平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

創作劇場は、ここをクリックしてください。⇒⇒⇒

散散歩歩。(1404)加齢なる やまひ。

あーだこーだ

エアコンを消した部屋で、凡はメジャーで距離を測る。

敢えて、部屋の電気を消したのは、自分との闘いであることを、凡の魂に刻み込むためだ。

顎の下から、汗がポタリポタリと、床に落ちていく。

「あ、あと、10センチ。」

凡は、目をつぶって、解決策を模索していた。

息が上がって来るのは、締め切った部屋のオーツーが減っているのだろう。

おお、申し訳ない。

つい専門用語が出てしまった。

オーツーとは、一般人のあなたたちが遣う言葉で言うと、酸素のことである。

「ああ、こんな話をしている間にも、距離が5センチになってしまったではないか。」

凡は、焦って、シャドーボクシングをし始める。

これが自分との闘いであることを、再び魂に刻むためだ。

頭の中では、ロッキーのテーマソングが流れている。

「しまった。またまた、こんなことをしている間に、距離が縮まっている。あと、3センチ、、、あと、2センチ、あと、1センチ、、、、、完全に2つの線が、1つに繋がった。」

、、、、南無阿弥陀仏。

チーン。

昔、子供のころに、帯状疱疹という病気があって、胸とかお腹に、できものが出来て、そのできものが線状に伸びて行って、身体を1周して、線と線が、両側から伸びてきて、1本の線に繋がったら死ぬということを言わなかっただろうか。

