平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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そうだ、ソウルへ行こう!(34)

それにしても、ハムスターという生き物は可愛いですね。
ひまわりの種を両手で持って、無心に食べている姿を見るのは癒されます。
凡とミニボンは、一時ハムスターを飼っていたことがあります。
ミニボンが飼いたいと言ったからです。
しかし、飼ってみると可愛いので、凡も仕事から帰ってくるとハムスターのところに行って「ハムちゃん、ハムちゃん。」と、名前をつけたのにハムちゃんを連呼しておりました。
このハムスターなんですが、一度大怪我をさせたことがあります。
夜中、ケースから出して部屋の中を自由に走り回らせていたのですが、お腹をぱっくり切れる事故を起こしてしまったのです。2匹一緒に部屋に放したので喧嘩したのかもしれません。原因は不明です。
さあ、大変です。
ミニボンも溺愛していたハムスターに怪我をさせてしまったのですから、うろたえています。
色んなペットがいる中で、ハムスターが一番非力なのではないだろうか。その、非力なハムスターが怪我をしているのは、更に非力で可哀想だ。
凡とミニボンは、夜中でも開いている動物病院を探すと、堺市にあるというのでタクシーで高速を飛ばして向かいました。
小さな小箱を抱えて「ごめんね、ごめんね、うぇ、うぇ。」と泣くミニボンを見て、タクシーの運転手は何があったんですかと聞きました。
凡とミニボンが怖かったのかもしれません。
病院につくと看護婦さんから説明があります。「治療費はちょっと高くつきますが、よろしいですか。」「いいですっ。」
それで無事手術も終わり、明け方家に帰ってきました。
その後、近くの病院で引き続き縫ったところのケアを続けました。
近くの病院といっても歩いて往復1時間掛かります。
それを、小さな小箱を揺らさないように両手でそっと持ってミニボンは病院に通いました。
その姿は、少しでも揺らしたら爆発する爆弾をそーっと捨てにいっているようにも見えます。
1時間もそんな風にして病院まで往復するのは大変だろうと思って、電車かタクシーで行ったらというと、「揺れて、ハムちゃんが気持ち悪くなったら可哀想や。」というのです。
すべてがハムちゃん中心です。
ハムスターは、世界で一番非力な生き物のように見えますが、今まで生き延びてこられたのは、可愛いというその一点がみんなの心を捉えたからではないでしょうか。
ひょっとして世界で一番強い生き物なのかもしれません。
そうだ、ソウルにはハムスターを飼っている人はいるのだろうか。

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