平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(370)どこかへ行ってきてと言われて出かけた金沢の旅。(1)

「どこかへ、行ってきたら?」というのである。
9月の19日と20日に連休が取れたから、その2日間どこかへ旅行に行って来たらと言うのです。
とはいうものの、10日ほど前に、青春18きっぷで、「尾道ラーメンと、みゆきさんの影を求めて呉れの旅。」へ行ってきたばかりである。
「どこかって、どこへ行くの?」
「それは知らんけど、どこかへ行ってきたらいいやん。」
「呉に行ってきたばかりやしなあ。」
「また、行ったらいいやん。」
どうしようかなと迷っていると、寧ろ行ってくれたほうが有難いというのです。
ならば、そういう風に言ってくれている間に、行くことにすべきだろう。
もとより旅はすきなのであるから。
それに連休なんて、取ろうと思っても中々取れないので、取れた時に行くというのは、凡にとっては、理屈にはあっている話ではある。
後は手許の心配だけであるけれど、ここは文明の利器であるカードでしのいで、工面は帰ってから考えることにした。
さて、どこへいこうかな。
「東京でも行こうかな。」
そういうと、返事が無かった。
これは、どうしたものか。
凡は、東京が好きだ。
というか、昨年の夏にみゆきさんが好きになってから、みゆきさんの住む街である東京が好きになったのです。
でも、ミニボンの返事が無い。
どうも、東京へ行くと、良からぬことをするのではと思っているのだろうか。
それとも、みゆきさんに対する焼きもちなのであろうか。
では、どこにするか。
頭の中で、日本地図を広げてみる。
すると、あることを思いついた。
サンダーバード。
これは大阪から金沢方面に走っているJRの特急だ。
金沢へは30年ぐらい前だろうか、友人と出かけたことがある。
雷鳥に乗ってね。
それにしても、あの当時の特急「雷鳥」は良かったです。
車体の色も、如何にも特急という感じで、何より食堂車が連結されていた。
駅弁もいいけれど、食堂車というのは、正しく列車の中にあるレストランであるわけで、テーブルに配膳された料理と車窓の風景の両方楽しめる特別に贅沢な時間が、そこには流れていた。
それ以来、金沢には列車では行ったことが無い。
サンダーバードという洒落た名前の列車に、ここは乗ってみるのもいいかもしれない。
それにしても、名前もね、どうしてサンダーバードにしたんだろう。
凡の時代の人間なら、サンダーバードというと外国の人形のテレビ劇を、最初に思い出してしまうのではないだろうか。
雷鳥と言う名前の方が、凛として良かったのにね。
さて、9月19日の当日の朝。
京橋のみどりの窓口で切符を買って、大阪駅まで移動する。
サンダーバードの発車ホームは、11番線です。

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大阪駅には、大阪市内を回る環状線や、山陽本線、東海道線など、いろんな方面へ行くためのホームがある。
どのホームも、どこにでもあるホームだ。
変な言い方だけれどね。
どこの街の駅にもあるホーム。
でも、この11番線だけは、少し違った空気が澱んでいる。
何か暗いような、寂しいような。
それは、昨年行った、上野駅の13番線ホームに似ている。
雪国へ向かう列車に、体を縮めて何かを堪えながら乗り込む、そんな空気。
それに、他のホームでは売られていない駅弁のコーナーがある。
今から始まるサンダーバードでの移動が旅であることの証明だ。
さっそく、駅弁コーナーに向かう。

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でも、選べない。
種類が多すぎるのである。
種類が多いのは、有難くもあるのですが、これと言った特徴がないものの寄せ集めでもある。
こんな時は、幕の内弁当を買うのだけれど、それもない。
一見、凝ったような名前のものばかりである。
1つ1つの弁当を検討してみるのだけれど、すでにかなりの時間を駅弁屋の前で立ち続けている。
ふと見上げると、弁当を買ってくれそうな凡に笑顔を見せてくれる。
幸い周りには客はいない。
それだけに、お姉さんと向かい合って、お見合い状態だ。
「えー。趣味は何ですか。」なんてね。
いや、そんな話をしている場合じゃない。
早く決めないと、お姉さんの笑顔が真顔に変わっちゃう。
「どれにしようかな。迷うなあ。」などと、駅弁屋のお姉さんに言いながら時間稼ぎをするのだけれど、お姉さんの視線に耐えきれず、手直にあった「栗おこわ」780円を買った。

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駅弁屋の隣にはコンビニがあったけれども、やっぱり駅弁屋じゃなきゃね。
さて、サンダーバードが入線したので、乗り込む。
9時12分発の12時00分金沢着だ。

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サンダーバードの車内は快適で、座席の前後の巾も十分だ。
発車すると、どこからともなく551の豚まんの匂いが漂ってくる。
見渡すと左ななめ前の兄ちゃんだ。
出張の帰りだろうか、大阪の名物を買って食べたいという気持ちは十分に解る。
でもね。
でも、それをしちゃいけないよ。
例え、食べなくてもね、ただ持っているだけで、列車1両の全部の空気が551の匂いになっちゃうぐらいに、これは強烈なのでありまして、帰ってから食べて欲しかったなあ。
とはいうものの、これも大阪発の旅の愛嬌というものかもしれません。
さて、駅弁も食べたことだし、後は車内販売でも待ちましょうか。
と思ったが、車内販売は敦賀からなのですが、なかなか回ってこない。
やっと来たかと思ったら、11時過ぎだった。
どうして大阪から回らないのだろう。
駅弁を買っておいて良かった。
車内販売では、吉例に従ってアイスクリームを買った。
北陸本線の激しい横揺れを感じながら食べるアイスは格別のものだった。

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