平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩(1087)北海道・釧網本線の旅。(3)網走の夜。

10月21日(木曜日)。
網走のホテルにチェックインをして、それから、モロヨ貝塚館を見学に行った。
さて、これからなのだけれど、網走の海を見たい気がする。
網走川の向こうを見ると、海に白い波が荒い。
それに、道の駅も見てみたい気がする。
とはいうものの、雨が降っているし、海に向かって歩き出したのではあるが、歩き出すと、歩くには、ちと遠い気がした。
なので、繁華街の下見をしようと思った。
ホテルの裏側あたりが、賑やかな場所らしい。
ということで、そっちに向かって歩き出したが、繁華街らしき景色は見えない。
どこだ。
どこに繁華街がある。
と、見逃してはならぬと、街を縦横と十字を切るように歩いて行くと、商店街にたどり着いた。
或いは、この辺りが繁華街かとも思われる。
とはいうものの、誰もいない。
そして、お店は閉まっている。
4時過ぎという時間もあるのかもしれないが、果たして、5時になったらお店はオープンするのだろうか。
IMG_8739.JPG(商店街。このあたりを横道に逸れたら繁華街のようである)
という不安を抱きながらも、縦横と歩き回った。
雨の降る中、傘を差してね。
いつもなら、1時間ぐらい歩き回るのだけれど、今日は、少しばかり疲れた。
どこかの店に入りたいなと思う。
それで、ネットなども見ながら行きついたのが、「喜八」さんだ。
16時からやっていることが決め手だ。
入ると客は凡ひとりで、カウンターに座る。
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斜め前のショウケースには、地元の魚だろうか、自慢げに並んでいる。
メニューを見ると、種類は豊富で、どれにしようかと迷ってしまう。
とりあえず、ビールなのだが、SORACHIというビールがあったので、それを注文。
このSORACHIなのだが、香も良くて、すこぶる美味しかったです。
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さて、料理は、どれにしようかとお姉さんに相談をしたら、落葉きのこというのが、今の時期だというので、まずは、それを注文。
それに、網走ザンギというオホーツクサーモンの唐揚げ、それに、網走産カラスハモの照り焼きを頼んだ。
このカラスハモというのは、穴子の仲間らしいです。
どれも、大阪では食べたことのない料理である。
そして、改めてメニューを見ると、総じて、値段線は高めのようだ。
しかし、それにしても、どうして、凡は、居酒屋に入ると、こんなにも料理の値段が気になるのだろうと思う。
出来るだけ安くしたいという気持ちの表れなのだろうと、凡自身を分析するのだけれども、一体に、居酒屋などに入ったら、当然の如くビールを注文する訳で、もちろん、ビールにも値段の幅があるよ。
350円ぐらいで生ビールを提供する店もあるし、800円ぐらいで小さめのグラスで提供する店もある。
ここで、500円を平均とすると、それだけでも、4杯ぐらい頼めば2000円になる勘定である。
それを考えたら、料理がたとえ700円でも、ある意味、まっとうな金額というものだ。
簡単に淹れられるビールよりも、料理の方が高い理屈ではあるからだ。
詰まりは、居酒屋に入ると決めたなら、ある程度の金額は覚悟しなきゃいけないということなのである。
それを、店に入ってから、メニューとニラメッコして、あーだ、こーだと考えるのは、そして、頭の中の算盤で、パチパチパチと金額を計算するのは、ちと、恥ずかしいことなのかもしれない。
とはいうものの、そこは凡なのであるから、どうしてもしてしまうのであります。
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さて、落葉きのこは、これはお酒のアテには、もってこいの一品だ。
それに、キノコというのは、凡にとっては、特別な素材なのである。
凡は、キノコは、大好きだ。
なのだけれど、家でキノコが食卓に上がることはない。
何故なら、ミニボンが、キノコが大嫌いだからだ。