あの噂の真偽は、一体、どうだったんだろう。

というか、現在形で、どうなのだろうと、その事実を知りたい。

何故そんなことを言うのかと言うと、凡は、今、帯状疱疹の治療中なのでございます。

10日ほど前の事だっただろうか、お昼の休憩をしていて、それまで、何の症状も無かったのですが、椅子から立った瞬間に、胸がズキンと痛み出したのだ。

その痛みは、結構な強さで、胸の中から、ズキーンと神経を締め付けるような痛みだ。

とはいうものの、こういうこともあるだろうと考えていた。

何かの拍子で、ちょっと身体のバランスが壊れて、偏っているために神経の痛みが出て来た。

なので、少しの時間、放っておいたら、またバランスが戻って、治るんじゃないかと思っていたのです。

でも、痛みは、一向に治まらない。

仕事が終わって家に帰っても、かなりの痛みが続く。

流石に、痛み止めを飲んで、大人しくしていたが、翌日になっても、朝起きた瞬間から痛いのである。

んでもって、あっち向いても、こっち向いても、痛い。

ひょっとして、骨が折れたのかなと、肋骨を触ってみても、痛くない。

考えられるのは、胸の中の異常か、男だけれど乳がんか、考えている間に、大動脈解離なんて病名も浮かび上がってくる。

でも、仕事なので、ロキソニンを飲んで、ただ、我慢をしながら様子を見ていた。

それでも痛いので、3日後ぐらいの休みの日に、病院に行ってみたのだ。

近所の病院もあるけれど、もう少し専門的に見て欲しい気もする。

とはいうものの、大病院では、待ち時間も相当なものになるだろうし。

ということで、家から歩ける距離の、ちょっと大きめの個人病院に行くことにした。

、、、と、いきさつを、だらだらと書いておりますが、今の病院の診察事情というか、こんな風になっているんだという驚きも交えてのレポートを書きたいと思っております。

すると、まず受付をしたのですが、問診は、自分のスマホでQRコードを読み込んで、そこの画面で、症状などを入力するようになっている。

こんな時代に突入しているんですね。

ご高齢の方などは、出来るのだろうか。

凡も、悩みながら入力完了。

すると、先に、心電図を取ると言う。

まあ、これは無事終了。

しばらくして、凡が、先生に呼ばれた。

院長先生では無くて、結構、若い先生だ。

30才ぐらいだろうか。

そして、胸が痛いことを告げると、心臓のエコ―と、胸のCTを撮りましょうということになった。

やっぱり、ちょっと大きめの病院に来てよかったと思った。

CTとか、撮って欲しいなと思っていたんですよね。

結構、痛いので、ちょっと心配だったものだから、その検査は、やってみたかった検査だ。

そして、血液検査。

すると、はい、もう帰って良いというのだ。

また、検査の結果を聞きに来てくださいというのだが、これで良いのだろうかと、どうにも中途半端な気持ちだ。

だって、胸が痛いと言うのに、胸を見ることもしない。

詰まり、凡の外観とか、そんなものは、先生にとっては、不必要な要素なのだ。

検査をして、その結果がすべて。

とはいうものの、先生がそう言うのだから、帰るしかない。

痛み止めのロキソニンを貰って、家に帰った。

その日は、土曜日だったので、次の火曜日のお休みの日に、結果を聞きに行く。

先生は、パソコンの画面を見ている。

んでもって、説明が始まった。

まずは、心臓は、右だか、左だか、片方が大きくなっているらしい。

また、上行大動脈が、太くなってきているという。

なるほど。

それで、CTは、肺の上の方が、少し潰れているという。

タバコを呑む人に多い症状らしいが、凡は、タバコは吸わない。

そんな検査から見て取れる状況を説明してくれる。

そして、肝心の胸の痛みだ。

心臓も、肺も、骨も、また、乳がんでもないという。

胸の痛みの症状の原因になるような、大きな病気は無いという。

「それで、、、。」

「、、、、、、、、、、、、、、。」

「ということは、表面的なものでしょうか。」

「そうかもしれません。、、、、、、、、、、。」

先生からの、だから、どうだという言葉がありません。

「あの、、、、、。」

「考えられる検査はしましたが、原因は、分かりません。これ以上、何かをするということは、考えられません。」

「ということは、様子見ということでしょうか。」

「そうですね。」

「でも、痛いんです、、、よね。」

「痛み止めを出しておきます。」

というような会話がありまして、取り敢えず、痛み止めを貰って病院を出た。

始めの時はロキソニンだったが、今、ロキソニンが不足しているというので、痛み止めは、アセトアミノフェンに変わっていた。

それにしても、こんなことがあるだろうか。

暑い中、家に帰る途中に、先生との会話を思い出す。

いやいや、表面的なものかもしれませんという話が出たのなら、1度ぐらい、凡の胸を目視で観察するぐらいをしても良かったのじゃないだろうか。

