8月の終わりの話です。
休みがあったので、ちょっと出かけてみようかと思った。
ちょうど、青春18きっぷの時期でもあるので、それで行こうと思うのだが、今年の夏は、もう既に1枚、詰まり、5日分使ってしまったので、別に2日分確保しなければいけない。
なので、京橋駅のいつものチケットショップで、2回分は無かったので、3回分の残のあるきっぷを購入した。
3回分、7400円だったので、5回分が12050円から考えると、ほぼ定価と同じぐらいだ。
今の時期、やっぱり乗る人が少なくなっているのだろうか。
券面を見ると、スタンプが2個押されている。
その消印が根室駅だ。
しかし、消印の日付が、どちらも同じだ。
詰まり、このきっぷ1枚を使って、2人で旅をしたということだ。
何か、ちょっと羨ましくなってきたぞ。
しかし、どういうこと?
男同士の仕事で根室に行った。
いや、それは考えたくない。
出張なら、精算すれば、正規の代金が会社から出るだろう。
ということは、男同士の仕事の旅は、外して構わないだろう。
凡が注目するのはスタンプだ。
根室駅で押印されたスタンプの印影を見ると、まったく滲んでいない。
凡は、青春18きっぷの初心者に、青春18きっぷの注意点を聞かれたら、まずは、印面を、ティッシュなどで、軽く押さえて滲まないようにしろとアドバイスをするだろう。
あのきっぷは、なかなかインクが紙に沁み込まないので、すぐにバッグなどにいれると、スタンプが汚れて潰れてしまったりする。
日付が、滲んで潰れてしまったら、この後、改札を通るたびに、駅員さんに説明をしなきゃいけなくなるので面倒だからだ。
アドバイスは、それだけだ。
あとは、好きに汽車に乗って、移動すればいいだけの話だもんね。
その印影から考えるに、これは、余程旅慣れた人が使ったか、或いは、几帳面な女の子が使ったのではないかと思う。
たぶん、女の子が使ったのだろう。
何故なら、男性なら、きっとティッシュで印面を拭くはずだ。
せっかちだからね。
でも、このきっぷは、ティッシュで押さえた時に出来る、わずかな線のにじみが出ていない。
ということは、スタンプを押してもらって、ティッシュでは押さえずに、しばらくは、手に持って乾かしたと見て取れる。
なので、そんなことをするのは、几帳面な女ではないかと読むのである。
「きゃ、何か、旅慣れた感じだね、あたしたち。」
んでもって、きっぷをパタパタと振ったりする。
「ちょっと、それ扇子じゃないし。きっぷだし。」なんて、相手がツッコミをいれる。
「あはは、知ってるよ。でも、こうして見ると、すごく大切なきっぷに思えて来たね。」
「だよね。これで1日中、JRに乗れるんだもんね。よろしく、青春18きっぷさん。ペコリ。」
なんて、女の子が両手で切符を持って、小さなお辞儀をした。
なんてね、そんな感じで乾かしたに違いないだろう。
或いは、初めての青春18きっぷだったのかもしれない。
何故、旅慣れた人でなく、女の子が使ったかという理由がもう1つある。
きっぷの発行場所が、「TiS大阪発行」となっているからだ。
Tis大阪とは、JR西日本系列の旅行会社である日本旅行のことである。
ということは、おそらく、JR大阪駅の日本旅行の窓口で、きっぷを買ったという事だ。
青春18きっぷだけを買うつもりなら、何も、旅行会社に行く必要もない。
駅のみどりの窓口や、最近では自動販売機でも買うことが出来る。
わざわざ、旅行会社で買ったということは、何かのツアーを申し込んで、その流れで買ったということで、詰まりは、自由時間が1日あるパックツアーを申し込んで、それで、その自由時間で、ちょっと鉄道を楽しんでみようかという事なのだろう。
ここで、凡がきっぷの2つの消印を見て嫉妬したカップルで使ったという線が消える。
カップルの旅行なら、やっぱり、男は、カッコイイところを女に見せたくなるものだ。
それなら、旅行会社の窓口に行かずに、自分で、コースを決めて、ネットで予約をいれるだろう。
「うん、そうか。リカは、根室へ行って、それから、釧路にも行きたいんだね。それじゃ、、。はい、今、スマホで行きの飛行機とホテルを予約したからね。」
