行くと、またもや川があって、素敵な風景が広がる。
とはいうものの留園には着かない。
なので、道を歩いているミニスカートの女性に聞いてみると、凡が今来た道を指さして、あっちだという。
またもや通り過ぎてしまったようだ。
それにしても、蘇州の人は親切だ。
路を尋ねても、ちゃんと教えてくれる。
ただ、「あっち。」だとしか言わないのが、少しばかり困るところだ。
地下鉄の駅の兄ちゃんも「あっち。」だし、美容院の前にいたおばちゃんも「あっち。」だし、みんな「あっち。」。
今のこのミニスカートの女性も「あっち。」だという。
ただ、この後に解るのだけれど、留園は、「あっち。」に行ってから、左に道を曲がって、結構歩く。
なので、「あっち。」と言った後に、手のひらでもクキリと曲げて、左の方に手首で曲がることを付け加えて欲しいのだけれど、そこまで期待するのは贅沢と言うものだろうか。

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(留園路の標識を見落としていた)
果たして、ミニスカートの女性が「あっち。」と言った方向に戻っていくと、さっきの小学校の向かいに「留園路」という標識があって、街路樹の木陰の気持ちの良い道が延びていた。
またもや凡の見落としでありました。
それにしても、この留園路もまた、雰囲気の良い道だ。
凡は、外国に行って、街路樹がある歩道に出くわすと、ああ、雰囲気が良いなあと思う。
あの街路樹の木陰に、何とも言えない心地良い空間を感じるのであります。
何故だか理由は解らないけれどもね。
のんびりと、街路樹の木陰を留園に向かって歩き出した。

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sansanpopo@tairabonzou.jp
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コメント

  1. ゆけむり より:

    蘇州のちょっと古いびた食堂で街を行きかう人を長間ながら料理を待つ
    隣のテーブルにはスズメが遊びに来て、それを見ながら冷たいビールでのどを潤す
    かぁ~、実に良いシチュエーションですね~
    このゆったりした時間、これは何とも言えない贅沢なひと時ですね
    水路のある街って大好きです
    とてもゆったりした時間が流れているようで、ましてこれが外国だとすごく旅を満喫している機敏になられたんではないでしょうか?
    名物料理の松鼠桂魚も食べたし、香りの良い木の花の謎も解けましたしね!

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    この日の昼食は、何とか中華的な食事をすることができました。
    お店がガラス張りのような感じになっているので、店の前の風景も楽しみながら蘇州名物を頂きました。
    蘇州は、ゆけむりさんがおっしゃるように水路が、そこいらじゅうにあるので、歩いていて楽しかったです。
    蘇州以外にも、水郷の街が沢山あるようなので、今度は、そっちの方も回ってみたいです。

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