平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

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散散歩歩。(882)鎌倉ぶらり。(2)

6月の15日(月曜日)。
昨夜、急に思い立って鎌倉に来ている。
少し遅いけれどもランチを食べようと考えている。
実は、鎌倉に来る途中に、行ってみたい蕎麦屋があった。
「一茶庵」というお店だ。
何故、行ってみたかったかと言うと、サザンオールスターズの桑田佳祐さんが、行きつけのお店だと聞いたからだ。
ミニボンは、桑田佳祐さんの大ファンだ。
昔、福岡ツアーの数日前に、ミニボンが脳内出血を起こしたのですが、ツアーに行きたいと言って、病院から帰ってきたほどなのであります。
勿論、ツアーに行けるはずもなく、病院に入院となりましたが、そのぐらい好きなのであります。
なので、折角だから、その蕎麦屋へ行ってみたいと、これは凡が思ったのです。
ミニボンも喜んでくれるかもしれないし、凡にして見ても、鎌倉の蕎麦屋で、お酒などというのも、ちょっとカッコイイじゃない。
そういえば、鈴木清順さん監督の映画「ツィゴイネルワイゼン」の中で、俳優の原田芳雄さんと藤田敏八さんが、鎌倉の切通しを抜けたようなところで、そばを食べるシーンがあって、かっこいいなあと思って見た記憶がある。(そのシーンは、お店で食べるシーンじゃなかったけれどね)
ということで、調べてみたら、閉店していた。
残念。
鎌倉駅の近くに小町通りという賑やかな、鶴岡八幡宮の沿道の1本隣の道を、端っこまで歩いて、店を探す。
駅の近くに、美味しそうな軽食を食べさせる「イワタ」という名前の喫茶店があって、かなり気になったが、これまた駅に近いところにあったトンカツ屋に入ることにした。
理由は、店頭に置かれた写真に惹かれたからだ。
大きな案内板に、「鎌倉の文士が愛した味」とある。
その横に、川端康成や、大佛次郎などの大物作家の名前が列挙されている。
こんなのに凡はやられる。
しかも、その横に、意味ありげにコカ・コーラの写真がある。
後で思うと、コカ・コーラの宣伝だったのかと思うけれども、これもまた、気になった。
ということで、店に入ることにした。
時分時を外れているので、席は空いていた。
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凡は、写真のかつ重を、ミニボンは、トンカツのロースを注文。
それに、凡は、コーラもね。
ビールは、夕方にとっておこう。
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運ばれたかつ重は、手ごろな大きさで、これを、川端康成や、大勢の文士が食べたのかと、その時代に思いを馳せつつ頂いた。
ミニボンのトンカツは、これはもう定番中の定番だろうから、美味しいのは間違いない。
ただ、サーブされたトンカツ定食を見て、きょろきょろしている。
どうしたのかと尋ねると、付け合わせのキャベツの千切りに、何もドレッシングが掛かっていないと言う。
テーブルにも、それらしきものは無い。
凡は、それなら、お姉さんに言って、マヨネーズでも貰おうかと言ったら、それはいらないという。
凡は、ソースを掛けて食べるんじゃないかなと言ったら、納得しない表情だったけれども、それしかないので、ソースを掛けて食べ始めた。
一体、トンカツの付け合わせのキャベツには、何を掛けて食べるのだろう。
凡の記憶では、東京あたりでは、何も掛けずに提供されることが多くて、テーブルには、ドレッシングが置かれていない。
詰まりは、ソースを掛けて食べるということだろう。
特に、高級なお店は、その傾向があって、誰だったか、作家の先生や、有名人は、ソースだと言う話を聞いた記憶がある。
大阪では、トンカツ屋には、ドレッシングが掛かっているか、または、テーブルに用意されている店が多い。
しかし、トンカツは、ソースなのだから、キャベツは、ドレッシングにした方が、味に変化があって美味しいのじゃないかと思うのだけれど、考えてみると、大阪の串カツも、カツをソースで食べて、ざく切りのキャベツもまた、そのままか、ソースに漬けて食べている。
横道にそれるが、ドレッシングと言うと、インド料理店で出されるサラダのドレッシングは、どうしてあんなに美味いのだろう。
まあ、お店によって違うのだけれど、ニンジンをすりおろして作っているようで、一度、我が家でもミニボンが作ってみたことがある。
それなりに美味かったのを覚えている。
あのインド料理屋のドレッシングを、トンカツに掛けようと考えるトンカツ屋は、いないものだろうか。
きっと、喜ばれると思うんだけれどなあ。
ただ、インド料理屋のドレッシングと言っているが、凡がインドに旅行に行った時には、そんなドレッシングを食べた記憶がない。
或いは、日本のインド料理店の創作ドレッシングなのだろうか。
しかし、こんなことを言っているのではありますが、実際のところ何を掛けて食べても良いのである。
