平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(889)青春18きっぷ・2枚目3枚目・新宮の旅(3)

8月10日(土曜日・祝日)
新宮駅に着いた。
駅前のロータリーの向こう側に観光案内所があったので、明日の予定を考えるのに寄ってみる。
カウンターに立つと、中年男性が応対してくれたのだが、親切で溌溂とした感じで話されるので気持ちが良い。
明日の午前中だけ観光したいと言うと、レンタサイクルをすすめてくれた。
凡の行きたいところを回って2時間で帰ってこれるという。
スゴク解りやすい説明で、明日の予定を簡単にイメージすることが出来た。

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(新宮駅)

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(観光案内所)

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(徐福公園の内側)
さて、ホテルに向かおうかと思ったら、すぐそこに徐福公園が見える。
ここも行ってみたかったところなので、まずは行ってみよう。
徐福は、2200年ほど前に、秦の始皇帝の命によって、日本に不老不死の薬を求めてやって来た人で、この熊野の地にたどり着いたのではないかと言われています。
そのぐらいの事は知っていたのですが、来るときに若い男女を3000人ぐらい一緒に連れてきたというのは、初めて知った。
それなら、今もその子孫が、新宮に住んでいてもオカシクハないはずで、或いは、その集団が、大陸の発達した文化や技術を、この新宮で発展させたかもしれなくて、それなら、かなりの勢力というか集団が形成されていたのかもなどと、想像を膨らませる。
若い男女というと、やはり10代だろう。
きっと、可愛い女の子もいたね。
それにしても、秦から来たのなら、そして、3000人も来たのなら、その当時の中国の言葉が、今の新宮市の方言に残っていても良さそうなものだけれど、凡には、それを発見できなかった。
というか、本当に不老不死の薬を見つけたのなら、その秦からやってきた若い女の子が、今も若いまま新宮にいることになるわけで、2200歳の若い女の子との出会いがあっても不思議ではない話である。
是非とも、お酒でも飲みながら、昔ばなしでも聞きたいところである。
或いは、この新宮のスナックで、ママをやっているのかもしれない。
見た目は、17、8歳なんだけれど、もう実年齢は、2200歳。
長い年月を経て培ってきた老練のテクニックで、もう男性はイチコロだろう。
そんなママも、酔っぱらってくると、昔ばなしを始めるね。
「もうね、馬ちゃんがさあ、あっ、馬ちゃんって、聖徳太子の事ね、その馬ちゃんが、もう、あたしに言い寄って来ちゃってさ、大変だったのよお。馬ちゃんの女になれゆうてさ、馬ちゃんの女になったら、成仏させたるって、そうそう、あの時、馬ちゃん、仏教に凝ってたからね。今はこんなんでも、その内にお札にも乗るぐらい有名なったんねんゆうて、そやから、1万円札になったとき、あら、馬ちゃんの言ったこと、ホントになったやんゆうて、みんなで、ビールで乾杯したわ。」なんてね、そんな話を聞かせてくれる。
しかし、見た目は、ミニスカートで、シースルーのブラウスを着ている。
だから、知らない人が見たら、ただのジョークにしか聞こえないんだけれど、そこに真実が隠されているんだね。
ムーの編集長が聞いたら、腰を抜かすだろうね。
或いは、凡も、女の子を口説いて、不老不死の薬を貰っちゃおうか。
凡も、女の子も、ずっと若いままで生き続ける。
それはそれで、辛いに違いない。
ここ新宮では、そして、2200歳の女の子には、明日は分かれる徒情がちょうどいい。
というか、その徒情すら、ないから悲しいね。
徐福伝説は、各地にあるのだけれど、お墓とされるものがあるのは、ここだけだ。
お線香をあげて、お参りをした。

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(徐福のお墓)

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(公園内の天台烏薬の木)
そして、公園にある売店で、熊野天台烏薬茶を購入。
徐福の見つけた不老不死の薬は、天台烏薬という木ではないかと言われていて、このお茶は、その葉っぱだそうです。
ただ、どこかの大学の先生が調べた薬効は、根を使って調べているので、凡が買ったお茶は、葉っぱなので、効果はどうなのかと思ったが、取り敢えずは、身体に良いに違いない。

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(徐福公園の売店)

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(売店内部)

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(不老不死の薬を購入)
さて、今日のホテルに向かおう。
新宮ユーアイホテル。
1泊2日、朝食付きで、税込み 7580円。
ビジネスホテルなのだけれど、なかなか立派な建物だ。
部屋も、充分なスペースがあって、快適である。
まずは、汗だくで臭いので、シャワーをしてTシャツに着替える。

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さて、ホテルでもらった地図を頼りに、街を歩いてみよう。
目的は、夜食べるお店を探すのと、不老長寿の天台烏薬の葉っぱの粉に葛を混ぜた「烏薬湯」というものを買うことだ。
さて、駅前の観光協会で貰ったマップは、なかなか見やすい。
要所要所には、目につきやすいお店や建物が描かれているので、道を間違えることがないし、飲食店も、「夜だけの営業」などと、括りで集められていたりと、旅行者の知りたいことが解るように出来ている。
お目当てのお菓子屋には、すぐにたどり着くことが出来た。
福田屋さん。
そんでもって、不老長寿の薬を購入。
陳列台には、大と小が並べられているのだけれど、小が無かった。
大でも良かったが、さすがに3700円は高いなと思って、お店の息子さんだろうか、に言ったら、奥から小を持って来てくれた。1080円。
これは、クスリでもないし、和菓子屋で売っているのだけれど、お菓子でもないし、葛湯ほどトロミや甘みもないし、何とも不思議な粉なのですが、お湯で溶いて飲むと良いものだそうで、効能を期待しての購入なのであります。
買って中を見ると、クスリでもないのに、効能についての説明文が、3枚も入っていた。

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(烏薬湯の説明文)

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(お店の前の植木が天台烏薬だと教えてくれた)
地元のお客さんも多いようで、車で店前に乗り付けて、上品な女性がお菓子を買っていた。
地元で愛されているお店なのだろう。
それから、またお店を探しながらホテルへ戻る。
ただ、夜食べるお店は、土曜日の祝日とあってか、開いているお店も少なくて、何処に入ろうかと悩んでしまった。
後で気が付いたが、観光協会で貰った「新宮夜遊びマップ」を持ってくればよかったかもしれない。
それに、凡には、ホテルにチェックインした時から、少しだけ覗いてみようかと思うお店があった。
ホテルの1階の居酒屋「泰平」さんという店だ。
チェックインの時に、この泰平さんの生ビール1杯無料券をもらったからだ。
ホテルの居酒屋というのも、酔っぱらったら、すぐに部屋に戻ることが出来るので、これは安心だ。
それに、青森のように、お得なメニューを出している店もある。
(それが、青森の青森グリーンパークホテルさんだ。ここの晩酌セットは最高だった。)
青森のページは⇒⇒https://47872029.at.webry.info/201609_article_16_html

観光案内所でもらった「新宮うまいもんお食事処マップ」にもお店が載っていて、地場産の食材と、地酒をご用意していますの文字が気になるではないですか。
ということで、福田屋さんで買った烏薬湯を一旦部屋に置いて、ホテルの居酒屋に行くことにした。
なのだけれど、部屋に戻って生ビールのサービス券を確認したら、もらったはずのサービス券がない。
ない、ない、ない。
たかが、生ビールのサービス券1枚で、そんなにも焦らなくても良いのだけれど、最近、何かを無くすことが増えて来た。
フロントで、ダメもとで言ったら、もう1枚くれた。

