平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

創作劇場は、ここをクリックしてください。⇒⇒⇒

散散歩歩(6)新しい天体。

人の食の嗜好とは不思議なものである。
他の人が見ると、それは大丈夫なのかとびっくりするものも多い。
その味を好きになるに至った経緯を想像すると、一体どこでどう言う風にして、どんな出来事があったのか興味が湧いてくる。
先日も、松屋という牛丼屋に入ると、前のカウンターに30歳ぐらいの長髪の男性が座った。
Gパンにラフなシャツを着た、日本橋という土地柄パソコン関係の仕事をしているような感しだ。
彼は運ばれてきた牛丼に、カウンターにある焼肉のタレなど3種類のソースをたっぷり満遍なくかけ、更に生姜を山のように乗せた。
「うわぁ。これはもはや牛丼ではない。」
こんなに味の濃いソースを掛けたらもともとの牛丼の味はどう考えたって跡形もなく消え去っているだろう。
そもそも食の嗜好というものの大半は子供の頃に食べた味が基本になっているのかもしれない。
そう考えると、この青年は子供の頃にどんなものを食べて育ったんだろう。
凡も濃い味は大好きだけれど、牛丼を食べる時は牛丼の味を食べたい。
すき屋という牛丼屋もいろいろなバリエーションの牛丼を販売されている。
以前、お好み焼き牛丼というのを期間限定でやっていたので食べてみたら、これも牛丼の味ではなく、ソースとマヨネーズ味の別の食べ物だった。
こういうのはこういうのでいい。
面白いものを作ろうという意気込みは評価したい。
でも、牛丼を食べたいときに食べてはダメだ。
それは牛丼じゃないから。
さて、先ほどの松屋の青年だ。
たっぷりとソースを掛けた後、手を合わせて「いただきます。」と言った。
「あれ。見た感じでは想像できなかったが、すごく真面目な青年のようだ。」
きっと、こんな真面目な青年に育ったのは、親がちゃんと教育されていたのだろうなと想像できる。
きっと、食事も栄養のバランスなんかを考えて食べさせてあげていたに違いない。
そう考えると、食の嗜好は子供時代の食事が基本になっているという理論も、案外そうではないのかもしれない。
さて、この牛丼はソースの味から食べなくてもその味が想像できる。
凡は前から気になっている食べ物があるのですが、どうしてもそれに挑戦する気になれないものがあります。
初めてそれを見たときは「えっ、日本人なの。」とびっくりを通り越して衝撃を受けました。
それは回転寿司に行ったときのことです。
隣に座った青年が座りました。
見ると服装から飲食店に勤務しているようで、お昼ご飯に回転寿司に来たようです。
青年は回転レーンからマグロの寿司を取りました。
普通ならここで醤油を付けて食べるはずです。
しかし、見ていると青年はマグロの上にガリを乗せたのです。
「うゎ。どういうこと?」
でも、見ていると更にその上に、甘ダレをかけたのです。
甘ダレというのは関西だけにしかないのだろうか。
うなぎの寿司を食べる時に上に掛けるうなぎのタレにとろみをつけたようなものです。
こう書いたのは東京には寿司にうなぎのネタはないとケンミンショウで見たからです。
これはもう、マグロの寿司でもないし、ひょっとしたら寿司でもないかもしれない。
でも、気になります。
どうしても気になります。
一度は挑戦してみたいけど、なんとなく嫌だ。
でも、それ以来そのマグロの寿司が気になってしょうがありません。
それで、今日、思い切って挑戦したのであります。

画像

食べた感想は、うなぎのタレの甘い味のついたマグロと生姜の香りが混ざって、なんとも不思議な食べ物でありました。
勿論、これはいままでの寿司の概念を打ち破いた一品である。
次もこれで食べようとは決して思わないが、マズイと捨てるほどでもない。
でも、ここでハット気が付いた。
凡は何て食に対して保守的だったのだろう。
この青年は新しい味に挑戦して、更にそれを自分のものにしている。
ある意味、この青年に負けたのかもしれない。
「新らしい御馳走の発見は人類の幸福にとって天体の発見以上のものである。」
(開高健の新しい天体のもとになったブリア・サヴァランの言葉)
そうだ、凡も新しい天体を発見しなきゃいけません。

