平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(1016)関西1デイパスで計算しない旅(1)

「秋の関西1デイパス」というきっぷがある。
3600円で、1日間、指定された区間のJRと、指定された区間の私鉄を、利用できるものだ。
これがまた、難しいというか、悩ましいきっぷなのであります。
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凡が、よく利用するきっぷに、「青春18きっぷ」がある。
これは、5日間JRに乗車で来て、12050円だ。
1日あたり、2410円で、JRなら、どこへでも行ける。
1日あれば、大阪からなら、西に行くなら、岡山や、高松、東なら、名古屋や、浜松などへは、余裕で行くことが出来る。
頑張れば、大好きな花の東京へも行けるのだ。
どこへでも行けるので、自由なのが良い。
それに、金額だって、たとえば、大阪、姫路間を往復すれば、3040円かかるので、それだけで、元が取れる。
実に、自由だし、お得である。
でも、冒頭の関西1デイパスは、3800円。
しかも、使える区間が決まっていて、西は、姫路の先の上郡という駅まで、そして、東は、琵琶湖を越して、福井に近い敦賀という駅まで、また、南は和歌山、桜井までしか使えない。
中途半端だ。
そして、このきっぷの特徴の1つである、私鉄が使えるという部分。
これも、南海、近鉄、京阪、と3社の路線が使えるのだけれど、どこでも乗れるという訳じゃない。
南海なら、高野山へ行くルートのみ、近鉄なら、飛鳥方面へ行くルートのみ、京阪は、比叡山周辺へ行くルートのみなのだ。
その途中では、下車することが出来ない。
それに、オマケか何か知らないけれど、大阪水上バスという、これまた中途半端なものも付いている。
さあ、どうする。
どうすれば、いいのよ。
このきっぷ、どうにも悩ましいじゃないか。
実は、数年前になるのかな、このきっぷを使ったことがある。
その時は、まず、京橋駅から大阪、京都と経由して、敦賀まで行った。
そこで、ちょっと観光気分を味わった。
ソースカツ丼を食べたり、気比神社や、敦賀ムゼウムに行ったりね。
片道2640円、往復したとしたら、5280円だ。
これで、もう元が取れている。
でも、この時は、気に入らなかった。
私鉄を使ってなかったからだ。
でも、敦賀へ行った後に、私鉄を使う時間的な余裕がない。
なので、敦賀から、一旦、姫路まで行って、そこで夕食をして、大阪の京橋へ帰るということをして、自分自身を納得させた気がする。
私鉄を使わなかったけれど、距離を稼いだよとね。
京橋から敦賀で、2640円。
敦賀から姫路まで、4070円。
姫路から京橋まで、1690円。
合計8400円。
距離というか、金額は、3800円を超えたけれども、これじゃ、青春18きっぷと同じだ。
なので、今回は、私鉄を使おうと思う。
と、既に、この秋の関西1デイパスを使うことを決めている凡。
まず、私鉄だけれど、高野山まで、朝一に移動しよう。
そこで、お寺には行かずに、駅前で、陀羅尼助でも買って、ちょっとコーヒーでも飲んで、また大阪まで帰ってくる。
そんでもって、大阪水上バスでも片づけて、敦賀に移動。
そこから、またもって、姫路まで移動するか、和歌山の方へ行くか。
そんなところか。
と思っていると、ミニボンが、泊まってこないのと聞いた。
2日間の連休だったからだ。
最近、ちょっと出かけ過ぎなので、遠慮してたけれど、それなら、泊まってこよう。
と、急に予定が変更になった。
泊まるとなると、凡にはプランがあった。
彦根だ。
今ちょうど、ゴーツーキャンペーンをやっているが、彦根は、それにプラスして、彦根市に泊まると値引きされるというキャンペーンもやっていて、ゴーツーキャンペーンとの併用も可能だという。
ということで、楽天で申し込んだ。
ホテルレイクランド彦根さん。
となると、予定も変わる。
1日の終わりには、彦根に行かなきゃいけない。
それと、考えている間に、行ってみたいところが出来た。
天理だ。
先日に、中島みゆきさんが、「中島みゆき 第二詩集 四十行のひとりごと」というのを上梓された。
道友社という天理教系の出版社だ。
それなら、天理教の本家本元の道友社のおやさと書店で、本を購入するのも一興だ。
ということで、天理には行くことを決めた。
それに合わせて、私鉄は、近鉄を利用することを決定。
目的地は、近鉄で、飛鳥方面、そして、天理、んでもって、最終的に彦根で泊まる。
そうなると、3800円で元が取れるのだろうか。
とまた、変な癖が出てしまう。
朝一に、姫路まで行ってから、すぐに引き返して、近鉄に乗り、それから、天理に行って、そのまま敦賀まで行ってから、北陸線で、彦根に行く。
、、、面白いけれど、余裕がない。
既に、この時点で、天理に行くことが、凡の目的の最重要ポイントとなっていた。
もっと、余裕を持った旅にしよう。
と、鉄道に興味がない人にとっては、まったくもって、意味のない文章が続きましたが、凡には、これが楽しいのではありまして、ここまで読んでいただいた人には、感謝、感謝であります。
