平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(1013)東北迷走の旅(5)

9月8日(火曜日)。
秋田ビューホテルで迎える秋田の朝。
8時前に、12階にあるレストラン「空桜SORA」に行く。
レストランは、スペースも広くて、大きなガラスの壁から、秋田の街を見渡せる。
なかなか、高級感のある感じだ。
さて、料理を見て回ると、種類が少ない。
全体的に高級感のあるように見えるが、一つひとつを見ると、これと言った料理はない。
これで、1500円かと、少しばかり残念な気持ちになる。
というのも、最近は、温泉ホテルの朝食バイキングや、或いは、ビジネスホテルの無料朝食というのに慣れているせいか、基準が高くなっているのかもしれない。
それにしても、凡は、本当に、余裕がないよね。
いつも、こういう時に思うのだけれど、こんな時でも、パンを1つ2つと、ベーコンを2、3枚とって、それでコーヒーを頂いて、サラリとレストランを出て行く。
そんな凡でありたいと、いつも願うのだけれど、その気持ちとは正反対に、損した得したとか、そんなことを考えて、朝ごはんを食べているのだ。
実に、ハシタナイのであります。
大体、駅前の喫茶店で、モーニングを頼んだって、500円ぐらいするわけだから、これで1500円なら、安いと考えなきゃね。
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秋田のきりたんぽ汁が美味しかったので、お替わりを貰いに行った。
「美味しかったです。」と言うと、年配の男性スタッフは、お礼を返したけれども、表情は暗いままだ。
気が付くと、そんな無表情の男性に向かって、凡は、媚びるような笑顔で、ペコペコしていた。
きりたんぽ汁のお替わりをもらうために、ヘラヘラ、ペコペコペコ。
ああ、情けない凡。
などと、文句を言いながらも、お腹いっぱい頂いて、部屋に戻る。
10時前ぐらいにチェックアウトして、駅の案内所に行った。
素朴で親切な女の子に、オススメのランチや、観光名所などを相談。
まずは、市内を循環している「ぐるる」というバスに乗って、秋田市民族芸能伝承館(ねぶり流し館)に行く。
1階は、実際の竿灯が置いてあって、或いは、イベントで実演とかがあるのかもしれない。
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それと、秋田の竿灯の紹介のビデオが流れている。
そのビデオを見ている時に気が付いた。
映像に映し出される女性が、全員、美人なのだ。
こんな奇跡があるだろうか。
これが、秋田美人というものだったのか。
しばらく、その美人を鑑賞していた。
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2階は、秋田の各地の伝統芸能が紹介されている。
秋田万歳、黒川番楽、羽川剣ばやしなど、詳しく見たら、きっと面白いんだろうなと思う。
ただ、ゆっくり見ていると、時間が足りないので、1周しただけで、また1階に戻る。
そしてまた、ビデオの秋田美人を鑑賞。
、、、何をしているのか。
階段の壁に、あるポスターを見つけた。
それは、「五能線の旅」というポスターだった。
五能線とは、秋田の東能代駅と青森県の川部駅を結ぶJRの鉄道路線だ。
日本海を間近に見ながら走る景色の良い路線らしい。
そこを、リゾートしらかみという、観光列車が走っている。
コロナの影響か、一時、休止していたが、また再開したと書かれていた。
面白そうだ。
これで、青森に行こう。
五能線は、東能代駅と、川部駅を結んでいるが、リゾートしらかみは、それぞれの終点から、さらに、東能代駅から秋田駅まで、そして、川部駅から青森駅まで走っている。
詰まり、秋田駅から青森駅間を走っているのだ。
ちょうど、良いプランじゃない。
列車の時刻を確認して、もう少し、観光をしようと思う。
次に考えた観光地は、平田篤胤の墓だった。
少しばかり気になったが、ちょっと遠いし、言ってもお墓だからね。
わざわざ行って、それで、どうしたということになりそうだ。
時間を考えて、止めた。
そのまま、また循環バスに乗って、あきた文学資料館に行く。
資料館の前まで行くと、見た目、公民館のよう。
