平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(1126)伊東って、良いところですねの旅。(1)

みゆきさんの妄想

先週に沖縄に行ってきた凡とミニボンではありますが、2回目の連休も、どこかに行こうと考え中です。
贅沢な話だけどね。
そんでもって、決めたのが、伊東だ。
今回は、温泉に入って、バイキングの夕食という、のんびりパターンで行きたいと思う。

ということで、4月18日の月曜日。
7時頃、自宅を出発。
京橋駅から大阪駅経由で、新大阪まで移動。
ここで、駅弁を購入。
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水了軒の「驛」。
水了軒なのと、驛という名前で決めた。

0848時、新大阪発。ひかり500号。東京行き。
ホームで待っていると、男性スタッフが、ワゴンのようなものを引っ張ってきて、そして、しばらくしたら、制服をビシッと決めた女性が3人現れた。
「シマッタ。」そう思った。
いや、駅弁も大好きなのだけれど、車内販売は、これまた大好きなんだ。
車内販売で、駅弁を買えば良かったと思ったのだ。

最近は、車内販売も、流行の風邪の影響で、自粛したりしていたし、車内販売自体が、取り止め傾向にあるので、のぞみならまだしも、ひかりに車内販売は無いだろうと勝手に思い込んでしまっていたのだ。

さて、ひかりも新大阪を発車して、しばらくすると、車内販売のお姉さんがやってくる。
凡の車両のスタッフは、髪をうしろで固くひっつめた、目元すっきりの美人である。
それにしても、車内販売の女性の制服は、いつからあんなに、カッコ良くなったんだろう。
すごく高級感のある制服だよね。
何か、パイロットのようなさ、そんな感じだ。

凡も、学生の頃、2ヶ月ほど、日本食堂で、車内販売のバイトをしたことがあるが、その時の女性スタッフの制服は、パイロットというより、弁当の売り子さんという感じだった記憶がある。
兎に角、今の制服は、カッコイイね。

そのカッコイイお姉さんから、何かを買いたいのだが、駅弁は買ってしまっているし、記念のアイスクリームスプーンがあるようで、それを買おうか迷う。
迷いに迷って、よし買おうと思ったら、お姉さんは、凡の横を通り過ぎて行ってしまって、向こうのドアに消えていった。
ドアを出た時に、こちらを振り返ったが、手を挙げて呼ぶ時間も無くて、新幹線は、熱海の駅に到着した。
ああ、あの美人から、スプーンを買いたかったなあ。

あ、そうそう。
肝心の駅弁だ。
蓋を開けると、これがザ・幕の内だと言う、まさに由緒正しい駅弁で、とても美味しく頂きました。
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1104時、熱海駅着。
そして、1121時発の踊り子7号に乗り替える。
乗車時間23分という短い時間で、特急車両を楽しんだ。
んでもって、1144時、伊東駅着。
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ここで荷物を預けて、観光案内所で地図を貰って、横にある東海バスのカウンターで、東海バスフリーきっぷ「伊東・伊豆高原2日券」1500円を買った。

さて、伊東駅の周辺のお店も気になるが、まずは、遊覧船に乗ろうと思う。
ミニボンは、遊覧船が大好きだ。
ということで、早速、フリーきっぷを使ってバスで、伊東マリンタウンまで行く。
ちょうど、イルカ号がでる時間だったのでナイスタイミング。
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チケットを買って船に向かうと、赤銅色に焼けたオッチャンが、「楽しんできて。」とか、しきりに凡とミニボンに向かって話しかけてくる。
赤銅色の、そんな事を言わないだろう風貌の人なので、その歓迎ぶりが、ちょっと嬉しい。
船は、可愛いイルカの形をしている。
船に乗ると、すぐに船底に案内された。
船の下半分は、グラスボートになっていて、海水は、ちょっと濁っているが、魚が目の前に泳いでいるのが見える。
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すると、これまた、別のオッチャンが、この魚は、何だとか、後に来て説明をしてくれる。
ここでも、スタッフが、船に乗っている人を楽しませようと言う気持ちが嬉しい。
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そして、船が出航すると、今度は、船の上に出て、船からの眺めを楽しむ。
普段は、かもめが飛んできて、えさやり体験もできるようだが、今日は、カモメがいない。
女性スタッフの人が、エサのかっぱえびせんを、しきりに手を回して海に投げたり、カモメを呼んだりしているが、カモメがいないのである。
「お願―い。寄って来てー。」なんて叫びながら、かっぱえびせんを投げるが、かもめは来ない。
でも、その一所懸命にカモメを呼ぶのを見ていると、これまた楽しませてあげたいという気持ちが見える。
そのうちに、カモメのかわりに、トンビが沢山やってきて、海中に落ちたエサを食べていた。
トンビでも寄って来てくれたら、楽しいものである。
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ということで、遊覧船のイルカ号を楽しんだのでありますが、ミニボンは、もうこれだけで、来てよかったと喜んでおりました。
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この遊覧船の場所は、道の駅にもなっていて、お土産屋さんや、飲食店なども沢山入っているので、見ているだけでも楽しい場所だ。
タコの練り物などを食べる。

