平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩(1086)北海道・釧網本線の旅。(2)女満別駅から網走。

10月21日(木曜日)。
女満別空港に着いた凡は、リムジンバスに乗り込む。
このバスは、網走駅まで走っているバスだ。
なので、そのまま乗っていれば、今日の宿泊地の網走には着くのではあります。
とはいうものの、凡は、立ち寄りたいところがあった。
JR女満別駅だ。
何しろ、みゆきさんの歌の歌詞にも登場するものね。
空港も女満別だけど、やっぱり、女満別という駅に行ってみたい。
♪♪ アゼルバイジャンの夕暮れは、女満別の夕暮れと変わらない 
   歩いているうちにいつのまにか 紛れ込んで続いてゆきそうだ ♪♪
案内所で聞いたら、バスは女満別駅には止まらないので、女満別十字街というバス停で降りて、歩くとのこと。
ただ、バス停で降りると、どっちが駅なのか分からない。
んでもって、道を聞く人も歩いていない。
だーれも、歩いていない。
なので、地図アプリを頼りに歩いたら、案外と近かった。
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女満別の駅は、ちょっとお洒落な感じの建物で、駅の前は、ギリシャ風なのかな、そんな女満別とは思えない感じになっている。
駅舎は、図書館と一緒になっていて、駅員は、いない。
さて、ここで、どうしようかと考える。
せっかくの女満別だから、ちょっと時間を作っても良いなと思っていたのだ。
お茶でも飲んでさ。
となると、網走行きの汽車は、14時30分発となって、今から2時間半の時間がある。
とはいうものの、見たところ、駅前には、これといったものがない。
本当の旅人なら、その何も無いところで、ゆっくり、その土地を感じるものなのだろう。
女満別駅なんて、そうそう来れる駅じゃない。
女満別駅の空気は、さっき雨が上がったばかりで、汚れをすべて洗い流した真っさらな清らかさが漂っていて、それが見渡す線路の向こうの向こうまで、満ちている。
ああ、気持ちの良い空間だなと感じていた。
でも、凡は、極めて凡であり、愚であり、俗である。
もっと、賑やかで、人の多そうな、網走に移動しようと思った。
なので、12時02分発の特急で、網走に移動しよう。
となると、15分ほどで、駅周辺を観察しなきゃいけない。
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女満別駅は、良い。
地上駅で、しかも、ただ、広い湿原なのか、畑なのか、そういうところを、線路が伸びている。
駅の横には、らせん状の跨線橋があって、線路の上まで行ってみると、線路と90度の角度の向こうに、網走湖が、道路の幅だけ細く見えている。
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ホームのすぐ横に貨車が4両停まっているというか、置かれている。
小さな可愛い貨車なのだけれど、もう、随分と使われていない感じである。
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これは、ネットで調べたら、絵本作家の別荘だそうだ。
それは、実に羨ましい。
本当に、ホームの横にあるんですよね。
なので、汽車が、その真横を通る。
別荘と言うと、風光明媚な海を見渡せる高台とか、爽やかな空気に満ちた涼しい軽井沢のようなところとか、そんなイメージを持つけれども、凡にして見れば、こっちの方が、遥かに羨ましい。
見ると、もう使用されていないようだけれど、いくらぐらいだったら、買えるのかしら。
とはいうものの、いくら安くても、買えはしないのだけれど。
ああ、羨ましい限りなのではあります。
それにしても、この貨車の置かれている場所は、私有地なのか、駅の敷地なのか。
これは、女満別駅だから、成立する羨ましさなのかもしれない。
これが、凡の住んでいるところの近くで成立するなら、こんな楽しいことはないだろうね。
大阪駅なら、人の少ない11番線ホームの端っこの方に、3畳ぐらいのプレハブの別荘を建てて、毎夜、サンライズの停まるのを見ながら、ビールを飲む。
そんなのも、最高だろうね。
というか、大阪駅なら、そのホームの賃料は、怖ろしいほど高いだろうけれど。
しかし、この女満別駅の別荘は、ホントに、羨ましかったのではあります。
駅のホームで特急オホーツク1号を待っている。
すると、ヘッドライトをつけた列車が走ってきた。
やっぱり特急は、カッコイイな。
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ホームに停車したら、急いで乗り込む。
乗り込んだのは、凡1人だ。
オホーツク1号は、札幌を、6時56分に発車して、5時間かけて女満別に到着して、そして、網走まで走る列車だ。
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乗り込むと、思ったより内装が豪華だ。
女満別駅は、駅の係員はいないので、さっき見かけた車掌さんのところに、きっぷを買いに行った。
そして、控室から出た車掌さんに声を掛けたら、「うわあ。びっくりした。」と驚かれた。
その驚き方が、こっちがびっくりするぐらい大袈裟というか、大きな声で、こっちもびっくりしたのであります。
きっぷを買う時にお話をしたら、この特急で、女満別駅から乗り込む人は、
ほどんどいないと言う。
そんなことを言われたら、ちょっぴり嬉しくなるのは、B型の証拠でもあるのか。
まあ、時間も中途半端だしね。
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列車の連結部の洗面やトイレなどをみると、年代を感じる。
こういう雰囲気は、大好きだ。
特急の豪華なシートに座って、少しばかり車窓を楽しんだら、網走駅に着いた。
12時17分。
わずか15分のリッチな特急の旅。
駅に着いて、今乗ってきた特急車両を見る。
するとドアの近くなど、結構、ひびが入っていたりと、経年の痛みを感じる箇所が目立つ。
厳しい気象状況の中を走ってきた列車に、ちょこっと「敬礼!」。
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IMG_8674.JPG(車体の傷)
そんな列車を見ているのは、鉄ちゃんの兄ちゃんばかりだった。
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網走駅は、ここも地上駅で、なかなか雰囲気の良い駅だ。
改札を出ると、モリヤ商店という軽食を食べさせたり、駅弁を売ったりしているお店があった。
