平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(375)どこかへ行って来たらと言われて出かけた金沢の旅。(5)

初めての土地でお店に入るとなると、凡であっても悩んでしまう。
どこのお店がいいかなとか、入るのに勇気がいるなあとか、いろいろ考える。
とはいうものの、そうやって街を歩き回ること自体が、旅の楽しい作業でありまして、探し探し1時間ぐらい日の落ちた街を歩き回ることも多い。
それでもって、「えいやっ。」という感じで暖簾をくぐることになるのでございます。
さて、今宵のお店は、凡に取って吉と出るか凶とでるか。
香林坊と犀川の間の路地を縦横に歩く。
金沢はお店も多く、その歩き回る時間が楽しい。
そこで1軒のお店の前に足を止める。
居酒屋風のお店なんだけれど、表の戸の隙間から覗くと、客層もなかなかいい。
派手な若者が酔いに任せて騒いでいるということもない。
カウンターに座っているのは、落ち着いた中年で、カップルで来ていても静かにお酒を楽しんでいるという感じだ。
ここは、良さそうだね。
「いたる」さん。

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市内に何軒かあるようで、たぶん凡が入ったのは香林坊店なのだろう。
後でガイドブックを見ると、地元の人も一目置く居酒屋だそうです。
自分の鼻で嗅ぎ分けたお店が、ガイドブックに載っているというのは、どうも悔しいところもあるけれども、カウンターに座った居心地が良ければ、それでよい。
カウンターのお兄さんが、初めに造りをすすめてくれた。

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お兄さんのよると、凡が訪れた時が、1年の内でも1番美味しい魚の種類の少ない季節だそうです。
「もうちょっと、待ってね。」という感じの季節だとか。
それでも、今美味しい魚だといって、魚の説明をしてくれたけれど、今となっては忘れてしまった。
造りの盛り合わせ。

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(天井に、こんなボードがありました。たぶん今日のお造りは、この中の魚じゃないかな。)
良いお店に入ると、勘定のことを忘れるというか、それはアルコールのせいでもあるのですが、「もう、どうでもいいや。」という気分になって、分不相応なものを注文してしまうこともある。
かにの甲羅みそ焼き。1400円。

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(中は、全部カニの脚の肉だ。)
よく安い若者向けの居酒屋に入ると、カニの甲羅のグラタンというものがある。
食べてみると確かにグラタンなのだけれど、カニはどこなのという代物であることがほとんどだ。
でも、ここの甲羅みそ焼きは、ただものじゃない。
注文をすると、カウンターに乗っているベニズワイガニを、おもむろに取り上げて、調理にかかる。
そして、甲羅の中に、そのカニの脚の殻を剥いた、カニの脚の身そのものを敷き詰めるのであります。
そして味噌を乗せてオーブンで焼くのであります。
ゴージャス。
お兄さんによると、この内容でこの値段はリーズナブルだとか。
それはそうだね、全部カニだもの。
その後も、1人旅の凡に声を掛けていただき、美味しいものを色々頂きました。
能登ぶたの厚切り焼き柚胡椒とか、加賀れんこんの蓮蒸しとか。

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地酒もいろいろ試しましたが、今では覚えていません。

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ただ、かなりの量を頂いたようではあります。
気分のよいお店で、飲んで食べて、お勘定をしたときは、1万円ちょっとだった。
行きましたねえ。
でも、美味しいものを頂いた満足感と、アルコールのせいもあって、気分が良くて、ぶらぶらと街中を、まっすぐホテルに帰りたくなくて歩き回る。
そして、交差点に近いところに、おでんのお店を見つけた。
「菊一」さん。

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こぢんまりとしたお店を覗くと、というものの、凡も良く覗きますよね。
だって初めてのお店はやっぱり不安だものね。
お店の主人やお客さんの様子が、入るかどうかの重要なファクターであります。
カウンターの中には年期の入ったご主人が座っている。
白い調理服というのだろうか、こんな小さなお店で、白衣に白い帽子を被っているところからみると、自分の仕事に誇りを持っている証拠でもあると推測できる。
その娘さんだろうか、が手伝っている
カウンターには、中年のご夫婦が座っていた。
雰囲気が良さそうなので、入ることにする。