なんてね、旅慣れたところを見せたいはずである。
すると、「すごーい。タクミって、何でもできるんだね。あたし、ちょっと尊敬。」なんて、口だけで、相手を持ち上げるぐらいは、今の女の子でもする筈だ。
すると、旅行代金を出してくれるから、一応、スゴイなんて言ってみただけなのに、男は、鼻の下を伸ばして、「そうだろ。そうだ、今回は、根室と釧路の間は、青春18きっぷっていうのを使って、普通列車で移動するからね。この青春18きっぷってのはね。旅の通しか知らないきっぷで、きっとインスタとかにアップしたら、みんなにスゴイね、なんて言われちゃうよ。」なんて、自慢げに語りだすだろう。
というわけで、これはカップルが使ったのじゃなくて、女の子が2人で使ったと考えるのが自然だ。
しかも、若い子だ。
何故なら、旅行会社で申し込んだということは、ツアーがメインの筈だ。
ツアーにすることのメリットは、安い、安心できる、細かいことを考えなくていい、ということだろうか。
この安心できるということが、若い女の子が使ったという理由である。
それは、女の子が安心するという意味じゃない。
おそらく、18歳とか、19才とか、それぐらいの女の子なんじゃないかな。
そんな女の子が旅をするとなったら、しかも、遠い北海道となったら、親が心配するだろう。
そんな親を安心させようとして、わざわざツアーにしたに違いないのだ。
詰まりは、両親を思う、優しい女の子ということになる。
普段から活発な女の子じゃない。
アウトドアを楽しむ日焼けした元気のいい女の子なら、親も心配しないだろう。
でも、普段は、おとなしくて、どちらかというと、部屋で読書が趣味だとか、そんな女の子である可能性の方が高いと考えるべきだ。
色白で、華奢な感じで、どこか儚げ。
服装も、水玉のワンピースに、ツバ広の麦わらのハット。
今の暑い時期なら、白いサンダル。
そんなイメージが、みんなも浮かぶはずだ。
そんな女の子が、女の子同士で旅をする。
そりゃ、親にしてみれば、心配だ。
どこの馬の骨とも知らない男に引っかからないかとかさ。
或いは、旅の途中で、トラブルに合わないかとかね。
そこで、両親を安心させるために、旅行会社でツアーを申し込んだ。
勿論、旅程表のコピーを渡してね。
ちゃんと、この飛行機で、北海道に行って、このホテルに泊まるからね。
それで、一緒に行くのは、ほら、ここに書いてあるマリコだからね。
そんな説明をしただろう。
うん、だんだん、このきっぷの前の持ち主のイメージがつかめて来た。
詰まりは、1枚のきっぷで、2人が旅行に行った。
それは、男どうしではなく。
カップルでもなく。
若い女の子どうしの旅であるということだ。
年のころなら、18か19の色白のワンピースの似合う、笑うと片えくぼの可愛い女の子だ。
、、、と、こう見たい。
根室に宿泊して、かつ、翌日に1日のフリーな時間があるパック旅行のプランが、日本旅行に、あるかどうかということについては、やや疑問が残るが、そこは考えないようにしておこう。
そんな女の子が使った青春18きっぷを、今凡は、手に持っている。
そっと、匂いを嗅いでみたら、かすかに、ジャスミンの香がした。
ということで、この青春18きっぷでもって、旅に出ようと思う。
行き先は、松本市にしよう。
今年の夏の始めに松本に行こうと思って、雨の影響で断念した場所だからだ。
さて、8月29日(日曜日)。
6時前に家を出て、門真市から、京橋駅まで移動。
京橋駅で、今までエクボの似合うワンピースの女の子が使っていた青春18きっぷに入鋏。
0639時発の米原行きの快速に乗り込む。
車内は、空いていて快適だ。
クロスシートに1人という感じだろうか。
米原0846時発、大垣行きに乗り替え。
大阪駅で、次に来る新快速にせずに、快速のままで来たので、乗り替え時間に余裕がある。
大垣0919時着。
ここでの乗り換えも、みんな小走りになるけれども、凡には余裕があった。
どうせ、名古屋で降りるので、まあ座れなくても良いかと思っていたからだ。
0926時、大垣発。
0958時、名古屋着。
名古屋では、ちょっと腹ごしらえ。