網走駅の雰囲気を見たなら、何故か、このお店でカレーを食べたくなった。
旅情とカレーは、何か気持ちの底で繋がっている気がする。
カレー専門店じゃなくて、普通の喫茶店のカレーは、昔ながらの懐かしい味を食べさせてくれそうだ。
旅情でいうなら、立ち食いそばもそうなんだけれどね。
なかでも、駅でカレーは、どちらかというと珍しいから、気になるのである。
それに、お腹も減っている。
でもまあ、先に観光案内所で、地図を貰って、考えていた観光施設の行き方を聞いてみよう。
ということで、観光案内所のお姉さんに、地図を貰って、行き方を聞いたら、6キロあるし、坂道なので、バスじゃないとシンドイという。
「あ、それから、網走で繁華街というか、ひとりで飲みに出かけ、、、。」と、晩御飯の情報を聞こうとしたら、「あ、もう行かないと、バスが出ちゃいます。」と言われたので、すぐに案内所を出てバス停まで急いだ。
やってきたバスに乗って、目的地に移動。
「北海道立北方民族博物館」
IMG_8700.JPG(これは帰路のバス停)
中に入ると、想像以上に充実した内容だった。
それに、博物館としても、貴重な存在でだと思う。
兎に角、切り口が良い。
北方民族というところをクローズアップして、その文化や暮らしなどを紹介しているのだけれど、それらの展示品というのは、ここでしか見られないものも多くて、知らなかったことも、もっと知りたいと思わせるような展示だった。
北方民族と聞いて、行く前は、アイヌの紹介ぐらいかなと思っていたら、もっと広いグリーンランドや北欧なども含めた広い地域で括って、それらの文化が紹介されている。
それで気が付いたのは、凡も、日本の地図を中心に考えていたせいで、ここの地図は、非常に見難いと感じてしまうということだ。
日本列島を中心に描かれているのではなくて、北海道から北を中心に切り取って地図にしているので、国境とは違う線引きの新たな見方で、文化の広がりを見ることになる。
これもまた、新鮮だった。
ただ、地図のエリアの色塗りが、ちょっと濃すぎて、下の地図の線が見えないのは、ちょっと残念。
どこが、海岸線か、分からないぐらいに文化圏の色塗りが濃い色を使っているのだ。
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映像なども、普段は見れない映像で、これは楽しかった。
ただ、どれも短い。
出来ることなら、ネットで、長いバージョンを見れるようにして欲しいな。
今の時代、博物館は、この場所だけに置いておくのは勿体ない。
遠くにいても、ネットで、それらの資料を見れるならば、博物館は、全国に存在すると同じになるんだけどなあ。
どこでも、ドアじゃなくて、どこでも、北方民族博物館。
さて、もっと博物館を楽しみたい。
そう思ったのだけれど、ここでも、凡の低脳が、ひょっこり頭を出す。
「ちょっと、お腹が減ったな。」と。
次のバスは、もうすぐ出発する時間だ。
んでもって、その次は、1時間半後になる。
「どーせ。家に帰ったら、今見た展示品の記憶も薄れてしまう事だろう。」
なんて、考えも浮かんでくる。
それなら、次のバスで網走駅まで戻ろう。
そう思って、出口に歩き出したら、映像をゆっくり見ている40才ぐらいの男性がいた。
その男性の姿を見て、本当は、ああいう風に、時間というものを使いたいのだけれど、それは、凡の本当の気持ちなのだけれど、何かを食うためにバス停に向かっている凡自身が、無性に悲しかった。
博物館から、さっきの逆戻りで、バスで網走駅に戻って来た。
さて、凡で愚なる自分自身の低脳を感じながら、駅前を見渡すと、すぐに入るお店は決まった。
駅前にあるビルの1階にある「ARCADIA」さん。
詰まり、アルカディアである。
これまた、みゆきさんの好きな人なら、この名前を見たら、きっと入っちゃうでしょうね。
夜会「橋の下のアルカディア」を見たのは、いつだったのだろうか。
去年、コロナで、みゆきさんのラストツアーが途中で中止になってから、1年以上経つので、みゆきさんロスで、何も考えられなくなっている。
ああ、みゆきさんに会いたいよ。
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中に入ると、明るい喫茶店のような雰囲気だけれど、夜はコースなどもあるようだ。
本日のオススメとある「バターで焼いたビーフカツレツ」というのを注文。
思ったよりも大判のカツで、ソースもオシャレに掛けられている。
美味しいランチでありました。
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卓上の水差しが黒猫の絵になっている。
或いは、夜会の中に登場する中村中ちゃんをイメージしたのではと思ったが、でも、お店が出来たのは、たぶん、夜会よりも、もっと前のことだろうから、関係ないのだろうな。
ということで、美味しいランチを頂きまして、まずは、ホテルにチェックインをしようと思う。
何しろ、荷物も重いし、雨も降っている。
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今日のホテルは、駅からちょっと歩いたところにある「網走セントラルホテル」さん。
結婚式なども出来る立派なホテルだ。
フロントで、今日のオススメのお店を聞いたら、ただ、パンフレットを渡された。
まあ、自分の足で探すほかないか。
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IMG_8717.JPG(ホテルの窓から)
部屋は、普通のビジネスホテルという感じ。
バスも狭くて、ウォシュレットもない。
税込み、5100円。
荷物を置いて、まだ時間があるから、ホテルから歩いて行ける「モヨロ貝塚館」に行ってみることにした。
網走川を渡って、少し坂を上ると、貝塚がある。
これがモヨロ貝塚だ。
貝塚の中には入れないが、貝塚の端にモヨロ貝塚館がある。
IMG_8721.JPG(貝塚館に行く道の網走川)
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貝塚館は、小さな施設だけれど、丁寧に説明もされていて、また、凡が行くと映像の用意もしてくれて、親切にしていただいた。
ここも来てよかったです。
さて、貝塚館を出たら、まだ時間がある。
夜ご飯を食べに行くには、まだ早いのである。
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遠くを見ると海が見えて、白い波が立っているのが見える。
折角だから、網走の海も見てみたい。
それに、もう少し行くと道の駅もあるし。
とは思ったのだけれど、雨も降っているし、歩くには、距離もある。
なので、繁華街でも歩いてみようと思った。

