平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
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散散歩歩。(1068)安いホテルのある街に行く旅。(2)

7月22日(木曜日・海の日)。
青春18きっぷで、藤枝までやってきた。
ホテルにチェックインをして、さて、これから晩御飯と行こうかとホテルを出た。
ホテルのフロントのお姉さんに、オススメのお店を聞いたら、駅の反対側に、オススメのお店があると言う。
わざわざ、ホテルの近くじゃなくて、駅の向こう側を薦めるぐらいだから、美味しいお店に違いない。
駅を向こう側に乗り越えて、店の前にたどり着く。
看板に、素人っぽい筆のタッチで、店名がペンキで書かれている。
その看板を見て、ちょっと苦手な店だなと思う。
凡は、ペンキで書かれた店名や、その他でも「俺流」とか、「漢流」とか、そんな店名のお店は、少しばかり苦手だ。
もし、そんな店名の店長さんがいたら、ごめんなさい。
これは、凡の勝手な思い込みですので。
でも、ここに決めたのだから、ここにしよう。
お姉さんのオススメとは、如何なるものか。
店のドアを開くと、1階は、その日は、貸し切りになっているようで、2階に行けと言う。
なので、店の中を通って2階に上がると、靴を脱いであがるタイプのお店で、畳敷きにテーブルがセッティングされている。
ここでもまた、ちょっと迷う。
靴を脱いで上がるのは、面倒くさい。
でもまあ、お姉さんのオススメに従うべし。
2階には、4人掛けのテーブルが10卓程度あって、奥に女性の先客が1組いた。
さて、椅子に座ってメニューを検討しようと思ったら、奥にいる女性の声が、うるさいこと、うるさいこと。
簾でテーブルが仕切られているので、どんな女性か見えないが、幼稚園に行くか行かないかぐらいの女の子が、トイレから出て来たので、たぶん20代の若いママなんだろう。
2人か3人で、飲んでいる感じがうかがえる。
しかし、よくこれだけ周囲を気にせずに喋れるなと思う。
ヤンキー風のガラの悪い喋り方で、地声自体が大きいのに加えて、お酒で酔いも回っているのかな、ここはお前の家かというぐらいに、いや、家であんな大きな声を出すことも無い、兎に角、ワザと大きな声でしゃべっているのかというぐらいに、やかましいのである。
女の声が、2階の部屋中に響き渡っている。
1分ほど椅子に座っていたが、この声を聞きながらなんて、食べている気がしない。
「あまりにも、やかましいので、止めます。」とスタッフに言って店を出た。
まあ、2階にいた女性スタッフも、何か凡を歓迎してない感じだったし、床には箸袋が落ちていたり、まあ、店を出てから、すぐに店を出た凡自身の判断を褒めてやりたくなった。
さて、そうなると、どこへ行きますかねと、また駅をまたいで、ホテル側に戻ってきて、ある1軒のお店の前に立った。
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「祭囃子」さん。
「まつりばやし」か、いい響きだなと、みゆきさんの歌の「まつりばやし」を思い出す。
ああ、みゆきさんに会いたいよ。
そう思うと、この祭囃子という店名に、無理やりにでも、みゆきさんとの繋がりを見つけ出そうとしてしまう。
中に入ると、入口付近に年配の男性のグループ、奥にカップルが2組だったか、カウンターには、誰もいない。
まずは、カウンターに座って、生ビールを注文。
スタッフは、奥に料理を担当している男性が1人と、女性の料理担当とサーブ担当で3人いた。
お刺身の盛り合わせと、ホタテの天ぷらを注文して、様子を見る。
店内には、懐かしい歌謡曲が掛かっている。
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名物だと言う玉子焼きを注文。
なのだけれど、なかなか出てこない。
やっとサーブされた玉子焼きは、想像していたものと違っていた。
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小さな陶器のグラタン皿のような容れ物に、エビやカニの爪などを入れて、それをオーブンで焼いている。
これは、時間が掛かるはずだ。
スプーンで掬って見ると、スペイン風のオムレツと、茶わん蒸しを、合わせたような玉子焼きだ。
これは、なかなか美味しいし、お酒のつまみにもなる。
そういえば、みゆきさんの作る玉子焼きは、どんな味なんだろうな。
1度で良いから食べてみたいよ。