食べるのが嫌いなら解るけれども、キノコの存在そのものが耐えられないようで、テレビでキノコが映ったら、チャンネルを変えるぐらいなんだよね。
なので、凡がキノコを食べられるのは、こうやって、ひとり旅で、晩御飯を食べる時に限られるのである。
なので、今回の、落葉きのこも、有り難く頂いたのであります。
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網走ザンギは、これはもう、揚げ物だしね。
揚げ物は、まずもって、どの店で食べても、ほぼ美味いものである。。
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それと、カラスハモの照り焼き。
これは、何か得体のしれない黒い皮の、薄っぺらい、魚というか、穴子なのだけれど、その黒い皮がパリパリに焼いてあって、それにタレも濃いめで、美味しかったです。
このころになると、お客も増えてきて、カウンターも満席になって、個室の小上がりも予約客で埋まり始めて来た。
凡は、網走ドラフト、800円に変更。
ブルー色のビールは、爽やかなのだが、照明の具合で、ややブルーが暗くみえるのは、残念。
さて、これで凡の注文した料理は、全部サーブされた。
ここで、迷っていることがある。
本日のオススメのメニューの中に、「釣りキンキ湯煮」というのがあるからだ。
そういえば、ケンミンショウかなにかで、見たような気もするのだが、キンキを湯で煮て、それをウスターソースで食べるのだそうだ。
魚をウスターソースで食べるなんてことは、普段は、決してやらないだろう。
でも、この料理は、地元の漁師の賄いがルーツになって、名物のひとつでもあるそうなのだ。
これは、気になってしまう。
これは、ここでしか食べられないだろう。
大阪で、こんな料理を提供する店は知らない。
それに、キンキなんて高級な魚は、我が家では買わないだろうし、それを、煮て、ウスターソースで食べるなんて言ったら、ミニボンが、作ってはくれなくなるだろう。
なので、凡の気持ちとしては、この料理を食べたいのである。
ただ、問題は、その値段だ。
2728円なり。
居酒屋に入って、1品が2728円の料理を注文するなんてことは、したことがない。
いくら、居酒屋に入ったら、メニューの値段を気にするなと言っても、2728円は、気にしないではいられないだろう。
凡は、メニューを見ながら、必死で考えていた。
例えば、これから、700円のメニューを2品頼んだとする。
それで、ビールを3杯飲んだとする。
そしたら、2900円になるじゃない。
それなら、キンキの湯煮を頼むのと同じことになる。
しかも、700円のメニューなら、きっと大阪でも食べることが出来る料理に違いない。
ふと、横のサラリーマンを見ると、刺身を食べている。
5種類の刺身が2切れずつ乗っているが、メニューで確認するなら、あれは、たぶん、1500円だろう。
あの内容の刺身で、1500円なら、珍しいキンキの湯煮に、2728円なら、この店にしてみれば良心的な値段設定なのかもしれない。
或いは、若い女子の客が店に入ってきて、凡の隣に座るというシチュエーションになったときに、「このSORACHIっていうビール、美味しいのかなあ。」なんて、白のニットのワンピースで、サラサラロングヘアーの女の子が、片えくぼを凡の方にみせながら、呟いたら、どうよ。
「あ、それ美味しいよ。あ、お姉さん、この人に、SARACHIを1杯差し上げてください。」なんて事を、鼻の下を伸ばしながら言ってしまうかもしれない。
んでもって、「あー、ホント、美味しい。」なんてことになって、「あ、流氷ドラフトもあるんだ。」みたいな流れになって、実は、その時に、彼女は、失恋をして、ひとり旅をしているなんてことを知ってしまったら、「お姉さん、すいません。流氷ドラフトを、彼女と凡に1杯ずつね。」なんて追加してしまうだろう。
もし仮に、SORACHIと流氷ビールを、凡と彼女で2杯ずつ飲んだら、それだけで、この店の値段設定なら、2964円だ。
細かく計算するとね。
詰まりは、この後に、もし可愛い女の子がやってきて、その子に、鼻の下を伸ばしながら、ビールを2杯奢っただけでも、キンキの湯煮の金額を越えてしまうと言う事だ。
幸いに、今この時点で、可愛い女の子が、凡の隣に座る予定はない。