ということで、遊覧船と道の駅を楽しんで、バスで、伊東駅前まで戻る。
もう、ミニボンは、これで満足だと言う。
折角だから、駅前の商店街を散策。
駅前も、雰囲気の良いお店などがあって、明日、帰る前は、この店で食べて帰ろうかとか、そんなお店を見つけておいて、ホテルの送迎バスの乗り場に行った。
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IMG_1525.JPG(こんな神社もあったので、素敵な出会いをお願いした)

チェックインは、3時からだが、2時30分に送迎バスがある。
乗り場に行って見ると、年配の人が、すでに待っていた。
それで、バスがやって来たと思ったら、全員乗れないので、運転手が、すぐに次のバスを手配したので、それにしてもらえないかという。
急がないので、次で良いですよと答えたら、ほんの10分ほどで臨時のバスが到着した。

今日のホテルは、伊東ホテルジュラクさん。
ジュラクさんには、飯坂温泉で泊まったことがあるのですが、良かったという印象が残っている。
なので、今回も、ジュラクさんに決めたのだ。
後でパンフレットを見たら、上野駅や浅草にある聚楽というレストランも同じ系列のようですね。
レストランも、そういえば、行ったことあるんですよね。

さて、今回の伊東ホテルジュラクさんは、建物も立派なのですが、フロントから、また、館内にいるスタッフも、挨拶も元気よく、また、ちょっと迷っている風な素振りを見せただけで、声を掛けてくれたり、従業員の雰囲気がすごく良くて、やっぱり、このホテルにして良かったと、まだチェックインしたばかりなのに、満足したのであります。

チェックインをしたら、まずは、ラウンジでウエルカムドリンクを飲めと言う事なので、セルフだけれど、ミカンジュースを飲んで、しばし休憩。
んでもって、部屋に行く。

部屋は、広くて入口近くに、バス、トイレ、洗面所、その次に、ツインベッドの置かれた部屋。
そして、奥に10畳の畳の和室があって、その奥にテーブル、そして全面ガラスの戸があり、小さなベランダがあった。
結構、広くて、また和洋室なので、これもまたリラックスできて、これまた、これまた、満足であります。
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ベランダからは、伊東の街が見渡せて、気持ちがいい。
ただ、ベランダのガラス戸を開けると、すぐに鳩が隣のベランダから4、5羽、ひょこひょこと歩いてきた。
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エサを貰おうと思っているのだ。
急いでガラス戸を閉める。
それでも、ガラスの向こうから、頭を傾げて、中の凡を見ている。
「エサ、欲しいなあ。」みたいなことなんだろうけれど、無暗にエサをあげて、それが癖になったら、ホテルも、フンだらけになって困るだろうから、無視をしていた。
すると、鳩は、またどこかのベランダに移動していくのだけれど、凡が、ガラス戸を開けたのが分ると、ほんの数十秒で、また鳩が、やってきてエサを待っている。
こんなことが、4、5回続いたので、ベランダのガラス戸を開けるのは、諦めた。

さて、これからは、何の用事もない。
温泉と夕食だけだ。
夕食と言っても、18時からなので、まずは、ゆっくり温泉にでも行きましょうか。
ホテルには、温泉施設が2カ所ある。
1カ所は、別の棟にある、かけ流し露天風呂「げんせん」で、文字通り、源泉かけ流しだ。
そして、もう1カ所は、泊まっている棟のフロントの下にある「ゆるかの湯」と「やんもの湯」で、こっちは、濾過循環式になっている。
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まずは、折角だから、源泉かけ流しの方へ行ってみよう。
げんせんの露天風呂は、内湯も、露天も、湯温がしっかりあって、気持ちが良い。
ただ、ホテルの規模を考えると、結構狭いかな。
洗い場が7カ所ぐらいあって、流行の風邪の対策で、1つおきに椅子を置いているので、洗える人数は、4人ぐらいか。

