平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(945)青春18きっぷ・豊川稲荷から名古屋。(1)

8月14日(水曜日)。
青春18きっぷの4枚目のログであります。
本当なら、凡は、14日と15日の連休を取っていた。
1泊で、どこかへ行ってやろうと思っていたからだ。
旅行に行くのに、日帰りで行くとの、1泊で行くのとでは、雲泥の差がある。
遠くへ行けるというのもあるけれども、その土地で、ゆっくりお酒でも飲んで、ふらりふらりとホテルに戻って、うとうとと寝るでもなし、起きているでもない、そんなことが楽しいからだ。
しかし、日ごろの行いが悪かったのか、台風が近づいている。
しかも、結構大きいもので、情報では、15日は、鉄道も運行を見合わせる可能性が高いという。
これが、反対の14日が台風で、15日に快方に向かうなら、無理してでも1泊にするところだけれど、15日が台風と言うなら、帰れない場合も出てくるだろう。
ギリギリまで迷って、日帰りにした。
行き先は、1つ目のスタンプの時に迷った豊川稲荷にしよう。
今回は、東の方が、台風に遠いという理由だ。
ということで、06時30分頃、自宅を出発。
07時10分頃、京橋駅にて入鋏。
大阪駅に移動して、07時22分発の米原方面、近江塩津行きの新快速に乗り込む。
先頭車両まで移動したら、若い女の子の隣が空いていた。
いや、別に女の子の席を探していたわけじゃない、たまたまだ。
さてと、女の子の隣に座れたと、後でブログに書くために、凡がメモを取っていると、どうやら、隣の女の子が凡のメモを覗き見ているようだ。
これは恥ずかしい。
凡が、女の子の、携帯などを覗き込むということは、しはしないけれども、想像では、しそうである。
でも、若い女の子に、覗き見られるという体験は、されたことがない。
「あれ、凡に興味を持っているのか。」などと、これまた凡の都合の良い方に解釈をしてしまうじゃないか。
それに、凡が書いたメモの、「女の子の横に座れた」という文字を読まれていたなら、どうしたものか。
ただの、気持ち悪いオッチャンでしかないじゃないか。
その辺のところを聞いてみたかったが、じっと、固まって見られていた。
すこぶる落ち着かない。
しばらく走って、京都駅で女の子は降りて行った。
京都駅を出ると、急に厚い雲が現れて、空を覆い始める。
そして、雨。
天気予報では、今日1日は、持つはずだったのだが。
08時50分、米原駅着。
駅のホームで、朝食代わりに何か食べたくなった。
北陸線のホームに、駅そばと駅弁を売る店があったので、どうしようかと考える。
売店に貼ってある弁当の写真は、どれも美味しそうだ。
琵琶湖の鮎の弁当にしようかと思ったら、売り切れだった。
きつねうどんは、400円、でもいつも、そば食べてるし、稲荷寿司は、これから豊川稲荷で食べる予定だし、ということで、結局は、幕の内弁当にした。1050円。
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米原駅、09時18分発。大垣行き。各停。
さっき買った駅弁を、4人掛けシートで食べる。
前に男の人、横に女の人が座っていて、他のシーとも、ほぼ満席。
他に誰も食べている人がいないので、なかなか恥ずかしい。
しかも、トイレの車両なので、ほのかなトイレの匂いが漂ってくる。
弁当は、出来合いの材料をそのまま使っているものもあるが、赤こんにゃくなどの、この辺りの名物らしきものあり、楽しめる内容だった。
09時53分、大垣駅着。
09時56分、大垣駅発。快速 豊橋行き。
時刻表を見間違えていたので、危うく乗り遅れるところだった。
しばらく走ると、隣の男性が寝始めたのだが、力が抜けたのか、足が開いて、凡の太ももや膝に、コツコツと当たる。
おっちゃんの、足の感触を、太ももと膝に感じながら、旅を楽しむ。
いや、楽しめる道理はないじゃない。
嫌だ。
とはいうものの、起こすわけにもいかないだろう。
目をつぶって、このコツコツと当たる隣の人は、18歳ぐらいの女の子だ。
いや、子猫でもいい。
いや、いっそ、隣の人は、みゆきさんだと思おう。
みゆきさんが、うつらうつらとしながら、凡の太ももと膝に、足をコツコツとぶつけてくる。
、、、幸せ。
そう暗示をかけても、もう既に、凡はオッチャンであることを確認済みな訳で、そう上手くは想像ができない。
コツコツあたる感触は、オッチャンの感触以外のなにものでもないのだ。
しばらく、我慢していた。
名古屋を過ぎると、急に乗客が少なくなった。
果たして、となりのオッチャンも下りて行ったので、一安心だ。
刈谷あたりを過ぎると、雨も上がり、もくもくと力強い夏の雲の空となる。
11時27分、豊橋駅着。
豊橋駅は、駅弁屋もあり、成城石井もあり、そば屋もあり、充実した構内が楽しい。
凡が持っていたコンパス時刻表には、豊橋―豊川の区間運転のページと、飯田線豊橋―本長篠―中部天童のページに分かれて記載されていたのを見落としていたので、まだ時間があると思っていたら、駅に着くと、11時42分発の列車があったので、予定より早い列車に乗り込む。
豊橋駅発。
11時54分、豊川駅着。
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観光案内所は駅に無く、少し離れたところにあるというので、行ってみると閉まっていた。
とはいうものの、もう目の前が、豊川稲荷だ。
門前まで来ると、今まで歩いてきた駅前の道ではなく、門の前に参道があることが判った。
ちょっとブラブラしてみると、お昼を頂けるお店も数店あって、参拝前に食べようかと思う。
山門に一番近く、また観光地のドロくささもあるお店があったので入ってみた。
オススメのきつねと冷やしきしめんのセット、1050円を注文。
店内は狭く、そのせいでテーブルが、メチャ小さい。
人気店なのか、立地なのか、繁盛していた。
きつねは、甘く美味しかったし、冷やしきしめんは、生姜の風味も良かった。
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さて、初めての豊川稲荷へお参りに行こう。
山門をくぐると豊川吒枳尼眞天(とよかわだきにしんてん)の旗が強い風でバタバタと音を立てている。
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豊川稲荷は、稲荷というけれども、神社じゃ無くてお寺だ。
本殿で、お参りをすると、隣の中年のカップルが、二人で一緒にご真言を唱えている。
そのたどたどしさが、仲の良さと、2人の性格の良さを表しているようだ。
凡は、そんな時は、恥ずかしくて、ご真言なんて唱えられない。
その横へ移動すると、大黒堂があって、その前に「おさすり大黒天」の像が設置されている。
像をさすりながらお願いをするとご利益があるという。
凡は、こういう仕掛けが大嫌いだ。
