平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(371)どこかへ行ってきてと言われて出かけた金沢の旅。(2)

金沢駅に着いた。
さてこれからの予定は皆無だ。
ということは、どこに向かって歩き出したら良いか見当もつかないということだ。
右なのか左なのか、あるいは後ろ向きなのか。
駅にあるコンビニのような本屋のようなお店に入って、ガイドブックを立ち読みする。
金沢は、加賀百万石の城下町であり、また多くの文人を輩出しているので、市内のいたるところに記念館や資料館が点在していることを知った。
これは難問だね。
これだけ資料館があると、立ち読みだけでは決められない。
ということで、1番シンプルなガイドブックを購入した。
そして更に駅の中を歩いていると、観光案内所があった。
覗いてみると、金沢市内のエリアごとの地図や、簡単なガイドブックが無料でもらえるようになっている。
「しもた。」
何という事をしてしまったのか。
凡は常々、ガイドブックとは、旅に出る前に、その出る前の時間も旅の1部分として楽しむための読み物でしかないと公言してきた。
なのに、今日はその自説を無視してガイドブックなるものを買ってしまった。
しかも、観光案内所には、タダのガイドブックがあることも確認しなかったのである。
ガイドブックの代金が惜しいという気持ちもさることながら、あれだけ力説している自説を簡単に忘れてしまって
いる凡が、悲しくやりきれなかった。

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(便利な地図がタダ。)
しかも、タダのガイドブックを見ると、買ったガイドブックよりも、はるかに地図が解りやすい。
今回の旅行中、買ったガイドブックは、この後行ったレストランを調べただけで、1度も使うことがなかった。
それでは、折角だから、ガイドブックに載っている有名なレストランへ行くことにしましょう。
バスで香林坊まで移動して、お目当てのレストランを目指す。
「グリル オーツカ」さん。

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迷いつつも見つけたお店は、古くからやっている街の食堂という雰囲気で、中に入ると奥の4つテーブルがある部屋に通された。
凡の前には男性が1人いて、新聞を読みながら料理を待っている様子で、運ばれてきた料理を見ると日替わりの定食のようなものだ。
コロッケのようなものと、豚の焼いたようなものがセットになっている。
後からきた若い女性は、凡の後ろに座って、サービスランチを頼んだ。
また後からきた若い男性は、凡の横に座ってカツカレーを注文した。
凡が頼んだのは、「ハントンライス」。

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ケチャップライスの上にオムライスのような玉子焼きが乗っていて、その上にカジキマグロのフライが数個乗っかっている。
そこにケチャップと自家製だと思われるマヨネーズのようなソースがたっぷり掛かっているというものだ。
味付けもしっかりとしていて、ケチャップやマヨネーズがたっぷり掛かっているところも、これは完璧に凡好みである。
美味しかったです。
しかし、こういうガイドブックに載っているようなお店に入って、ガイドブックに載っている名物料理を注文するという行為は、どうも恥ずかしい。
如何にも旅行者であり。
如何にもガイドブックを見て来ましたという顔で椅子に座ることになるのである。
勿論、その通りなのでありますが。
それが、どうも恥ずかしいのであります。
たとえ旅行に来たのであっても、「大阪から来たんだけれど、どれが美味しいかな。そうだ、丁度時分だし、サービスランチにしようかな。」なんてさらっと注文したいものだ。
そして、「あら、お客さん。大阪から来たんですか。ならハントンライスが、うちの名物料理なんですよ。1度食べてみてください。」なんて言われてさ。
「あ、じゃ。それにしてみます。」なんて展開で食べたい訳であります。
とはいうものの、もしここでお姉さんが名物料理を薦めてくれなかたら、サービスランチを食べることになるし、食べた後に、何となく小さな後悔をするだろう。
それじゃ、昔から食べているという体ではどうだろうか。
「いやあ、昔金沢に住んでた時は、良く食べたんだけどね。ずっと大阪に転勤で住んでたからさ、やっと金沢に帰ってきたら、どうしても食べたくなったんだよ、ハントンライスがね。やっぱりさ、僕らのソウルフードなんだよね。そうだ、今日は食べだめをしよう。お姉さんハントンライス2つね。」なんて感じで注文をする。
ここでは、2つ注文することが、話を本当っぽく演出してくれるのだ。
ただ、お姉さんが、この長いセリフを最後まで聞いてくれるかどうかは疑問が残る
それに、凡は滑舌が非常に悪い。
「いやあ、昔金沢に住んでたととと、時はさ。よ、よ、良く、良く、良く、えーっとね。つまりは良くだったんよね。」なんて最初の部分で噛んでしまって、セリフの練習が必要となる。
どうしたら、恥ずかしくなく名物料理を注文することが出来るようになるのだろうか。
このハントンライス、お店の年配のお姉さんにハントンライスの意味を訊くと、ハンは、ハンガリーのハン、トンはフランス語でカジキマグロの事だそうです。
金沢では有名な食べ物だそうです。
と言ってきたものの、今回は名物料理を、恥ずかしくもあったけれども、注文して食することができた。
やっぱり名物を食べなきゃね。
さて、一旦ホテルにチェックインをしに行こう。
レストランの年配のお姉さんに訊くと、店の外にまで出て、道順を教えてくれた。
親切にしていただいて、ありがとう。
またバスで駅前に戻る。
今日の宿は、駅前にある「金沢ガーデンホテル」さんだ。
往路のサンダーバードの中でアイフォンで予約をいれた。
バイキングの朝食付きで、1泊5000円。