露天風呂に出ると、小雨が降っていて、これがまた、身体に当たって、内湯で火照った身体に気持ちがよいのである。
気温が低めなのか、湯気が立ち上って情緒もたっぷりである。
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温泉を出たら、無料のアイスキャンデーを食べて、部屋に戻った。
ああ、楽しいなと思う。
沖縄のように、夜の街に繰り出すのも楽しいが、こうやって、ホテルで、ただゆったりと時間を過ごすというのもまた、楽しい。

部屋で、ゆっくりと過ごして、18時前に、フロントの階に降りて行った。
今日の夕食は、「BALI―HAI」というレストランで、バイキングである。
凡は、心の中で、映画「南太平洋」の♪♪ バリハーイ ♪♪という歌を口ずさみながら、入口で待っていた。
とはいうものの、歌詞で覚えているのは、その部分だけだけどね。
その部分を繰り返して歌うだけ。

開店前に並ぶのは、ちょっと恥ずかしいけれど、送迎バスの年齢層を考えたら、こんなものだろう
凡が行ったら、すでに待っている人が何組もいた。
さて、バリハイのバイキングは如何に。
まずは、スタッフが、ドリンクのオーダーを聞いたので、飲み放題をお願いする。
90分で1980円。
そこで、料理の制限時間はあるのかを聞いたら、無いという。
ワンダフル。

いや、別に、死ぬまで食おうというのではないのである。
あ、食べ過ぎて、バタンQということも多いか。
でも、いくら制限がないと言っても、3時間も4時間も、食べれる道理ではない。
温泉に入って、ゆったりとした気分で、美味しい料理を頂く。
そんな楽しい時間に、制限があっては、楽しみが半減すると言いたいのであります。

最近、バイキングの夕食のある温泉ホテルに泊まった時に、90分で入れ替えですと言われるケースが、かなり多い。
そうなると、食べるのに気が焦るのだ。
折角、のんびりと非日常の夕食を楽しもうとしている時に、時計を見ながら食べるなんて、実に滑稽でさえある。

これは、後になってからの話だけど、今回の夕食も、食事が終わってレストランを出る時に時計を見たら、1時間45分ぐらいだった。
制限時間を1時間30分にしている他のホテルの15分しか多めに居座っていないのだ。
この15分の気分的な贅沢は、大きな差だと思うんだよね。

レストランのキャパと、ホテルの客数の関係で設けている時間制限なら、これは提案だけど、第1スタートを4時にするとかね、そう言う風にしたらどうだろう。
年齢の高い客は、4時を選ぶだろうと思う。
凡も、もちろん4時を選択する。

ということで、バイキングの時間制限について、口卑しい気持ち全開で語ってしまったが、今回の伊東ホテルジュラクさんは、制限時間無しということで、もう、食べる前から、大満足のバイキングとなったのであります。
(いつ行っても無制限なのかは、予約するときに確認してくださいね。)

さて、肝心のバイキングの料理だ。
このホテルの推しとしては、地中海パエリア、ブイヤベース、金目鯛のグリ茶のしゃぶしゃぶ、それに串揚げと言ったところか。
どれも、ライブキッチンで提供される。
パエリアも、コンクールで優勝したお店のレシピを再現しているらしい。
金目鯛のしゃぶしゃぶも、身もしっかりあって、グリ茶の香りは分からなかったけれど、美味しかったです。
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凡が気に入ったのは、ピザかな。
ちゃんと作られたピザと言うか、4、5枚食べた。
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それと、握りずし。
チェーンのホテルのバイキングの握りずしというと、既製のシャリに、薄っぺらいネタを乗っけただけのものを大皿に乗せてある場合がほとんどだ。
凡が泊るような安いホテルは、ほぼそれだ。

でも、ジュラクさんは、スタッフが、注文ごとに手で握ってくれる。
しかも、ネタも、種類は5種類ぐらいだったかな、少ないけれども、ちゃんとしたネタだ。
特に、マグロなんて、普通のすし屋と変わらない。
凡は、赤身が好きなので、1回、お替わりに行ったけれど、本当なら、もう2、3回お替りしたかったぐらいだ。
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それと、これは、料理とは関係ないのだけれど、ジュラクさんも、流行の風邪対策として、料理を取りに行く場合は、マスクと手袋の着用をお願いされる。
今まで泊まったホテルじゃ、1回使った手袋を、また取りに行くときに使うので、ヨレヨレになって、手にはめられないのである。
しかも、凡は、極端な汗かきなので、汗でビニールの手袋がはめられない。
しかも、手袋が小さいし。
でも、ジュラクさんは、手袋の大小のサイズを取り揃えてあって、スタッフが凡の手を見て、すぐにLの手袋を持って来てくれた。
しかも、箱ごとテーブルに置いてくれるので、1回使ったら、手袋を変えるというシステムなので、更にグッドである。