こんな話をミニボンが聞いたら、きっと「そんなことして、面白いの?」といつものセリフが返ってくるだろう。
列車に乗っていることが楽しいと思わないミニボンにとっては、不思議なのだろうね。
目的地に直行しか考えていない。
さて、当日10月5日(月曜日)であります。
朝起きると、少しばかり胃が重い。
昨夜、今日1日のプランを考えながら、お酒を飲み過ぎたようで、実は、京阪電車の始発に合わせて家を出ようと考えていたプランを止めた。
それでも、6時45分頃には、家を出る。
京橋駅から、天王寺駅まで移動。
ここで、こっちの窓口、あっちの窓口と、迷いに迷って、近鉄電車のチケット引き換え窓口に行く。
そこで、「飛鳥チケット」を発見してもらった。
IMG_3733.JPG(沢山きっぷを貰って嬉しい。)
行き先は、壺阪山だ。
まだ、行ったことのない場所だからだ。
駅員さんに聞いたら、追加料金を支払えば、特急にも乗れるという。
それならと、520円を支払って、特急にしてもらった。
改札を入って、構内で、たぬきそばを頂いた。
なぜか、旅に出ると、立ち食いそばに入りたくなるのである。
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阿倍野橋駅、0810発 特急。
列車は、ガラガラで、シートに座ると、その座り心地が、なかなか良い。
快適である。
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ああ、特急にして良かったと、走り出して、しきりに頷いていた。
なんとも、贅沢な旅行をしているんだという気持ちなのである。
これが、もし普通で行っていたなら、それは単なる日常の移動になっていたのかもしれない。
そんな快適な列車の中で、凡はあることを決めた。
凡の掌の中に、関西1デイパスという1枚のきっぷがある。
これを使って、今日の1日を楽しもう。
今までは、距離をどれだけ稼いだとか、金額で、いくら分乗ったから、元を取ったとか、そんなことばかり考えてきっぷを使っていた。
今日は、それを止めよう。
距離の計算もしないし、金額の計算もしない。
得をしてもいいし、損をしてもいい。
いやむしろ、損をしよう。
そう考えたら、急に気持ちが軽くなって、どうにも、今列車に揺られているのが楽しくて堪らなくなっていた。
ああ、これが自由ってことなんだ。
小雨が降りだした。
壺阪山駅 0852着。
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行こうと思っているのは、壷阪寺だ。
バス停で、時間を見たら、本数も少なくて、次のバスは、まだ45分ちょっとある。
駅前には、コーヒーなどを飲みながら待つというお店もない。
地図を見ると、歩いて、だいたい50分程度か。
目的地には、同じぐらいに着けるだろうし、古くからの街並が残る道を歩くので、それは楽しいかもしれない。
と、歩き出した。
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歩道も整備されていて、街並みも楽しい。
しかし、時間もあるのか、どこも閉まっている。
くすり資料館というのがあって、凡は薬が好きなので、面白そうだなと思ったが、まだ時間が早い。
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整備された道が終わると、右に折れて進む。
ふる里農道という道に入ると、人家も無くなって、ただアスファルトの道が続くが、車の数も少ないので、ちょうど雨も上がった山の中の道は、気持ち良い。
まあ、歩いて来て良かったねと思って、橋を渡って、今度は左折すると、クネクネとした急な勾配の坂道になった。
これがなかなか、キツイ。
道の左側は、急な斜面になっていて、ふと見ると、洗濯機が捨ててあった。
ああ、こんなところまで車で運んできて捨てる人がいるんだなと思ったら、気が付かなかったゴミが見えてくる。
またまた洗濯機に、テレビ、そんな大型は少ないけれど、ペットボトルや、雑多なものが捨てられている。
悲しくなった。
よくテレビで、中国人などの旅行者のマナーの悪さを放送しているけれど、あれは、撮り方にも問題がある。
わざわざマナーの悪い人を探してきて撮っているのだ。
それに比べると、日本人の方が、よっぽどマナーが悪いと思う。
これらのゴミだって、捨てた後の事を考えれば、出来るものじゃない。
日本人のマナーが良いのはね、見られている時だけなんだよ。
マナーが良いフリをしているだけ。
そう思う。
そんな捨てられたゴミに気を取られながら、坂道を、ヘロヘロになりながら上っていたら、凡が乗るか迷ったバスが横を走り抜いて行った。
帰りは、ぜったいにバスに乗ろう。
そんでもって、やっと壷阪寺に到着。
駐車場にバスが停まっていたので、運転手さんに、帰りの時刻と、バス停を聞いた。
次のバスまで30分ぐらいしかない。
しかも、それを逃すと、かなり時間があくという。
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と、聞いたので、急いでお寺で受付して中に入る。
