平 凡蔵。の 創作劇場

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どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(387)JTBのびっくりプライス・岡山の旅(6)

児島駅から歩いてすぐのところに、観光船の乗り場がある。
チケットを買おうとすると、ちょっと待ってくれと言った。
何でも観光の催行人数が3人だか4人だかで、2人では出航しないので、凡より前にチケットを買いに来た2人組が戻ってきたらチケットを販売するという。
どうなるのかと思ったが、2人組が帰ってきたので、無事乗船できた。
微妙な損益分岐点。

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船に入るとびっくりした。

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座敷なのです。
どうやって座るべきか。
それともゴロンと寝転がるか。
寝転がるのは、気持ちがいいけれども景色が見えない。
普通の人は胡坐をかくのだろう。
凡は、自分でも笑ってしまうぐらい体が硬い。
なので、一般的に楽な座り方である胡坐が苦手だ。
左右に開いた足の付け根も痛いし、腰も痛い、背中も丸くお腹が圧迫される。
でも、地方の遊覧船では、これもまた旅のおまけである。
出航すると波しぶきを上げて、思いのほかのスピードで持って瀬戸内海の静かな水面を走り出した。

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助けてー。
思わず窓の手すりにしがみつく。
この窓なのですが、景色が良く見えるように大きく作られているのです。
それはいい。
でも、その位置がまずい。
座っている床からほんの数十センチしかないのです。
窓が開いているものだから、もし船が揺れたら落っこちそうだ。
勿論、この座敷で立つなんてことは自殺行為に等しい。
凡はこんな場面では、落っこちる想像を頭の中で何度も何度も繰り返してしまう。
ゆらゆら、つるん、ざっぷーん。
ゆらゆら、つるん、ざっぷーん。
助けてくれー。
波しぶきとエンジンの音にかき消されて、凡の声は船長さんに届かない。
海にはサメなんかもいる訳だ。
クラゲもいる。
もう耐えられない。
必死で、イルカが助けに来てくれるイメージを描こうと試みた。
イルカが、サーッと凡に近づいてくれる。
そして、背びれにつかまると、近くの島まで連れて行ってくれるのです。
凡の頭の中では、船に乗って海に落っこちた想像をしてしまったときは、今までイルカが何度も助けてくれた。
ありがとう、イルカさん。
必死で、窓の枠につかまりながら、それでも景色を楽しもうとしていると、前に座っているミニボンが楽しそうに笑っていた。
のんきなものである。
舟は瀬戸大橋の下をくぐって、またもとの児島へもどった。
怖かったのですが、景色は最高に綺麗だった。
さて、朝の予定通り倉敷へ向かおう。
倉敷には何度も来ているのですが、今回行ってみて、観光で賑やかな美観地区の面積が広がっていることを知った。
広い範囲に可愛いお土産屋さんや、こだわりの素材を使ったお店などが、新しく出来ていて、以前より楽しい街になっていた。

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さて、ここで今回のツアーの特典を利用しよう。
JTBでツアーを頼むと、簡単な雑誌「るるぶ」がついてくる。

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これには、またクーポンがついていて、指定されたお店で特典を利用できるのです。
倉敷での特典は、美観地区のお店でお菓子とコーヒーが頂けたり、きびだんごのお土産がもらえたりする。
凡とミニボンは、「くらしき川船流し」をすることにした。
くらしき川は、美観地区の白壁の街並みの真ん中を流れる小さな川だ。
川岸には柳が垂れて、もし絵心があるならスケッチでもしたくなるような情緒がある。
舟には凡とミニボン、それに2人の同船者がいた。

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小さな小舟で、船頭さんの説明を聞きながら、短い距離ではあるけれど、のんびりと水面の水音に半分耳を傾けて、舟から倉敷の街並みを眺めるのは気持ちのいい時間だった。
さて、これからどうしようか。
倉敷の街も、広くなっているので夕方までブラブラするのも悪くない。
なのだけれど、凡の中にある計画が浮かび上がった。
倉敷まで来たのだから、もう少し足を延ばして尾道までいきたいな。
理由は、今まで何度も試みて来たけれど、1度も実現していない「朱華園」さんのラーメンを食べるためだ。
尾道までは、まだ1時間ぐらい掛かる。
ミニボンに、恐る恐る聞くと、行ってもいいという。
それじゃ、行こう。
今度こそは、朱華園さんのラーメンが食べられるのである。
その場で、朱華園さんに電話をした。
やっているかどうか確認するためだ。
よし、今日は定休日でもないし、臨時休業もしていない。
足早で倉敷駅に向かう。
そして、尾道駅。
これまた足早にお店に向かう。
お店の入り口は、もう何度も見ているので馴染みがある。
昔ながらの、そして少しこだわりのありそうな店構えである。