ということで、気持ち的にもリラックスして、そして、スタッフの心遣いにも安心して、美味しいお料理を堪能いたしました。
ごちそうさまでした。
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料理を頂いた後は、部屋に戻ってゆっくりする。
しばらくしたら、ミニボンが、もう寝ると言う。

凡は、9時だったかな、ラウンジで、ピアノ演奏があると言うので出かけてみた。
既に、6組ぐらいの人がソファに座って、セルフの機械で淹れるドリンクを飲みながら、女性演奏家のピアノを聴いている。
凡も、ソファに座って、お姉さんのピアノを聴く。
ポンポロリーン。

静かなムード音楽というのだろうか、あたりさわりのないというか、聴いていて、何の感動も無い音楽だ。
いや、こんなことを書いて、本当に失礼だとは思うのだけれど、日ごろ、みゆきさんの音楽を聴いてるもんだから、そう思ってしまうのかもしれない。
何て言うのかな、大きなビルで、小さな音量で常に天井のスピーカーから流れている音楽というのかな、ほとんど抑揚のないメロディというか、あれは、「みなさん、ソファで寝てくださいね。」という意味だったのだろうか。

この演奏家の方も、ホテルがお金を出して依頼している訳なんだろうから、そんなことをするぐらいなら、アマチュアの人を募って演奏会をした方が楽しいんじゃないかと思う。
学生とかさ、みんなの前で演奏したり発表したりしたくても、その場がない人がいるよね。
練習であっても、人が見ているところでする練習は、きっと熱が入ると思うんだ。
その演奏は、何も、あたりさわりのある音楽じゃなくていい。
ジュラクさんに似合わないようなパンクの音楽であってもいいし、ロックでも、ポップスであってもいいし、フォークであっても、演歌であっても、クラシックでもさ、音を表現したいって人が演奏する、そういう場であったら、面白いだろうなと思う。

意外と、おじいちゃん、おばあちゃんが、ロックで頭を振ったりしてね。
そんなのが良いなあと思うのだけれど、難しいんだろうなあ。
ポンポロリーンのピアノ演奏は、途中、休憩しますと言ったので、そこで部屋に引き上げた。

夜中に目が覚めると、ただ、凡自身の身体が、どこか他の場所にいるような、凡自身の実体が無くなってしまったような感覚をおぼえていた。
隣のベッドを見ると、ミニボンが、気持ちよさそうに寝ている。

どうしたものか、少し考え事をしたくなって、凡は、部屋を抜け出して、ホテルのラウンジに行った。
薄暗い空間に、ぼんやりと天井のライトが、誰もいない空間を照らし出している。
ポンポロリーン。

「おや。誰かピアノを弾いているのか。」と思ってステージを見ると、そこに薄いオーガンジーのワンピースを着たみゆきさんが、ピアノを弾いていた。
みゆきさんも、温泉ホテルなんて来ることあるんだなんて、そこに、みゆきさんがいることを不思議にも思わず、ただ納得した心持で、みゆきさんに近いところにあるソファに座る。

何て言う曲なんだろう。
静かな曲だが、名前を知らない。
みゆきさんは、ピアノを弾きながら、何か呟いているようだ。
その唇の動きで、何を呟いているのかを探ろうとしたけど、解る訳ないか。
でも、ああ、こうやって歌を作ってるんだなと見ていた。

「裏の裏は、裏の裏の裏、裏の裏の裏のは裏。裏の裏のうらうらうら、、、。」
みゆきさんの声が聞こえた。
何か知らないけど、すごい歌を作ろうとしていることだけは分る。

「ああ、裏の裏の裏、裏、裏、、、うーらら、うーらら、うーら、うーらでーっ。」
って、みゆきさん、それ山本リンダさんだよ。
凡は声に出して、みゆきさんにツッコミを入れてしまう。