入ると、左手に大きな建物があった。
なんだろうと思う。
建物自体が、ひっそりと身をひそめているようにも思える。
病院なのか。
すると、入口のそばに一人の女性が出て来た。
その女性を見て、すぐに目の見えない人であることがわかった。
あらためて、建物を見ると、盲人専門の老人ホームだった。
「養護盲老人ホーム 慈母園」さん。
凡は、不意を突かれたというか、ああ、凡はなんて、想像力がなかったんだろうかと思った。
凡の親も、またミニボンの親も、老人施設に入れることを考えたことがある。
でも、入るには結構ハードルも高いことに気が付く。
良いなと思う施設は、金銭的に無理だ。
でも、公的なところは、順番待ちだったり、介護認定のランクが、まだそこまで達していなかったりと、入ろうと思っても、入れないのだ。
それに、入りたくないという本人の気持ちもあったんだけれどね。
たとえ、民間のところで空きがあっても、認知症があれば入れないとか、あれはダメ、こういう行動をしたらダメとか、面接で感じた印象としては、しっかりした老人しか入れて貰えないみたいなのだ。
でも、しっかりとした老人は、そんな施設に入る必要ないのにね。
そんな普通の、(こう書くと、普通に対して、身体が不自由な人を、普通じゃない人といううふうにジャンル分けして、その普通じゃない人を差別していると指摘されるかもしれないけれど、そんな意味じゃなくて、単に、そこいらじゅうにいる老人(年齢の高い人)という意味であります。)老人でも、面接で断られたりするぐらいであるのに、目が不自由な人となると、それどころか、さらにさらに、老人施設に入るハードルは高くなるだろうなと、そんな境遇にいる人の事が気の毒で仕方がない気持ちになったのです。
そして、そういう人が、困っているという事実のあることを、想像もしなかった。
その想像力の欠如を感じたのであります。
とはいうものの、この凡に、その状況を改善する力もない。
一体、どうしたら良いのだろうか。
どうする事も出来ないよ。
んでもって、何故、ここに盲老人ホームがあるかというと、この壷阪寺は、壺阪霊験記という浄瑠璃や、浪曲で有名な演目で、ストーリーを書くと長くなるので、簡単にいうと、目の見えない夫の沢市と、妻のお里の、とんでもなく悲しい物語があって、その舞台が、この壷阪寺なんですね。
最後は、この壷阪寺の千手観音様に、命も蘇らせてもらって、目も見えるようにしてもらってと、ハッピーエンドで終わるので、人気もある演目になっているようだ。
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その老人ホームを通り過ぎて、本堂に行く。
そして、参拝。
ここは、素直に、お金とか、女の子との出会いとか、そんな邪心に染まったお願いはせずに、目がいつまでも健康でありますようにとお願いをした。
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本堂の入口に、目薬が置いてあったので購入。
すると、「当山秘法のご祈祷で厳修致しております」と書かれた赤い紙袋に入れてくれた。
見た目、普通の目薬だけれど、如何にも効き目がありそうだ。
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このお寺には、大きな観音様や、レリーフ、その他、重要文化財などもあるけれども、帰りのバスがあるので、その辺は、さらりと通って、バス停まで戻った。
バスはもう、停車していたので乗ったら、すぐに発車した。
このまま駅まで行っても良いのだけれど、途中にあった、くすり資料館というのが気になる。
凡は、薬が大好きだ。
なので、そこに近い、バス停で降りる。
歩いて資料館の前まで行くと、閉まってるじゃない。
もう、お昼近いよ。
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「薬資料館を見学ご希望の方は、右のチャイムでお知らせください」と書かれてあった。
なので、ピンポンしてみたが、一向に出て来てくれる気配がない。
仕方なく、この資料館を管理していると思われる表の観光案内所「夢創館」に行ってみると、そこも閉まっていた。
そこで、駅で取ってきた地図を見てみたら、月曜休館と書かれていた。
またしても、凡の運の悪さよ。
というか、月曜日だものね、その可能性を忘れていたよ。
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仕方なく、また駅に向かって歩き出す。
でも、雨上がりの古い街並みは、歩いていても気持ちがいい。
気が付くと、ほとんどの家の前に、町のキャンペーンというか運動の貼り紙がしてある。
「声かけ・鍵かけ運動 実施中!」
田舎は、鍵をかけないんだよね。
それを、今は、鍵をかけようというキャンペーンをしなきゃいけない状況ということなんだよ。
仕方ないけれどね。
そのまま、ゆっくり歩いて駅まで戻った。
さて、次は、目的地の天理だ。

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