コメント

  1. とっちゃん より:

    世の中には変わった食べ方をする人は多いですよね~
    でも「変わった」とは自分の食べ方を基準にしているからで、その人にとっては変わってないんですよね
    でも牛丼にソースは邪道だと思いますし、けして新しい食べ方の部類には入りませんよね
    やっぱり元の味を引き立てるか、あるいは元の味をベースにより美味しくするなら別ですが、ほとんど元の牛丼の味はしなくなり、ソースの味ばかりになっちゃうようじゃダメですね!
    甘ダレというか「つめ」はありますよ~
    穴子の煮汁を煮詰めたものを「つめ」と言って、タコに塗ったりシャコの爪に付けたり、もちろん穴子に付けるのがメインですけどね~
    あと、ちょっと違いますが、煮切り醤油をマグロに塗ったりする場合もあります!
    一般的なお寿司やでは鰻のにぎりはあまり見かけませんが、最近は回転寿司が多く出店しているので、鰻のにぎりは珍しくないですよ~
    鰻の押し寿司なども見かけますよ~

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、とっちゃん。
    あ、そうか。
    関東にもアナゴはありますもんね。
    たぶん関東の「つめ」と関西の「甘だれ」は同じものでしょうね。
    テレビなんかで取り上げられているのは、それが全部の情報ではないんですよね。
    昨日もケンミンショウで大阪では散髪屋でシャンプーのとき、痒いところを聞かれたら、どこが痒いとか言うということを取り上げていましたけど、私は1度も言った事がないし、周りでもそんなん聞いたことがありません。
    やっぱり情報はとっちゃんのコメントのように現地の人から聞くのが一番ですね。

  3. とっちゃん より:

    凡蔵さん、自分は今の今まで関西の人は、床屋で痒いところを聞かれたら、ほとんどの人が全部って答えてるのだと思っていました
    さすが関西人は自分の思っていることを口にするんだ~、って思っていたんです・・・
    自分も痒いところを聞かれたら、いつも別にって答えてますね・・・
    本当はまんべんなくグリグリ洗ってもらいたいんですが、かっこ悪いかな?ちょっと痒いって言ったら不潔っぽくて恥ずかしいのかなって変に気を使っちゃうんです
    凡蔵さん、自分はあまり東京の事は分かりませんが、純然たる東京人って少ないと思いますし、いわゆる江戸っ子ってのも少なくなってきてますよね~
    自分の親友に、親子代々浅草生まれの浅草育ちってのが居ますが、これまた東京のスタンダードとはまた若干違いますよね
    まぁ横浜も、ヒとシの区別が付かず、コーシーなどと発音する人が多いとか、語尾にじゃんを付けるとか(これは多いです)、最近はどうなんでしょうかね~
    一つ言えるのは、横浜出身者は他県を気にしないって事かなぁ~
    東京に憧れる事もないし、ライバル意識を持つわけでもないし、地方をバカにしたりさげすむような感情も全くありませんし、横浜に住んでいるからっていって自慢や偉そうにすることもありませんしね!
    そこらへんが横浜人の良いところかな?って密かに分析していますが、関西の方からはどのようにうつりますか???

  4. とっちゃん より:

    凡蔵さん、その浅草の親友てのが皆さんがイメージするチャキチャキの江戸っ子に近いんです!
    銭湯が好きで花火が好き、花見も好き、もちろんお祭りが好きだし、浅草や門前仲町、深川や向島、などで飲み食いするのが好き!
    そのくせわりと新しくできたお洒落なスポットもウロチョロする・・・
    でもなぜか横浜が好きらしく、横浜に来る事が多いし、元町や伊勢佐木町、みなとみらい地区が大好きなんですね・・・
    流行りもんが好きなだけなのかもしれませんね

  5. とっちゃん より:

    ごめんなさい肝心な事を忘れました
    そいつは下町が大好きで、いわゆる山の手が嫌いと言うか、憎しみを持っているのかというぐらい山の手の住人(某各地の高級住宅地に住んでいる人たち)に対する何かがあるようです
    案外江戸っ子って言われる人たちのほうが、地域性の違いを意識しているのかなぁ???
    昔からの下町や、江戸っ子の領域を、他県からの人たちに凌駕されていくのがきっと面白くないんでしょうね・・・
    長々とすいませんでした

  6. oriver より:

    凡蔵。さん、やっちゃったんですネ~!
    勇気がある♪
    好みって意外なところにあったりするものですから、特に食に関しては面白いかもしれませんネ♪冒険か挑戦か、未知の世界への第一歩か!
    レポート楽しみしてます♪
    くれぐれもお腹壊さないようにして下さいネ

  7. 凡蔵。 より:

    ありがとう、とっちゃん。
    沢山のコメント、ホント感謝です。
    東京というと、地方から集まってくる人が多いまさに都会という感じですね。
    でも、私の印象では意外と緑が多いなというかんじです。勿論都心はビルばかりでしょうけど、少し外れると意外と小さな公園や、住宅地に緑が多かった記憶があります。
    それと、やっぱりテレビの舞台が東京のものが多いので、カッコイイというイメージもありますよ。
    みんなドラマの俳優さんのような。
    なので、とっちゃんさんもちょっと都会なイメージですね。
    それに、横浜っていうと更にオシャレなイメージがある。
    ファッションもエレガントな。
    関西でいうと、神戸みたいな。
    ホント、テレビの影響はすごいですね。
    大阪というと、テレビで紹介されるのは、ヒョウ柄の下品なオバチャンというイメージですが、それだけじゃないんですよ。
    確かに、ヒョウ柄着ているオバチャンは多いですけど。
    でも、逆に、大阪の人は、大阪のことを馬鹿にされるのも結構好きみたいですよ。
    そんな風に紹介されるのを喜んでいるみたいな。それに、サービス精神でカメラが回っていると、大阪風に演技しちゃうみたいな。
    でも、
    やっぱり一番いいのは、その土地にいって実際に見て感じることですよね。
    あ、また何処かへ行きたいな。

  8. 凡蔵。 より:

    ありがとう、oriverさん。
    そうなんです。
    ずっとどんな味なのかなと思っていたのですが、ついに挑戦しました。
    とはいうものの、
    この凡、まだまだ未熟物でございます。
    というのも、お皿にマグロが2つ乗っていたのですが、1つは普通に醤油で食べて、残りの1つだけ「ガリ甘ダレ」で食べたんです。
    「新しい天体」を発見するためには、10皿ぐらい色んな種類のネタを「ガリ甘ダレ」で食べるべきでしたね。
    探究心が足りないですね。
    これは反省。
    また、新しい味を発見したら報告しますねー。

  9. 野いちご より:

    こんにちは。
    コメントありがとうございました(*^。^*)
    マグロのにぎりのお話ですが、ガリをのせて醤油にされてみてはいかがでしょうか?
    昨年の7月までお寿司屋さんを経営していましたが、主人も私も少し体調を崩し、閉店しました。私もお寿司大好きでいろいろやってみましたが、マグロにはマヨネーズとガリそして醤油が合います。(私だけかな?)
    それから、味覚はやはり幼少の頃の味付けがかなりのウエイトを占めていると思われますよね。
    お寿司、全般にお醤油をつける方、つけない方、さび抜きの方、いろいろですよね・・・

  10. 凡蔵。 より:

    ありがとう、野いちごさん。
    えーつ。マグロにマヨネーズですかぁ。
    これは新しい天体の発見以上の発見じゃないですか。
    まだまだ、私も未熟でしたね。
    今度は野いちごさんの、「ガリと醤油」と「マヨネーズとガリと醤油」を試してみますね。
    それにしても野いちごさんの探究心に脱帽です。

タイトルとURLをコピーしました