平 凡蔵。の 創作劇場

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散散歩歩。(880)阿蘇・内牧温泉紀行(5)

6月10日(水曜日)。
阿蘇駅から、熊本駅までのバスを8時57分発で予約していたので、ホテルを8時30分に送迎バスを頼んでいた。
送迎途中、運転手さんと、ホテル再開の話をしながら、駅に向かった。
これから、どんどん、お客様も来られることを祈っております。
んでもって、阿蘇駅から帰路のバスに乗り込む。
昨日と、反対方向だ。
そして、10時58分に、熊本駅に到着。
キャリーをロッカーに預けて、観光案内所へ行く。
今日は、凡の行きたいところに1カ所だけ観光を予定していた。
浄国寺というお寺だ。
ここには、松本喜三郎という人が作った生き人形が、観音様としてお祀りされている。
その生き人形の顔をネットで見た時に、これは実際に見てみたいと思ったのです。
熊本駅からは、JRで上熊本という駅まで移動して、そこから熊本鉄道に乗り換えて行くということを調べていたのですが、時刻表までは調べていなかった。
それで、まあ、念のためということで、案内所で行き方を確認しようと聞いたところ、そのお寺を知らないと言う。
それでも、凡の為に調べてあげようと、いろいろ真剣に調べてくれている。
お寺の住所を見せて、熊本電鉄のことも言ったのだけれど、本数が少ないので、他に行くルートがないか調べると言う。
案内所の人が、2人がかりで、地図を出したり、バスのルートを調べたり、結構時間が掛かっている。
それじゃもう、始めに調べていた熊本電鉄で行っても良いかなと思ったが、目の前で真剣に凡の為に調べてくれているので、そんなことなど言える道理ではないのだ。
そしてようやく出た結論は、熊本駅から11時44分のバスに乗って、12時13分の高平橋で降りるというものだった。
これが一番早いと言う。
凡は、案内所の人に聞いて良かったと思った。
ここから30分弱で行けるとは思ってもいなかったからだ。
それよりも何よりも、こんなに親切にしてくれたことに感謝したい。
バスの時間まで、あまりないので、急いでバス停に行って、バスに乗り込む。
そして、予定時間にバスを降りた。
ここからは、歩いて数分だ。
お寺の前に行くと、ごく普通の街中にあるお寺という感じだ。
観光の名所という雰囲気は、まったくない。
IMG_1745.JPG
本堂の前に行くと、生き人形の谷汲観音を見たい人は、隣の庫裏に声を掛けてくださいと書いてある。
なので、隣の庫裏に行くと、用事のある人は、チャイムを押してくださいとあった。
ちょっと緊張しながら、チャイムを押すと、住職の奥さんらしき人が出てきて、生き人形を見たいということを告げたら、本堂の戸を開けますと言う。
そして、本堂の戸を開けて貰って中に入ると、正面には、本尊の釈迦牟尼仏があって、その右横にガラス張りの厨子に入った谷汲観音像があった。
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因みに、この浄国寺さんというのは、曹洞宗の禅寺で、何故、ここに生き人形の谷汲観音像があるかというと、作者の松本喜三郎と言う人は、もともと熊本の出身で、生き人形の興行で人気を博したらしいのですが、その興行の1つである「西国三十三カ所観音霊験記」の最後の場面である「美濃国 谷汲寺縁起」の観音様として製作されたもので、後年、この作品が、あまりに会心の作だったので、このお寺に寄進されたという。
このお寺には、作者の松本家の墓があるそうだ。
IMG_1740.JPG’(谷汲観音は、このストーリーがもとになっている。ご住職さんに見せて頂く)
松本喜三郎の作品は、興行を目的にした見世物的なものだったので、現存するものは少なく、貴重なものなのです。
その評価は、海外でも高くて、スミソニアン博物館などにも収蔵されているとのことだ。
本堂に案内してくれた奥さんは、どこから来たかと尋ねるので、大阪からだと答えてお話をしていると、奥からご住職さんが出てこられた。
訊くと、地元の人より、県外の人の方が、よく知っているという。
谷汲観音像の話を、いろいろしていただき、来てよかったと本当に思った。
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その観音像だ。
見世物の人形として再作されているので、胴体の部分は、ハリガネとか、骨組みだけだが、お顔と、腕、足先は、本当にリアルに作られている。
徹底した写実性が特徴らしく、当時、アメリカから依頼された人形は、日本人の標本としとて依頼されたらしい。
それだけ、リアルだということだ。
顔の部分などは、桐を削って、そこにコフンを塗って仕上げているという。
凡は、アイフォンで写真を撮りながら、観音像である生き奥さんに人形を見つめる。
その表情が、どうにも艶めかしい。