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中に入ると、案外とカジュアルな明るい雰囲気だ。
もちろん、注文は中華そば。550円。

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やっとやっと、念願の朱華園さんの中華そばが食べられる。
さて、待ちに待った中華そばは、ほんの少し酸味を感じる濃いめの醤油の味がしっかりと利いている。背油はやや大きい。
この味が朱華園さんの味なのだろう。
麺は平打ち麺で、程よい湯がき加減で、硬くなく凡好みである。
昔、大阪の心斎橋に「めんくい」さんというラーメン屋さんがあって、ここの朱華園さんの麺を取り寄せて営業されていた。
そのラーメンの麺を、その当時の会社の先輩が、インスタントラーメンに似ていると評していた。
今回、朱華園さんで食べて、その先輩の言葉を思い出した。
確かに、インスタントラーメンの麺と評する気持ちは解る。
勿論、インスタントラーメンと比べるなんて、朱華園さんに申し訳ないのですが、凡はインスタントラーメンが大好きなので、そして乾麺が大好きなので、これは凡にとっては賞賛の言葉であります。
ただ、インスタントラーメンよりは、しっかりとしていて、麺の表面が滑らかだ。
その点で、やっぱり朱華園さんの中華そばでなくてはいけない理由が存在する。
さて、本当は凡はここで2杯注文して食べるつもりだった。
ずっと憧れて憧れて、食べることができなかったのですもの。
でも、1杯にした。
そのわけは、先日お菓子屋のお姉さんに聞いた、「つたふじ」さんにも行ってみたかったからだ。
ここも地元のおすすめのお店だそうで、食べ比べと計画している訳なのであります。
お店をでると、これまた足早に、つたふじさんに向かう。

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やっぱりね。
やっぱりそうだ。
やっぱり、凡は運が悪い。
なんと、つたふじさんは休んでいた。
どうもね、それだったら朱華園さんで2杯食べたのに。
少し残念な気持ちで駅に向かってあるいているときに、ふとお土産屋さんのラーメンのセットに目が留まった。
「壹番館」さんのお持ち帰り用のラーメンだ。
その説明書きを読むと、ミシュランの2013年の広島版に掲載されたと書かれている。
ミシュラン?
そんなすごいお店が、この尾道にあったんだ。
それも、尾道ラーメンのお店。
これは行かなければ、気になってしょうがないだろう。
地図を見ながら尋ねていくと、時分時を外れていたからか、店内は誰もいなかった。
もちろん基本のラーメンを注文。

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壹番館さんのラーメンは、醤油の味わいがマイルドだ。
スープには甘味があって、やさしい。
麺は平打ち麺で、やや硬め。
これはこれで、なかなかのラーメンです。
ただ、比べると、癖になって、また食べたくなるという意味では、朱華園さんに1票か。
とはいうものの、どちらも特徴があって、美味しいラーメンである。
ラーメンを2軒はしごしたら、流石にお腹も膨れまして。
尾道から岡山まで戻って、それでも駅弁を購入して帰りの新幹線に乗り込んだのでありました。
帰路の新幹線は、こだまだ。
見ると、レールスターではないですか。
これは中々うれしいな。
このレールスターというのは、以前は山陽新幹線のひかりとして運行されていた。
それが無くなったと思っていたのですが、実際に駅で駅員に聞いたら無くなったと答えていたのですが、こだまとして、まだ現役で走っていたのですね。
うれしいな、と思ったのは凡だけではないようで、新大阪に着いた時に、若い女の子がレールスターのロゴマークを写真で撮っていた。
鉄道好きな女の子。
これも、またいいなあ。
ということで、無事大阪に帰り着いたのであります。
今回は、みゆきさんの夜会工場へ行ってきたことを書きたくて、かなり端折って書きました。
それにしても、やっぱり書くの遅いのね。

コメント

  1. ゆけむり より:

    JTBの列車&宿がセットになっているのはかなりお得ですね!
    普段は電車に乗らないので、このようなナイスな物が販売されているのは知りませんでしたよ・・・
    お得なクーポンがついてくるのも嬉しいですね
    倉敷美観地区はいつか行ってみたいと思っています
    船でお堀?をゆっくり観光するのも乙ですね

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    やっぱりツアーはお得ですね。
    それに、クーポンは、そんなにすごいサービスはないけれど、でも、ちょっと嬉しいです。
    なにしろ、タダなのですもん。
    倉敷は、以前より楽しめる街になっていました。
    お土産屋さんもいっぱい新しくできていましたし。
    時間があれば、大原美術館なんかもお勧めですよ。
    この川は、お堀に見えますよね。
    池か何かの。
    でも、今回船の船頭さんに説明を聞くと。
    海にまでながれている川だそうです。
    それも初めて知ってびっくりです。

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