この像を作った人や、この像を設置しようと考えた人、そして、この像の大黒さん自身に、問いたい。
「あなたは、本当に苦しんでいる人を、救うことが出来るのかと。」
不治の病で苦しんでいる人、借金で苦しんでいる人、人間関係で苦しんでいる人、そんな人の苦しみを、どうにかできるのかと。
そんな必死のお願いのために、さすっている人もいるんだよ。
こんな像や、仕掛けを考えた人は、その人たちの苦しみを、一身に受ける覚悟がなくちゃ、作っちゃいけない。
そう思うのであります。
そう思っていると、小さな子供を連れた家族が来て、楽しそうにお願い事をしながら、大黒さんをさすっていた。
素晴らしい。
こういう素直な人が、結局は、救われるんだろうな。
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それじゃ、凡も家族を見習って、いっちょ、大黒さんをさすって、お願いをしてみようかな。
そう思って、看板を見ると、「経文に『仏の慈悲は限りなく信者の願いを聞き入れるけれども、よこしまな我欲をもって祈願することなかれ』とある。」と書かれているではないか。
そんな殺生な。
お願いというものをするにあたって、我欲の無いお願いって、可能なのか。
勿論、世界平和だとか、世界で餓死する人がいなくなりますようにだとか、そんな願いは、確かに我欲を離れている。
それは、確かに素晴らしいお願いだ。
しかし、普通の人は、苦しんでいるんだ。
その苦しみは、さっきも言ったように病気だとか、人間関係だとか、そんなことな訳で、詰まりは、それもまた我欲のお願いになるのじゃないだろうか。
とはいうものの、そこは仏さまだ。
いくら我欲のお願いだとしても、苦しんでいる人のお願いは、聞きとどけてくれるに違いない。
でも、凡のお願いは、もう、まったくもって、我欲のお願いだ。
いや、我欲以外のお願いを、今までしたことがない。
しかも、かなり身勝手な、分不相応の、もう無理だっていうぐらいの我欲だ。
みゆきさんとデートができますように。
宝くじが当たって、大金持ちになりますように。
愛も、富も、健康も、平和も、すべて手に入りますように。
いつも凡が、お願いをしているのは、こんなところだ。
我欲以外の要素がまったくない。
しかしね、凡は思うのであります。
もし、凡が仏様なら、そんな中途半端に我欲を捨てた、偽善的なお願いよりも、こんな我欲丸出しのお願いの方が、気持ちが良いと感じるだろう。
もし、可愛い女の子が、「お願い、お願い、お願―いっ。」なんて、手を合わせて言われた日にゃ、最優先で、お願いを「聞いちゃう」よ。
まあ、凡が仏様だった場合は、仏さまでも力のない仏様だから、お願いを「聞く」だけで、叶えてあげるところまではいかないかもではある。
しかし、そんな我欲のお願いの方が、ストレートで、人間らしいのではないだろうか。
看板の説明文を読んだら、到底、凡のお願いなんて叶えて貰えそうにないので、大黒様をさするのは止めた。
さて、大黒さんの横から、狐塚に向かう道が続いている。
道の両側に、祈願の旗が続くのを見ても、人気の高さが解る。
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進んで行くと、きつねの像ばかり集まっている場所がある。
お願いを叶えて貰ったお礼に納めたものらしいが、結構、インパクトがある。
きつねだから、ちょっと怖いというイメージがあるかもしれないが、意外と明るい雰囲気の場所だった。
インスタ映えするパワースポットとしても人気があるようだ。
さて、さらに奥に進むと、奥の院がある。
その前に、参道の横に2本の杉の木があった。
その間を通れるようになっていて、心願成就の木とある。
また、こんなことをさせられるのか。
と思っていると、50代の美人が、その杉の間を通り抜けようとしている。
白色の薄物のニットのシャツが、汗で下の黒いタンクトップが透けているじゃないか。
ハッとして、女性を見ると、髪はアップにして、大きな髪留めでまとめていて、その首筋が、汗ばんで、ほんのり光っている。
ベージュの薄いレースのスカートを、左手で、引っ張って自分の前に手繰り寄せると、腰から脚のラインが浮かび上がった。
そして、杉の木の間を通り抜けた。
色っぽい。
それを見て、凡も杉の木の間を通り抜けた。
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奥の院で、お参りを済ませて、さあ帰ろうかと思ったら、切り火祈願だったか、そんな貼り紙を見つけた。
そうだ、さっきの大黒様のところで、凡が我欲にまみれた、凡で、愚である存在だと、思い知らされた。
この邪な気持ちは、祓い清めなければならないだろう。
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そう思って、この切り火祈願を受けることにした。
奥の院の横から声を掛けると、係りの男性が、中に案内をしてくれた。
初めてだと言うと、ダキニ天の説明や、いろいろなことを、お話してくれて、これは大変為になった。
んでもって、ここで「係りの人」と書いたが、ご住職なのか、どうなのか、分らないのだけれど、このお堂を守っている人である。
一緒に手を合わせてご真言を唱えた。
そして、いよいよ火打石で凡の身体を清めてくれる。
その火花が掛かるのを見たら、何とも我欲が焼かれて消えてしまったように感じた。
有り難い。
そして、最後に、これはイメージだけれど、と前置きをした後に、この奥の院に来た記念に、財布に火花を入れてくれるという。
なので、財布を開いて、火花を入れてもらった。
これで、凡も大金持ちか。
いや、それは我欲ではないか。
どうなんだ。
お代は、ローソク代として500円、切り火祈願代は、こころざしというので、1000円を賽銭箱に納める。
帰りは、参道を歩いて駅まで戻る。
途中、昔ながらの食堂があったので、かき氷を食べた。
センジ300円。
見た目がレトロで入ってみたくなるのか、ポツリポツリと人が入ってくる。
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凡の後に、お店に入って来たカップルがいて、かき氷とアイスコーヒーを注文していた。
アイスコーヒーに、期待をしているような話をしている。
んでもって、凡が会計をしていると、お店のオジサンが、台所の奥で、スーパーで売っているアイスコーヒーの1杯用のポーションを開けようとしているところだった。
横に水が入った計量カップも用意している。
そのポーションの蓋が開かないみたいで、オジサンの指がプルプルと震えている。
あのカップルが、このポーションのアイスコーヒーを飲んで、どんな感想を言うのか聞きたくなったが、会計をしてしまったんだから、仕方がなく店を出た。
一応、名誉のためにお店の名前は伏せておこうかな。
ただ、これ自体は、別に悪いことをしている訳じゃないものね。
ということで、豊川駅に戻る。
さて、これから名古屋へ戻って、ビールでも飲みたいなあ。

