平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(887)劇場版「リトル・トーキョー」の新聞広告。

昨日の朝の事である。
新聞紙を広げると、みゆきさんの写真と共に、「リトル・トーキョー」の劇場版の広告が載っていた。
IMG_2121.jpg
寝ぼけ眼で、ウットリと眺めている。
可愛いなあ。
ああ、こんなみゆきさん、凡の夢に出てきてくれないかな。
布団の上で、うつ伏せに、ゴロリと寝ながら、ひとつため息をついた。
この「リトル・トーキョー」の劇場版も、新型コロナの影響で、延期になっていた。
それが、やっと、この7月23日から上映が始まるのである。
もちろん、ブルーレイの「リトル・トーキョー」も持っているのだけれど、やっぱり大画面で見たいものね。
1回だけでは気が済まなくて、何度も足を運びそうだ。
それにしても、最近のテレビにしろ、映画にしろ、映像がくっきりと鮮明だよね。
テレビなんて、凡が生まれた時は、無かったんだよね。
それが、テレビというものが家に来た。
当時は、勿論、ブラウン管で、白黒だ。
これでも、当時は、画期的な装置だったんだよ。
それが、カラーになって、液晶になって、ハイビジョンにまで到達した。
テレビの大相撲中継を見て、観客の表情まで見えた時は、ビックリしたのを覚えている。
この進歩を見ると、ああ、この時代に生きていて良かったと思うのである。
ところがどっこい、進歩はこれで終わらずに、今や、4Kとか8Kとかと言う時代じゃないか。
しかも、大画面。
これはひょっとしたら、凡が死ぬ前には、もっともっと、高画質になって、大画面になる可能性はある。
今までの、進歩の速さを考えればね。
もう、壁一面が画面なんだ。
厚さも5ミリとか、もう壁紙と変わらない。
んでもって、50Kとか、ひょっとしたら100Kとかね。
ものすごいことになって行くわけ。
もう、みゆきさんのコンサートの映像でも、ほとんど、本人と変わらない見え方になるだろう。
いや、大画面で大きく映しても細かいところまで再現できる。
そうなればさ、もう、みゆきさん以上のみゆきさんが、そこに映っているのよ。
凡は、大画面にみゆきさんを映すね。
そして、それを更に拡大して映す。
その時代になると、画面の1部を拡大するぐらいの機能は備わっているだろう。
目の前の壁には、凡の身体より大きなみゆきさんの鼻がある。
まあ、特に鼻を拡大したいと思っている訳じゃないが、顔の中心にあるからね。
顔を拡大したら、当然、鼻もデカくなる。
なかなか迫力のある映像だ。
よく見ると、みゆきさんの毛穴まで見えるだろう。
まずは、「みゆきさん、ごめんなさい。」と謝らなければいけない。
静かに画面に向かって、手を合わせて、頭を下げる。
何しろ、女性の毛穴を、ジロジロ見るなんて行為は、これはやってはいけない行為である。
なので、これから拝見させていただきますという、挨拶と言うか、そのゴメンナサイだ。
でも、そこにみゆきさんの大きな鼻があるなら、そして、毛穴があるなら、これは見ない方が、精神的に病んでいる筈だ。
だって、みゆきさんの鼻は、可愛くて、美しいからである。
美しいものは、正常な精神の持ち主なら、見たいに違いない。
そして、凡は、みゆきさんの鼻の毛穴を堪能したら、今度は、みゆきさんの鼻の穴を探索するよ。
「1本、2本、3本、、、、100本」
鼻毛の数を数え始めるに違いない。
まあ、みゆきさんの鼻毛が100本あるかどうかは、その時の楽しみに置いておいて、そんなことも出来る訳だ。
んでもって、ルーペで、その鼻毛の1本ずつを確認だ。
うん、黒々と光っているね。