予定はないどころか、気配も無いし、予感も無いし、何も無いのである。
それなら、キンキの湯煮を頼んだって、2728円は、勿体なくはないはずだ。
或いは、こんなことも考えられる、、、と、凡は、キンキの湯煮を食べても、それは自然な行為なんだよという理由を、いくつも考え考え、やっと、キンキの湯煮を注文する決心を付けたのであります。
そうだ、このキンキの湯煮を注文したら、もう料理はストップしよう。
お店に入って、これはちょっと高くつきそうだなあと思った時。
凡は、お酒を飲みながらも、悩みだす。
どうしようかと、すぐに店を出ようかと考えてしまう。
ちょっと、椅子からお尻が浮いた感じになって、半座りというか、どっしりと落ち着いて構えてられなくなるのだ。
でも、場合によっては、「諦めよう。」と思う店がある。
そんな店は、スタッフが優しくしてくれたり、料理が美味しかったり、或いは、客の質というか、来ている客も素敵な人が多かったり、そんな店であることが多い。
ちょっと高くつきそうだけれど、もう諦めて、楽しもうと思うのである。
どうにでもなれと。
それは、何故か、その場にいたいと思わせるお店ということなのだろう。
今回のお店も、スタッフも良いし、料理も美味しいのだけれど、諦めて、この店で最後まで、ゆっくりしようとは思えずにいたのである。
この違いは何なんだろうと思うのだけれど、分からない。
兎に角、これを食べたら帰ろうと思った。
ということで、キンキの湯煮である。
注文をすると、カウンター前の冷ケースから、1匹取り上げて、奥の厨房へ持って行った。
お酒は、熱燗を頼む。
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さて、意を決して頼んだキンキの湯煮は、まったく違和感もなく、大変美味しい料理でありました。
キンキは、湯で煮てるから、或いは、ウスターソースに合うのかもしれない。
それと、キンキの身が、脂がのっていて、かつ淡白なので、合うのかもしれない。
とにかく、美味しかったです。
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最後に、から酒というものを注文。720円。
これは、熱燗を注文した時に、お姉さんが、から酒というのがあるけれども、どうかと聞いたので、まずは、熱燗を飲んでからと答えたので、やっぱり、約束通り注文しなきゃと頼んだのであります。
から酒とは、蟹の脚の殻を、日本酒に入れて燗を付けたもので、所謂、ひれ酒の蟹バージョンである。
さて、蟹のから酒なのであるが、ひとくち口に含んだときに、やっぱり注文しなきゃよかったと思った。
これは凡の感覚だけれど、カルキ臭いのである。
蟹の殻だから、香ばしさもなくはないが、ひれ酒のような、旨味を感じる香ばしさじゃない。
やっぱり、凡には、蟹の殻の酒が、カルキ臭く感じてしまう。
それに、蟹の殻って、どう考えたって、嫌だ。
誰かが食べた後の殻じゃないとは思うけれどさ、どんな殻なのだろうと思っちゃうよね。
まさか、脂ぎった中年のオッサンが、汗をたらたら流しながら、シーハーシーハーって言わせながら、身を啜った後の殻じゃないよね。
それに、殻って、貧乏くさいじゃない。
どうせなら、蟹の脚をむいてさ、それを1本軽く炙って、熱燗にいれたらどうなのよ。
きっと、そっちの方が美味しいだろうし、蟹の香のお酒も飲めて、日本酒で火の通った蟹の身も味わえる。
使ったあとの殻の入った酒なんて、リサイクルにも程があるよ。
しかも、カルキ臭いし。
ということで、から酒を飲み干してから店を出た。
会計をしたら、8461円だった。
さて、店を出たけれども、まだ時間が早い。
それに、もう1軒ハシゴをしたい気分だ。
ということで、ラーメン屋に入ることにした。
「だるまや」さん。
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この店は、北海道ではチェーン店なのだろうか。
この辺りでは、人気店のようである。
メニューを見て、取り敢えず、名物のドロラーメンを食べようと思う。
そのドロラーメンが、800円だ。
ただ、それに210円をプラスすると、唐揚げやメンチカツなどが付いた定食にできるという。
そう言われれば、しちゃうよね、定食に。