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部屋は1人の旅行には、十分なスペースであり、快適に過ごせそうだ。
ただ、凡の部屋は10階だった。
しかも、ベッドと窓は、引っ付いていて、寝た場合、足の裏と窓が大接近することとなる。
堪え難し。
考えただけでも足の裏がスースーするよ。

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(室内)

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(バストイレ)

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(窓からの眺め)

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(この板の戸で、何とか救われた。)
窓から下を覗いても、怖くて仕方がない。
ただ、救いは、普通のホテルなら窓にはカーテンがあるだけだ。
でも、このホテルには、光を遮るための板の引き戸が付いている。
これを閉めれば、なんとか1晩ぐらいはしのげるだろう。
これは壁だって必死でイメージしてね。
ホテルで、観光案内所でもらった地図をみながら、これから行く場所を検討した。

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(ホテルのバスタブに貼ってあった、ヤマハのシール。ここでも、みゆきさんに繋がった気がした。)

コメント

  1. うかれぶた より:

    あたしも、
    ヤマハ YAMAHA
    見ただけで
    みゆきさん にしか見えない♪
    凡さん、今月は
    みゆきさんに
    巻物、書きましたか?るんるん
    私は、
    みゆきさまの優しさと、力強さと、可愛らしさを、
    筆字にて、したためて みました♪

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、うかれぶたさん。
    そうですよね、私も最近はヤマハのお店の前を通るだけでも、
    みゆきさんの影を探してしまう。
    まさか、いる筈なんてないのにね。
    巻物は書けてませーん。
    急がなきゃね。
    今回は、巻物は諦めて、ハガキを買いました。
    そんでもって、ネガティブ川柳で応募しちゃいます
    とはいうものの、まだ1字も書いていないのですけれど。
    木曜日に投函したら遅いかな。
    取り敢えずは、急がなきゃです。
    うかれぶたさんの筆字の健闘をお祈りします。
    頑張ろうね。

  3. ゆけむり より:

    またまた過去の記事にお邪魔しちゃいます
    一昨日ざっと目を通したのですが、ちゃんとハントンライスを食べられたんですね
    流石です、自分はまだ食べてないんですよ(^_^;)
    え~、名物料理を注文するの恥ずかしいですか?
    自分は旅先なら全然恥ずかしくないです
    横浜の流行りの店に行くのは恥ずかしいですが、旅先だったらへっちゃらですよ
    ところでハントンライスは美味しかったですか?

  4. 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    またまた、過去の記事まで読んでいただいて、ありがとう!
    ハントンライスは、この時は、有名店で食べたので、美味しかったですよ。記憶がだいぶん曖昧になってますが。
    でも、今回(2017年の5月のことだけれど)金沢の麺類とか扱っている食堂のようなところに行ったら、名物としてメニューにあって、近くに座った40歳ぐらいの女性が食べてましたが、見ただけでもイマイチっぽかったです。なので、美味しいかどうかは、お店に依るところがところが大でしょうね。
    名物は、出来ればお店の人がススメテ欲しいですね。なら、注文しやすいから。このお店でも、みんながハントンライスを食べてたら、私も注文しやすいんですが、地元の人は、サービス定食とか食べてるのに、と思うと恥ずかしいんです。

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