というか、みゆきさんが、料理を作るのかどうかは、知らないけれどね。
みゆきさんが作らないなら、みゆきさんママが作った玉子焼きを食べてみたかったね。
玉子焼きは、その家庭によって、少しずつ作り方が違うんだよね。
凡の母親は、玉子に、少量の水を加えて、砂糖を入れて、柔らかくて、ちょっと甘い味に仕上げていた。
ミニボンは、ただ、玉子を焼いただけだ。
それはそれで、もう30年以上、そうやって作った玉子焼きを食べているので、それが我が家の玉子焼きになっている。
何より、ミニボンに感謝なのは、必ず、玉子のカラザを取ってくれていることだ。
凡は、あのカラザだけは、気持ち悪くてダメなんだよね。
それを、なんだかんだ言いながら、毎回取ってくれている。
大体ね、料理屋に入って、玉子を調理しているところを見るんだけれど、あのカラザを取ってないお店は、凡の評価は低いんだな。
一流の料理人は、必ず、あのカラザを取って調理しているよ。
ただ、餃子の王将だけは、別だ。
たぶん、天津飯の玉子も、王将ではカラザを取ったりはしていないだろう。
いや、絶対にしていない。
でも、王将だけは、まあ、仕方がない。
だって、安いんだもんね。
あれは、あれでいい。
王将だけは、カラザは取らなくも構わない。
家庭によっては、塩を入れる家や、味の素を加える家もあるだろうし、それぞれに、美味しいのである。
焼き方も、焦げないように焼く家もあるだろうし、焦げ目が付くぐらいに焼く家もあるだろう。
そして、そんなすべての玉子焼きが、これまた、美味しいんだな。
それぞれの家で作られてきた玉子焼きが、それぞれの人にとって最高の味なんだ。
玉子焼きって、面白いね。
玉子焼きっていうと、玉子繋がりで、あの玉子の半熟至上主義は、そろそろ考え直した方がいい。
確かに、半熟は、これは美味い。
これは間違いがない。
凡も、大好きだ。
ただ、玉子の魅力は、それだけじゃない。
半熟の玉子には、欠けているものがある。
香りだ。
熱く熱したフライパンに、たっぷりと油を注いで、溶いた玉子を、ジャンと流し込む。
玉子の端が、固くなって焦げていく。
あの玉子の焦げた匂いが、最高なんだ。
玉子の油で焦がした香りほど、はらぺこになっている人を、しあわせにする香りはない。
チャーハンだって、初めに玉子を炒めるけれども、あの時に、たっぷりの油で焦げ目がつくぐらいに焼いてから、ご飯を炒めると、何とも言えない、玉子の香りが米に纏わりついて、美味いチャーハンになる。
ああ、チャーハンが食べたいな。
みゆきさんの作ったチャーハンが食べたいよ。
っていうかさ、玉子焼きであっても、チャーハンであっても、みゆきさんの作ったものは、何でも食べたいのである。
みゆきさんに作ってもらって食べたいというけれども、みゆきさんの為に、凡が作るって言う選択はないのかと問われるかもしれないが、そう言われても、みゆきさんの料理が食べたいのは、これは間違いが無いのであります。
話は、まつりばやしさんの玉子焼きの話だった。
玉子焼きを注文するその前に、生ビールを瓶ビールに変えたら、スタッフの中でも先輩風のお姉さんが、凡にビールを注いでくれた。
これなんだよね。
どうして、女の人に注いでもらうビールは、こんなに美味いというか、嬉しいのだろうか。
凡は、ああ、さっきの店を出て、この店にして良かったと、ビールを流しこんだ。
或いは、少しばかり顔がほころんでいたかもしれない。
それにしても、みゆきさんの「まつりばやし」は、切ない歌だね。
その歌詞の風景に、みゆきさんが登場したなら、凡は、みゆきさんの肩をそっと抱いて、いつまでも、窓の外の赤い山車を、一緒に見ていてあげたくなる。
「もう悲しまないで。」と、そんな声を掛けたくても、言いだせないで、ただ、窓の外を見ているだろう。
♪♪ もう 紅い花が 揺れても ♪♪
みゆきさんの歌のリフレインには、やられる。
とはいうものの、この祭囃子というお店には、そんな寂しい雰囲気は無い。
懐メロを聞きながら、ビールを流し込むと、懐かしくもあり、何だか落ち着ける。
調子に乗って、「赤い蹴出し(けだし)が、チーラ、チラ。」なんて、箸でお皿を叩いて、歌ってみたくなる。
蹴出しとは、女性の腰巻のようなものだ。
何故だか、昔から、この「赤い蹴出しが、チーラ、チラ。」というワンフレーズが、頭の中に残っていて、たまに、凡の勝手なメロデに乗っけて、歌ってしまう。
これが、どこから来たものか、未だに、凡自身不明なのである。
この前後も何も覚えていない。
ただ、このワンフレーズだけが、頭に残っているのだ。
朧げな記憶をたどると、或いは、小沢昭一さんが歌っていたのかもとも思うし、それとも、ラジオ番組の「小沢昭一の小沢昭一的こころ」で、語っていたのか。
