散散歩歩（13）麺を噛み切る。

ミニボンに見つめられている。
しかし、少しも嬉しくはない。
それはそうだろう。
これが、若い女の子だったら話は別だ。
さらさらロングヘアーの女の子がテーブルに頬杖をついて少し上目づかいで凡を見つめている。
少し悪戯っぽい目をしながら甘えるように言う。
「ねえねえ、お兄ちゃん。」
本当は凡の恋人なのだけれど、年齢がひとまわり以上も離れているので回りの目を気にしてお兄ちゃんと呼んでいるのである。
「ねえねえ、お兄ちゃん。フランチェスカお腹が空いちゃった。」
また説明がいるだろう。
実は彼女はイタリア人のモデルなのだけれど、子供の頃から日本に住んでいるので日本語がペラペラという設定である。
「あ、そうなんや。そしたら天下一品でもいくか。」
「わーい。でもうち神座のスープの方が気分やわ。」
「よし、そしたら神座行こか。」
こんな風に見つめられるのであれば、凡も大歓迎である。
しかし今、凡を見つめているのはミニボンだ。
しかも、見つめるというよりは監視しているというほうが正解だ。
するとミニボンが言った。
「あ、噛んだ。」
ミニボンは凡がラーメンを食べるところを監視していたのである。
ミニボン曰く、ラーメンなどの麺類は箸でつまんで、それを啜りこまないといけないというのだ。
箸でつまんだ麺をすべて啜りこむ食べ物だというのが持論だ。
しかし、凡は子供の頃からそういう食べ方はしない。
箸でつまんだ麺を口に入れるのだけれど、入りきれない分は歯で噛んで麺を切る。
当然噛み切った残りの麺は、再びラーメンの汁の中に戻る。
これが、ミニボンには許せないのだそうだ。
「汚い。」というのである。
でも、このラーメンが皆で食べるのであれば、凡も麺を箸でつまんだ分を全部食べるだろう。
でも、ほとんどの場合、このラーメンは凡だけが食べる。
だったら好きに食べさせてほしい。
つまんだ分をすべて啜りこまないといけないのであれば、自然と箸でつまむ麺の量が少なくなる。
そうすると、麺を最初に口に入れる際に何か寂しい気持ちを抱いてしまうだろう。
よく、ラーメン屋で若い女の子が麺を２、３本つまんで少しずつ食べている光景を見るが、あんな食べ方で美味しいのだろうかと思ってしまう。
やっぱり、ラーメンは最初にザクっとつまんで口に頬張りたい。
その方が絶対美味しいに決まっている。
最近はテレビのグルメ番組でラーメン屋さんを取り上げることも多いですよね。
人気のタレントがラーメンを食べてコメントを言うのだけれど、この時もミニボンはテレビ画面を監視してる。
そして「あ、噛んだ。」
凡に報告してくれるのであるけれど、そんな報告はいらないのです。
美味しいものは美味しく食べたい。
そして、自由に食べたい。
とはいうものの、凡はB型だ。
ダメと言われれば、それをしたいのがB型。
いくらミニボンに監視されていても、今日も麺は噛み切って食べるのであります。

「とっちゃん」さんのブログにはラーメンの事がいっぱい書かれています。
最近はつけ麺にハマっておられるようですが、その記事を見て私も挑戦。
とはいうものの、インスタント。
インスタントでつけ麺ってどうなんだって思ったのが購入のきっかけ。
中にはつけ汁のカップが入っていました。
お湯は焼きそば方法で捨てるようになっています。
そして、お味の方は、まあ、インスタントですから。
でも、楽しかったですよ。