平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
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散散歩歩。(383)アイラブユー・ほたえてくれ!みゆきさーん。(102)

中島みゆきさんの夜会工場に行ってきました。
それにしても、チケットを取るのに苦労しましたね。
その苦労については置いときまして、11月の25日と26日に行われた夜会のお話でございます。
随分と遅い書き出しではあります。
何しろ年末は、忙しくてヘトヘト状態なのでありまして、やっと休みに書き始めたという次第であります。
さて、出発の前日も帰宅すると12時。
ミニボンが着替えをキャリーに用意していてくれた。
お風呂へ入って晩御飯を食べて、双眼鏡やカメラの用意をしたら、あまり寝る時間がなくなってしまった。
当日はゆっくり出発といきたかったのですが、病院にもいかなきゃいけません。
最近、めまいがするのです。
さて、薬を貰って、ガラクタ同然のポンコツ車の身体を奮い立たせて、いざ東京へ出発です。
お昼頃の新幹線に乗り込む。
滑るように走り出すと、おもむろにテーブルを倒して駅弁を広げた。

画像

「特製幕の内御膳」1300円
それにプレミアムモルツの350ミリ缶。300円
何しろ今日は、みゆきさんに会える特別な日。
駅弁も特別が雰囲気である。
それに凡はこの幕の内というのが好きだ。
駅弁の基本であり、煮物、焼き物、揚げ物、そして海の幸、山の幸、里のものが、見た目も綺麗に盛り付けられている。
凡は、これを食べる時は、先におかずでビールを飲んでから、酢の物と香の物でご飯を食べるのが好きだ。
木のヘギの香りの移ったご飯は最高に美味い。
なのでありますが、今風の幕の内は、開けた途端に少しガッカリすることが多い。
どの弁当も工夫をして作られているとは思うのですが、旅の楽しさを表現出来ていないような気がする。
コンビニの弁当みたい。
それにやっぱり木のヘギでなきゃね。
あのウレタンの弁当箱は、どうも手作り感がなくて、旅のウキウキした気分になれない。
とはいうものの、駅弁の話がメインじゃない。
みゆきさんがメインだものね、今回は。
先に進まなきゃ。
特製幕の内御膳の蓋を開けて食べ始めると、斜め前に座っている幼稚園ぐらいだろうか、小学生の低学年ぐらいだろうかの男の子が、振り返って凡を見ている。
これは困ったな。
凡とミニボンには子供がいないせいか、子供が苦手だ。
どう接すればいいか分らないのであります。
凡に興味があるらしく、ずっと凡を見ている。
特製幕の内御膳の、おかずの1つを箸で摘まみ上げて口に入れる。
凡、ずっと見られている。
そしてプレミアムモルツを1口飲みこむ。
凡、ずっと見られている。
小さな男の子に、1つひとつの動作を観察されながら駅弁を食べる凡。
どうも、居心地が悪い。
果たして、この観察は東京まで続くのだろうか。
困りながら駅弁を食べていると、男の子が横に座っているママに凡を指さしながら言った。
「お弁当みたいなの食べてるよ。」
これは困った。
これから実況中継が始まったら、食べてはいられない。
それに、これはお弁当であって、お弁当みたいなのではない。
ということは、それ程深くは観察していないのか。
そして、さらに男の子の言葉は続く。
「ねえママ、何で食べてるの?」
これにはママも困ったのか、ママも凡を振り返る。
ママ可愛い。
いや、それはこの際置いておくべきだろう。
そして、凡と目があった。
見つめ合う凡とママ。
そして、お互いに会釈をして、ママはもとにもどった。
新幹線で知らない可愛いママと会釈か。
これは吉兆なのかもしれないね。
それにしても、さっきの男の子の言葉がこころの何処かに引っ掛かる。
「何で食べてるの?」
何で食べてるんだろう。
それほどお腹が空いている訳でもない。
凡は旅行の電車に乗ったら、駅弁を食べるのが好きだ。
どうしても駅弁を買ってしまう。
そして食べてしまう。
どうも、男の子の言葉に、自分の食い意地の悪さを指摘されているようで、辛くなってきた。
食い意地が張っているということは、つまりは欲が深いということだ。
何に付けても凡は欲が深いと、自分でも思う。
欲が深いから、わざわざ東京まで行って、それも2日間もみゆきさんの夜会工場を見ようとしているのだ。
今までは、欲を凡は肯定してきた。
欲があるからこそ人間であって、その欲を全うすることが即ち人間らしいということだと思っていた。
でも、最近みゆきさんを好きになって思うことがある。
凡は、みゆきさんに恋をしている。
これは、間違いがない言葉だ。
恋というのは、人をどうしようもなく好きになるという事だ。
これは矛盾がなくて、清々しい。
でも、愛しているのかと聞かれると、答えに困ってしまう。
愛しているというのは、人を好きになるまでは同じだけれど、その相手を包み込む優しさを条件としているように思う。
相手を尊重して、相手のことを思う気持ちがなければ、愛していると言えない。
凡はどうなのか。
凡はみゆきさんが、どうしようもなく好きだ。
でも、ファンじゃない。
1人の女性として、みゆきさんが好きなのであって、何としてもみゆきさんに会って、お付き合いをしたいのです。
デートなんかしちゃったりしたいのです。
そして詰まるところ、みゆきさんを束縛したいのであります。
心も体も、すべてを束縛したい。
でも、それは相手を尊重するということと、まったく反対の思考だ。
凡のこころの中の、大きな欲なのであります。
ということは、凡はみゆきさんを愛していないという結論になる訳であります。
ならば、みゆきさんを愛するためには、凡はみゆきさんへの欲を捨てなくてはならないのだろうか。
みゆきさんを好きだけれど、別にどうでもいいやって気持ちで生きる。
訳が分らない。
みゆきさんが好きだから、みゆきさんのためにすべてを捧げる。
「則みゆきさん去私」
夏目漱石の文章のなかに「則天去私」って出て来たなあ。
とはいうものの、みゆきさんは天や神様じゃない。
1人の可愛い女性だ。
そしたら、どうしたらいいのですか。
とはいうものの、みゆきさんは凡を認識していないのだから、凡が恋してるも、愛してるも、まったく意味のない話な訳であります。
ああ、みゆきさんに凡が好きだってことを伝えたい。
結果は、どうでもいいんだよね。
凡を認識してほしいだけ。
男の子の「何で食べてるの?」っていう言葉で、凡の欲の深さと、みゆきさんに対する愛の器の小ささを、まざまざと実感させられて、東京へ向かう事となったのでありました。
ふと見ると、まだ男の子は凡を観察していた。
もう、助けてー。

