平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(467)アイラブユー・ほたえてくれ!みゆきさーん。(154)

12月15日。
凡は夜会を見るために東京へ向かう。
16日が千秋楽だから、凡にとって今年みゆきさんを見ることのできる最後の日である。
伊丹空港で朝食を取って旅をしている雰囲気を味わったら、機内に乗り込む。

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10時発のANA20便。
席は非常口のあるスチュワーデスさんの前の席の通路側だ。
そして、凡の右隣には男性が座っていた。
席に座ると、男性の腕が凡の腕に当たる。
これが嫌なんです。
たとえエコノミーであっても、もう少しばかり席を広くできないものかと思う。
飛んでいる間、ずっと男性の腕が当たっていて、その感触を嫌でも味わいながら座っていなきゃいけない。
苦痛だ。
こんな時に、凡がホモであったなら、男性が好きな男性であったなら、どんなに気が楽だろうかと思う
どんな男性かにもよるだろうけれど、むしろ嬉しいに違いない。
男性の腕が凡の腕に当たりますわな。
すると、凡は味わうように男性の腕に、凡の腕をさらに密着させるよ。
そして、少し腕を密着させながら位置をずらす。
この摩擦によって腕の皮膚感覚が鋭敏になる。
そして、ほんのり香る男性の加齢臭にウットリとするんだ。
凡は離陸したら寝たふりをするだろう。
そして、男性の方に寄り添うように頭を預ける。
「あ、ごめんんさい。」
口に手を当てて、びっくりしたような表情で謝る振りをしなきゃいけないよ、ここではね。
これで、男性に凡がちょっとそっちの方に興味があることが伝わるんだ。
あとはもう、成り行きにまかせちゃうのよ。
もし、凡がそっちの人だったら、この社会のいたるところがパラダイスになっちゃうよね。
満員電車とか露天風呂とか。
でも、悲しいかな凡は女性が好きだ。
こんな場面では、苦痛でしかない。
しかし、凡の座っている通路側というのは、スチュワーデスさんが通る時に、通路が狭いものだから、スチュワーデスさんのお尻とかが凡の肩に意図せず当たる時もある。
これは、嬉しい。
いわば、勝手に起こった偶然だけれど、天国だろう。
そして、今凡の右側は、苦痛だ。
いわば、地獄だ。
天国と地獄。
その間に凡は、身動きもせず座っている。
天国と地獄の間。
人間界。
欲望に凝り固まった凡の座る場所としてはぴったりなのかもしれない。
そんな空間に身を置いて、着陸の時が来た。
スチュワーデスさんが凡の前に座る。
こんな場合、凡とスチュワーデスさんは、向かい合うことになって、視線のやり場にこまる。
それはスチュワーデスさんも同じようで、凡の前に座った女性は、何となくずっと上を向いていた。
すると、どうだ。
上を見ると、黒目は上に上がるから、黒目の下と左右の部分が白目になる。
白い。
普通は白目って言ったって、真っ白な白じゃない。
黄色かかっていたり、赤く充血していたり。
でも、目の前にいるスチュワーデスさんの白目は、真っ白なんだ。
今まで凡はこんなに白い白目を見たことは経験がない。
みゆきさんは別格としてね。
やや目の前の白目に見とれていると、飛行機は羽田に着陸した。
でも、これは何かの予兆だろうか。
まさか、みゆきさんと向かい合って座ることがあるのだろうか。
なんて、少し嬉しい想像をしてみる。
さて、東京に着いたら、まずホテルまで荷物を預けに行こう。
今回のホテルは、大井町にあるアワーズイン阪急シングル館だ。

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ホテルは、JRの駅前にあって、阪急大井町ガーデンという飲食店やスーパーの入った商業施設と一体になった形で、シングル館とツイン館が高くそびえ立っている。
羽田からも空港のリムジンで直通なので、申し分ない立地条件だ。
荷物を預けたら、お昼ご飯を食べよう。
食べたことのないお店に入ろうと思っていたのですが、1週間前に行った、駅前の牛八さんに入ってしまう。
今回は、スペシャルを注文。
牛丼と豚のスタミナ炒めとカレーを1皿に盛ってあって、味噌汁が付いて、1000円。

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さて、これからどうしようかということなのだけれど、今回も何も予定はない。
JRの駅の路線図を見ながら、どこにしようかと迷うのだけれど、何も知らないから答えがでない。
とりあえず、電車に乗り込んだ。
そして、神田の駅に着いた時に、ここで降りようと急に思い立った。
神田の古本街を散歩してみようかなと思ったのだ。
それで、神田で降りては見たものの、古本屋街がどこにあるのか解らない。
駅の案内図でも神保町は探すことができなかった。
しかたなく、秋葉原の方角に向かって歩いた。
とはいうものの、秋葉原はいいですね。
東京ラジオデパートなどを、ぶらぶら見ながら歩いていると、チェックインの時間が過ぎていたので、一旦ホテルにチェックインをしに戻ることにした。

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(こんなチップのカラポンがあるのも秋葉原ならでは。)
今回のアワーズイン阪急も初めて利用する。
15時前。
チェックインをして部屋に入ると、これはいいと思った。
内装も綺麗だし、広さも十分だ。

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(25階だったので、ちょっと怖い)
そして、バスタブがなくて、シャワーブースが設置されている。
これは、気に入りました。

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バスタブがあっても、実際にはお湯をためて入ることは、ほとんどないし、シャワーをするのにしたって、あのシャワーカーテンが身体にペトペト引っ付いちゃったりして、「キャー。」なんて、悲鳴を上げながらシャワーをするのがいつもだ。
ここはシャワーブースになっているから、床も平らで滑ることもないし、正方形だから体の周りのスペースも、シャワーをするのには十分な広さがある。
この内容で、東京の素泊まり1泊で、税込5700円は大満足といえる。
それに、ホテルの指定した飲食店では、お得な夕食なども用意されているので、女性の方も安心して泊まることができるのじゃないだろうか。
ただ、歯ブラシや髭剃りなどのアメニティは置いてない。
フロントで各100円で購入した。
とはいうものの、なかなかコストパフォーマンスも良いし、立地も良いし、次もここに泊まってみようかなと思う。
今までは、渋谷東武ホテルに泊まっていた。
みゆきさんが若い頃に定宿にしていたという噂なのか情報を聞いたからだ。
そんなホテルに泊まるのは楽しいし、渋谷も好きだ。
でも、それは考えてみれば過去の話である。
今のみゆきさんとは全く関係が無い。
そうなんだ、凡は、今の、そしてこれからのみゆきさんとの繋がりを大切にしていくべきなんだ。
ホテルという、ただの施設でも、みゆきさんに対する凡へのメッセージが暗示されていることに気が付いた。
普通に考えたら、勝手な妄想なのかもしれませんが。
さて、チェックインを済ませたので、夜会を見る用意をしてホテルを出た。

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