平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(60)麦味参顆粒。

「頂きまーす。」
そう言って夕食を食べ始めたのは12時前だった。
12月になると、流石に忙しくて帰るのが11時を回ることが多くなる。
それからお風呂に入ってご飯となると、こんな時間になってしまうのです。
先日も、ミニボンが、「まだ食べてるの。いい加減にして。早よ寝たい。」というのである。
でも、12時から鍋を食べ始めたら1時を回るのは仕方がないのであります。
晩御飯だからビールも飲みたいのでありまして。
最近は先に寝てもらうようにしています。
そんな訳で日々の疲れが溜まっているのがミニボンにも分かったのでしょうか、漢方薬を凡のために買ってきてくれました。
何でもミニボンの職場の近くに薬局があって、「ヘトヘトの疲れに効く。」と張り紙がしてあったそうです。
「麦味参顆粒」(ばくみさんかりゅう)

画像

疲れたときに飲むと元気がでるそうです。
漢方薬の難点は、食間に飲まないといけないこと。
飲まなきゃいけない時間に飲めなかったりして、ついつい飲みそびれてしまいます。
でも、今回は頑張って飲まなきゃね。
せっかく、ミニボンが気を利かせて買ってくれたんですから。
ミニボン・ラブ。
でも、普段漢方薬をあまり買いません。
それには飲み方以外にも理由があります。
それは、値段が高いから。
学生時代の事です。
痔かな?
そう思った凡は、近所の薬局に行きました。
痔と言っても、そんな酷い状態ではありません。
凡としてはボラギノールなどの市販の薬をちょこっと塗って様子を見ようかなと軽く思っただけなんです。
その薬局は、2つに分かれていて、入り口は普通の市販薬を棚に並べてあるのですが、奥に漢方専門のコーナーがあります。
入り口で、痔かもしれないということを告げると、
「あ、痔ですか。それじゃ漢方がいい。痔も根本から治さないと、あとあと大変なことになるからね。」と言って、奥の漢方のコーナーの椅子に促された。
「いや、違うねん。ボラギノールを買いにきただけやねん。」
そう思ったが当時のウブな凡は言い出すことが出来なかった。
「それじゃ、貴方の痔のタイプはどれですか。」
痔のイラストを見せられて質問をされる。
「ちゃうねん、ちゃうねん。こんな事しに来た訳やないねん。」
でも、言い出せない。
それに、自分のお尻の穴を見たわけじゃないんだし、解らないのでありまして。
その後も、凡の体質を決めるべく、拷問、否質問が続く。
漢方薬は、同じ病気でも体質によって処方される薬が違うのです。
なので、その凡の体質をカウンターの前の白衣のおじさんは探ろうとしているのであります。
「ちゃうねん。ちゃうねん。」何度も繰り返すココロの中の声も、だんだん力弱くなってきます。
昔の事だから正確な時間は覚えていないけれども、30分近く質問攻めにあったように思う。
「それじゃ、これを試してみてください。」
そう言って処方された薬をテーブルの上にポンと置いた。
価格は1万円ぐらいだった。
学生時代のお金の持っていない時期に、1万円の痔の薬なんていらない。
でも、ウブな凡は最後まで言い出すことが出来なかった。
泣きそうになりながら
、「ちゃうねん。ボラギノールが欲しかっただけやねん。」、そう絶叫したのは、お店を出て10メーターぐらいトボトボと歩いてからだった。
漢方は高い。
そういうイメージが強烈に頭に残っているので、どうも漢方は大好きなのだけれど、身構えてしまう。
麦味参顆粒は、顆粒なので、すっと溶けて飲みやすい。
効果は、穏やかではありますが、少し楽になったような気がします。
こんな薬を買ってくれるのは両親が亡くなった今、ミニボンだけです。
ありがとう、感謝です。
そして、ミニボン・ラブ!

コメント

  1. とっちゃん より:

    結局一万円の漢方薬を買わされたって事ですよね?
    高価な漢方薬は聞いたのでしょうか?
    痔主さんは引っ込んでくれたのでしょうか???

  2. koji より:

    凡蔵さんにも、そんな時代があったのですね。
    ボクにもありました(笑)
    年末はとてもお忙しいのですね。
    奥さま、優しいですね。
    お身体、大切になさって下さい。

  3. 凡蔵。 より:

    ありがとう、とっちゃん。
    買わされました。
    1万円。
    それも、学生時代の1万円です。
    今でもトラウマになっています。
    痔は、もともとそんなに酷くなかったんですよ。
    ちょっと薬を塗ったら良くなるかなっていう軽い気持ちだったので。
    痔といえば、最近になってトイレをウォシュレットにしたのですが、あれはいいですね。

  4. 凡蔵。 より:

    ありがとう、kojiさん。
    昔は、ウブだったのです。
    でも、人間そんなに進歩なんかしないもの。
    人間というのは私のことですが。
    今でもこれに近いことに遭遇してしまうこともあります。
    今でもウブということなのでしょうか。
    中年のウブ。
    ちょっと気持ち悪いですね。

  5. oriver より:

    学生に一万円もの高額な薬を勧めるなんて、信用ならない、ぷんぷん!
    どんな治療も、自分に合うか合わないかってこともあるし難しいですね。
    奥様の心の温かさに包まれて、お幸せですね。
    ミニボン、LOVE♪

  6. ろこ より:


    録画した最終回を見ています。

  7. 凡蔵。 より:

    ありがとう、oriverさん。
    薬って本当に必要な人にとっては、いくら高いお金を出しても欲しいものだと思うので、それを開発するためには、開発費もいるだろうから、ある程度は高くても仕方がないですが、学生や庶民には、やっぱりある程度の安さが欲しいですよね。
    だって、軽い痔なんですもん。
    安い薬でいいんです。
    それにしても、漢方は要注意ですね。
    そして、ミニボン・ラブ。
    そして、サラサラロングヘアーのミニスカートの女の子・ラブ。???あ、これは要らなかったかな。

  8. 凡蔵。 より:

    ありがとう、ろこさん。
    あ、ろこさん、何を録画してたんですか。
    まさか、痔のテレビ番組?

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