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ということで、ドロラーメンのメンチカツ定食を注文。
それに、ビールを注文したいのだけれど、サッポロクラシックの生大を注文しようとしたら、唐揚げが2個付いてくると言う。
でも、定食でメンチカツを付けたので、唐揚げは、ちょっと多い。
なので、唐揚げの付いてない生大はないのかと聞いたら、無いと言う。
なので、生中を頼んだ。
だって、ラーメン、メンチカツ、唐揚げとなると、食べ過ぎだもんね。
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さて、ドロラーメンである。
こってりとしたスープは、甘口の醤油味で、まったりとした油の感じが、堪らない。
麺は、縮れ麺なのだが、茹ですぎなのか、長さが短くプツリと切れていて、かつ、柔らかい。
ただ、凡は、長い麺を啜り込むのが苦手なので、短い麺は好都合だ。
それに、プリプリした麺よりも、柔らかい麺の方が好きなのである。
ということで、このお店は、なかなか良かったです。
スープが美味しくて、しかも、鉢にたっぷり注いであるのである。
これは、スープ好きな凡には、嬉しい。
それに、そのスープの味が、クセになる味なのだ。
これ重要だよね。
ということで、満足して店を出る。
そろそろ、ホテルに帰ろう。
このころになると、繁華街と言われるひっそりとしたエリアも、お店がオープンし始めて、ちょっと楽しい雰囲気が出て来た。
本当なら、これから、もう1軒行きたいところだけれど、お腹いっぱいである。
ホテルに戻ったのは、19時30分ごろ。
まだまだ、早い時間だね。
すぐに寝ようとするも、ちょっとウトウトしたら、目が覚めるということを繰り返していた。
空調は、暑いのだけれど、調節は出来なくて、汗ばむほどである。
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しかし、ベッドに横になりながら、今日1日を振り返って、飛行機にも乗り、女満別にも行き、網走では博物館に行って、夜は、名物のキンキの湯煮を頂いた。
1日とは思えない満足感を感じていた。

コメント

  1. yukemuri より:

    網走の居酒屋で一杯飲るなんて、まさに旅ならではですね
    落ち葉キノコですか?
    かなりヌルヌルしてそうですが、見るからに美味しそうですね
    自分もキノコはどれも好きなので食べてみたいです
    サーモンのから揚げもビールに合いそうですね
    最初のビールもけっこう大きくて好感持てますが、全体的にお値段高めと言う事なので若干微妙ですよね
    キンキの湯煮ってのは知りませんでした
    しかもソースで食べるとはビックリです
    カニの殻が入った熱燗もう~んって感じです
    次の店のラーメンのセットはかなりお得ですね
    さすがの凡蔵さんもから揚げ付きの生大はパスされたんようですね
    ラーメンのスープはドロドロ系なんですか?
    スープタップリも嬉しいですね!

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    最初のお店は、良かったですよ。
    ただ、微妙に値段が高めかな。
    そうそう、魚をウスターソースで食べるなんて、
    想像も出来なかったですが、美味しかったです。
    魚の種類にもよるでしょうね。
    これは、食べて良かったです。
    んでもって、ラーメン屋ですが、
    ビールに唐揚げがセットになっているなんて、これは普通なら嬉しいですよね。
    ただ、2軒目だったんで、ビールだけにしました。
    スープは、コッテリ系に属するとは思うのですが、名前みたいに、ドロドロではなかったです。
    甘さもあって、癖になる味でしたよ。
    ただ、麺は、湯で具合が微妙で、私の好みではありましたけど、
    人によっては、低評価になるかもしれません。
    兎に角、スープがたっぷりなのが、気に入りました。

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