改札の外に出る時間はないので、駅のホームで、きしめんを食べようとしたら、閉まっている。
ただ、店の前で、どうしようかと思案していたら、さっき階段で抜かしていったお姉さんがやってきて、店を開けた。
用事で、店を離れていたようだ。
次に中津川に移動するのだけれど、それほど時間も無いので、早く出来るものはと聞いたら、揚げ物以外というので、きつねのきしめんを頼む。
甘みが無く、醤油味が効いていて、あとに乗せられたかつおぶしの香とで、ああ、きしめんだなあと思う。
そして、ホームを移動して、中央線のホームに停まっている中津川行きの1024時発の快速に乗り込んだ。
この汽車は、クロスシートとロングシートの両方があって、クロスシートの方は、地元のおばちゃんが、足を向かいのシートに投げ出して、携帯で通話に夢中になっている。
そんなおばちゃんが、3人もいたので、しかも、殆ど席が埋まっていたので、そこは避けて、ロングシートに移動したら、ガラガラで快適だった。
すると、車内で案内が流れる。
始めの案内を聞き逃したが、よく聞いてみると、中央線が途中で止まっている箇所があると言う。
先日の大雨の影響で、南木曽(なぎそ)から上松(あげまつ)の間が、止まっているので、代替輸送をしているという。
これは困ったなと思う。
と、同時に、どうせ目的も無いのだから、面白いハプニングだなとも思う。
とはいうものの、どんな状況なのか知りたい。
そこで、ヤフーの路線案内を、改めて検索するも、そんな情報は出てこない。
JRのアプリを使っても、運行が停止しているなんてことは出ずに、そのまま汽車で移動できる検索結果が表示される。
仕方が無いので、JRの運行状況を見ると、止まっているという情報は出るが、そこからすぐに代替バスの情報までリンクしていない。
なので、また検索をして、やっと代替バスの時刻表にたどり着いた。
それでもって、松本駅までの乗り換えを再度検討。
バスの本数から考えて、始めは、中津川で1時間ぐらい駅前でも散策してみようかと考えていたが、その案は捨てた。
ということで、1139時、中津川駅着。
ちょっと、改札を出て売店などを見てみると、地元のメーカーのアイスキャンデーがあるじゃない。
こういうのに巡り合った時の喜びは、旅のオマケとでもいうもので、大人になった今でも、そっちのオマケの方がメインだと思うぐらいに嬉しいものだ。
甘夏やソーダも惹かれるが、ここはやっぱり基本のミルクだろう。
ということで1本購入してホームに戻る。
んでもって、汽車に乗り込んで、さっきのアイスキャンデーの裏側を見てみたら、福岡県柳川市とあるじゃない。
あれれ、何で、中津川で福岡県のアイスキャンデーを、如何にも中津川のアイスキャンデーですみたいな顔をさせて売っているのだろう。
あれだけ、地元のアイスキャンデーだと喜んだのに、少しばかりガッカリだ。
とはいうものの、アイスキャンデーは、たとえ福岡のものであっても、これは冷たくて生き返りました。
1200時、中津川駅発。
席は、ほとんど埋っていた。
んでもって、南木曽着。
たぶんだけれど、代替バスというのは、初めての経験になるのかもしれない。
果たして、この汽車に乗っている人が全員乗れるものだろうか。
乗れなかった場合、どうなるのだろう。
少しばかりの不安を感じながら、でもまあ、これもまた旅のオマケだろうかと、半分楽しむつもりで、ゆっくりと改札に向かった。
改札の前には、大型の観光バスが2台停まっていて、早く駅を出た人は、1台目に乗り込んだころだったので、2台目のバスに乗り込んだ。
席は充分で、2席を1人で座っても、まだ空席があった。
凡は、運転手の後ろの席を確保。
さて、上松駅に向かって、レッツラゴー。
バスも新しく、席もゆったりとして、エアコンも効いている。
1番前の席だから、目の前の景色を独占である。
これが楽しいのなんのって、ずっと窓の外を眺めていた。
バスの旅は、特に、地道を走るバスの旅は、鉄道とは違った目線で街の中を走るので、車窓を見るのが実に楽しいのである。
特に、最近の鉄道路線は、高架が多くなったので、車窓の風景という点では、楽しみが確実に減っている。