というか、パソコンの凡のデータだけしか見ないのは、それは最近のやり方なのだろうか。

凡の顔さえ見ていないかもしれない。

仕方がない、取り敢えずは、家に帰ろう。

ただ、この病院に行って、心臓や肺に、命に係わるぐらいの不具合があった訳じゃないことだけは分かったので、そこは、行って良かったと思いながら帰った。

そして、肺が、少し潰れていることや、大動脈が太くなっていることなども、知ることが出来て、これもまた良かった。

良かったのではあるが、凡の悩みの胸の痛みは、まったくもって、良くはなっていない。

さて、どうしましょう。

とはいうものの、お医者さんに、もうこれ以上、することはありません、と言われてるので、どうしようもない。

ただ、痛み止めを飲んで、様子を見るしかないか。

家に帰って、ミニボンに、そんな話をしたら、ちょっと見せてみろと言う。

なので、胸を見せたら、湿疹が出来ていた。

小さな湿疹が右の乳首の周りに3つほど。

すると、言ったのである。

「これ、帯状疱疹と違う?そうやわ、絶対に帯状疱疹やわ。知らんけど。」

そう言えば、そういう気もしてきた。

「良かったー。帯状疱疹で。」とミニボンは喜んでいるようだ。

というか、嬉しがっているようである。

兎に角、重篤な病気ではないことが嬉しかったのだろう。

とはいうものの、ミニボンの診察は、素人の診察であるからして、これは病院に行って確かめなきゃいけない。

そう思うと、さっきの病院で、一瞬でも凡の胸を観察していれば、診断が出来たのではないだろうか。

そう思うと、腹立たしい。

なんてことを言ってますが、まだ、帯状疱疹と医者に診断されたわけじゃない。

その日は、もう遅かったので、2日後の月曜日に、2つ隣の駅のひふ科に行った。

仕事が遅番だったので、朝一番に行って、それから出勤という予定だ。

予め、問診に、帯状疱疹ではないかと思ってと、そう書いてみた。

そして、いよいよ診察。

診察室に入ると、若い綺麗な女医さんである。

よし、この病院にして良かった。

んでもって、いきさつを説明すると、それじゃ、見せてくださいと言う。

凡が、上着を持ち上げて胸を出したら、一瞬、2秒ぐらいだろうか、見せた瞬間、「はい、そうです。」と言った。

帯状疱疹だったのだ。

というか、そんな2秒で解るものなのか。

普通の出来物ってこともあるだろう。

にきび見たいなやつ。

普通の湿疹なのか、帯状疱疹の湿疹なのか、それで解るのだろうかと。

凡のお医者さんのイメージなら、「はい、ちょっと触ってみますね。」とかね、もっとよく見るだろう。

本当に、患者を思う医者なら、きっと、触診もする筈である。

「はい。湿疹ができてますねー。じゃ、ちょっと見てみますね。」

と、綺麗な女医の先生が、凡の乳首の湿疹を、押さえてみたりするよ。

だって、普通の湿疹かどうか、見極めなきゃいけないからね。

「あ、ちょっと、痛いです。」

「そうですか。じゃ、これはどうですか。」

と、綺麗な若い女医さんが、今日の朝に塗り直した妙に赤いマニキュアの細い指先で、凡の乳首あたりを、コチョコチョとくすぐる。

「きゃん。先生、くすぐったいです。」

「そうですか。くすぐったいのと、痒いのと、どっちですか。」

「いや、くすぐったいです。」

「そうだ、くすぐったいっていうのは、こういうことなんですよ。はい。腕を上げてみてください。」

凡は、言われるままに、腕を上げる。

すると、綺麗な若い女医さんが、凡の脇の下を、これまた、細い指で、コチョコチョってやるのだ。

「きゃー。先生。くすぐったいですって。」

「うん。ちゃんと、くすぐったいっていう感覚を知っているのね。それを確かめたかっただけよ。ということは、乳首の周りの湿疹も、痒いのじゃなくて、くすぐったいのね。」

「いや、くすぐったいのは、先生が、コチョコチョするからです。」

「やっぱり。それじゃ、診断をお伝えしますね。帯状疱疹です。」

「帯状疱疹。でも、くすぐったい検査ですね。初めての検査でした。」

「ああ、コチョコチョの話?ああ、あれは、オプションのサービスよ。帯状疱疹なのは、見て2秒で分かったわ。でも、何か、物足りなさそうな顔してたので、オプションをお付けしましたの。あ、オプションは、自由診療となりますので、胸のコチョコチョが、1000円で、脇の下の小コチョコチョは、2000円ですのでね。合計、3000円、頂きますね。」

「コチョコチョが、3000円ですか、、、。」

「ええ、結構、マニアの人の人気メニューなんですよ。」

と、これまた、アホな妄想が、始まってしまいましたが、そんなオプションがあるなら、また、来週、来てしまうかもしれないと思ってしまったのは、余程のスケベなのでありましょうか。

えーっと、何の話でしたっけ。

そうそう、ひふ科で、帯状疱疹と診断されたという話でした。

ということで、1週間飲む、ウイルスを抑える薬の「アメリナーフ錠200mg」と、痛み止めのロキソニン、胃薬のレバミピド錠、それに、リンデロン軟膏を処方してもらった。

