平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(1417)山陰と山陽の間の旅。(2)

旅(国内)

8月28日(月曜日)。

青春18きっぷで、大阪から岡山と来て、伯備線、芸備線と乗り継いできて、備後落落合駅で、名物のおでんうどんを食べようと思ったら、まだ今年は販売してなくて、カツ丼を頂いた凡であります。

その後、備後落合駅で1時間半ほど、田舎の駅を、独り占めで満喫。

これから、今日の宿泊地である三次まで、引き続き、芸備線に乗って行こうと言うところであります。

備後落合駅、17時11分発。三次行き。キハ120。

窓のガラスに光が反射して、上手く撮れないよ。

走り出すと、木次線が右に分かれて行って、川をまたいで鉄橋の先へと伸びている。

芸備線は、左に進んでいく。

右側には川が流れ、落っこちそうな急な斜面に木々が茂っている。

左は、山の裾になっていて、ここも窓のところまで木の枝が届きそうなぐらいだ。

その左右の間に出来た緑のトンネルを、木々の枝を窓のガラスに擦りつけながら、ゆっくり、ゆっくり、驚くほど慎重に、列車を走らせている。

時おり、汽笛を鳴らすのは、イノシシか、小鹿がいるのだろうか。

その緑のトンネルを抜けると、少しスピードを上げて、視界の開けた田畑の中を走る。

車内は、8人ぐらいの乗客だっただろうか、空いているので、快適だ。

途中で、学生が、7、8人乗り込んで来た。

この辺りは、芸備線も、日々の生活の交通手段なのだろうか。

そして、18時32分、三次駅に到着。

今日のホテルは、ホテルルートイン三次駅前。

税込み、6880円。

ホテルの向こうに列車が見える。

駅から歩いて向かうと、同じように歩く60才ぐらいの男性がいたが、同じホテルだった。

ルートイン三次駅前さんは、まだ、出来たばかりなので、綺麗で快適そうだ。

内装も落ち着いていて、旅の疲れを癒すには、先日、アパホテルに泊まったけれども、こっちの方が、好きかもしれない。

ホテルの横は、線路になっていて、ホテルに入る時に、それに気が付いたら、予約の時に、線路側の部屋と、指定すれば良かったと思った。

さて、今日は、もう7時過ぎなので、このまま、三次の晩御飯に出かけましょう。

ホテルのフロントで、ひとりでも入れる居酒屋を聞いたら、「山陰海鮮 炉端かば」というお店を教えて貰った。

成る程、この名前は、聞いたことがあった。

鳥取とか、津山でも見かけたのじゃないかな。

山陰、中国地方に展開されているチェーン店だ。

なんだ、チェーン店かと、内心、残念な気持ちではあったのですが、いざ、ホテルの外に出てみると、個人でやられているお店が、思ったより少ない。

ということは、この辺りの人は、飲んだり食べたりするときは、こういうお店に行くのではないだろうかと、そう推測も出来る。

ならば、このお店にしようと思った。

地元の人が行く店で、凡も、まだ入ったことがない。

鳥取でも津山でも、どんなお店だろうとは、看板を見て思っていたんだよね。

それに、今日は、スタートが遅めだし、見ると三次は田舎っぽい。

なので、歩き回って探すよりも、1軒目は、すぐに入るべきだろう。

ということで、ホテルのお姉さんにオススメいただいた炉端かばさんに入る。

店内は、半個室的なテーブルが大半を占めていて、カウンターが入口にあった。

カウンターの端っこに座る。

カウンターには、誰もいない。

まずは、ビール。

そして、若い男の子に、お薦めは?と聞いた。

すると、男の子は、あたふたして、持っているタブレットで何かを調べようとしている。

なのだが、タブレットの使い方が解っていないのか、お薦めを把握していないのか、凡の後ろで困っている。

すると、それを見た若い女の子が、たぶん、先輩なんだろうな、「ん?やり方、忘れちゃった?」って優しい声で言って、男の子にタブレットの使い方を説明している。

いやいやいや、こんなシチュエーションがあるだろうか。

凡は、それを見て羨ましいなと、お薦めが解らない事よりも、そっちが、気になった。

凡も、いくつかの仕事をしてきて、その場に女性の先輩がいることもあるのだけれど、こんな優しい言い方の女性がいたなら、ちょっと、好きになってしまっていたかもしれないよ。