コメント

  1. うかれぶた より:

    子供の視線ぴかぴか(新しい)って、
    鋭いですょね~
    まっすぐに 脳ミソを透視されてるように 感じる時がある猫
    そして、スバリ口走しる。おそるべし子供わーい(嬉しい顔)
    赤ん坊は、喋らないが、目が合うと、一瞬にして 心を読まれる。。
    ふと居合わせた他人の子、あまり可愛くない、など思った瞬間 ぷいっダッシュ(走り出すさま)と そっぽをむく。
    もしくは、泣く…
    あの 腹から思いっきりダッシュ(走り出すさま) の様子を、
    みゆきさんは、
    「鳴ってる♪ダッシュ(走り出すさま)
    と表現してるね。
    あっ、前回は、
    凡さん、北のトドさん、
    総集編の 祝福の御言葉、 ありがとう ございました猫ダッシュ(走り出すさま)
    なにより嬉しいですぴかぴか(新しい)
    みゆきさまにうけたのは、脱線ギャグ漫画の方だと思うのですほっとした顔 猫ブタの秘密ふふふっ♪
    みゆきさんも、凡さんも、私も、北のトドさんも!? 自然脱線話に流れる 性質?が 共通点ぴかぴか(新しい)
    だと、ブタ的な発見ひらめき

  2. 凡蔵。 より:

    ありがとう、うかれぶたさん。
    子供の視線は怖いし、そしてツライですよね。
    見つめられるこちらの方が目を反らしてしまう。
    そうなんですね、みゆきさんは「鳴ってる」って言うんですか。
    私も明日からそれ使おうっと。
    でも、その為には鳴ってる子供をどかかで探さなきゃ。
    それから、今度はきっと読まれるようにハガキ書かなきゃ。
    でも、あのハガキって書きだすとスペース狭いんですよね。
    でも、沢山書こうと思ったら小さい字になっちゃうし。
    小さい字はみゆきさんに読んでもらえないかもしれないし。
    やっぱりネガティブ川柳かな。
    文字数少ないし。

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