んでもって、その処方を1週間服用しての今日である。

経過観察で、3日後に診察に行って、それでもって、処方を飲み切った1週間後の今日という訳だ。

先生の話によると、治療としては、薬を飲み切ったので、これで終わり。

後、痛みが残ってるのは、痛み止めを飲んで、その後、様子を見て、何も無ければ、終わりということらしい。

そうか、若い女医さんとの出会いも、今日で終わりなのか、、、。

なんてね、こんな時のために、凡は、秘策を用意していたのである。

実は、待合室で待っている時に、貼り紙をしてあるのを見つけたのだ。

そこに、「ニンニク注射」と書かれているではありませんか。

そう言えば、テレビで聞いたことがある名前である。

疲れた時に、打つと元気がでるそうだ。

ちょうど、今、凡は、帯状疱疹である。

原因としては、疲れているとか、ストレスとか、或いは、加齢だそうだ。

凡の場合は、加齢が原因ということだろう。

寂しいかな、もう年であるからして、発症したのだろう。

とはいうものの、疲れてもいるのではないだろうか。

ということは、ニンニク注射をしても、これは理屈が合う話である。

「先生、さっき、待合室で見たのですが、ニンニク注射っていうのは、どうですか。」

と、先生に聞いたみた。

すると、打ちますか?というので、これまた、鼻の下を伸ばして、売ってもらうことにした。

ニンニク注射にも、いくつかメニューがあって、まず、注射と、点滴があって、点滴は2倍の量が入っているそうです。あと、ビタミンCが入っている物と、プラセンタが入っている物とがあって、プラセンタの点滴は、6000円と、結構なお値段。

凡が、打ちますと言って、先生が用意したのは、1番安い2500円の注射だった。

人生初のニンニク注射。

注射の液が入り始めると、先生が言うように、血管に入ったビタミンBの匂いが、口から匂ってくる。

もう成分が身体を巡っているんですね。

話をお聞きしたら、プラセンタの点滴は、二日酔いにも効くそうです。

ということで、また、綺麗な若い女医さんに会う理由を見つけて、再度来訪のチャンスを残して、病院を後にした凡でありました。

コメント

  1. yukemuri より:

    凡蔵さん、帯状疱疹は皮膚科です
    自分も20数年前に発症したのですが、同じように初めに行った大きな病院では原因は分からずじまいでした
    その後内科でダメ、今度は眼科に行ったけどダメ
    最後に花粉症の薬をもらっている皮膚科に行ったら一瞬で帯状疱疹と診断され、ビタミン剤のような薬を処方してもらい飲んだらみるみる良くなりました
    帯状疱疹は体のどちらか半分だけに異常が出たと思いますが、万が一神経に残ると痛みがなかなか取れなかったりするそうです
    その時はまたキレイな女医さんのところに行ってくださいね(笑)

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    yukemuriさんも、帯状疱疹になられたんですね。
    んでもって、大きな病院、内科、眼科と行って、最後に皮膚科で、一瞬で診断が下りたというのは、ある意味、きょうみぶかいできごとですね。
    大きな病院なら、大体このとは解るんじゃないかと思うのは、素人なんでしょうかね。
    わたしも、つい、大きな病院の方が、良い病院だというイメージを持ってしまいます。
    それに、内科も、眼科も、解らないというのは、病人の方で、ある程度の見当をつけて病院を選ばないといけないということですよね。
    そういう意味では、そういう知識も普段から知っておかなきゃですね。
    あれから、結構日にちが立つのですが、まだ、痛みがあって、これが後遺症ということかなと思っています。
    始めの時みたいに、メチャ痛いと言う事はないのですが、それでも、痛いと気になります。
    というか、テンション下がりますよね。
    また、綺麗な女医さんのところに行こうかな。
    でも、治療が終わったということで、痛み止めを処方してくれるだけのような気がします。

タイトルとURLをコピーしました