平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(333)アイラブユー・ほたえてくれ!みゆきさーん。(88)

フェスティバルホールのみゆきさんのコンサートを終えて、その横のビアホールで美味しいビールを飲んで、少しばかり気分が良くなって、お店を出た。
贅沢な1日。
これが、東京や地方都市ならね、もう少し飲みたいというか、飲み足りない気持ちだ。
とはいうものの、大阪じゃね。
もうこの辺で帰らなきゃ。
と思って、フェスティバルホールから淀屋橋に向かって歩き出した。
ふとみると、フェスティバルホールの車の出入り口に40人ぐらいだろうか、人が集まっている。
若い人が多い。

画像

ひょっとして、みゆきさんが今から出てくるのかな。
今までこんなことはなかった。
今年の大阪のオリックス劇場でも、終わったらみんな帰ってしまって、その車の出入り口には人なんていなかった。
それは、広島でも福岡でもね。
でも、今日は集まっている。
やっぱり、みんなも今回のコンサートが特別なものだって感じたのかもしれないね。
だから、こうやって興奮冷めやらずに待っているのだろう。
凡が道路に近い場所を確保しようとしたら、スタッフの人がやってきて、ここには立たないでくださいという。
そこで念のため、訊いてみた。
「みんな、何を待っているんですか。」
するとスタッフが言った。
「ある人を待っているんです。」
、、、、ある人。
今日はここで中島みゆきさんのコンサートがあった。
なので、ある人とは中島みゆきさんしかいない。
若しくは、特別出演した中島美嘉さんかね。
まさか、誰とも知れないスタッフのオッチャンを待っているということはあるまい。
でも、スタッフとしては、中島みゆきさんとは言えないんでしょうね。
そこで凡は言った。
「じゃ、ある人を待ちます。」
すると、このロープを引っ張ったところから出ないことと、写真などは絶対に撮らないことを約束させれた。
なかなか、ある人を見るのも大変だね。
ゆっくり握手なんかして、今日のコンサートは最高でしたよ、なんて声を掛けることなんかできそうにない。
でも、今までで1番近い距離で逢えるのですから、これは待つしかありません。
とはいうものの、もう凡の前には40人ぐらいが狭い間隔の場所に陣取っている。
その後ろからじゃ、とうてい顔を見ることは出来なさそうだ。
じゃ、この列を離れて出口から左折したところあたりの道路で待つか。
とはいうものの、今の場所だったら、ある人もファンが待っていることが分かっているんだから、ある人のサービスもあるかもしれない。
1瞬停まってくれたりね。
などと考えながら、取り敢えずは、1番後ろでも見えそうな場所で待っていた。
時刻は11時過ぎ。
ひょっとしたら先頭に並んでいる人は、終わってからずっと待っているのだろうか。
まあ、その気持ちは解るよね。
逢いたいんだもんね。
待っている人も、スタッフに声を掛ける。
本当に出てくるか不安にもなるものね。
すると、あと10分ぐらいで、ここを通るという情報を教えてくれた。
そして、11時20分。
駐車場から1台のバンが出てきた。
両側の窓は色が付いていて中は見えない。
待っている皆が瞬間に興奮に包まれる。
いっせいに息を飲んだような声がでた。
見るとバンの窓の1つが開いている。
ある人が、そこに乗っているんだ。
前に立っている人は、本当に近くで顔を見れただろうね。
でも、最後尾の凡は、背伸びをしても見えなかった。
ただ、1つ開いた窓から白くて細い手が、ありがとうって言っているように、振られていた。
あ、あれが、ある人の手なんだ。
顔は見れなかったけれど、手は見えた。
やっぱり、手だけ見ても素敵だなあ。
本当に、ほんの少しの、ほんの少しの、ほんの1瞬だったので、少し寂しくもあった。
バンが、駐車場を出て左折をして過ぎ去ったあとを、目で追う。
どこまでも、どこまでも、走ってついていきたい衝動を、諦めという現実判断が、凡を押しとどめる。
そうだよね、そんなことをしちゃ、逆効果だ。
いよいよ、終わってしまった今日のコンサートの喜びと寂しさが、胸の周りをぐるぐる回るのを感じながら、京阪電車の淀屋橋まで帰る。
それにしても綺麗な白い手だったな。
コンサートを終えたあとの、ある人の表情ってどんなだろうな。
もう、化粧も落としていたのかな。
私服だったのかな。
やっぱり、見たかったですね。
でも、手だけでも最短距離を更新。
あの白い手を見るだけでも、待っている甲斐があったよね。
渋谷の公園通りにあるお洒落な喫茶店。
待ち合わせに10分遅れちゃって、急いでお店に入る凡。
雑誌を見るでもなく眺めていたある人が凡に気が付いて、やっと来たなんていうような、安心した笑顔で胸の前で小さく手を振った。
「やっと、会えた。」
「やっとって、昨日もあったやん。」
「その1日が、長かったのっ。」
なんてさ、そんな手を振る姿は最高だろうな。
いつかは、そんなある人を見てみたい。
コンサートの後の、「ありがとう。」っていう意味の「バイバイ。」じゃなくてね。

コメント

  1. うかれぶた より:

    白い、みゆきさまの手ぴかぴか(新しい)
    そこからは…
    みゆきさまの 「気」♪♪が 出ているのでしょう!!
    いいなぁ! 凡さん♪
    それを 体に受けとめられたんですもの♪
    最後の女神は、
    そのオーラを一瞬にして、みんなに、配ることができるからね猫
    ところで、、、
    最後の べがび…
    には ならなかったかしら?猫るんるん

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、うかれぶたさん。
    ヒラヒラと揺れる特別な白い手。
    それは、みゆきさんの手だったんだよね。
    だったんだよね。
    まさか、美嘉さんの手じゃないよね。
    なんて、少しの不安があるけれど、バンが通り過ぎて行ったあとに、
    ファンの人が、「見えた?」なんて、会話をしていたから、みゆきさんに違いないのだけれど、やっぱり顔も見たかったな。
    そうそう、5月のオールナイトニッポンで、風邪っぽいって言ってたね。
    でも、当日は今までで1番良いぐらいに完璧だったよ。

  3. 凡蔵。 より:

    うかれぶたさーん。
    今、みゆきさんのオールナイトニッポン月イチを聴いたとこなんだけれど、
    「べかび」のこと、言ってたね。
    うん、うかれぶたさんも、みゆきさんとシンクロしてるかも。
    わたしも、シンクロしたいなあ。

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