そんな感じがするのではある。
赤い蹴出しというと、美空ひばりさんの「みだれ髪」にも、その言葉が使われている。
♪♪ 髪のみだれに 手をやれば 赤い蹴出しが風に舞う ♪♪
なんてね。
これもまた、悲しい歌というか、悲しさだけじゃなくて、ねっとりと纏わりつくような情念の歌詞が印象的だ。
「片想い」っていう言葉も、切ない言葉だけれど、この歌に使われている「片情け」っていう言葉にすると、さらに切ない演歌になるんだよね。
ああ、凡もまた、みゆきさんに、片想いをしているのだ。
みゆきさんにも認識してもらえない片想い。
悲しすぎるね。
そんなことを考えたら、お酒もすすんじゃいそうだ。
しかし、深酒は、凡がシンドイ思いをするだけだから、止めておこう。
♪♪ みゆきさんの 赤いスカートが ヒーラ、ヒラ ♪♪っと。
そんな替え歌でも歌って、気を紛らわすしかない。
っていうか、元の赤い蹴出しがって言うフレーズも、どこからきたかも分からないのに、それの替え歌を作って、どうするのよね。
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いろいろ頂いて、最後に、焼きカレーを注文した。
これもまた、オーブンで焼いたもので、イモや獅子唐などが入っていて、実に楽しい料理で、かつ美味しい。
付け合わせのパンを付けて食べるのは、やっぱり、酒のアテになる1品である。
このお店は、庶民的なお店である上に、オリジナルな料理もあり、なかなか良い店だった。
さてと、締めのラーメンでも食べて帰りますか。
店を出て、歩き回ったら、カナキン亭というお店があったので入ってみる。
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スープは優しく、麺は細麺。
締めには、ぴったりのラーメンだ。
いろいろメニューはあるみたいだが、凡は素直に、シンプルなラーメンにした。
懐かしくも、美味しいラーメンでした。
ホテルに帰って、喫茶風のラウンジスペースで、ちょっと、一息。
ウエルカムドリンクを頂こう。
何しろ23時までやっているので、これが有り難い。
オリジナルの藤枝ハイボールというのがあったので、おつまみと一緒に、テレビを見るでもなしに、チビリチビリと飲んでいた。
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反対側のテーブルには、男性の3人組が飲んでいる。
アルコールも2杯までは無料と言ってたが、自分で作るので、角ハイも、濃いめに作れば、彼らの様に、ゆっくりとテレビを見ながら、談笑することも出来る。
途中、家族連れの夫婦と子供が、パジャマを着て、やってきて、ドリンクを部屋に持っていった。
最近は、こういうサービスをするビジネスホテルも多いが、楽しい企画だなと思うね。
凡も、ゆっくりしたかったが、ベッドにゴロリンチョとなりたかったので、部屋に戻った。
さて、明日は、どうしようかな。
焼津の方に行ってみようかと思ってはいるのだが。
シャワーをして寝る。

コメント

  1. yukemuri より:

    ドリアみたいな玉子焼きを食べた後に焼きカレーですか?
    今回もまたかなりいっちゃってますね~
    カナキン亭のラーメンも美味しそうですね
    細麺が昔ながらの中華そばって感じで良いですよね
    そうそう、三島に柿田川湧水ってのがあるんですが、きっと凡蔵さん好みだと思います
    それに三島は鰻も有名なので、チャンスがあったら是非行ってみて下さい
    でもそれぞれが少し離れているし、スポット間のアクセスもイマイチなのが難点なんです

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    濃い味好きですからねー。ドリアのあとに、焼きカレーも大丈夫ですよー。
    そうそう、三島の湧水ですよね。
    焼津に行くときに、ネットで見て気になってたんですが、今では、理由は覚えてないのですが、
    諦めたんですよね。
    たぶん、アクセスか何かだったと思います。
    私は、水が湧いてるところが好きなんですよね。
    湧水って不思議ですよね。
    あれだけ、湧いて来て元のところの水は無くならないのかと、心配してしまいます。
    今度は、調べて、是非、行ってみたいです。

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