観音像だけれども、女の色気を感じるのだ。
しかも、その表情だ。
人々を救おうと言う慈悲に満ちた顔じゃない。
どこか、挑戦的で迫力がある。
これは、どういう表情なのかと、その意味を探ろうとしていた。
でも、解らない。
それよりも、凡は、その艶めかしさに、その観音像を抱きしめたい衝動に駆られていた。
細く開いた口許。
そこに見える白い歯。
ああ、口づけをしてみたい。
そして、あの開いた唇に、凡の舌を滑り込ませたらどうなるのだろうか。
おそらく、噛み切られてしまうだろう。
そんな観音様はいない。
松本喜三郎が作った生き人形の観音様は、この熊本市内にもう一か所ある。
来迎院というお寺だ。
結局は、このお寺には行かなかったのですが、何故、行かなかったかと言うと、時間がなかったということもあるが、来迎院の観音様は、始めから観音様として製作されているので、その表情が、始めっから観音様なのである。
抱きしめたいなんて、微塵も思わせない表情をしているのである。
そんなの詰まんない。
2018-01-17-06.jpg(参考までに、これは行かなかった来迎院さんの生き人形。ネットから拝借しました。表情が、仏像ですよね。)
それが、この浄国寺さんのは、見世物小屋の生き人形として作られているので、生身の人間的なところがある。
だから、抱きしめたいと思うのだ。
そして、考えていた。
もし、この松本喜三郎という人が、今も生きていたなら、そして、中島みゆきさんを、生き人形として製作したなら、どんな生き人形になっていたのだろうかと。
おそらく、もしその生き人形の前に立ったなら、一生、その場を離れることが出来ないような、そんなみゆきさんの魂のようなものを見ることのできる生き人形になっていただろう。
或いは、凡は、そのみゆきさんの生き人形を持ち出して、家に置くかもしれない。
生き人形と、結婚をして、生き人形と、日常の生活をして、生き人形と、死んでいく。
そんなことが可能となるのかもしれない。
と、この生き人形を目の前にすると、凡の変態的な感覚を目覚めさせてしまうようであります。
ここのお寺は、入場料というか、拝観料も取らないし、曹洞宗なので、お守りなどの販売もなく、祈祷などもしない。
なので、拝観させていただいたお礼は、喜捨の箱に納めさせていただいた。
箱の中を、チラリと覗いたら、コインではなく、お札が思った以上に入っていた。
なを、生き人形が色っぽいだの、そんなことを書いたのでありますが、あくまでも、この生き人形は、観音様としてお寺で祀られているのでありまして、祈りの対象であるのであります。
ご住職さんにお礼を言って、お寺を出る。
また、バスに乗って、バスセンターまで戻った。
ミニボンは、ホテルに泊まるのが目的で、それはもう達成した。
凡は、谷汲観音様に会うのが目的で、それもまた達成した。
ということで、これからは、残りの時間、商店街でもブラブラ散歩でもしましょう。
そうだ、ちょうどお昼だし、どこかでランチでもしましょう。
ここで、凡だけなら、商店街の端から端まで歩いて、それでお店を決めるだろうけれども、今日は、ミニボンと一緒だ。
すぐに決めた方が、これは宜しい。
下通の商店街に、「紅蘭亭」というお店があった。
店頭のメニューを見ると、太平燕がある。
太平燕は、熊本の名物だ。
春雨を使った汁物である。
IMG_1756.JPG
ミニボンも、食べられるメニューがあるみたいなので、ここに入ることにした。
有名なお店らしく、20分ほど待ちがあると言う。
その間、隣にあった、SWISSさんで、お菓子を買った。
そして、いよいよ順番だ。
エレベーターで2階に上がって、案内されたテーブルに着く。
ちょっと、高級そうだ。
凡は、太平燕がセットについている中華定食。(1270円)
ミニボンは、エビチリの定食。(1410円)
それに、凡は、熊本の地ビールを注文。(840円)
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IMG_1753.JPG(ご飯は、お粥に変えて貰った)
中華定食は、トレーにご飯と太平燕。それに、鶏の一品と、酢豚が付いている。
この酢豚が、表面がカリッと仕上げられていて、実に美味しい。
それに、太平燕は、優しい味付けで、食べていて穏やかな気持ちになった。
高級そうなお店なのに、この中華定食は、かなりお値打ちに感じる。
これが凡の大好きな王将に行ったって、定食にしたら800円とか取られるはずだ。
いや、この内容なら、980円ぐらいするだろう。
それにしたら、酢豚は、遥かに、この紅蘭亭の方が美味しい。
しかも、全体的に上品だし、贅沢な気持ちになれるのである。
それを考えると、この1270円は、安いと言える。
なんの考えもなく入ったお店に、いたく満足を感じて、さらに商店街を歩く。
この商店街は、良いですね。
お店も多いし、道幅も広い。
商店街の終わりぐらいまで歩いたら、1軒の薬局があった。
