平 凡蔵。の 創作劇場

恋愛ストーリーや、コメディタッチのストーリー、色んなストーリーがあります。
どれも、すぐに読めちゃう短編なので、読んで頂けたら、うれしいです。

創作劇場は、ここをクリックしてください。⇒⇒⇒

散散歩歩。(879)阿蘇・内牧温泉紀行(4)

6月9日(火曜日)の日付を越した、翌10日の2時半頃。
バイキングで飲み過ぎ食べ過ぎの凡は、バタンQと寝てしまっていたが、夜中に目が覚めた。
トイレに行ったが、まだ酔いが残っている。
テーブルの上の時計を見ようとする。
見慣れない女性用の腕時計だ。
しかし、頭がボンヤリとして、どうしても、時計に目の焦点が合わない。
何度も何度も、目を細めて時計の針を見ようとするが、針が読めない。
ようやく、文字盤を判読したら、もう5時ごろである。
そのままベッドに戻って、またウトウトしだした。
夢を見ているようで、夢ではない。
いや、しかし、後から思えば夢だったのだろう。
ここは夢巡追荘なのだけれど、同じ夢巡追荘でも、どこか違う。
全体的に、ゴチャゴチャしていて、人も周りにウロウロしている。
どうも、過去からの夢巡追荘のアーカーシャに残された記憶の断片が、同じ時間軸に現れたような感覚で、何故かそこに、両親も、いるようなのである。
凡が、散歩に出かけようとすると、後からミニボンが呼び止めたような気がする。
部屋に戻ると、人が溢れている。
トイレに行こうとするが、トイレのドアを開けると、またそこに1人用のトイレがあって、鍵が開かない。
そうだ、部屋にもトイレがあったじゃないかと戻ると、知らない老女が、お盆を持っていて、凡に来なさいと言う。
付いて行くと、狭い部屋に、大きなテーブルがドンとあって、7、8人の女性がいる。
どう思いだそうとしても、誰も知らない。
「急に呼ばれても、誰が誰だか、思いだせないよね。」と上品な、その場の中心人物のような60歳ぐらいの女が言った。
思い出せないと言う事を口に出すと失礼なので、お茶を濁していると、どうもそこは、あの世という場所らしく、「えっ、それじゃ、凡も死んだの?」と聞くと、そうだという。
そういえば、風呂場でビールを飲んでいたことを思い出す。
あの時に、溺れたか。
「まだ、死にたくない?」と女が訊くので、まだこの世で、というか、あの世から見ると、この世は、あの世なのだけれど、兎に角、生きているこの世で、いろいろ楽しみたい気もする。
しかし、今居るのがあの世なら、あの世もまた、楽しい気もするのではある。
実際に、ここにいる女性も、あの世も楽しいという。
その部屋は、キッチンのようでもあり、女性が、お菓子を食べながら、お茶を飲んだりしている。
まあ、それなら死んでも良いかと思ったが、まだ、この世に未練もある。
ミニボンもいるしね。
そう思ったら、目が覚めて、2時30分ごろだった。
さっきの、腕時計の5時に見えた文字盤は何だったのだろうか。
少しベッドで、今見た夢のことを考えていた。
妙に、実感のある夢だった。
夢なら、起きてしばらくすると思いだせなくなるはずだけれど、まだ、覚えてるじゃない。
不思議だ。
しかし、眠れないので、風呂に入ることにした。
IMG_1672.JPG
IMG_1673.JPG
風呂に行くときに、冷蔵庫の缶ビールを出して持って行く。
そして、湯船に浸かって、缶ビールを飲んだ。
一度、やってみたかったんだよね。
風呂に入りながらの缶ビール。
そして、思った。
こんな状況で、夢の中の凡は、死んだのか。
それにしても不思議な夢だったなと、ぼんやりと湯に浸かっていると、「イヤーン。」とも「ウエーン。」とも聞こえる悲鳴がした。
「ミニボン?」と思って振り返ってみると、ガラスの向こうで寝ている。
するとまた音が鳴った。
そして、その音がサイレンだと解った。
そして、小さなマイクの声で、火災を報せている。
どこかで火事でもあったのかと、暗闇の中に目をやると、遠くの方でサイレンを鳴らしながら、点滅するライトが2つ走っていくのが見えた。
その行く方角を見たら、遠いけれども、ハッキリと、火が上がっているのが見える。
かなり大きい火事だろう。
暫く見ていると、あっちからこっちから、サイレンが聞こえてきた。
3時頃にサイレンが鳴って、遠くの火を見たり、また湯に浸かったり、30分ぐらいしたら、その火の幅が広がっている。
InkedIMG_1706_LI.jpg
部屋に戻って、暫くして、風呂場に出てみると、煙は立ち上っているけれども、鎮火したしたようだったので、また寝た。
後で、調べてみたら、3棟を焼く火事だったようだ。
でも、負傷者はいないということで、ホッとした。
それにしても、夢と言い、火事と言い、不思議な夜であった。
また少し寝て、6時頃に目が覚める。
また、風呂に入った。
これが、贅沢というものだよね。
IMG_1714.JPG
朝食は、7時からだ。
食べたらすぐに出られる身支度をして、食事会場へ行く。
テーブルは、昨夜と同じ場所だ。
朝食に関しては、普通にバイキング形式である。
トレーを持って、料理を取りに行く。
焼き魚をもらおうと思って行くと、美味しそうに焼けた鯖と、タレ味のカレイを、目の前に置いてくれた。
如何にも、美味そうだ。
よくホテルの朝食バイキングで、焼き魚が置かれていることがあるが、どこを探せば、こんな小さいシャケやサバがいるのかというぐらいに、小さい切り身が置いてある。
ただ、それでも、凡は有難がって、取って食べているのだが、ここの焼き魚は、ちょっと違う。
この鯖の一切れだけで、サラリーマンのランチになりそうなぐらい大きい切り身なのである。
しかも、カレイに関しては、タレ焼きだ。
素晴らしい。
IMG_1721.JPG
これには、やっぱり白ご飯と味噌汁だ。
と思って、味噌汁を頼むと、これがまた、具だくさんで嬉しい。
IMG_1723.JPG
他にも、地元の茄子を揚げ出汁にしたものや、里芋の煮物を餡かけにしたものや、美味しそうなものが並ぶ。
それらを頂きながら思った。
このおかずで、ビールをやりたい。
出来ることなら、これを夜、2時間ぐらいかけて食べてみたいものだと。
IMG_1718.JPG
その後も、お粥や、デザートも頂いた。
ミニボンは、フルーツのリンゴが、皮をむいてカットしてあるのが、嬉しいと感心していた。
漬物や、酢の物、取りたい料理が沢山あったけれど、もうお腹いっぱいである。
それと、どれもこれも、美味しい味付けでありました。
朝食に関しては、もう大満足で部屋に戻る。
そして、8時30分に送迎バスを頼んであったので、チェックアウトをした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました