平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(398)アイラブユー・ほたえてくれ!みゆきさーん。(107)

みゆきさんの素顔を見た感動で、こころが打ち震えている。
これからどうしたものか考えもつかずにトボトボと歩いて通りまで出ると、昼間に子供たちがスケートで遊んでいたスケートリンクで大学生だろうかスケートの練習をしていた。

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何とはなしに見ていると、これが結構上手い人もいて、しばらく見ていた。
男の子も、3回転2回転なのか、2回転2回転なのか、コンビネーションも飛んでいる。
中にマッチ棒のように細い女の子もいて、この子が可愛い。
見ている内に、すっかりお気に入りになってしまった。
しまった。
お気に入りになってしまったことは、しまった。
人間は、体の状態とこころの状態が、密接に関係してると言う。
脈拍が早い時や、興奮している時に出会った人は、それが相手に抱いている感情と脳が勘違いして、その相手を好きだって思うようになるということを心理学の本で読んだ記憶がある。
つまりは、今みゆきさんに会った興奮が、スケートを滑るマッチ棒の女の子に対する感情と凡の脳は勘違いして、マッチ棒の女の子を好きだった思ってしまう可能性があるのだ。
というか、もう既に可愛いなと思って見ている。
これは、しまったということなのだ。
ただ、このマッチ棒の女の子は、事実可愛いのでこれはこれでいい。
それよりも、これからが危険なのである。
もし、凡がホテルへの帰り道に、誰かに会おうものなら、その人を好きだと勘違いしてしまうのだ。
東京は人が多い。
これは、危険である。
ただ、これも可愛い女の子だったら、それは素敵な出会いとなるかもしれない。
でも、例えば野良犬なんかに出会ったら、どうなりますか。
凡は野良犬を好きになってしまうかもしれないのだ。
しかも、その野良犬も何かの拍子でドキドキしているときに凡に出会ったら、どうなりますか。
野良犬も凡を好きになってしまう。
相思相愛。
東京の赤坂で、野良犬と相思相愛。
そして、同棲。
凡は野良犬に、ジャスミンなんて名前を付けてしまうだろう。
「ジャスミンちゃん。可愛いね。」
なんて背中をなでなでしちゃう。
ジャスミンちゃんも、凡が好きだからさ、凡を甘噛みしたりするわけ。
気が付いたら、本気で噛んでしまって凡は青あざだらけになりますわな。
「ジャスミンちゃん。」
「ワン。」
「ジャスミンちゃん。」
「ワン。」
「ジャスミンちゃん。」
「ワン。」
精神がどうにかなりそうだ。
そんな生活は、やっぱり無理だろう。
後は、野良犬に出会わないことを祈ってホテルまで帰えろう。
スケート場のマッチ棒の女の子は可愛かったけれど、このこころの打ち震えは、みゆきさんの打ち震えだと思直して、渋谷まで戻ることにした。
渋谷は、いいですね。
お店も多いし、人も多い。
そして美人も多い。
渋谷のスクランブル交差点に立って美人を探す。
もう、綺麗な人が多すぎて困っちゃうよ。
そして、歩いている人のその頭部を凝視する。
じっと見つめていると、その女性の頭蓋骨の大体の形が想像できるのだ。
ピンヒールのハイヒールにミニスカート、サラサラロングヘアーの少し目の離れた女の子が歩いて来る。
かなり可愛い。
やや唇からはみ出して引かれたルージュは、凡好みである。
しかしだ。
その女の子の頭部を凝視することによって想像される頭蓋骨はと言うと、月並みなのである。
つまりは、月並みな可愛い女の子。
どういうことかというと、この女の子は可愛い。
そして凡好みだ。
まあ、それはいい。
でも、その可愛い顔は、これ以上に他の表現が出来ない顔なのだ。
つまり、美人の1つのパターンしか表現できない頭蓋骨なのである。
いくらメイクを変えたとしても、今の可愛い状態の延長線上の美人にしかなりえない。
ここがみゆきさんと違うところである。
みゆきさんは、完璧な頭蓋骨を持っているだけに、どんな美人にも変化できるのだ。
メイクだけで1000パターンでも、1万パターンでも、いろんな美人を表現できる。
とはいうものの、ここは渋谷のスクランブル交差点だ。
あまり女の子ばかり凝視していると、変なおじさんと思われてしまう。
最後の東京の夜だから、何か食べに行きましょう。
ぶらぶらと歩きまわって、
井の頭通りの三角になっているところの中華料理「兆楽」さんに入る。

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夜の遅めに入ったのだけれど、場所柄お客さんが次々と入ってくる。
カウンターに座って、まずはビール。
ここはハーフサイズが注文できるので、1人で来てハーフを頼んでビールなんてことも出来るので、いいお店を見つけたと思った。

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凡の横に、周りの雑居ビルのスナックかなにかで働いているのだろうか、40才代の女の人が座った。遅い晩御飯なのか、これから仕事に向かう夜食なのか。
カウンターの向かいには、1杯飲んだシメのラーメンを食べに入ったサラリーマン。
呼び込みの男の子が出前を注文しに入ってくる。
そんなお店の雰囲気に心地よく浸りながら、調子に乗って中華焼きそばやマーボ豆腐定食などを食べてしまった。

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お腹いっぱいになったので、もうどこへも寄らずにホテルに戻った。
次の日の朝、酔っ払ってメモした電車の時間を頼りにモノレールのホームに立っていると、ANAのメールで手荷物検査がまもなく終了だという。
酔っ払ってメモした情報は、飛行機の出発時間と到着時間を間違ってルート検索したものだった。
どうも自身が無くなってしまう。
手荷物検査には間に合わなかったけれど、無事滑り込みで飛行機に乗ることができて、そのまま仕事場へ直行できた。
それにしても、今回の東京の夜会工場では、みゆきさんの素顔を見れたことが、何よりの宝物になったのでありました。
でも、記憶ってどうしてもっと鮮明に記憶に残らないんだろうね。
記憶にはあるのだけれど、緊張もしていたせいもあり、細部までありありとは思い出せない。
こんどは、もっと明るいところでみゆきさんに会いたいなあ。

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