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注文は、やっぱりおでんでしょうね。

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くるま麩というのは、大阪ではあまり見ないので、注文した。
それにしても、麩という食べ物は、面白いですね。
それ自体は、何の味もしない。
それでもって、その料理の汁を吸って、その料理の1つの顔になる。
それがまた、その料理の汁と言うのが、その料理の素材から出たエキスだものだから、エキスの塊だともいえるのであって、ある意味では、その料理の主役だとも言えるのだ。
すき焼きだってそうだ。
始めは当然、肉だ。
やっぱり、すき焼きの肉は有難い。
とはいうものの、気が付くと麩を食べている。
甘辛い汁を吸った柔らかい麩を溶き卵に付けて食べるのは、最高だ。
すき焼きのすべての素材のエキスを吸っているという意味では、肉よりも珍重されるべきものである。
それに、麩ならいくらでも食べられる。
さて、ここに鍋一杯の肉だけのすき焼きと、鍋一杯の麩ばかりのすき焼きがあった場合、どちらを選択するだろうか。
凡は間違いなく、麩を選ぶだろう。
鍋一杯の肉を食べるは、大変だ。
重いし、食べている間に飽きてしまう。
それに比べて、麩は軽い。
食べている間に飽きてしまうかもしれないが、それでも惰性でもって、知らない間に食べてしまっている不思議な魅力がある。
そう考えると、すき焼きなんてものは、一旦肉や野菜を砂糖と醤油で煮た後に、肉と野菜を取っ払っちゃって、麩だけを食べるというのが、本当の食通というものであるのかもしれない。
味噌汁の麩も好きだ。
沖縄料理の麩チャンプルも、美味しいね。
玉子を吸った麩は、玉子をそのまま焼いて食べるよりも食感が変わって、麩でも玉子でもない独特になっていて、これも箸が止まらない。
そういえば、閃いた。
コンソメスープに麩を入れて、そのスープを全部麩に浸み込ませたものを、スプーンですくて食べたら、これは最高じゃないだろうか。
なら、あっさりとした醤油ラーメンに麩なんてのも、これは商品化して欲しいなあ。
ラーメンの場合、いっそのこと麺なしでも、いいや。
ラーメンのスープと麩だけ。
スープに自信のあるラーメン店のお兄さん、是非やってみてよ。
さて、麩礼賛の話は置いておきまして。
金沢のおでん屋「菊一」さん。
既にカウンターに座っていた中年のご夫婦は、名古屋から来られたそうで、金沢に来るとこのお店によるそうだ。
確かに、年配のご主人と娘さんだろう女性の気の置けないこのお店は、また金沢に来たときに寄ってみたくなる雰囲気がある。
おでんの他に、どて焼きや、タニシも注文。

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タニシなんて、今どき食べられるとは思わなかった。
ただ、タニシが普通のネタより高いというのは、どうも時代と言うものか。
ここでもビールを気持ちよく頂きまして、ほろ酔いならぬ、ぼろぼろ酔いでホテルに戻ったのらしいのでございます。
想像するにね。
とにかく、楽しい金沢の夜でありました。

コメント

  1. ゆけむり より:

    いや~驚きました
    自分も第1回目の金沢でこちらのお店に入りましたよ
    最初入った店が酷く、文句言って出てきた後に入ったんです
    気分が悪いまま入ったから、申し訳ないがあまり良い印象じゃなかったんですよね・・・
    https://yukemuri-manpuku.at.webry.info/201503_article_16_html
    酷かった店はこちら
    https://yukemuri-manpuku.at.webry.info/201503_article_15_html
    お店をのぞくのは重要ですよね
    どんな雰囲気か確かめる必要がありますからね
    雰囲気の悪い店に入ると最悪です
    まして一人だともうこの世の終わりぐらい最悪ですからね
    あと、およその値段も知りたいしね
    あっ、金沢おでんも食べたんですね
    羨ましいなぁ~
    かなり楽しまれていますね

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    なるほど、ゆけむりさんには、イマイチだったんですね。
    これもまた難しいところで、私もお店に食べに行ったことをブログに書くのですが、その行った時の状況の1回で、書く内容が左右されるんですよね。
    お店には、沢山の人がいて、たまたま行った時に、カウンターに良い人がいるのと、そうでないのとで、書く内容がまったく違ってくる。
    責任をもって書こうと思ったら、4、5回通って書いたら良いのだけれど、それじゃ旅のブログにならないし。
    ということで、私の行った時は、良かったですよ。ただ、結構値段は高かったです。毎回行けない。
    んでもって、その前の酷かったお店のブログも拝見しました。
    料理もさることながら、店員の態度が悪いと、私なんか、どっちかというと、そっちの方が、嫌です。
    味は、好みがありますから、人それぞれですが、接客態度は、私は横柄な態度が好きっていうお客はいませんもんね。
    すぐにでも立って店を出れば良いのですが、なかなか出れないことが多いので、それがまたストレスなんですよね。
    そんでもって、おでんは、かなり酔っぱらってましたので、覚えてないんですよね~。

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