自分の好きなように食べれば良い。
でも、それを、料理を提供する立場から考えてみると、そうでもないのだろうか。
客に、その人の好みや、その時の食べたい味付けに合わせて、色んな味を楽しんでもらおうという考えは、どうもないみたいなのである。
何故なら、テーブルには、ソース以外(醤油はあったけれども)、ドレッシングやマヨネーズなどのキャベツに掛けたら美味しいであろうものが用意されていないからだ。
トンカツのキャベツと言ったら、ソースを掛けるに決まってるだろ、とでも言いたげな感じに見えるのであります。
と、こんなことを書いているのですが、何も、このお店を批判しているのでは、まったくありません。
何故なら、この時に、お姉さんに、マヨネーズ下さいとか、ドレッシングないですかとか言えば、気持ちよく出して頂けただろうからです。
ミニボンが、言わなかっただけだからね。
と、そんなことに、地方地方の面白さを感じながら、トンカツを頂いたのであります。
さて、そろそろ、3時頃になったので、ホテルにチェックインしに行きましょう。
今日の宿は、鶴岡八幡宮の参道にある「源(GEN)ホテル鎌倉」さんだ。
キャリーを駅のコインロッカーから出して、ゴロゴロ引っ張りながら、鶴岡八幡宮の近くまでやってくると、1階がコーヒーショップのビルがある。
源ホテルは、そのコーヒーショップの横の路地というか、ビルの狭い道を入って行くと、その壁にタブレットが掛かっている。
それがフロント代わりなのである。
恐る恐るタッチパネルに触る凡とミニボン。
予約番号などを入力したら、回線がつながって、男性の声が聞こえてきて、そこでやり取りをして、チェックイン。
パネルの下にあるボックスを開けて、凡の部屋のカギを抜き取った。
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部屋に入ると、狭いなと思った。
とはいうものの、ツインで11000円だから、場所を考えると、安いのかもしれない。
窓は上の方に明かり取りのために細くついているだけで、景色などを見ることは出来ない。
部屋のランクによっては、参道を見おろす部屋もあるらしい。
とはいうものの、今年の3月にオープンしたばかりなので、まだ新しいのが良い。
部屋は、ホテル全体で15室とのこと。
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IMG_1856.JPG(ベッドとトイレ、バスルームの他は、このスペースしかない)
チェックインをしたら、ブラブラ散歩でもしようと外へ出た。
目の前に鶴岡八幡宮があるので、まずは参拝。
自分で祓う夏越しの大祓というのをやっていたので、穢れを祓ってもらった。
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そんでもって、またもや小町通りや、駅周辺をブラブラ。
どんなお店があるのかなとか、ウインドウショッピング。
そうだ、クルミッ子を買ったか。
あ、その近くにあったナッツ屋でも買い物をしたな。
と、そんなことをした。
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さて、そろそろ夕食のお店を探しにでかけよう。
お目当てのお店があれば、電車に乗って出かけてもいい。
例えば、江ノ電で、湘南の海の見えるレストランとかね。
でも、昨日思い立って来たものだから、それに、どこになにがあるのかもわからない。
なので、小町通りと駅前を歩き回る。
それで、ステーキのお店とか、いくつかの候補を決める。
「コアンドル」さんというフランス料理のお店があって、鎌倉でフランス料理なんて、ちょっと贅沢で記念になるかと思ったけれども、ミニボンは、かなりの偏食なので、食べれるかどうかわからない。
それに、2階にあるので、メニューも分からないし、ちょっと高そうでもある。
なので、見送った。
IMG_1893.JPG(雰囲気良さそうなお店だったんだけれどなあ。入ってみたかったな)
それで、どうも店を決めかねていたら、ミニボンが、「仕立屋」というお店があるけど、どうかという。
居酒屋風でもあり、凡がビールを飲めるんじゃないかというのだ。
見ると、ちょっとチェーン店っぽくもあり、「ここだ!」という感じでもないが、これまた迷って歩き回っていると、ミニボンに叱られるので、ここにした。
駅前に2店舗ほど見つけたが、小町通りのお店にする。
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店に入ると、女の子が7時だったか、7時半だったかが、ラストオーダーだという。
まあ、短いが、長居する予定もないので、そのまま入店。
メニューを見ると、意外と品数が少ない。
というか、お魚をメインにしているようなのだが、シラスとマグロとアジの3種類の魚を基本の食材として、メニュー展開している。
なので、ぱっと見、品数が少なくなる。
居酒屋だと思って入ったのだけれども、焼き鳥や肉を使った料理などが無いのである。
