呉の堺川の流れる横には、屋台が5、6軒並んでいた。
その中でも比較的お客さんが入っているお店を選ぶ。
誰もいない屋台は、どうも入りづらいものね。
「いけますか。」と声を掛けて、1番端の椅子に座る。
サラリーマンらしき数人のグループが反対側に座っていて、すでに酔いが回っている様子だ。
そのグループと凡の間には、若いカップルが楽しそうに話をしている。
とりあえずは、生ビールを注文。
この呉の屋台は、電気や水道も常設されているので、冷えた生ビールも飲める。
アテはオススメと書いてある鶏のタタキを注文。
見ていると店主は、それほど急ぐふうでもなく、たまねぎをスライスしたり、とりあえずは凡の注文を作っているようである。
とはいうものの、何もしゃべらないので、どうも歓迎されない客なのかと疑ってしまう。
その他には、やきとりを数種頼んだ。
目の前のいこった炭で焼くやきとりは、美味しかった。
(にんにくを鶏の川でくるんだもの。次の日、相当に臭かったと思う。)
(サラリーマンが注文していた、焼酎をオロナミンで割ったもの)
途中に、70才をだいぶんに超えているだろうご婦人が入ってきて凡の横に座った。
「ここが1番お客さんがいるから入った。」小さな声で、それとはなしに凡にいう。
やっぱり、そうだよね、お客が多い方が入りやすい。
それにしても、かなりのお年と拝見するのだけれど、1人で屋台へ入るとは、なかなかのものであります。
「旅行ですか。」と訊いたのだけれど、ご婦人には聞こえてなかったのかもしれない。
ご婦人が何を食べようかなと考えていると、店主がいきなり言った。
「ここはラーメン屋じゃないよ。ラーメン屋は、あっち。」
ご婦人があっけにとられていると、もう1度繰り返して言った。
仕方なく立ち上がったご婦人は、「別にラーメンじゃなくても、美味しいもんだったら何でもいいんやけど。」と呟いて、出て行った。
びっくりである。
これが大阪なら、たとえラーメン屋だと思って入ってきても、上手いことを言って、やきとりの何本かでも食べさせるだろう。
そんでもって面白い話でつないで、結局は気が付いたら自分のお店で最後のシメまで食べさせるはずだ。
それが普通だと思うから、今のやりとりには、驚いた。
無愛想なやりにくい店主なのかなと思いながら、それでも少し酔いが回ってきたせいもあって、その後も注文をして結構に飲み食いをした。
最後の方になって、店主が関西から来たのかと尋ねる。
何でも「いけますか。」と最初に訊くのは関西人だそうである。
時間が経ってようやく店主が話しかけてくれた。
見ていると仕事もちゃんとしたものであるし、無愛想だけれど、やることはやるというのが呉なのだろうか。
会計をしたら5000円ちょっとだった。
結構に飲みました。
さて、次のお店に行きましょう。
呉の駅で、面白そうだなと目を付けていたお店。
「海軍さんの麦酒館」
呉は、自衛隊があるので、いろんな商品に軍艦のイラストが描いてあったり、海軍さんという言葉が使われている。
ここで地ビールの飲み比べをした。
その他にも飲んだけれども覚えていない。
(今となっては、不明なビール)
(これも今となっては、不明なビール)
アテは、呉の名物「がんす」。
これは練り物をフライにしたようなものだ。
それにピザも注文していた。
どうにも酔いが回ったら、どれだけ注文するやら。
またまた、相当に酔っ払ってお店を出た。
でも、折角の呉だから、まだホテルに帰りたくない。
ブラブラと港まで歩いて行った。
夜の港は寂しくて、みゆきさんの「歌姫」の歌詞のなかの「水夫」という言葉を思い出しながら、波の音を聞いていた。
どこか遠い国への旅に想いを馳せる。
空港とはまた違った暗さが港にはある。
その暗さが今の凡には気持ちいい。
とはいうものの、凡は海が怖いのでありまして、ましてや夜の海は、もし落っこちたらどうしようなんて想像も膨らんでくるのでありまして、駅の方に引き返すことにした。
さて、ホテルに帰る前に、ラーメンでも食べよう。
とはいうものの、駅前はビルが多くて、飲食店が少ない。
駅前にいたサラリーマンに、ラーメン屋を聞く。
教えて貰ったラーメン屋「平和園」さん。
自衛隊の街で、平和園。
これは素敵なネーミングだね。
しおラーメンと生ビール。
ラーメンは優しい味だったと思う。
相当に酔っ払って、ホテルに戻る。
明日は、みゆきさんの乗ったであろうジェット船の逆ルート、呉の港から船で松山に移動する予定だから、朝が早い。
朝が早いから、もう寝てしまおう。
という前に、寝てしまった。
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