すると、凡に気が付いたみたいで、「あ、凡蔵君、そこにいたんだ。」という。
「えっ、みゆきさん、凡の事を、どうして知ってるの?」
「どうしてなんだろうね。そうだ、凡蔵君、あたしのことが見えるんだ。」と奇妙なことを言った。
「うん、見えるけど、どうして?」
「普通の人には見えないよ。だって、あたし、肉体がないんだもん。」
「肉体がない、、、。」
「うん、あたしね、夜寝るとね、魂だけが、肉体を抜け出て、色んな所に行っちゃうんだ。だから、今、ここにいるの魂だけだから、見えない筈なんだけどなあ。ひょっとして、凡蔵君、あたしのことを、魂で愛してくれてるとか、、、。魂で愛している人は、魂を見れるんだって。あはは。図星でしょ。」
そう言って、みゆきさんは、笑った。

「かもだね。」凡は、それだけしか答えなかった。
魂なら、全部言わなくても解ると思ったからだ。

「ねえ、みゆきさん、作曲に悩んでるの?」
「さっきの曲、聴いた?どうだった?」
「いいと思うけど、うーらら、はダメでしょ。」
「やっぱりね。」
そう言って、笑ったみゆきさんは、どう見ても肉体があるようにしか見えない。

「っていうかさ、抑揚のないペタンとした旋律だね。もっと、力強くピアノ弾いたら良くなるのに。」
「あたし、指に力が入らないのよ。だって、肉体がないんだもん。」
「じゃ、その指は?」
「あるように見えてるだけ。本当は、無いの。」
「じゃ、そのみゆきさんの唇は?」
「これも、本当は、ここには存在しないのよ。」
「じゃさ、じゃさ、じゃさ、その唇に、チューしてもいい?」
「バカヤロー。でも、存在しないんだから、別にチューしてもいいよ。」
凡は、その言葉を聞いて、心臓が早鐘のようになる。
そして、みゆきさんの前に立って、あらためて、みゆきさんを見た。

ああ、美しい。
そして、美しい唇。

凡は、みゆきさんの唇に、凡の唇を重ねようとした。
その瞬間、みゆきさんが、フッと消えてしまった。
「ああ、みゆきさん。どこへ行ってしまったの。」
凡は、みゆきさんが消えてしまったことを受け入れることが出来ずに、朝の明るくなるまで、ラウンジのソファに座っていた。

その頃、東京のみゆきさん家。
「うわ。変な夢見てたよ。なんかさ、イヤラシイ目をした男が、満面の笑みで、あたしにチューしてきたんだよね。ああ、気持ち悪い。いやだ、いやだーっ。」
みゆきさんは、汗びっしょりで、頭を左右に振って夢を忘れようとしていた。

ああ、無情なるかな凡の魂の愛。
というか、またしても、悲しい妄想に終わってしまった。
悪夢である。

妄想から覚めた凡は、部屋にいる。
それにしても、ホテルジュラクさんにして正解だったなと思いながら、まだ寝ないで伊東の夜を、ただ無為に過ごしていた。
外は、結構な雨が降っている。
鳩は、どこで寝ているのだろうか。
そして、みゆきさんは、どんな夢をみているのだろうか。
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コメント

  1. yukemuri より:

    凡蔵さん、今度は伊東ですか?
    良いですね~
    マリンタウンから遊覧船に乗ったんですね
    乗客はかなり少ないようですが、やはり全体的に少なめだったのでしょうか?
    ホテルは伊東聚楽さんなんですね
    部屋はかなり広いようですね
    夕食も時間制限無しとは嬉しいですね
    ぐり茶のしゃぶしゃぶとは珍しいですね
    伊東はぐり茶が名物ですからね
    飲まれましたか?
    美味しいですよね
    品数も多そうで楽しそうなバイキングですね
    ピザやパエリアが美味しいのもナイスなバイキングだと思います
    伊東かぁ~、たまには自分も行きたいです

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    この前に沖縄に行ったので、今度は、温泉とバイキングで、のんびりとと思ったので、伊東にしました。
    ホテルは、なかなか良かったですよ。
    部屋も広かったし、夕食も美味しかったです。
    もう少し、品数があってもと思いますが、何しろ制限時間がないというのは、ナイスです。
    部屋も食事も良かったのですが、スタッフの対応も良かったので、また泊まりたいホテルです。
    何と言っても、そこが重要ですよね。
    前に、熱海で、有名なホテルチェーンに泊ったのですが、スタッフの対応が、もうかなりの低レベルだったので、
    そのチェーンには泊まりません。
    ジュラクさんも、いくつかホテルがありますが、また泊まりたいと思うところが良いのですよね。

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