とはいうものの、もう着座しているので、そのままメニューを検討。
まずは、釜揚げしらすと生海苔のピザ(1280円)と、しらす乗せ厚揚げ(480円)、炙り鮪おろしポン酢で(750円)、地アジの干物焼き(550円)を注文。
それと、生ビール。
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注文を終えて待っていると、ちょっと自意識の高そうな、たぶん、横浜辺りの、或いは、湘南あたりの、と想像するのだけれど、地元の50歳ぐらいの女性の2人組が入ってきた。
1人は、普通の主婦という着こなしなのだけれど、もう1人は、つばの広いストローのハットを被った、ボーダーのシャツをニースの海岸風に着こなしているご婦人だ。
怒らすと厄介なご婦人に違いない。
普段の食材を買う時も、東京なら紀伊国屋とかで買のだろう。
すると、メニューを見るなり、女の子に言った。
「メニューは、これだけ?」
女の子は、そうだと答えた。
しばらくして、オーダーを取りに来た時に、また言った。
「メニューは、これしかないの?」
それを聞いていた凡は、おかしくなってきたが、「また、言った。」と、ミニボンと話していた。
彼女たちもまた、いろんなアテを頼んで、お酒を飲もうと思っていたのだろう。
でも、そこは、すぐに諦めなきゃだよね。
或いは、河岸を変えるとか。
見ると、他の客は、若い女の子が、シラスの丼を食べていたり、若いカップルが定食を食べていたりと、そんな店なんだ。
メニュー見たら解るよね。
とはいうものの、メニューはこれだけ?と聞きたくなる気持ちは解らなくもない。
表の看板は、もっとメニューがありそうな見た目だったものね。
IMG_1871.JPG(看板を見ると、メニュー多そうだものね。)
ということで、湘南か横浜のお姉さんは置いておいて、このお店の料理だ。
まずは、シラスのピザ。
これはミニボンも美味しいと食べていました。
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そして、シラス乗せ厚揚げ。
これもまた、厚揚げは、その場で揚げているようで、期待以上の味だったけれども、ボリュームは少ない。
詰まりは、もっと食べたかった。
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んでもって、炙りマグロは、さっぱりとした赤身をおろしポン酢で頂くので、暑い夏にはピッタリの食べ方で、蒸し暑い外を歩いてきた身体には、ほっと一息つける趣向だった。
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最近は、スーパーでも、養殖だけれども、本マグロのトロなどを売っていて、ミニボンも買って来てくれることがある。
確かに、それは美味いのだけれど、業務スーパーなどで買うと、たまに量が多い時があって、そんなにトロばかり食べていられないと思う時がある。
まあ、贅沢な話だけれどね。
それにしても、最近は、マグロに限らず、トロなどの高級なものが、普通に家庭の食卓に上るようになってきた。
それにも増して、大衆のトロ志向というか、トロ偏重の風潮は、どうも却って食の豊かさの逆を言っているように思う。
高級なものだけが旨いという考えは、変えたほうが楽しいのかもしれない。
それに、美味しい物だけが大切だと言う考えも変えてみたい。
と、凡には出来ないことも、平気で書いております。
凡は、キハダマグロなどの安いマグロを、子供のころに、親が食べる時に、一切れ貰って食べたりしていたので、今でも、さっぱりしたマグロが好きなのである。
なので、炙りマグロは、気持ちが落ち着く味でありました。
アジの干物も、干し加減が、なかなか宜しい。
生の味も美味しいけれど、干物にすると、旨味が凝縮されて、これにはお酒が会う気がした。
ということで、メニューを見て、凡も一瞬、「メニューは、これだけ?」と湘南のお姉さんのような感想を持ってしまったのですが、その1品1品は、なかなか美味しかったです。
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さらに、シラスと豆腐のサラダや、湘南ビールなども頂いて、店を出る。
6600円だった。
さて、美味しく料理を頂いて、まあ、これが青春18きっぷの一人旅なら、もう1軒となるところなのですが、今回は、ミニボンと一緒だ。
ホテルに戻ることにしよう。
とはいうものの、まだ時間も早いし、夜にまだ何か食べたい気持ちもする。
ということで、駅の近くの鎌倉とうきゅう店で、崎陽軒のシウマイ弁当や、コージーコーナーのシュークリーム、それに缶ビールを買った。
それと、崎陽軒で、シウマイチリとシウマイ麻婆というのがあったので、お土産に購入。
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ホテルに戻って、弁当やシュークリームを頂いたが、いささか食べ過ぎであったようである。
ゆったりとしたベッドに寝っ転がって、鎌倉の夜を感じていた。