コメント

  1. yukumuri より:

    おっ、今度は豊川稲荷に行かれたんですね
    なるほど、台風の影響が出る恐れがあるので、1泊2日を日帰りにされたんですね
    残念ですが非常に賢明な判断だと思いますよ
    台風の直撃を喰らったら、観光はおろか帰るのもままなりませんからね
    ほぼ満員電車の中で駅弁を食べるのは勇気がいりますね、しかもトイレのかぐわしいオイニ~がかすかに漂ってくるとは・・・(^_^;)
    豊川稲荷に着いてからは、冷やしきしめんセットを食べたんですね
    稲荷寿司はなんだか本場感があって良いですね
    旅の気分を盛り上げてくれそうですね
    最後のアイスコーヒーですが、隣のおっちゃんの感想とか薀蓄を是非とも聞きたかったですね(笑)

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、ゆけむりさん。
    せっかく連休を取ったのに、日帰りで残念でしたが、台風には勝てませんでした。
    豊川稲荷は、初めてだったので、楽しかったです。
    やっぱり、初めての場所と言うのは、どんなところかとワクワクしますね。
    んでもって、アイスコーヒーのオッチャンは、反応を見て見たかったですね。
    「さすが、昭和初期からやってるだけあって、懐かしいコーヒーの味だね。モカをベースにしてるのかな。やっぱり、丁寧に淹れなきゃ、こういう味はでないよね。」なんて、言ってたら、面白かったんですけどね。

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