受付に行くと、名前を記入して、靴を脱いで上がる。
無料の施設だった。
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資料館で見ることのできる部屋は、2つだ。
1つ目の部屋は、資料と言えば、石坂洋二郎の直筆の手紙があるぐらいだ。
その他は、書架に、秋田出身の作家の本が並べられていて、自由に読むことが出来る。
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2つ目の部屋は、石坂洋二郎の小説などから、言葉を切り取って、見せるという企画のようだ。
ここに来た人が、何か、良いなと思う言葉に出会えるように。
そんな気持ちで企画したのかな。
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これは、なかなか面白い企画だと思うが、その量が、あまりにも少ない。
非常に中途半端だ。
折角、良い企画なのに。
自由に持って帰れる言葉のおみくじのようなものも面白いが、もっと、他にも持って帰れるものを増やした方がいい。
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この資料館は、資料ということに関しては、これと言って、何も無い。
ホントに、何も無い。
とはいうものの、何も、形あるものだけが資料ではない。
頭の中で考えた無形のものも資料なのだ。
作家の考えた無形のもの。
それを文字、或いは、文章として得ることは重要なことだ。
だから、せっかくの企画なんだから、もっと、もっと、沢山のメッセージや、文章や、文字や、そんなものを切り取って、見せていくべきなんだよね。
入館した人が、誰でも1つのお気に入りの言葉とか、感動した言葉とか、別に、嫌いだなと思った文章でもいい、何か、1つの文章を持って帰ることのできるような企画にすればいい。
そう思った。
そういう意味で、資料はないけれど、それを逆手に取った企画の出来る可能性を感じる施設だった。
資料館を出たら、歩いて千秋公園に移動。
この辺りに、秋田名物のババヘラアイスを売る人が立っていることが多いと言う。
探したが、見つけることはできなかった。
そのまま、公演の中にある彌高神社(いやたかじんじゃ)に行く。
ここはパワースポットでもあるし、お墓に行こうかと考えた平田篤胤と佐藤信淵を祀っている。
あれやこれやとお願いをした。
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さて、予定しているリゾート列車に乗ると、青森に着くのが19時40分なので、今のうちに、何か食べておこうかな。
ということで、案内所の人に聞いた駅ビルの上にある稲庭うどんのお店に行く。
「八代目 佐藤養助」さん。
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天ぷらと稲庭うどんのセットを注文。
運ばれたうどんは、盛り付けも綺麗で、その白い色が美しい。
白い色というのは、難しい。
白と一言で言っても、色んな白がある。
本当に完全な白には、凡は近づけない気がする。
とても、強烈で、その中にいたら、全身の皮膚が火傷してしまいそうだ。
そして、それを美しいと感じるかどうかは、想像を超えている気がする。
でも、不完全な白は、美しいと感じる。
このうどんの白だって、不完全だ。
でも、目の前のうどんの白は美しい。
きっと、みゆきさんの肌の白さも、こういう白じゃないかと思う。
だから、見ていて美しいと思う。
あれは、赤坂のACTシアターの裏で、出待ちをしたときの事だ。
みゆきさんの乗った車が、凡の目の前を通る。
その時に、少し開けられた窓から、みゆきさんの笑顔が見えた。
ああ、美しいと茫然と見ていた。
それは、この世の物とも思えないほどの、白い肌だったんだ。
凡は、或いは、本当に生きているのかとさえ思ったよ。
その白い肌は、真っ白っじゃない。
不完全な白なんだ。
ああ、また、みゆきさんの白が見たいよ。
出来るだけ近くで見たい。
でも、目の前にみゆきさんがいて、そのみゆきさんの肌の色が白くて、そんな状況なら、凡の絵心が爆発するかもだ。