「あんたな。こんなん1回言って、出来品かったら、頭悪いで。」とか、「このぐらいやってもらわな、あかんで。それぐらい解らへん?」とか、そんな言い方をする女性の先輩や年下の女性を、何人も見ているし、実際、凡も言われたこともある。

ああ、いいなあ。

「ん?忘れちゃった?」って、優しい声で、凡も言われたかったよ。

「うん。僕って、ダメだな。すぐ忘れちゃうんだ。」

「よし、分かった。あたしが、それじゃ、課外授業してあげる。うん、凡君、今日、仕事が終わったら、ちょっと、あたしにビール付き合いなさいよ。タブレットの使い方教えてあげる。」なんてね。

そんな展開が、あるやなしや。

そんな先輩の女の子と、後輩の男の子の会話を、凡は背中で聞いていた。

そして、再び、男の子がやってきて、凡の前で、タブレットを触っていたなと思ったら、「今日の、お薦めは、、、。」と言いながら、タブレットの画面を見せて、「ピーマンの炭火焼です。」と、自信なさそうに言った。

「ピ、ピーマンの炭火焼。」

確かに、炉端焼きなのだから、ピーマンの炭火焼があってもおかしくはなくて、それが、おすすめであっても、これまた、おかしくはないのだけれど。

タブレットの画面を見ると、ピーマンの炭火焼以外にも、4種類ほど、料理が表示されていて、どれも、あまりお薦めに思えないような料理がピックアップされている。

おそらく、検索の仕方が、間違っているのじゃないかな。

それにしも、なかなか良いぞ。

よい男の子に当たったもんだ。

たぶん、この男の子は、アルバイト、初日か、2、3日目というところだろう。

凡が、この男の子に、良いぞと思ったのは、凡の話を、ちゃんと聞いてくれたからだ。

ちゃんと、お薦めを調べて教えてくれている。

その情報は、たとえ、的を射ていなくてもね。

普通の子なら、そして、適当に客の質問を聞いている子なら、もっと適当に答えるに違いない。

このお店は、山陰海鮮と銘打っている。

店内にも、おすすめの料理のコピーが貼ってあるし、メニューにも、お薦めだとか、そんな文言が見える。

なので、客に、お薦めはと聞かれたなら、たとえ解ってなくても、メニューを見せて、「お刺身の盛り合わせです。」とか、そんな適当なことを、いくらでも言えるわけだ。

どっちが、凡の質問に真剣に対応しようとしてくれたかと考えると、それほど、この若い男の子も、ダメということはないし、今回も、ガンバレヨと、言いたい気持ちになったのであります。

というか、三次という田舎で、誰もいないカウンターで、ひとりで飲んでるんだもんね。

時間もあるし、のんびりしたい気持ちもあるからね、こんなことがある方が、どちらかというと、楽しいのである。

ということで、折角、お薦めしてくれた料理だからと、「じゃ、そのピーマンの炭火焼。」と注文したけれども、タブレットの操作を間違ったのか、最後まで、出てはこなかった。