コメント

  1. yukemuri より:

    女満別の駅舎はもっと素朴で寂しい感じだと思っていましたが、意外やハイカラな建物だったんですね
    なるほど、通行人もほとんどいないんですね
    やはり過疎の街って感じなのでしょうかね
    網走のホテルの人は素っ気ない対応でしたね
    ウォシュレットが無いのは辛いですね、それからホテル近くの川で鮭の遡上は見られましたか?
    もう10年ちょっと前かな?
    網走に泊まった時に、鮭がウジャウジャ大量に遡上しているのが見えましたが、あまりに多くて気持ち悪かった事を今でも覚えています

  2. yukemuri より:

    書き忘れました
    バターで焼いたビーフカツレツって良いですよね
    スープも付いているようだし、ちょっと豪華なランチで旅ならではって感じでとても良いです
    しかし凡蔵さんにしてはビールを飲みながらではなかったようですが、いったいなぜなのでしょうか?

  3. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    私も、女満別の駅は、行く前の想像では、古びた木造の駅かなとか、
    そんなイメージを持っていましたけど、ちょっとハイカラな感じでした。
    でも、そこがまた、田舎な感じにも思えなくはないですけどね。
    今から思えば、もう1本、列車を遅らせても良かったかなと思うんですよね。
    女満別には、そうそう、行くことも無いだろうし。
    探せば、というか、バス停の近くには、ラーメン屋もあったし。
    網走のランチは、他のメニューも美味しそうでした。
    オシャレなソースも、網走じゃない感じ。
    (網走の人、ごめんなさい。)
    鮭は、見なかったです。
    でも、それは見たかったなあ。
    テレビとかでは、そんな映像見たことがありますが、実際に見たら迫力あるのでしょうね。
    ビールは、やっぱり、一応、お昼ですしね。
    晩に備えてたというか、言っても、こんなこというと、嘘だと思われるかもですが、
    ビーフカツに限らず、おかずは、白ご飯で食べるのが1番美味しいと思うんですね。
    でも、何故か、ビールを飲んでしまうのは、アル中になりつつあるからなのかもしれません。

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