ということで、バスの旅を楽しめたことが、得した気分であった。
上松駅で、汽車に乗り替えて、塩尻駅まで移動。
塩尻駅の改札を出ると、そういえば、こんな風景だったなと思う。
ここで、何か食べようかと迷う。
塩尻は、海賊焼きというのが有名なようであるが、結構ボリュームのある料理なので、それを食べてしまうと、夕ご飯までお腹いっぱいということにもなりかねない。
どうしようかと思って決めたのが、駅そばだ。
改札口の横に売店と並んで雰囲気の良い駅そばがある。
どれにしようかと券売機の前に立った時に、山賊そばというのがあった。
しかも、ハーフというのがあるじゃない。
これなら、ご当地グルメも、駅そばも食べることが出来る。
ということで、山賊そばに、きのこをトッピングでお願いした。
出汁は、みりんが入っているのか、名古屋とは違い、甘みのある醤油味で、見た目は黒いけれども、辛くはない。
その上に鶏の唐揚げのような山賊焼が乗せられているのだけれど、それがハーフと言えども、かなりの大きさで、ドンと鉢の上に鎮座している。
ただ、この鶏の山賊焼なのだが、冷蔵庫に入れてあったので、冷えているのだ。
せめて、常温で置いておいてくれてれば良かったのだが、かなり冷たい。
なので、熱々の汁に浸して、それをまた、上下ひっくり返して温めてはみるも、外はやや温もったが、中は依然、冷たいままだった。
でも、名物を1つ食べれたのは、これは良かったか。
さて、塩尻から松本駅まで、更に移動。
改札を出て、観光案内所で地図を貰い、パワースポット的な場所を聞いたら、四柱神社が、最近では人気だと言う。
それなら、明日にでも行ってみよう。
その他の観光施設は、閉まっているところばかりのようである。
駅の前に湧水スポットがあった。
凡は、水の湧き出るところが、何故か好きだ。
美味しい水を1杯飲んだ。
さて、今日のホテルである。
駅前の、「ホテル飯田屋」さん。
1泊、朝食付きで、4500円。
ホテルのビルの1階は、宝くじ売り場や果物屋などが入っていて、やや雑然とした感じで或る。
でも、ホテルの中に入ると、落ち着いた雰囲気だ。
チェックインをすると、優しい感じのお姉さんで、そこはやっぱり嬉しくなる。
それで、少し広めの部屋にしておきましたというじゃない。
これもまた嬉しいね。
そこで、今夜のオススメの居酒屋を聞いてみた。
するとホテルの裏にある2軒のお店を教えてくれて、その内の1軒を指さして、「私は、ここが好きです。」と付けた。
それなら、そこだ。
こういうピンポイントのオススメは、知らない土地に来て、嬉しくもあり、心強くもある。
部屋に入ると、あれ、ここが広めの部屋なのかなと、ちょっと期待し過ぎたことを反省したが、でも、改装してまだ間がないのか、内装も綺麗で、これはこれで十分な部屋である。
エアコンは、全館一括のタイプだったが、よく冷えるので、問題なし。
それに、キーは、オートロックではないので、エアコンをつけたまま外出できるのもいい。
ということで、まずまずの部屋で、スタッフも親切で、正解だったのではないだろうか。
さて、4時過ぎだけれど、晩御飯のお店を探しに出かけましょうか。
1番の候補は、お姉さんのオススメのお店だ。
コメント
今度は松本ですか、良いですね~
きっと松本城とか行ったんでしょうね
山賊そばですか?
鶏のから揚げ的なのが乗っているんですね
冷たかったのはちょっと残念ですが、名物を食べられたのは良かったですよね
ただ、これはそばの上じゃなくビールを飲みながら食べたり、白いご飯のおかずで食べたいなぁ~
ありがとう、yukemuriさん。
青春18きっぷで行くには、ちょっと遠出になりますが、
松本に行ってきました。
初めての街なので、行って良かったです。
山賊そばは、そうなんです。
山賊焼というのがあって、色んな店でやっているのですが、
ちょっとタイミングというか、結構ボリュームのある料理なので、
今、食べたら晩御飯食べれないだろうなとか、
そんなことを考えてしまって、定食は避けてしまいました
ご飯と食べると、最高だと思います。