平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。
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そうだ、ソウルへ行こう!(40)

飛行機は怖くないのに、高いところが極端に怖い。
北陸の温泉に旅行に行った時のことだ。
近くにお寺があったので、ミニボンと行ってみる事にした。
お寺の中には小さな池があって、歩道から池を挟んで向こう側に小さな祠があった。
凡とミニボンは向こう側へ回ってその小さな祠を見てみようということになった。
祠に行くのには、その池の縁を歩かなければならなかった。
そした、その縁は斜めになっていて、その斜めの縁を登ったところに祠があったのだ。
歩道から池を挟んでみると、ほんのちょっとした坂だ。
家の高さで言うと2階ぐらいだろうか。凡は簡単な気持ちで縁を歩いていた。
しかし、高さにして家の1階の屋根くらいになったときから、凡の想像力が膨らんできたのだ。
だんだん怖くなってきた。
しかも今回は非常になだらかな、そして低い坂なので、想像力にも限界があるのか、生理的に理由もなく怖い。
凡はミニボンの後を歩いていたのだが、もうだめだ。
池の縁のなだらかな坂が怖い。
そして、凡は決心した。
もうだめだ。祠へは行けない。
そしてミニボンに言った。
「あかん。もう、あかん。」
「どうしたん。」
「怖い。怖いねん。」
「え、何が。」
「高いから、高いから、怖いねん。」
ミニボンは、あまりのことにあっけにとられていたが、もうこのままではいられない。
「ひとりで祠へ行って。」と言い残して、凡は戻ることにした。
しかし、怖いのだ。
怖くて立っていられないのである。
凡は四つんばいになり、後ろ向きに今来た道を引き返した。
池の端のなだらかな坂を亀のように四つんばいになりながら後ろ向きに元来た道まで戻った。
しかし、そのなだらかな坂は池を挟んで凡が来た歩道から丸見えなのだ。
凡の後からきた観光客が皆立ち止まって凡の今の一部始終を見物していた。
池の反対側から凡のなだらかな坂を四つんばいになりながら、「もう、あかん。」といって後ろ向きに下っていく姿を楽しそうに笑いながら見ていたのだ。
これは、恥ずかしい。
当然、また帰るときにこの一団とすれ違うではないですか。
しかし、それも仕方がないか。
その観光客に楽しい笑いを提供したのだから、いい事をしたと思おう。
ソウルにも高所恐怖症の人がいるのだろうか。

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