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ホテルの居酒屋「泰平」。
ホテルの奥に小さな入口があった。
入ると、テーブル席が、たしか2卓ぐらい、それにカウンターの、想像したより、こじんまりしている。
そして、誰もいない。
お店は、ママが1人いて、若くはないのだけれど、ルージュを口の輪郭から少しはみ出して曳いているところが、やや色っぽさを感じる。
まず、無料サービスの生ビールを頂く。
このホテルの屋上には、期間限定でビアガーデンをやっているので、そこと迷ったが、クーラーが効いているところで、冷たいビールは最高だ。
ビアガーデンにしなくて良かったと思った。
さて、改めて壁に掲げられたメニューを見る。
ホテルのパンフレットの説明には、「新鮮な海の幸、山の幸が豊富にそろった、気の香漂う落ち着き処です。」とあったので、期待値が高かったのもあるが、やや気分的に沈んだ。
メニューの数が少ない。
これは早めに切り上げて河岸を変えよう。
ただ、こんな場合、1杯目を既に味わってしまっているので、次の店に行ったところで、最初のビールの「あーっ。」はない。
それに、料理だって、少しは頂いた後なので、次の店では、中途半端な注文しかできないだろう。
次の店の名物を1品か2品。
あまり注文しないでお店を出なきゃいけなくなる話で、そのお店にも申訳ない気持ちになってしまうことだろう。
そんでもって、これから新しいお店を探すのも、面倒だ。
そんな気持ちで、メニューのホワイトボードを見る凡の考えを察したのか、ルージュの色っぽいママが、「今日は、海がこんなだから、小魚がないという。」
小魚がオススメなのだろうけれど、小魚って言われても、魅力を感じない。
「刺身であるのは、カツオのたたきだけだ。」と付け加えた。
でも、まあ良い。
今日は、諦めて、ここで飲もう。
兎に角、クーラーも効いているし、テレビも点いている。
それに、貸し切り状態だ。
ということで、まずは、カツオのたたきを注文。
ルージュのママと、お話をしながらビールを流し込む。

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この辺りは、クジラが名物だという。
特に、このお店のクジラは、他のお店より、美味しいとお客さんが言うそうである。
凡は、それほど、クジラの肉を珍重しない。
子どもの頃の印象では、牛肉が高くて食べられないので、クジラの肉を食べるというような、所謂、代用肉のイメージだ。
それに、子供の頃に、母親が関東煮(かんとだき・最近では「おでん」の方が使われるけどね。)を作ってくれる時に、コロというクジラの皮のところを乾燥させたものを入れることが多かった。
あれが、凡は苦手で、臭くてたまらなかったんだ。
父親は、縁を食紅で赤く着色したクジラのベーコンで熱燗をやっていたなあ。
そんなことがあったので、凡は、クジラは好まない。
クサイからだ。
とはいうものの、小学校の給食の、クジラの竜田揚げだけは、大好きだった。
下味をつけて、臭みを消していたからね。
そんな話を、ルージュのママとしていたら、まあ、折角だから、それにママによると、クジラにも種類があって、何という名前か忘れたが、内のは臭くないというので、食べて見ることにした。
まずは、初心者向けの大和煮。
これは、美味しい。
そんでもって、少しばかり高いけれども、クジラの刺身。
火を通してなくて、ルイベ状態なので、これも臭みもなく、まあ美味しかった。
「まあ。」というのは、好んでは食べないけれどねという意味を含む。

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この新宮のあたりは、イルカも食べる人がいる。
凡も、参考のために、1回食べてみても良いかと思っていたのだけれど、ルージュのママによると、クジラよりも臭くて、ママでさえ食べないという。
それを聞いたら、興味がなくなった。
メニューは少ないが、お酒が進むと居心地が良くなってくる。
そうしていると、40歳から50歳ぐらいの間だろうか、女性が1人で入って来た。
女性が、新宮のビジネスホテルに泊まっているシチュエーションとは、どういうものか。
仕事なのだろうか。
紺色のワンピースで、今、シャワーをしてきましたというような感じで、ノーメイクなところを見ると、仕事で来ているようには見えない。
ノースリーブの腕が、なんとも艶めかしい。
或いは、観光なのか。
しかし、新宮というところに観光で1泊なんて、女性の1人旅には、少しばかり意味深だ。
それにしても、こんなところで女性との出会いがあったとは、何とも嬉しいじゃないか。
ノースリーブの女性は、カウンターに座って、無料の生ビール券を、ルージュのママに渡す。
すると、ママは何かを察したのか、セットで付いてくるお通しが300円であることを説明した。
さて、これからノースリーブの女性との、何となく色っぽい話になっていくのだろうかと、期待したのであるけれども、ノースリーブの女性は、生ビールを1杯飲んで、お通しを食べたら、カウンターに300円を、コツンと置いて出て行った。
果たして、こんなことが出来るのか。
いや、無料ビール券の、無料の意味するところを考えたら、無料だけで帰るなんて芸当は、凡には無理だ。
しかし、ある意味、これが正解なのかもしれない。
帰っていくノースリーブの手には、コンビニで買った弁当やお菓子が入っていた。
そして、凡の密かな期待も、泡と消えた。
すると、その後に、男性の1人客が、別々に2人入ってくる。
1人は、どこかで飲んで来たようで、明らかに酔っている。
まだ、もう少し飲んで部屋に戻ろうという感じだろうか。
そして、もう1人は、やっぱり少しビールを飲んで、ラーメンを注文していた。
そんな男性と、ママと、テレビを見ながら、ツッコミを入れていると、お客同士で、何となく、親近感がわいてくる。
ただ、凡も少しばかり長居をしてしまったので、一旦店を出ることにした。
男性2人に、「じゃ、どうも。」なんて感じの挨拶をして店を出る。
6380円。
予定より、いってしまったか。