気が付いたら、みゆきさんの頬っぺたという白いキャンパスに、赤いマジックで、渦巻きを描いているかもしれないな。
「あたしゃ、バカボンかっ。」
みゆきさんがツッコミを入れてくれたら最高だ。
というか、そんなことされたら、怒るよね。
もう、コンサート会場にも出入り禁止にされてしまう。
そんなに怒っているとは気が付かない凡は、さらに、みゆきさんの鼻の下に、黒いマジックで、鼻毛を立てに3本描いちゃうね。
「これでいいのだー。」
みゆきさんは、そんなこと言ってくれるかな。
というか、みゆきさんの怒りは、さらにエスカレートして、凡の「なみふく」「でじなみ」の会員資格取り消し。
ヤマハのブラックリストに乗せられてしまう。
ふと、目の前のみゆきさんを見ると、顔を真っ赤にして、目をギロリとさせて、凡を睨んでいる。
「コノヤローッ。」
千枚通しを持って走ってくるみゆきさん。
せ、せ、千枚通しって、何するつもりなのー。
っていうか、どこに千枚通しなんて、どこに隠し持ってたのよー。
こ、怖い。
みゆきさんは、やっぱり、白い肌じゃなきゃダメだよー。
そんでもって、笑顔じゃなきゃねー。
そんなことより、誰かー、助けてー。
、、、妄想なのに、落ち込んでしまったじゃない。
さて、目の前の、白い稲庭うどんを頂く。
滑らかな表面は、凡の好みだ。
ただ、この店だけの特徴なのか、ここまで冷やさなければいけないのかと思うほど、キンキンに冷えている。
もう少し、不完全な冷たさの方が、食べやすいかもね。
二味天せいろ 1705円。
さて、それそろ、移動の事を考えなきゃということで、駅のみどりの窓口で、リゾートしらかみの切符をお願いする。
すると、景色の良く見える左側の椅子席は全部埋っているという。
(本当は、1両まるまるエアコンの不調で、使ってなかったので、それで席が無かったのかもだけれど)
なので、ボックス席になるから、相席もあるかもしれないという。
それは、それで良いので、ボックス席を予約した。
金額は、五能線フリーパスが、3880円。
リゾートしらかみの指定券が、330円。
合計、4210円。
想像したより安い。
普通に奥羽本線で移動しても、乗車券が普通でも3410円かかる。
それが、リゾート列車なのに、800円ぐらいしか変わらないじゃない。
ホームに行くと、すでに列車は着線していて、車内の掃除をしていた。
少し待って、中に入る。
初めてのボックス席。
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観察すると、1両はエアコン不良で、まるまる乗客は無し。
そして、その他の、椅子席の車両は、山側を除いて、ほぼ満席だった。
でも、凡の乗った車両のボックス席は、ガラガラ。
隣で騒いでいた中年の酔っぱらい4人組は、椅子席の客だったようで、車掌さんに言われて、車両を移動していった。
ということで、結局、凡の乗った車両は、凡だけとなった。
相席になるかもしれないと言われたからさ。
ひょっとしたら、サラサラロングヘアーのミニスカートの女の子と、同じボックスに座ることになるんじゃないかと、少しばかり期待したんだけれどね。
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さて、いよいよ列車は、秋田駅を出発した。
実に楽しい。
東能代駅で、進行方向が逆になる。
ここから、いよいよ、五能線のスタートだ。
海岸沿いに線路は伸びていて、日本海の美しい風景を見ながら列車が走る。
岩館を過ぎたら、見どころポイントである、列車は、スピードを落としてくれる。
この辺りが、観光列車の面白さだろう。
凡は、この路線に乗っている間、何度も何度も、アイフォンのシャッターを切ったが、やっぱり、アイフォンでは、とらえきれない雄大さなんだな。
というか、立派なカメラでも、やっぱり、この凡が実際に見ている風景を、写真に収めるのは不可能だろうね。
写メをとって、画像を確認するたびに、ああ、違うんだなあと、ため息が出た。
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深浦の駅では、少し停車時間が長かったので、駅の外に出てみる。
駅の目の前の堤防が切れているところで、深呼吸。
ああ、気持ちが良い。
列車のみんなも、同じように写真を撮ったり、短い時間の日本海を楽しんでいた。
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また、列車に戻って、秋田駅で買ったお菓子を食べる。
ボックス席で、凡ひとりなら、駅弁でも買えばよかったな。
凡は、今回、五能線を、秋田から、青森まで、(東能代駅から川部駅)通しで乗ったけれども、もし時間があるなら、途中下車してみるのも楽しいに違いない。
それぞれの駅には、それぞれの楽しみがある。
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それを教えてくれたのが、「五能線の旅」というパンフレットだ。
列車に乗り込んで見ていると、それぞれの駅の魅力について紹介されていて、なかなか面白い。
このパンフレットは、なかなか、工夫されたパンフレットです。
乗る前に、これを見て、旅の計画を立てるのも良いかもしれない。
でも、凡は、今回は、降りずに乗り続けるのでありました。
千畳敷の駅では、わざわざ、千畳敷を散策する時間を設定してくれている。
みんな、外に出て、千畳敷で写真を撮ったり、楽しい。
今日は、奥羽本線で、青森というルートじゃなくて、この五能線の旅を選んで良かったなと、何度も思っていた。
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列車に帰って来いよという合図の汽笛が3回鳴ったので、みんなでもって、列車に戻る。
この辺りで、リゾート列車ならではの車内アナウンスというか、周辺の見どころを説明するアナウンスが流れだす。
声を聴いてすぐに分かった。
吉幾三さんの声だ。
青森出身だもんね。
アナウンスで紹介された岩木山は、山頂が雲に覆われていたので、ちょっと残念。
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さて、列車は、木造駅に到着。
本当は、リゾート列車に乗ろうと考える前から、この木造駅に来ること考えていた。
何故かと言うと、亀ヶ岡遺跡があるからだ。
凡は、八戸の是川遺跡に行ってから、縄文時代の遺跡に興味が出て来た。
なので、亀ヶ岡も行ってみたいなと思っていたのです。
でも、調べてみると、亀ヶ岡遺跡は、行くのにも時間がかかるし、まあ、時間がかかるのは良いとして、行っても、そこには、何も無い私有地が広がっているだけだと言う。
それに、亀ヶ岡遺跡で出土した有名な遮光器土偶は、ここにはなく、東京国立博物館にあるという。
ということで、亀ヶ岡遺跡は、またの機会にということにした。
そんな木造駅に停まったが、すぐに発車した。
駅舎に遮光器土偶のモニュメントが付いているというので、駅の正面から見てみたかったのだけれど。
リゾート列車しらかみは、すでに、海岸線から離れて、陸地を走っている。
五所川原、川部と来て、五能線の旅は終了。
その後も、列車は、弘前を経由して、青森まで走った。
1940、青森駅着。
久しぶりの青森。

コメント

  1. yukemuri より:

    いや~、ちょっと見ないうちにGoToを使ってアチコチ精力的に旅されていますね
    流石ですし、羨ましいです
    五能線は一度乗ってみたいです
    情緒があって良さそうですね
    それから東北と言えば美味しい物がいっぱいあるでしょうから、その辺も楽しみですね!

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    考えてみれば、今年は、コロナだというのに、いつもの年より、旅行に出かけているんですよ。
    というのも、コロナの影響で、休みが増えたので、しかも、連休だしということで、思い切って、いろいろ出歩きまわっています。
    五能線は、考えてもみなかったのですが、その場で、リゾート列車がは知っているとしって、乗ってみました。
    また、明日も、すごい近いところなのですが、彦根に行ってきます。
    これもゴーツーキャンペーンで、かなり安かったので。

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