平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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そうだ、ソウルへ行こう!(55)

凡は餃子と他のおかずがあった場合、餃子を一番先に出して欲しいのですが、それ以外にも、食べるスケジュールというものがあります。
凡は家に帰るとき、駅前からミニボンのケータイに電話をいれます。
愛妻家だからです。
と言う事になっているのですが、もうひとつ理由があります。
今日の晩御飯のおかずを聞く為です。
おかずの内容によって食べる段取りをするわけであります。
最初にフライはビールで食べよう。その途中にサラダを挟んで、フライを半分食べた後、菜っ葉に移って、その後焼酎にして、半分残した菜っ葉でご飯を食べようとかね。
いろいろ悩みながら帰ってくる。
そう凡には食べる段取りというものがあるのであります。
しかし、その段取りがミニボンによって覆される日が年に何回かあります。
「今日の晩御飯なに。」
「とんかつ用意してるよ。」
「あ、そうとんかつ食べたかったんや。」
「それから、お造りもある。」
「やった、今日はご馳走やな。」
「あ、それから厚揚げあるから菜っ葉と炊く?」
「炊いてもらう。それ好きやねん。」
というような会話になるのでありますが。
この時点で凡は厚揚げと菜っ葉の炊いたんが一番食べたいのであります。
で、家に帰って食べていると、お造りが出てきて、とんかつが出てきて、これは予定通りです。
ビールを飲みながら「美味しいね。」って言いながら食べるのであります。
でも、いくら待っても厚揚げと菜っ葉の炊いたんは出てきません。
凡には予定というものがあります。
もうそろそろ厚揚げと菜っ葉の炊いたんが出てこないと、お酒のバランスもおかしくなっちゃいます。
それに凡は厚揚げと菜っ葉の炊いたんが一番食べたいのであります。
で、しびれを切らしてミニボンに聞くのであります。
「厚揚げと菜っ葉の炊いたんは。」
「あれ、おかずいっぱいあるから、もういいかなと思って。」
それは、ないよ。
凡は厚揚げと菜っ葉の炊いたんを一番楽しみにして帰って来たのに。
作らないんだったら電話で言わないで欲しいんだ。
言ったら期待するじゃないですか。
ここで、凡が厚揚げと菜っ葉の炊いたんが一番食べたかったのにというと、こう返ってくるのであります。
「作る人が一番えらい!」
それはそうなんですが。
そうだ、ソウルでは一番食べたい物を一番最初に食べよう。

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