平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。
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散散歩歩。(497)凡、両手骨折する。

凡の生き方が間違っていたのだろうか。
凡の考え方が間違っていたのだろうか。
そんなことを考えてしまう。
間違っていた為に起こる不幸。
悪い事をした罰。
或いは、みゆきさんにうつつを抜かしているせいなの?
それはあるのかもしれないが、それだけは何とか許してほしい。
凡は京阪電車のホームの椅子に座って、痛みに悶えながら、そんなことを頭の中のもう1人の凡が考えているのを、第三者が見るように見ていた。
考えているのは、実体のない凡ある。
しかし、椅子に座っている実体の凡には、そんなことどうでも良かったのである。
二日酔いの時もそうだけれど、凡という人間は、苦しい時には世の中の大概のことは、どうでもよくなる。
「もう、どうでもいいや。どうにでもなれ。好きにしてくれ。」と思うのである。
そして、椅子に座った凡である。
その時、椅子に座った凡は、苦しみながら、ある発見をしていた。
凡という人間は、どうでもいいやの時より更に苦しい時は、ただただ、その痛み耐えるので精一杯で、どうでもいいやなんてことも考えられずに、不安と痛みに悶えながら、その不安と痛みが消え去ってくれるのを祈るだけであるということを。
それは、ほんの数分前のことだった。
仕事が終わって、いつものように京阪電車の改札を通って中に入った。
そして、いつものように、階段を降りかけたときだ。
蹴つまずいたのか、滑ったのか、それが凡の記憶では判然としない。
ただ、落ちて滑っていく状況は、うっすらと覚えていて、階段の下で突然の痛みに襲われて身動きができないでいる、その上から何人もの人が「大丈夫ですか。」と叫んでいる声も、聞こえている。
その声は、すべてオッチャンの声だった。
ただ、その時は、オッチャンでも、若いサラサラロングヘアーの女の子でも、そんなことは、どうでもよかった。
ただ、凡の事を心配してくれている、その声が有り難かった。
しかし、痛みで、動くこともできず、その声の人物を見ることもできずに、うずくまっていた。
ただ、凡は「大丈夫です。」を、下を向いたまま、繰り返していた。
やがて、駅員さんがやって来て、凡を取り敢えず椅子に座らせてくれたのであった。
凡は、駅の階段を15段から20段ぐらいコケて滑り落ちたのである。
その後、駅員さんのすすめで救急車が呼ばれた。
しかし、救急車なんて、よっぽどのことじゃないと呼ぶものじゃない。
今の凡の状況が、よっぽどのことなのか、どうなのか、凡は駅員さんからすすめられた時には考え迷った。
こんな場合、何もなかった大したことじゃない、というように凡自身が解釈したくなるのである。
30分ぐらいしたら治るんじゃないかとか。
でも、これはかなり痛いし、ショックのせいかフラフラして冷や汗も出てきて気持ちも悪い。
なので、すすめられるまま、救急車をお願いしたのであります。
人生初の自分の為の救急車である。
しばらくすると、消防署の方が来られて、それでも足は痛みはあったけれども歩けたので、一緒に救急車に乗り込む。
中では、凡の身元や状況を聞かれた。
救急車のベッドの横になり心電図などを計られながら、それでもまだ冷や汗が止まらなかった。
そして5分ぐらいで、天満橋の大手前病院に到着。
夜の救急の若い当直医さんと若い看護婦さんが待機していてくれていた。
説明を聞いた後に、レントゲンを撮ると、すぐに結果が出る。
診察室に戻ると、凡のレントゲンの画像を見て言った。
「痛いて言うてたトコ、全部折れてましたわ。」
思わず凡も「えーーーっ。」と、叫んでしまった。
痛いと言ったのは、右手首と鎖骨と左ヒジである。
3ヶ所も、しかも両手である。
取り敢えず、応急のギブスのようなものと、クラビクル・ブレースという鎖骨を固定するバンドをしてもらう。
若い先生も看護婦さんも、親切に気遣ってくれて、本当に安心したし、この大手前病院に搬送されて良かったと思った。
その後、これからの治療のアドバイスをいただいたり、紹介状を書いていただいたりして、痛み止めのロキソニンをその場で飲んで、ボルタレンの座薬を貰って帰った。
帰りのタクシーでミニボンに電話をする。
マンションまで来ると、ミニボンが泣きそうな顔で待っていてくれたのであります。
それにしても、考えてみれば不幸中の幸い。
凡だけが、転んで怪我して、それで終わって良かった。
これが、他の人を巻き込んで、そんでもって、他の人まで怪我をさせていたら大変な事になっていたと想像すると、今でも怖い。
それにしても、どうしてこけたんだろうね。
別にお酒を飲んでいた訳じゃない。
別に可愛い女の子に見とれていた訳じゃない。
別にみゆきさんのことを考えていた訳じゃない。
でも、コケた。
別の実体のない凡が考えていた間違っている事の罰なのだろうか。
この状態では、明日は休むしかない。
明日だけじゃなくて、何日も休まなくてはならないだろう。
仕事の内容から言ったら、治って出勤出来るのには2週間以上はかかるだろう。
それにしても、コケた理由も、コケた瞬間の事も、見当がつかないのである。
ならば、コケた事に、運命論的な意味づけをするのならば、これは凡の何かの転機に巡り会うための、事故であり、骨折であるという無理やりな理屈も考えられなくもない。
可愛いサラサラロングヘアーの女の子との出会い?
それは、ないだろうけれど、みゆきさんとの出会いなら無理にでも繋ぎ合わせたいところだ。
或いは、仕事のことか、生活のことか。
梅花心易という占いがあって、例えば桜の花びらが風に吹かれて着ているシャツに止まったから、どうだとか、その時に猫が鳴いたから、どうだとか、その時に起こった事象で占うそうです。
なら、今から凡の周りで起こることに注意を向けてみよう。
何かのヒントがあるのかもしれない。
階段でコケて骨折したから、、、どうなの?
さて、取り敢えずは、明日は朝の8時半の病院に行って、これからの治療の相談をしなきゃね。
と、思ったのではありますが、両手を仮のギブスで固定しているのと、右手首が痛すぎるので、何もない出来ない。
両手が使えないと、ホント何も出来ないんだね。
全部手伝ってくれて、ミニボンありがとう。

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