コメント

  1. yukemuri より:

    今初めて気が付いたのですが、こちらのトンカツ定食のキャベツには何も掛かっていないのがスタンダードです
    基本的にはドレッシングもテーブルには無く、ソースで食べるのが普通だし、それが当たり前だと思っていました
    地域によって差があるのは面白いですね
    ミナモトホテルかと思いきや、ゲンホテルなんですね
    鎌倉だから源かと思っていました(笑)
    居酒屋風のお店はメニューが少なかったようですね
    でも名物のしらす尽くしが食べられたようでまぁ良かったのではないでしょうか?
    シウマイ弁当も食べられたんですね
    美味しいですよね
    自分は出来立てでまだ温かいシウマイ弁当が特に好きで、若い頃工場によく買いに行って食べたものです
    あっ、大阪にはコージーコーナーはないのでしょうか?
    何となく全国チェーンかと思っていました

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    やっぱり、関東のトンカツのキャベツには、何も掛かってないんですね。
    関西でも、何も掛かってないお店は沢山あるのですが、テーブルにドレッシングは置いてあります。
    普通の安いトンカツ屋さんはね。
    ゲンホテルは、意味は、源ミナモトだと思います。
    鎌倉だしね。
    でも、それをちょっと洒落た感じでゲンにしたんじゃないかな。
    値段は安かったけれど、やっぱり普通のビジネスホテルの方が安心して泊まれそうなので、次回は無いかもです。
    若い人向けのホテルかな。
    コージーコーナーは、関西ではたぶん、見たことが無いです。
    なので、東京へ来た時は、食べてみたくなるんですよね。
    崎陽軒と言えば、横浜でランチバイキングをやっていると来たので、それは行ってみたいです。

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