平 凡蔵。の 創作劇場

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どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(98)京阪電車のアナウンス。

物事を正確に伝えるということは、大切なことである。
とはいうものの、正確さを追及するあまり、逆に分かりずらい表現になることもある。
凡は、通勤で京阪電車と大阪市営地下鉄に乗っています。
帰宅するのに、始発の淀屋橋駅に停まっている準急の座席の一番端っこに座って、目を瞑っていた。
凡はいつも、ここでミニボンに帰るメールを打ちます。
でも、メールの文面は、毎日同じです。
そして、ミニボンからも、毎日同じ文面の返信があります。
同じ文面なんだったら、別に文章を打つ必要がないような気もしもして、自分でも可笑しくなる。
「帰」の一文字でいいんじゃないかなって気もする。
京阪電車の準急の座席に座って、目を瞑っていると、発車の車内アナウンスがある。
「扉を閉めまーす。ご注意ください。」
このアナウンスは京阪電車でも比較的最近ではないだろうかと思う。
凡の記憶の中の車内アナウンスでは、「扉が閉まりまーす。」である。
大阪市営地下鉄では、今も「閉まります。」だ。
しかし、京阪電車では、誰が言い出したか知らないが、若しくは誰かに指摘されたのか、「閉めます。」に変わった。
正確に言うならば、そうかもしれない。
アナウンスする車掌さんが、扉を閉めるボタンを押すのですから。
そういえば、車内アナウンスでは、「閉めます。」だけれど、ホームのアナウンスは、「閉まります。」と、京阪電車で
は徹底している。
何となく窮屈だなって思う。
凡は「閉まります。」に慣れているので、そっちのほうが、しっくりとくるのだけれど。
車内アナウンスと言えば、男の子の誰でもが、一度は物真似をしたことがあるのじゃないだろうか。
鉄道ファンでなくても、あの独特の口調を真似してみたい。
京阪電車で、少し自閉症気味の男の子が、電車に乗っている間中、車内アナウンスをしている場面に何度か遭遇したことがある。
凡も物真似をやってみたいぐらいだから、彼の気持ちがよく解る。
聞くともなしに聞いていた。
淀屋橋から駅に停まるたびに、アナウンスをしてくれる。
その内容はすべて正確だ。
でも、準急は京橋駅を出発すると、守口市駅まで停まらない。
でも、何かアナウンスしたいのである。
その10分足らずの時間が、手持ち無沙汰だ。
そんな彼は、我慢できずにアナウンスした。
「ただ今、関目駅を通過中です。ご注意ください。」
凡は吹き出しそうになった。
電車に乗って駅を通過するのに、どう注意するのだろう。
近くにいた人は、誰か突っ込んでほしかったな。
さて、「扉を閉めまーす。」は、気持ちが悪いけど、意味は正確で分かりやすいので、これでいいとしよう。
でも、どうも気に入らないアナウンスがある。
「次は守口市に止まります。」というものだ。
準急は、京橋駅を出ると、途中の6駅を飛ばして、守口市駅に止まる。
なので、このアナウンスは決して間違いじゃない。
でも、以前は、「京橋駅を出ますと、守口市まで止まりません。」とアナウンスしていた。
凡にはこっちのアナウンスの方が、これまたしっくりとくるのです。
アナウンスというものは、もともと乗客に説明をしたり、注意を促すものであります。
「守口市に止まります。」だったら、「あー、そうなんだ。」って、凡のように座席でウトウトしている人は聞き流してしまうだろう。
「守口市まで止まりません。」だったら、「あ、いけない。気を付けなくちゃ。」ってなる。
関東では、「に止まります。」が主流のようですね。
正確に言うなら、「に止まります。」だろう。
「まで」という言葉は、それを含む。
なので、守口市まで止まりませんというと、守口市も止まらないことになってしまう。
なので、正確ではないということになります。
「まで止まりません。」から「に止まります。」に変わった理由というのは、分かりませんが、先の「扉を閉めます。」から凡が想像するには、同じような誰かの指摘があったのではないかと思う。
正確だけれど、凡にとっては、分かりにくいのであります。
それだったら、いっそ、「次は守口市に止めます。」とするべきではないだろうか。
そんなことを考えていると、電車は門真市駅に停車した。
いや、違った。
運転手は、電車を門真市駅に止めた。

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「そんなん、どっちでもええやん。」(パンダ談)

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