平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(332)アイラブユー・ほたえてくれ!みゆきさーん。(87)

フェスティバルホールの横にあるビアホール。
11時閉店だけれど、そうはゆっくりとはしていられないことが分かった。
そして、10時30分、お姉さんが飲み物のラストオーダーを取りに来る。
「あわじビール」という地ビールを注文。

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それにしても、今日のみゆきさんも可愛かったね。
もう1度その魅力に思いを馳せてみた。
ステージのどの瞬間を切り取っても、完璧なスタイルとポーズ。
ステージの感想の中で、みゆきさんのポーズは、単なるポーズじゃなくて、動きの1部だって書いたけれど、それは間違いがないな。
それは、一流のダンスに通じるものがあると思う。
客席だけから見て、完璧な形に見える歌手やダンサーは数多くいる。
2次元的に魅せることができるスター。
それはプロだ。
でも、本当に一流と呼ばれる人は、それにとどまらないのです。
2次元じゃなくて、3次元的に空間を把握して、形を表現できる。
これは、生まれ持った人しか体感できないものでもある。
凡とミニボンは、フィギアスケートが好きで、テレビでも見るし、昔は会場へ行って見たこともあった。
今は、ミニボンは高橋大輔さんに夢中でありまして、カレンダーまで買って、「高橋くーん。」なんて、写真に向かって叫んでおります。
「ジュリーーー。」ではありませんよ。
って、話が古いですね。
凡も高橋選手は好きです。
その軽やかなステップは、氷上のダンスを見ているようです。
他にも、いつも上位にくるスケーターはいるのですが、どうも動きがロボットのようというか、習ったことを一所懸命やってますみたいな感じがするのです。
確かにジャンプやステップを1つひとつ見ると、得点が高いのかもしれません。
でも、高橋選手みたいにカッコよくないのです。
高橋選手には、「ダンス心」があるのです。
持って生まれた天性のセンス。
ミニボンは高橋君だけれど、凡が1番好きなのは、「カート・ブラウニング」さんというカナダの選手です。
オリンピックではメダルは取れなかったものの、世界選手権では4回優勝している実力のある選手で、今は振付をしたりアイスショーに出たりしています。
何が好きかって、カッコいいんです。
自分の身体1つで、観客を魅せるという、その術を知っています。
「ダンス心」があるんですよね。
スケートの会場と言うのは、真ん中に氷の張ったステージがあり、大概は体育館などでやるので、周りの四方が客席となります。
それでもって、その内1面にカメラなどが設置されて、他の3面にお客さんが座って見ることになります。
カートブラウニングさんのステージは、そのどこの面から見ても、カッコイイのです。
カートブラウニングさんが、そのスケート会場の空間、前後左右、そして上下、すべてを体の感覚で把握している。
そして、その空間でどういう動きをすれば、どういう風に見えるのか、それを感覚で解っているに違いありありません。
それじゃなきゃ出来ない、パフォーマンスを見せてくれるのです。
だから、例えば演じているスケートの途中で、ストップしてもね、その1瞬の形は、たとえどこから見ても、完璧にキマッテいる。
みゆきさんのポーズもね、これと同じなんだ。
カートブラウニングさんは、スケート会場と言う広い舞台で演じる。
みゆきさんは、コンサートという狭い舞台であるけれども、それは同じなんですね。
コンサート会場の空間の全部の方向を体で把握して、そんでもって、そこでダンス心のある動きを見せてくれる。
それは、普通の人が見たら動いていない様に見える動きかもしれない。
でも、見る人がみたら、完璧な動きのダンスなんだ。
だから、その1瞬を切り取ったキメのポーズも完璧なのであります。
みゆきさんも、空間を前後左右や上下の全方向に把握している。
そして、その空間のすべてを感じながら表現している。
だからね、ステージの上のみゆきさんを見るのにさ、ただ前からだけ見てカッコイイんじゃなくて、ステージの右横から見てもカッコイイし、左横から見てもカッコイイし、たとえ後ろから見てもカッコイイ。
頭のてっぺんからね、みゆきさんを見ても完璧な形でキマッテいて、カッコイイに違いないのです。
そんでもって、下からね、足の下からみゆきさんを見上げてもカッコイイ。
スカートの裾の下からね、みゆきさんをチラリ。
「キャー、エッチ。」
なんてね、凡の妄想は、どうも方向がズレテいけませんね。
でも、どこから見てもカッコイイことは間違いないのでございます。
こんな歌手はまずいない。
とはいうもののね、凡にだけは、キマッテいない普段のみゆきさんを見せて欲しいなあ。
魅せることを意識しない時のみゆきさん。
それは、もっと素敵なポーズなんだろうな。
そんなことを妄想しながら、地ビールを飲み干した。
ふと前のガラスの壁を見ると、うっすらと凡が映っている。
お腹の出た中年が、疲れた表情でビールジョッキを持っていた。
みゆきさんのキメポーズの正反対の存在。
「どこから見ても、キマラナイ、カッコ悪い凡。」
そう思うと、情けなくなって苦笑してしまった。
さて、閉店はまだだけれど、そろそろ帰りましょうか。

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