平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(1373)一鉄、二麺、三陸 の旅。(2)

旅(国内)

1月21日(土曜日)。

三陸鉄道リアス線に乗ろうと、仙台経由で釜石に来ております。

ホテルホルクローロ三陸釜石さんにチェックインをして、ホテルで周辺の飲食店の地図を貰って、これから夕食を食べに行こうかというところであります。

飲食店の集まるところは、JRを挟んで、ホテルとは反対のエリアにあるという。

なので、地図を見ながら歩き出す。

こういう瞬間が楽しい。

それにしても、通りを歩いている人がいない。

地方の繁華街も、大変だろうなと同情するけれども、旅行者にとっては、この静けさが楽な時もある。

まずは、メインの通りを歩いて行って、繁華街の中心辺りに来たら、また引き返してホテルで教えて貰ったお店に行ってみる。

人気のお店だという。

炉端焼きのお店だ。

入口に入ると、靴を脱いで上がるようになっていて、凡は靴を脱ぐお店は苦手なので、どうしようかと思ったが、折角教えて貰ったからと、入る気で立っていると、誰も声を掛けてくれない。

入口から中が見えるのだけれど、焼き物をするところを囲むようにカウンターがあって、半分以上の席に客が座っている。

でも、厨房というか、焼く場所には、誰もいないのだ。

なので、声を掛けるも反応無し。

客を見ると、ただ座って待っているだけで、楽しそうに飲食している人はいない。

これは、もう入れたとしても、楽しくお酒を飲む感じじゃないなと思って、外に出た。

そうなると、どこにしようかと迷うことになって、ネットで調べたお店に行ってみようかと思う。

店の前まで来たら、悪くはない感じだ。

外から窺うと、カウンターに客がひとり。

そのひとりの客が、どうもクセが強そうなので迷ってしまう。

と迷っている間に、後から観光客らしき3人組が、こんな店あるけど、どうする?みたいな会話をしながら、結局、入って行った。

こうなると、後に続いて入るのは、何となく気まずい。

それでまた、ネットで調べて、1軒のお店に行ってみることにした。

見た目は、地元の人が行くような感じで、旅行者には、ちょっと入りづらい店の顔をしている。

空き地に斜めに建てられたバラック風の1軒が独立した建物だ。

どうしようかと思ったが、迷っていても仕方がない。

次の候補がある訳じゃないしね。

ということで、思い切って戸を開けた。

「まつや」さん。

中は、カウンターに、テーブル席、そして、狭いながらも小上がりがある。

個人がやっている雑然とした感はあるが、悪くはない。

カウンターに座る。

凡以外に客はいない。

お勧めを聞いたら、刺身の盛り合わせだというので、それと、ボリュームのありそうな、唐揚げ風のもの。

それに生ビール。

突き出しは、2品きた。

お店には、中年ぐらいの大将がひとりと、女性がひとりの2人で切り盛りをしている。

「ご夫婦で、やられているんですか。」と聞いたら、大将から「娘です。」と返ってきた。

シマッタ!!!