気が付いたら、目の前に、おすすめのコピーがあった。

ビールとお通しが来て、それで飲み始めたら、凡にも注文用のタブレットを、別の人が持って来た。

これなら、便利だけれども、さっきのような面白いことは起きないのだろうな。

さて、料理は何にしようかな。

サワラの炭火焼を注文したら、品切れとのことで、それじゃと、エビ玉なるものを注文。

825円と、ちょっと強気の値段設定。

これは、エビにタレを絡ませて丸く盛ったところに生玉子の黄身を落としてあって、それを寿司の軍艦のようにして食べるというものだ。

エビが、思ったより大振りの身で、玉子と混ぜて食べるのも楽しく、なかなか、美味しかったです。

そして、炉端名物と書かれている鶏もも焼きのやみつきだれ。968円。

それに、出雲生姜ハイボールの濃い目というのを追加。

鶏もも焼きは、思ったよりボリュームがあって、これもまた、ビールや酎ハイの進む料理でありました。

さて、どうしましょうか。

折角の三次なので、ハシゴしたいのである。

それに、このお店も、このまま、居続けたら、結構な値段になるに違いない。

ということで、お会計をした。

生ビール×1、メガ生ビール×1、お通し、料理2品、酎ハイ濃いめで、4179円。

店を出たら、兎に角、街を歩き回る。

2軒目を探してね。

誰もいない。

なのだが、どこもにも、お店が無いし、あっても、やっていない。

それに、人っ子ひとり歩いていないのだ。

かなり歩き回ったかな。

街を2周ほどした間に、出会ったのは、学生の3人組だけだ。

車も、駅の前の道路以外は、ほぼ、走っていない。

ある意味、田舎の街を感じられて楽しい。

ホテルの周りには、養老乃瀧だとか、そういうお店が、3、4店あった。

なのだが、そういうお店なら、別に、さっきの炉端かばさんで良いのだ。

大阪では見かけない(あるのかもしれないが)お店だし、どこも悪いところを感じなかったし、美味しかったし。

どこか、個人、或いは、小規模でやっているお店に入ってみたい。

ということで、歩き回った末に、中華料理のお店があったので、街中華で一杯ということにしようと思う。

北京楼さん。

中に入ると、客はいない。

若い男性が店員でいたが、すぐに、出て行った。

或いは、店主の息子さんだったのだろうか。

先ずは、瓶ビールに、酢豚をお願いした。

テレビを見ながら、料理を待つ。

酢豚は、言うなら、普通の酢豚。

小さな中華料理屋で、店主とふたりというのも、これまた、黙っているのも気まずいものでありまして、「いや。この玉ねぎの火の通し加減が最高ですね。シャリシャリという食感が、いい。」なんて、そんなことを言ってみたりして、店主の気を惹こうとしてみる。

凡が、大阪から来て、明日行くこところを考えていると言ったら、観光のオススメを教えてくれたが、どうも車が無いと無理みたいなので、たぶん、行かないだろうな。

そして、締めに、天津飯をお願いした。

玉子にタケノコを入れているのは、食感として面白かった。

ご飯少な目でとお願いしたのですが、それでも、かなりのボリュームだ。

ということで、無事、2軒目で締めまで頂きまして、店を出る。

酢豚900円、瓶ビール600円、天津飯700円なり。

旅に出て、地元の中華料理屋で、一杯も楽しいですね。

さて、ぶらぶらとホテルに戻る。

ホテルには、大浴場もあるのだけれど、やっぱり、面倒くさくて、部屋のバスでシャワーを浴びる。

今日もまた、楽しい1日でありました。

おやすみなさい。

コメント

  1. yukemuri より:

    いよいよ三次ですね
    炉端かばとは珍しい店名ですね
    しかし焼きピーマンがお奨めとは、アルバイト君どうしたんだ?って思いますね
    エビ玉や鶏モモ焼きは実に美味しそうですね
    宮崎の鶏もも焼きに似た感じで、煙で燻された感じが実に美味しそうです
    それにしても三次って町はややローカルな感じがしますが、実際はどうなんでしょう?
    ローカル線も川の横を走っていますが、こんな雰囲気って最高ですよね
    まさに旅をしているって気分になりそうですね

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    炉端かば、良かったですよ。
    というか、それほど食べてないので、断言できませんが。
    注文したものは、全部、美味しかったです。
    ただ、値段は、少し高めかも。
    お刺身とかが、人気らしいです。
    焼きピーマンのアルバイトの男の子は、面白いですよね。
    こんなことがあっても、カウンターにも誰もいないし、他のお店に行くにも、お店は無いし、なので、
    まあ、ゆっくりした気持ちなので、却って、楽しかったです。
    三次っていう街は、私も初めて行きましたけれど、昔は、どうだったのか知らないのですが、
    今は、田舎ですよ。
    ただ、街を上げて観光に力を入れようとしているみたいなので、これから、観光客も増えて賑やかになるのかも、
    とはいうものの、賑やかになったらなったで、昔の田舎が良かったと思うのかもしれません。
    といっても、今は、兎に角、あまり人がいない感じです。
    若い人は、広島に出てしまうのかな。
    夜も、繁華街は、全部のエリアを歩いてないですが、たぶん、無かったと思います。
    でも、良いところでることは、間違いないです。

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