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(メニューのホワイトボード)

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(お酒も頂いた)
ただ、部屋には戻りたくない。
お腹に残るものを食べたい気持ちもあるし、新宮の街を歩いて見たい気もする。
そうだ、ビアガーデンを覗いてみようと、エレベーターを上がったら、閉店時間だった。
ちょっとばかり、早過ぎはしないかい。
なので、ホテルを出て、ラーメンを食べに行くことにした。
「速水」さん。
ラーメンと半チャーハン。
それに、生ビール。
和歌山市の井出ラーメンさんで、勉強されたとのことで、これは満足感のある味だ。
幸せを感じる味である。

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さて、お店を出たら、もうアルコールで、またもや、脳の食欲中枢が、どうかしてしまったようで、ブレーキが利かない。
モスバーガーがあったので、ダブルモスとコーラのセット。
美味い。
またもや、幸せを感じる。

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さて、ホテルに戻ろうかと歩いていると、コメダ珈琲店があったので、入ってやろうかと思ったが、そこは冷静に判断して、コンビニで水だけ買ってホテルに戻った。
さて、明日の予定を考えながら、寝ることにしましょう。

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sansanpopo@tairabonzou.jp
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コメント

  1. ゆけむり より:

    まず、旅先でこのような的確なアドバイスを頂けると本当にありがたいですよね
    およその行程をイメージして組み立てられるのが良いですよね
    ホテルの居酒屋ですが、サービスの生ビールもまぁまぁの大きさですね
    自分も同じようなサービス券で出てきたビールが小さくて呆れた事がありますよ
    まぁ良心的ですね
    青森の居酒屋の晩酌セットはビール2杯ついて1500円はかなりお得ですよね
    こんな店が増えるとありがたいですよね
    こちらは鯨が名物なんですね
    自分は鯨のフライが好きでしたね~
    伊勢佐木町の屋台で食べた味が忘れられません
    さて件のノーメイクの女性ですが、サービスの生とお通しだけ、300円置いて帰るとは場数を踏んでいるのでしょうか?
    それともずうずしいだけなんでしょうかね?
    自分もそれはできませんね
    さて会計ですが、ちょっとお高かったですね
    しかしその後ラーメンにモスですか?
    いやはや恐れ入りましたm(__)m

  2. 凡蔵。 より:

    ホテルの居酒屋ですが、最初の1杯は、写真のより小さかったです。これは2杯目なんです。でも、最初の1杯も、メチャ小さいというわけでもなかったですよ。
    そうそう、青森のホテルの晩酌セットは、もう、それを目当てに、2回も、そのホテルに泊っちゃったぐらいですから、そうとう気に入りましたよ。
    でも、その内の1回は、日曜日か何かで、やってなかったですが。
    んでもって、件のノーメークですが、あれは勇気いりますよね。
    メニューを見て、これは違うなと、瞬時に判断して、それを行動に移せるスゴイ人だったのかもしれません。
    私なんて、迷った挙句に居座ってしまいましたからね。
    メニューの数も、メニューの種類も微妙だしね。
    近所で仕事をしていて、帰りに1杯なんて時は、こんな感じで良いと思うのですが、遠くから旅行で来た人には、少し物足りない気がします。
    それに、安くはないですしね。
    その後の、ラーメンとモスは、もうアルコールでマヒしてしまってますから、食べてしまいました。
    でも、美味しかったです。

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