何と言う失礼なことを言ってしまったのか。

しかも、初歩の初歩のミスである。

「ゴメンナサーイ!」と、両手を合わして謝ったら、「大丈夫ですよ。」と言ってくれたので、ほっとした。

でも、それをきっかけに、話が進むようになって、結果として良かったのかもしれない。

話は、それてしまうが、それにしても、お店に入って、そこのスタッフを呼ぶときに、その呼称に迷ってしまう。

女性の方は、案外と簡単である。

年配の方なら、お姉さんで、若い方なら、これまたお姉さんか、或いは、お嬢さんでいいだろう。

でも、男性の時は、お兄さんなのだろうか。

でも、こういう場合は、お店の責任者だから、お兄さんも変だ。

洋風のお店なら、マスターで良いが、ここは居酒屋だ。

となると、大将ということになるのかもしれないが、凡は、お店の店長を呼ぶときに、大将という言葉を遣うのは、どうも言いにくい。

まあ、60才以上の方なら、大将と呼べそうだけれど、50才ぐらいの人に大将は、言いにくいのである。

これは、凡だけの感覚だろうか。

となると、ご主人ぐらいが無難なところか。

明日は、三陸鉄道リアス線に乗る予定だけれど、一応、釜石の見どころを訊いたら、どうも、何も無いようで、遠野あたりを教えてくれる。

随分と、遠くを推しである。

そんな話から、岩手のカッパは、赤い色をしているという話になった。

カッパは、普通は緑色だ。

昔の遠野では、食べるものもない時は、子供を間引くこともあって、その子供を川にながしたそうだ。

そんなことから、その川に近づかないようにと、怖い話とセットにして、赤いカッパになったという。

そんな悲しい物語などを教えてくれる。

お店には、テレビがあって、ずっと流れている。

そのテレビを見ながら、大将と娘さんと、番組の話をしたり、のんびりとした時間が楽しい。

それにしても、そろそろ客が増えてもおかしくない時間だけれど、凡ひとりだ。

大将の話によると、お酒の業者さんが、今日は注文が少ないので、ひょっとしたら客が少ないかもしれないと昼間に話してたそうだ。

そんなことも予想できるんだね。

でも、今日は凡がいるからね。

坊主でなくて良かった。

こんな個人営業のお店で、客が来なかった日というのは、寂しいだろうなあ。

仕込みをして、時間が来て店を開ける。

でも、いくら待っても、客が来ないんだ。

そして、閉店の時間が来て、暖簾を下す。

帰り道、「お父ちゃん。誰も来なかったね。」なんて、娘が言う訳さ。

「まあ、こんな日もあるよ。」そう答えた大将の声にため息が混じる。

家に帰って、奥さんが「お疲れ様。疲れたでしょ。」なんて、声を掛ける。

「いや、今日は、坊主だったよ。」なんて答えるよね。

「そう。大変だったね。」ぐらいしか返せないだろう。

そう想像すると、個人営業のしんどさが辛いね。

と、勝手にそんなことを想像しているが、考えてみれば、このお店の土地が自分の土地なら、売り上げ自体が、収入になる訳だから、最低賃金の時給で働いている凡よりも、実際は、稼いでいるのではないかと、これまた想像だ。

釜石という地で、美味しいお酒と料理を頂きながら、仲のいい親子とお話をする。

楽しい時間である。

チーズフライと、もろきゅうで、またお酒を追加。

生ビール3杯と、熱燗シングル3本、それに、オリジナルのハイボールを1杯のんだ。

オリジナルのハイボールは、レモン風味だった。

このお店は、釜飯もオススメだという事で、今日はもう、この店でシメまでやって、ホテルに戻ることにしよう。

今日の釜めしは、鯖の煮つけを炊き込んだものだそうだ。

量が多かったら、おにぎりにしてくれると言ってくれたが、全部食べてしまった。

娘さんが、写真を撮りやすいように見せてくれた。

そして、お会計をして外に出る。

ひんやりとした空気が気持ちいい。

凡も気分が良くなって、気が付いたら3時間弱ぐらいお店で寛いでいたようだ。

楽しい時間を、ありがとうございました。

そうだ、会話の中で、明日、八戸に行くと言ったら、八戸の屋台村に、娘さんの趣味のお友達がやっているお店があるという。

そこなら、ボラレルこともないし、イカ刺しが美味しいという。

これも何かの縁だ。

明日は、ピザの美味しいピーマンさんに行ったら、そのイカ刺しのお店にハシゴをしようかと思う。

娘さんのお友達なら、これまた、若い女の子だろう。

そのお店に行ったら、若くて可愛い女の子がいるんだよ。

しかも、釜石の娘さんに紹介されたなんて言ったら、警戒はされないだろう。

いや、お友達と言ったけれども、男か女か確認しなかったな。

ひょっとして、男だたりして。

しかも、金髪のヤンキー。

それは、嫌だな。

いや、そんなことは無いはずだ。

あの娘さんに金髪ヤンキーは、似合わない。

どう想像しても若い女の子であることは、間違いがいがないだろう。

しかも、ちょっと派手めの女の子だったりして。

サラサラロングヘアーで、もう、あーた、ボン、キュッ、ボーンなのよ。

んでもって、ニットの超ミニのワンピースに、大きく開いた胸元。

7センチのハイヒールで、凡の横に来て、「そうなんだ。釜石で紹介されたのね。じゃ、いっぱい、サービスしてあげる。いっぱいよ。いっぱい、サービスして、あ・げ・る。」なんてね、20代の女の子に言われるわけ。

「い、い、いっぱい、、、サービス。」なんて、ドキドキしながら、鼻の下を伸ばすかもね。

ウヒヒヒ、、、、。

ねえ、どうする?

八戸。

どーするのよ、あーた。

なんて、酔っぱらった凡は、ただのイヤラシイ中年となって、夜の釜石の街をホテルの戻るのでありました。

夜の駅前。左にあるのがホテル。

コメント

  1. yukemuri より:

    こちらの居酒屋は良さげですね
    刺し盛が良い感じですし、白子がまた美味しそうです
    それと鯖の煮つけの炊き込みご飯、これまた珍しいですね
    初めて見ましたが美味しそうですよね
    それにしても釜石駅前は人通りもなく閑散としていますね
    タクシーがポツンと停まっていますが、これで商売になるのでしょうかね?

  2. tairabonzou より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    結果、このお店にして良かったです。
    お客さん、私以外に、誰も来なかったですけどね。
    なので、のんびり出来ました。
    炊き込みご飯は、このお店の締めのオススメのようで、
    今回は、鯖でしたけれど、その時によって、違う炊き込みご飯になるようです。
    わたしが行った時は、賑やかとされている通りも、なんだか寂しそうでした。
    地方の飲食店は、大変だなあと思いました。

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