凡は、旅に出て、その地の薬屋で、二日酔いの薬や、その土地でしか見かけない薬を買うのが大好きだ。
ミニボンも、それを知っているから、何か買うかと聞いた。
店頭には、「二日酔い」の文字があるではないか。
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兎に角、入ってみる。
ミニボンは、すぐに調剤師さんに、表の二日酔いの薬を訊ねた。
すると、ドリンク剤のようなものを2本見せて、飲む前に飲めと言う。
それを聞いて、もうミニボンは、それを買おうとしている。
ここが凡と違うところだ。
凡は、薬を買うのは大好きだけれども、その効能などを、いろいろ見るのが好きなのだ。
なので、それは買うとしても、まだ、店内を見てみたい。
そこに、証陽散EXというのがあった。
これは、凡も、以前に家の近くにあった薬屋さんで、小分けして売ってもらったことがある。
乳酸菌や、ビフィズス菌が、普通のものよりも、遥かに沢山入っているという。
それを手にして見ていると、ミニボンが、それも買うかと聞く。
聞くというよりも、もう買おうとしているのだ。
いや、だから、薬を凡は見たいのだ。
とはいうものの、そんなことを言って、ミニボンの機嫌を損ねても、これは困るのは凡だ。
なので、適当なところで切り上げて、さっきの二日酔いの薬と、この証陽散EXを購入。
二日酔いの薬は、五苓黄解というドリンクと、四川富貴広というドリンクで、値段は失念。
証陽散EXは、1944円。
かなり高いものだ。
しかし、旅の薬を買うことが出来て、少しばかり嬉しかった。
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そのまま、市電で熊本駅まで移動。
最初は、時間があったら言ってみようと思ってた、松本喜三郎の生き人形のもう1つがある来迎院へ、駅からは近いのだけれど、それにしても時間が足りないので、行くのは諦めた。
観光案内所まで行って、教えた貰ったバスで、思ったより早くお寺に移動出来たことや、お寺で貰ったパンフレットを参考までにと、お渡しして、お礼を言った。
さて、帰路の新幹線は、1602発のさくら698号だ。
往路の教訓を活かして、新幹線で食べる駅弁などを購入。
乗り込んで、まずは、熊本名物だという「ちくわサラダ」を頂く。
これは、ちくわの穴の中に、ポテトサラダを入れて、天ぷらの様に揚げてあるものだ。
これは、どう考えたって旨いに違いだろう。
ビールも、ちょっと贅沢なものを買った。
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そして、駅弁は、九州の駅弁ランキング3年連続1位という鮎屋三代というのを買った。
これは、鮎の甘露煮がメインで、鮎のほろ苦さもあり、美味しかったです。
ご飯も、鮎の出汁で炊き上げたものだそうだ。
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ということで、帰路は、ビールも頂き、熊本の名物や、駅弁も頂いて、大阪まで帰ってきた。
新大阪、1954着。
そのまま、自宅まで帰った。
今回の、阿蘇、内牧温泉の旅は、部屋についている露天風呂が、何より増して贅沢で、それを堪能した旅でもあり、その途中で、未だ、熊本地震の影響の大きさを知った旅でもありました。
新型コロナも治まりを見せ始めた今は、ホテルや、観光産業が、早く回復されることを祈るばかりであります。
それと、2日目に行った、谷汲観音様の、色っぽさに出会えた旅でもありました。
やっぱり、行って良かったのであります。

コメント

  1. yukemuri より:

    凡蔵さん、思い切って出かけて良かったですね
    自分もどこでも良いから出かけたくてしょうがないのですが、なかなかチャンスが無いと言うか・・・
    それにまたまたコロナ感染者が増えてきちゃったので、なんとなく出かけずらい感じですしね
    それにしても早く収束してくれないと旅行業界はかなり厳しい状況に追い込まれるでしょうね
    阿蘇をはじめ九州も行きたいと思っていますがいったいいつになったら行かれるのだろう・・・

  2. 平 凡蔵。 より:

    ありがとう、yukemuriさん。
    コロナに関しては、感染者数の多い東京とか、あと東京ほどでは無いにしても神奈川と鐘、そこから地方へ那
    何となく行きにくい気持ちになるのは、解ります。
    でも、人口から考えたら、行っても良い状況になってきたのではないかと思います。
    緊急事態宣言も解除されたしね。
    あとは、各自、注意というか対策をしながら、行けばいいのではと。
    また、yukemuriさんの旅のレポートも期待しております。

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