とりあえずは、鼻毛で健康チェック。
凡には、子供はいないけれども、もし、そうだなあ、小学生ぐらいの子供、いや、孫がいたとしたら、そして、凡と一緒にみゆきさんの映像を見ていたら、もちろん、鼻のアップをね。
そしたら、そこにあるものを発見するだろう。
凡の様に、もう心が穢れてしまったものは見ることのできないものを。
凡の孫の女の子が、大きな画面のみゆきさんを見ている。
当然、目の前に大きなみゆきさんの鼻。
その鼻の穴の鼻毛を見つめているんだ。
すると、急に、目が輝く。
「あっ。」と言って、凡を嬉しそうに見るね。
凡は、「どうしたの?」と優しく尋ねるはずだ。
女の子は、画面の中にいる誰かに気づかれないように、声をひそめて「い、る、よ。」って言いながら、小さな人差し指でみゆきさんの鼻毛を指さすんだ。
画面を見ると、暗い鼻の穴の中に、黒々としたみゆきさんの鼻毛が、アマゾンの密林のように、生い茂っているだけだ。
「何かいるの?何も見えないよ。」
っていうと、女の子が、「フェアリーがね、いるの。ほら、鼻毛の後ろから顔を、ちょこんと出したりしてるよ。あ、あっちの鼻毛に飛んで行った。」
これだからこそ、みゆきさんは、みゆきさんなんだ。
可愛くて、美しい女性は、世の中には、沢山いる。
でも、鼻の穴に、フェアリーが住んでいる女性は、どこを探したって、みゆきさん1人だけだ。
女の子に、その様子を聞いたら、薄いレースのワンピースを着て、淡いピンクの羽を付けたフェアリーが3人、みゆきさんの鼻毛の間を、恥ずかしそうな笑顔を浮かべて、飛び回って遊んでいるそうだ。
凡は、何度も、みゆきさんの鼻毛の後ろにいるフェアリーを見ようとするのだけれど、見えないんだな。
頭の中が、欲で詰まっている大人には、見えないものだからだ。
仕方がない、と諦めて、画面を元に戻すよ。
そして、画面にみゆきさんの全身を映す。
すると、赤いワンピースのみゆきさんが、ステージの上で歌を歌っている。
その笑顔は、どうにも美しい。
あの笑顔の鼻の穴の奥には、フェアリーが住んでいるんだなと思うと、不思議な気持ちになるのだろうな。
或いは、妙に納得するのかもしれない。
んでもって、呟く。
「あんなの鼻の穴に住まわせて、くすぐったくないのかな。」
その辺は、現実的な疑問である。
ただ、こういうことに疑問を持ち始めると、収拾がつかなくなるものだ。
みゆきさんが、鼻をかんだら、あのフェアリーちゃんたちは、どうなるのだろうとか。
鼻水と一緒に、ティッシュに飛ばされちゃったりして。
いくら、みゆきさんの鼻の穴が美しいからと言って、ずっとそこにいたいのかなとか。
たまには、外に遊びに行きたくならないのかなってね。
その辺は、まあ疑問であるが、触れないでおくべきだろうな。
技術の進歩が、みゆきさんの鼻の穴のフェアリーを映し出すまでに発展するのは、まだ、だいぶんと先だろうけれど。
何とか、それまで生きていたいものである。
それまでは、普通の映画館の大画面で、みゆきさんをジロジロと見つめることにしましょうか。
23日、上映開始だ。
さっそく、行ける日を検討しなくちゃね。
そうだ、みゆきさんも、出来ることなら、3Dの映像を撮って欲しいんだよなあ。
これなら、今の技術で出来るし、実際に他のアーティストでも、3Dの上演会とかしてるので、ノウハウも出来上がっている筈だからね。
と、そんなことも期待しつつ、取り敢えずは、今度の「リトル・トーキョー」の劇場版を、見に行こう。
新聞のみゆきさんの広告の写真を見て、ニヤリとイヤラシソウニ、凡は笑うのでありました。

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