平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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そうだ、ソウルへ行こう!(29)

旅行へ行くと必ずその土地の市場やスーパーマーケット、百貨店やコンビニなどへ行ってみないと気がすまない。
凡は食べる事が好きなので、食べ物を求めてウロウロ歩きまわる。
特にアジアの市場は(かなり大きな括りですが)特有の匂いがあり、その匂いを嗅ぐと旅行に来たなと嬉しくなる。
スーパーやドラッグストアは、お土産探しによく行く。安くて現地しか買えないものが沢山あるので、ついつい長居をしてしまう。
香港のワトソンズなんかに入ると1時間ぐらい夢中になって商品を物色してしまう。
香港へ来たのかワトソンズに来たのか解らない。
百貨店は、1階が好きだ。
何故なら化粧品売り場があるからだ。
凡は香水の匂いを嗅ぐと、「ああ、海外旅行しているな。」と感じる。
その原因は空港の免税店である。
海外旅行に行くときは時間に余裕を持って出かけるので出発までの時間免税店で時間を潰すことも多い。
免税店には化粧品売り場が多いので、「香水イコール海外旅行」のイメージが付いてしまったのだろう。
機内で綺麗なスチュワーデスさんが素敵な香りの香水をつけているとウットリとしてしまう。
しかし、最近は男女を区別しないユニセックスな香水が出てきた。
これは、止めてほしい。
以前、凡が大阪で電車に乗っていたときのことだ。
座席に座ってウトウトとしていると、綺麗な20歳代の女性が乗り込んで来た。
「やったー。」凡のこころの声。
「やっぱり、綺麗な女性の香水の香りはいいなー。」とウトウトしながらウットリしておりました。
しかし、ウトウトしながらもある事に気がつきました。
この凡をウットリさせている香水の香りのやってくる方向がどうも、その若い女性から来ているのではないのです。
凡は誰にも気づかれない程度首を左右に振りながら香りを嗅ぎ香りの元を探しました。
うん、やはりこの綺麗な女性ではない。
うん、この香りは女性とは反対の方向から来ているぞ、と気がついたのであります。
それで、ゆっくりその香りの来ている方向を見てみると。
「嘘やん。やめてーや。こんなん詐欺や。」凡のこころの声。
何とその凡をウットリさせていた香水の主は、30歳代の毛むくじゃらの男性ではないですか。
何で、こんな素敵な香りの香水をあんたが付けてるんや。
凡は不覚にも毛むくじゃらの男性の香りに、しばらくウットリさせられてしまったのである。
毛むくじゃらの男性は、マンダムを付けてればいい。
毛むくじゃらの男性は、素敵な香りは必要ない。断言!
そうだ、ソウルの百貨店の1階に行かなくちゃ。

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